何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十

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雑草というのは嫌われ者で無視されがちなんだけど

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取り敢えず仮住まいの方も一段落ついて、私は早速、陳情に来た人達の村を訪れていた。

「ありがとうございます……!」

代表格らしい初老の男性はそう言って恐縮しつつ感謝してくれてたけど、その場に集まった人達を見回して、実際にはやっぱり私を訝しんでる人も少なからずいることは感じた。

と言うのも、サイサスリスト氏が<担当者>として寄越してくれた役人が、元々この地区の責任者として彼らを指導監督してた人なんだけど、これが少々、偉そうで高圧的なんだよね。

「お前達、ここまでやらせたんだから今度こそ結果を見せないと、それこそ採掘場送りになるぞ……!」

とかなんとか。

私がその人を伴って現れたもんだから、

『信用していいのか…?』

って気持ちになってるんだろうな。

でも、それでいい。疑われてると思えばこそ、気が引き締まる。いい加減なことはできないと思える。

ちなみに<採掘場>っていうのは石炭の採掘場だそうで、そこで働いてる人達の大半は奴隷らしい。だから<採掘場送り>っていうのは実質的に奴隷に堕とされるのと同義みたいだ。

そりゃそんな脅してこられちゃ、信用もできないよね。

私はその<担当者>のことは基本的に気にしないようにして、集まった人達ににこやかに話しかけた。

「それでは、皆さんの畑を見せてください。とにかく畑を見ないと始まりませんから」

というわけで、代表格の人の畑へと向かう。

「こちらです」

そう案内された畑には、甘イモ(要はサツマイモ)が栽培されてた。

甘イモは、日当たりさえ良ければ今の時期からでも植えられるんだ。

でも、一見して葉に勢いがない。力強さがない。

なるほどこれは厳しいな。

甘イモは、サツマイモにすごく良く似た作物なんだけど、割と栽培しやすいとも言われてるサツマイモとは必要な養分が少し違うんだ。しかも、その養分は、土の水分が足りないと吸収されないし、逆に多すぎると変質して甘イモの生育を阻害する。

小さくて甘さもそこそこでいいんなら割と放っておいても大丈夫なんだけど、品質を求めるとなると実はけっこう難しい作物なんだよね。

私は畑の周囲を歩いてそこに生えている雑草の種類とその生育状態をまず確かめた。

雑草というのは嫌われ者で無視されがちなんだけど、実はその土地の質を知る上で重要な手掛かりにもなるんだ。

『ヘビクサが多いな…しかもこの色……』

ヘビクサはこの世界では最もポピュラーな雑草の一つで、ホントにどこにでも生えて旺盛な繁殖力で養分を奪う厄介者として嫌われてるんだ。

ただこのヘビクサ、土の養分の違いで結構見た目が変わるから、土地によっては違う種類だと思われてツルギソウとかリュウトウとかって名前でも呼ばれてる。

ヘビや竜の頭みたいにも見える先端部分の中に花があって、私はそれを一つ手に取って、口に放り込んだのだった。

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