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人間
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「人間人間ってあなたたちは言うけど、あなた達が傷付けたゴードンだって人間よ!? 私やこの人と同じ人間なんだよ!? 私、あなたたちを許さない!」
拳を握り締め、体を震わせながらサーシャは叫んだ。その姿は、洗脳を受け実験動物として捕らえられている哀れな被害者のそれとは到底思えなかった。理不尽な横暴に対して憤る、意志と信念を持った一人の人間の姿にしか見えなかった。
そんなサーシャを黙って見ていた少年、いや、ケインも戸惑っていた。自分が聞いた話では、この女の子は悪い科学者に実験動物として酷い扱いを受けている筈だった。だからそんな女の子を助けてあげたいと、助ける手助けをしたいと単純に思ったのだ。それなのに、こうして目の前にするとケインが思っていたのとはまったく違っていたのだ。
これではまるで―――――
ぼろぼろと涙を流し体を震わせるサーシャを見詰め、それから自分達を取り囲むメイトギアをぐるりと見まわしたケインが静かに口を開いた。
「お前達が、悪い科学者に捕まってる女の子がいるって言うから俺はお前達についてきたけど、何だよこれ? どう見たってお前達の方が悪者だろ?」
そう、それが、この現場に立ち会った彼の嘘偽りない正直な印象だった。彼の目には、彼の心には、そういう風にしか見えなかったのだ。
そしてケインは、ゆっくりとサーシャの前に歩み出た。それに気付いて怯えたように自分を見る少女に、この時の彼にできる精一杯の優しい表情で語りかけた。
「ごめんな。お前の友達が怪我したのか。だったら俺もこいつらのことが許せない。お前の家に戻ろう。こいつらの言うことなんて聞かなくていいよ」
『…え……?』
ケインの思いがけない言葉に、タリアP55SIをはじめその場にいた全てのメイトギアの動きが止まった。するとサーシャは少年の目を見て、少年はそんなサーシャに頷いた。
瞬間、サーシャはキッと目に力を込めて、腹の底から声を発する。
「私サーシャが、人間として命令します! 私達を今すぐ開放しなさい!!」
それを受けて少年も声を上げた。
「俺からも命令する! 俺達を解放しろ!!」
その強い意志と明確な意図を持った命令は、人間に従うことこそが存在意義であるタリアP55SIらメイトギアのメインフレームそのものに叩き付けるかのように打ち込まれた。さらにそこに、
「あなた達のしていることは略取誘拐です。直ちに私の娘を返してください」
と、激しくはないが毅然とした声も届いてきた。ハッとその声の方に振り返ったサーシャの顔にみるみる笑顔が戻る。
そこには、コゼット2CVデイジーの姿があったのだった。
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そしてケインは、ゆっくりとサーシャの前に歩み出た。それに気付いて怯えたように自分を見る少女に、この時の彼にできる精一杯の優しい表情で語りかけた。
「ごめんな。お前の友達が怪我したのか。だったら俺もこいつらのことが許せない。お前の家に戻ろう。こいつらの言うことなんて聞かなくていいよ」
『…え……?』
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瞬間、サーシャはキッと目に力を込めて、腹の底から声を発する。
「私サーシャが、人間として命令します! 私達を今すぐ開放しなさい!!」
それを受けて少年も声を上げた。
「俺からも命令する! 俺達を解放しろ!!」
その強い意志と明確な意図を持った命令は、人間に従うことこそが存在意義であるタリアP55SIらメイトギアのメインフレームそのものに叩き付けるかのように打ち込まれた。さらにそこに、
「あなた達のしていることは略取誘拐です。直ちに私の娘を返してください」
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