何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十

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なんか、演劇でも見せられた気分

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「陛下はこのような怪しげな者共の言うことを真に受けるのですか!?」

秋も深まったある日、私は、進捗状況の報告の為にメトラカリオス陛下に拝謁することになった。でもその場で、何と言うかいかにもな見た目の、ほぼほぼ<舞台装置>感丸出しの、恰幅のいい欲深そうな貴族がそう声を上げた。

「特使として、このムッフクボルド共和国を構成している他の小国に赴任していた貴族だ」

クレフリータが小声で私に教えてくれる。

「そうなんだ」

私は半ば呆れながら、口角泡を飛ばしつつ陛下に『戦争により他国から奪うこと以外にこの国を救う方法はない』と熱く語るその貴族を見てた。

玉座でたたずむ美麗な青年陛下も、面倒臭そうに頬杖をつきながら聞き流してる感じだった。

クレフリータが続ける。

「彼は、主戦派の中核をなす人物の一人でな。同じく戦争の準備に余念のない主戦派の国々とずぶずぶの仲なのだ。むしろ、主戦派の国々の<間諜>と言ってもいいだろう。とは言え、ここメトラカリオス公国においても、ペテルソンエス家に並ぶ名家で力もあるから、陛下としても軽々しく切ることのできん人物でもある」

「へえ……」

正直、私としてはどうでもよかった。主戦派ということでもちろん私にとってもあまり好ましくない相手なんだけど、この時の陛下の様子を見る限り、相手にする気もなさそうだったから。

なのにその貴族は、

「この女狐が! 我が国に入り込んで何を企んでる!?」

って、急に私に向かって怒鳴りつけてきたもんだから、

「ほえ!?」

みたいな変な声が出ちゃった。

『女狐って……マンガやアニメの中でしか聞いたことのない単語だな……』

なんてことをつい思っちゃってた私に、彼は、

「なんだその顔は!? 陛下の御前でそのようにたるんだ顔をしているような不敬な輩がこの国を腐らせるのだ! 即刻、我が国から出ていけ!!」

その場にいた他の貴族達も呆れ顔なのに、当の<おじさん貴族>は『自分こそが国を憂う一番の忠臣』とばかりに周りのことが目に入ってないみたいだった。まあ、このくらいの思い込みと勢いがないと戦争なんて始められないのかもしれないけどさ。でも、はっきり言って迷惑だよね。

元々、厭戦気分の強い青年陛下が即位したことに加え、クレフリータの<工作>もあり、メトラカリオス公国そのものは戦争回避に傾きつつあったから<おじさん貴族>は完全に浮いた存在になってたけど、

「では私は同胞らとの折衝がありますので、これにて御免!」

って言いながら、堂々とした様子で謁見の間を出ていったのだった。

『はあ……なんか、演劇でも見せられた気分……』

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