獣人のよろずやさん

京衛武百十

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第四部

怠惰ですね

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『育ってみないと分からない』

まさしくそれです。ハンデがあるからと最初から諦めていてはなるほど何もできないでしょう。ではなぜ、人間ほどの知能もない野生の獣が自然の中で生きていられるのですか? もちろん、

『それに適した能力を持っているから』

というのが大きいと思います。ですが、小さく非力な動物であっても、自然の中で生きていますよ? それはなぜですか? 知能も人間に劣り、肉体の強度も力も人間に劣る。そんな動物でも生きていられるのはなぜでしょう?

結局、自身が持つ能力を最大限活かそうとしているからではないですか?

現在、地球人の社会では、医療技術の発達により、肉体のハンデも脳のハンデも医学的に対処することが可能になりました。先天的なそれであっても、回復するんです。遺伝子疾患でさえ根治も可能です。

ですが、そうなる以前には、『ハンデがある』というだけで本人の可能性を否定し、ただの<弱者>として、

『可哀想』

と称していたこともあったそうですね。私は今、ここでこうして生きているからこそ、その感覚に違和感を禁じえません。かつて、梟人きょうじん山猫人ねこじんに一方的に狩られる存在であった鼠人そじんでさえ、この世界で生きています。一対一で真っ向から戦えばまず勝機は有り得ない。けれど、鼠人そじんはただの<弱者>ではありません。

梟人きょうじん山猫人ねこじんに比べれば非力である』

というだけの話なんです。梟人きょうじん山猫人ねこじんと遭遇しなければ、普通にここの環境でも生きていられた。

なるほど、体はとても小さな鼠人そじんですが、力は並の地球人よりも強かったりもします。だから生きられるというのもあるかもしれない。ですが、それでも他の種族よりは圧倒的なハンデを背負っていたのも事実のはずなんです。

『自分が持っている能力を持っていないから』

というだけで相手を侮り下に見るその感性そのものが、現実を見る能力に乏しいという証拠じゃないでしょうか?

自分が持っている能力を持っていないというだけでその人に価値がないと決め付けるのは、ただの<驕り>だと私は感じるのです。

その人の可能性を勝手に決め付けて、持っているかも知れない能力を伸ばす努力をさせないのは、ただの怠慢ではないのですか?

と、私は伍長から改めて教わった気分です。地球人社会にいた時にも、そう教わったはずなんですが、いつの間にか薄らいでしまっていた。

情けない話です。

震電は、目が見えない。その事実は事実として受け止めて、彼女が持っているかも知れない能力を無視するのは、怠惰ですね。

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