60 / 126
プレゼンテーション
しおりを挟む
イティラの望みは、単に、
『ウルイとイチャイチャしていたい』
というものではなかった。
『<恋>と言えば、好きな相手とイチャイチャすることが目的で、それができればいい』
みたいに思われがちなものの、イティラの望みはそこじゃなかった。
『ウルイと番いたい!』
というものなのだから。
つまり、
『<伴侶>として共に生きたい』
ということだ。
しかしそうなると、ウルイに、
<生涯を共にするに値する存在>
であることを提示しなければならない。いわば自身と共に暮らすことのメリットについて<プレゼンテーション>しなければいけないということである。
こういう考え方については、『面倒臭い』として敬遠される傾向にあるかもしれないものの、人間関係というものは、フィクションのように<ご都合主義>では構成されていない。現実問題として相手にとっての<利>がなければ選ぶ理由がないのだ。
まあ、ここにはイティラとウルイしかいないので、イティラの方が受け入れさえすれば普通はウルイもほだされてくれると思えるかもしれないが、残念ながらウルイはそういう面ではまぎれもない<朴念仁>だった。
女性に対して幻想も抱いていない代わりに、
<男性としての欲求>
も実は未成熟だったのである。それこそ『思春期を迎えていない』レベルで。
それはおそらく、極度の人間不信が原因だと推察される。『人間と関わりたくない』という欲求の方が強すぎて、
『女性に触れたい』
という欲求を抑え付けてしまっているのだろう。
それなりに医学が進歩した世界であればもはや<一種の精神疾患>と診断されるようなものであったかもしれない。
けれど、当のウルイ自身がそれで何も不都合を感じていなかったので、そのまま放置されてきたということだ。不都合があったところでどうしようもないというのあるが。
いずれにせよ、これはイティラにとっては決して低くないハードルだろうと思われる。
ただ単に『一緒に暮らしていたい』だけであれば今の関係を続ければいいだけなものの、彼女は<その先>に進みたいのだ。
思春期に入るはずの頃にそれを抑圧してしまうほどの強い人間不信に曝されていたことである意味では『歪んでいる』彼に対し、イティラは、
<健康的な女性>
である。この違いが二人に決定的な認識の違いをもたらしていた。
ただ、その一方で、ウルイがそんな人間だったことで、イティラに対して穏やかに接することができていたということもまた事実。間違いなく血の繋がりさえない若い女性が手を伸ばせばすぐに届く場所にいれば、普通の健康的な男性であれば<そういう欲求>を抑えることに苦労しただろうし、場合によっては抑え切れなかったかもしれない。ましてや彼女は確実に<魅力的>なのだ。
けれど幸か不幸か、イティラはそんな危険には曝されなかった。
しかし反面、そこが問題点でもあるのだった。
『ウルイとイチャイチャしていたい』
というものではなかった。
『<恋>と言えば、好きな相手とイチャイチャすることが目的で、それができればいい』
みたいに思われがちなものの、イティラの望みはそこじゃなかった。
『ウルイと番いたい!』
というものなのだから。
つまり、
『<伴侶>として共に生きたい』
ということだ。
しかしそうなると、ウルイに、
<生涯を共にするに値する存在>
であることを提示しなければならない。いわば自身と共に暮らすことのメリットについて<プレゼンテーション>しなければいけないということである。
こういう考え方については、『面倒臭い』として敬遠される傾向にあるかもしれないものの、人間関係というものは、フィクションのように<ご都合主義>では構成されていない。現実問題として相手にとっての<利>がなければ選ぶ理由がないのだ。
まあ、ここにはイティラとウルイしかいないので、イティラの方が受け入れさえすれば普通はウルイもほだされてくれると思えるかもしれないが、残念ながらウルイはそういう面ではまぎれもない<朴念仁>だった。
女性に対して幻想も抱いていない代わりに、
<男性としての欲求>
も実は未成熟だったのである。それこそ『思春期を迎えていない』レベルで。
それはおそらく、極度の人間不信が原因だと推察される。『人間と関わりたくない』という欲求の方が強すぎて、
『女性に触れたい』
という欲求を抑え付けてしまっているのだろう。
それなりに医学が進歩した世界であればもはや<一種の精神疾患>と診断されるようなものであったかもしれない。
けれど、当のウルイ自身がそれで何も不都合を感じていなかったので、そのまま放置されてきたということだ。不都合があったところでどうしようもないというのあるが。
いずれにせよ、これはイティラにとっては決して低くないハードルだろうと思われる。
ただ単に『一緒に暮らしていたい』だけであれば今の関係を続ければいいだけなものの、彼女は<その先>に進みたいのだ。
思春期に入るはずの頃にそれを抑圧してしまうほどの強い人間不信に曝されていたことである意味では『歪んでいる』彼に対し、イティラは、
<健康的な女性>
である。この違いが二人に決定的な認識の違いをもたらしていた。
ただ、その一方で、ウルイがそんな人間だったことで、イティラに対して穏やかに接することができていたということもまた事実。間違いなく血の繋がりさえない若い女性が手を伸ばせばすぐに届く場所にいれば、普通の健康的な男性であれば<そういう欲求>を抑えることに苦労しただろうし、場合によっては抑え切れなかったかもしれない。ましてや彼女は確実に<魅力的>なのだ。
けれど幸か不幸か、イティラはそんな危険には曝されなかった。
しかし反面、そこが問題点でもあるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる