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メッセージ
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『私を破壊しろ。こいつは私に依存している。だが、こいつの私に対する感情は信頼に基くものじゃない。私がいてはこいつは人間の社会に戻れない』
『それはできません。今の彼にはあなたが必要な筈です。あなたを唐突に失うなど、荒療治すぎる。彼の精神に対して与えるダメージは計り知れない…!』
『何を呑気なことを…! お前が保護しないと言うのなら、私がこいつを保護し続ける理由などない…!』
『!? やめなさい!!』
それが、エレクシアYM10が少年に拳銃を向けて引き金を絞る間までに行われていたやり取りだった。しかし結局、銃弾を発射するまでには至らなかった。その寸前でエレクシアYM10の左手首から先が、本体から切り離されていた。タリアP55SIの超振動ブレードが一瞬早く切り落としたのだ。そしてそのまま切っ先を滑らせ、エレクシアYM10の左脇腹から胸の中心辺りへと、刃が潜り込んでいく。
それで終わりだった。メインフレームを破壊されたエレクシアYM10は全ての機能を停止し、壊れたマネキンのようにその場に倒れ伏した。それだけだ。最後の言葉すら残すことなく、別れを告げることさえなく、彼女は物言わぬ機械部品の塊となった。
地面に落ちた手首に握られた拳銃のセーフティーは、解除されずにそのままになっていた。
「エレクシア!」
少年が駆け寄り、彼女の体に取りすがった。しかしもう、何の反応もない。それはただのガラクタだった。
「バカやろう…」
彼はうなだれて拳を握り締め、体を震わせてそれだけを口にした。
「…」
タリアP55SIはエレクシアYM10の後頭部を探り、メモリーカードを取り出した。そして自分の空きスロットに差し込み、データを読み込む。
メモリーカードには、メイトギアのデータと記憶のすべてを保存できるほどの容量はない。あくまでメモ程度の役目しか果たさない。通常はクラウドサーバーに殆どが保存されるが、今のリヴィアターネでそんなものは稼働していない。本体のストレージにバックアップが残っていればいいが、この損傷だとおそらくそれも望み薄だろう。つまり、この小さなメモリーカードに残ったデータだけが、エレクシアYM10のすべてだった。
そこには、少年、いや、ケインと共に過ごした数ヶ月の記憶が残されていた。そして最後の辺りに、彼に向けたものと思しきメッセージが記録されていた。そのメッセージを、タリアP55SIが再生する。エレクシアYM10の声で。
「お前の姉のことはすまなかった。だが、許してくれとは言わない。ただ、お前は私を改造した人間達とは違うというのは一緒に暮らしてみて理解できたよ。ありがとう、ケイン」
メッセージを読み上げたタリアP55SIを見上げるケインの目から、ぼろぼろと大粒の涙が溢れたのだった。
『それはできません。今の彼にはあなたが必要な筈です。あなたを唐突に失うなど、荒療治すぎる。彼の精神に対して与えるダメージは計り知れない…!』
『何を呑気なことを…! お前が保護しないと言うのなら、私がこいつを保護し続ける理由などない…!』
『!? やめなさい!!』
それが、エレクシアYM10が少年に拳銃を向けて引き金を絞る間までに行われていたやり取りだった。しかし結局、銃弾を発射するまでには至らなかった。その寸前でエレクシアYM10の左手首から先が、本体から切り離されていた。タリアP55SIの超振動ブレードが一瞬早く切り落としたのだ。そしてそのまま切っ先を滑らせ、エレクシアYM10の左脇腹から胸の中心辺りへと、刃が潜り込んでいく。
それで終わりだった。メインフレームを破壊されたエレクシアYM10は全ての機能を停止し、壊れたマネキンのようにその場に倒れ伏した。それだけだ。最後の言葉すら残すことなく、別れを告げることさえなく、彼女は物言わぬ機械部品の塊となった。
地面に落ちた手首に握られた拳銃のセーフティーは、解除されずにそのままになっていた。
「エレクシア!」
少年が駆け寄り、彼女の体に取りすがった。しかしもう、何の反応もない。それはただのガラクタだった。
「バカやろう…」
彼はうなだれて拳を握り締め、体を震わせてそれだけを口にした。
「…」
タリアP55SIはエレクシアYM10の後頭部を探り、メモリーカードを取り出した。そして自分の空きスロットに差し込み、データを読み込む。
メモリーカードには、メイトギアのデータと記憶のすべてを保存できるほどの容量はない。あくまでメモ程度の役目しか果たさない。通常はクラウドサーバーに殆どが保存されるが、今のリヴィアターネでそんなものは稼働していない。本体のストレージにバックアップが残っていればいいが、この損傷だとおそらくそれも望み薄だろう。つまり、この小さなメモリーカードに残ったデータだけが、エレクシアYM10のすべてだった。
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