何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十

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ドーンと大きく話が展開してくれたらどんなに楽か

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『彼に、その役人を説得してもらいます』

私がそう言ったのは、私が言っても舐められるのが分かっていたからだ。上からのお達しを無視して勝手なことをしているような役人だから、女の私が何を言っても木で鼻をくくったかのような対応をするのは目に見えている。

と言うか、今までもそうだった。

『前例がありません』

『明確な根拠を示してください』

『それでは持ち帰って検討します』

等々、のらりくらりと<役人言葉>で躱してまともに話も聞かないんだ。

私も努力はするんだけど、相手がもう『女だから』っていう一点で見下してきてるから、どうにもならないんだよ。女じゃなくなることもできないし。

フィクション的にはここでバーンと実力とかを見せ付けて認識を改めさせるところなんだろうけど、現実にはそう上手くはいかない。それに、まさに今、『実力を見せつけるための実績作り』をしているところだから、バーンとやってみせる段階でもない。

でも、さすがに、いかにも『貴族様です!』オーラを放つベントが目の前に立つと、明らかに態度が変わる。ほとんど自分達の前には姿も現さないような王族・貴族を頂いて従ってる性分がそうさせるんだろうな。

で、

『善処します』

っていう言い方に変わる。

でもそれも、実際には『何もしません』っていう意味なんだよなあ。

ただ、『話を聞いた』っていう体裁が大事なんだ。そうすれば彼らだって次からは無下にはできない。

この積み重ねなんだよね。

正直、こっちに来てからは、農地の改良よりもそっちが主な仕事になってる感がある。

ベントが来るまではブルイファリドがその役目をしてくれてたんだけど、同じ役人同士だからどうしても<圧>が足りないんだよね。でも地道な交渉はさすがだから、ちょっとずつでも進んでたんだけどさ。

それが今では、ベントの<貴族オーラ>とブルイファリドの<交渉術>との二本柱が揃ってくれたことでかなり助かってる。

メロエリータいた頃には一人でその数倍の働きをしてくれてたんだけど、ないものねだりをしても始まらない。

使える手札で何とかするしかないんだ。

地道に。ただ地道に。ひたすら黙々と。

ホント、フィクションみたいにドーンと大きく話が展開してくれたらどんなに楽か。

私がやってることだって、フィクション的に面白いように再編集したら、『ご都合主義だ!』とか言われるくらいに話がスムーズに進むんだろうな。

だけど現実では、こういう地道で地味な諸々の積み重ねが、<結果>を生むんだよ。そういうのを端折ってダイジェスト的に盛り上がる部分だけピックアップするから、<ご都合主義>にも見えちゃうんだろうなって気がするんだよね。

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