何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十

文字の大きさ
199 / 535

不敬罪どころか下手をすると国家反逆罪で死罪だって有り得るからだろうな

しおりを挟む
『失礼な態度しちゃダメじゃないか』

ティンクフルムくんはそう言ってくれるけど、私はこういうのは割と平気だった。慣れたというか、『そういうものだ』って思ってるというか。

「大丈夫だよ。いつものことだから」

私はティンクフルムくんにそう声を掛けて、敢えて妹さんの前に進み出た。その私を、彼女は挑みかかるような目で見てる。

そして、

「またお父さんとお母さんを困らせに来たの!? もういい加減にして! お米作ってた頃はもっとちゃんとたくさん作れた! なのに急に他のを作れとか、勝手だよ! 私達をイジメるのがそんなに楽しいの!?」

って。

それは、農民の立場としての支配階級に対する正直な不満だったと思う。これまでにもよく耳にした話だ。農のことを知りもしないクセに無理難題ばかりを押し付けてくる、何も与えず奪うだけの支配者達への憤りだ。

「ラウラっ!!」

そう言ったティンクフルムくんの声は、殆ど悲鳴のようだった。こんなに露骨に支配者達を罵っているのが知られたら、不敬罪どころか下手をすると国家反逆罪で死罪だって有り得るからだろうな。

でも、ラウラと呼ばれた女の子の言葉には、

『このまま虐げられ続けるくらいなら死んだ方がマシ!』

と言いたげなものが込められているのが私にも察せられた。

だから言ったんだ。

「分かるよ。私もいっつも無茶な要求を突き付けられて辟易してる。だけどさ、文句言ってるだけじゃ<力を持つ者>には勝てないんだよ。具体的に動かなきゃダメなんだ。それも、効果的にね」

そう言った自分が笑顔になってることを、私も気付いた。自然と出た笑顔だった。

するとラウラは、

「そ……それができたら苦労なんてないよ…っ!」

なんて吐き捨てるように言いながらも、私の態度に戸惑ってるのが見て取れた。てっきり、

『無礼な! この者をひっとらえろ! 磔にしてやる!!』

とでも言ってくると思ってたんじゃないかな。彼女の目には、それだけの覚悟さえ見えた気がした。

だけどそれと同時に分かってしまった。この国の状況は、思った以上に深刻だって。国民の不満がヤバいくらいに溜まってるって。

私は言った。

「ラウラちゃんって言ったかな? 私はあなた達をイジメに来たんじゃないよ。私は収穫量を上げに来たんだ。王族や貴族をびっくりさせてやりに来たんだ。『どうだ! 参ったか!?』って言ってやりに来たんだ。だからお願い。力を貸して。あなた達の力が必要なんだ」

真っ直ぐに見詰め返しながらそう言う私に、ラウラの目が潤むのが分かったのだった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...