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想いの表し方も人それぞれ
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真猫、日葵、琴羽の三人が一緒に笹蒲池家の母屋に集まるようになったところだというのに、時間の経過というのは残酷なものである。
三月。日葵の卒業が近付いていたのだ。真猫は十二歳だが一年生という扱いなので、当然、卒業はしない。
卒業式に出席するのは六年生と、在校生を代表した五年生だけだった。つまり、日葵は卒業生、琴羽は在校生という形で出席する。
「ま、短い付き合いだったけどさ、せっかくだからちゃんと見送ったげるよ」
琴羽はそう言うが、当の日葵は、
「…?」
とあまりよく分かっていない様子だった。
日葵には、<卒業>というものがいまいち分からないのだ。同じことを淡々と繰り返すのは得意だが、急に状況が変わるとそれに対応できず、その場にとどまってしまうことがあるのが彼女の<特徴>だった。
「こりゃダメだ。卒業式の後も学校に来ちゃうんじゃないの?」
その琴羽の指摘に、玲那は、
「かもしれませんね」
と微笑んだ。
玲那もそれは十分に承知していた。だからその為の準備をしてある。各教員に申し送りをし、もし日葵が学校に来てしまったら両親に連絡するということを。
卒業式当日。六年生と五年生以外の生徒は本来ならば自宅学習なのだが、真猫を含む学習が非常に遅れていた一部の生徒は、それぞれ教師がつき各々の教室で授業を行っていた。
すると、卒業式が終わった後、冠呂日葵が教室に戻ってきて、「真猫ちゃん」と声を掛けてくる。卒業式を終えた後だというのにその様子は普段とまるで変りなかった。
やはり日葵には<別れ>というものがあまり理解できていないらしい。中学に進学するのも、教室が変わるくらいにしか認識していないようだった。だから悲しんだり感傷的になったりもしない。中学に行っても、気の合う相手を見付ければまた同じように一緒にいたりするのだろう。
別れを悲しまないことを薄情だと考える向きもあるかも知れない。だが、目の前の事象をどう捉えるかはそれぞれの問題だ。日葵は自分が置かれた状況をただ受け止めるだけなのだ。よほど自分にとって不快なものでない限りは。例え教室が別々になっても、ここに来ればまた会えると日葵は思っているだけだった。
そして、案の定、翌日も日葵は、いつものように教室に来ていたのだった。
三月。日葵の卒業が近付いていたのだ。真猫は十二歳だが一年生という扱いなので、当然、卒業はしない。
卒業式に出席するのは六年生と、在校生を代表した五年生だけだった。つまり、日葵は卒業生、琴羽は在校生という形で出席する。
「ま、短い付き合いだったけどさ、せっかくだからちゃんと見送ったげるよ」
琴羽はそう言うが、当の日葵は、
「…?」
とあまりよく分かっていない様子だった。
日葵には、<卒業>というものがいまいち分からないのだ。同じことを淡々と繰り返すのは得意だが、急に状況が変わるとそれに対応できず、その場にとどまってしまうことがあるのが彼女の<特徴>だった。
「こりゃダメだ。卒業式の後も学校に来ちゃうんじゃないの?」
その琴羽の指摘に、玲那は、
「かもしれませんね」
と微笑んだ。
玲那もそれは十分に承知していた。だからその為の準備をしてある。各教員に申し送りをし、もし日葵が学校に来てしまったら両親に連絡するということを。
卒業式当日。六年生と五年生以外の生徒は本来ならば自宅学習なのだが、真猫を含む学習が非常に遅れていた一部の生徒は、それぞれ教師がつき各々の教室で授業を行っていた。
すると、卒業式が終わった後、冠呂日葵が教室に戻ってきて、「真猫ちゃん」と声を掛けてくる。卒業式を終えた後だというのにその様子は普段とまるで変りなかった。
やはり日葵には<別れ>というものがあまり理解できていないらしい。中学に進学するのも、教室が変わるくらいにしか認識していないようだった。だから悲しんだり感傷的になったりもしない。中学に行っても、気の合う相手を見付ければまた同じように一緒にいたりするのだろう。
別れを悲しまないことを薄情だと考える向きもあるかも知れない。だが、目の前の事象をどう捉えるかはそれぞれの問題だ。日葵は自分が置かれた状況をただ受け止めるだけなのだ。よほど自分にとって不快なものでない限りは。例え教室が別々になっても、ここに来ればまた会えると日葵は思っているだけだった。
そして、案の定、翌日も日葵は、いつものように教室に来ていたのだった。
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