Gの愉悦

京衛武百十

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ルーズ

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で、狭い床下を探索していた私は、カラカラに乾ききって、硬い部分だけが残った<残骸>のようなゴキブリ達の死骸が散乱しているところに出くわした。

おそらく、あの毒餌を食べたことにより死滅したコロニーだろう。それを微生物が分解し、比較的分解に時間がかかる硬い部分が残った状態という感じだな。

毒餌を食って死んだ奴や、毒餌を食った奴がした糞を他のゴキブリが食うことによって連鎖的に死んでいくのを狙ったのがあのトラップだ。

だからまたあの魅惑的な匂いが微かにしてるのだが、さすがに元のやつよりは匂いが薄まっていることもあってか、今回は何とか体が制御できた。これがもっと強い匂いだとまた同じことの繰り返しになった可能性はある。

なのでもう、あのトラップには近付かないようにしよう。

私の意志の力など関係なくこの体の方が勝手に求めてしまうのだ。

別に私が我慢できない訳じゃないぞ。その辺りは間違えるな。絶対にだ…!



などとそれはさて置いて、床下を通り先へと進む。ゴキブリの触角には空気の流れが感知できていて、他に出入り口になる隙間などがあることを窺わせた。ただの換気の可能性もあるが、その空気の流れの中にいろいろと匂いが混ざっているのだ。

それらの匂いの中には、ある種の大型の機械が大量に電気を消費する際に出る独特の匂いもあった。大電流が絶縁体の被膜の中を通る時に、その被膜がごく僅かに焼かれることによって生じる匂いだ。

そして、音。

電気が流れると、殆どの機器はごく僅かだが振動する。静かな部屋で蛍光灯などを点けていると、微かに『ブーン』といった感じの音がしていることに気付く者もいるだろう。それだ。

全館制御の空調などの可能性もあるが、それならは送気する為のファンの音もしているはずだし、実際、その音も聞こえては来るんだが、どうやら別の場所らしい。

で、まずは音の近い方から探ってみることにする。

空気の流れを辿って音のする方へと行くと、大量の太いコード類が集まっている場所に辿り着いた。おそらくこの屋敷全館に電気を分配している設備だろう。

そのコードを床下に通す為の穴に、隙間があった。形状にずれがあるところを見ると、何度か配線をやり直しているうちにしっかりと隙間を塞がなくなっていった感じだろうか。

この辺りにやはり人間らしいルーズさが垣間見られるな。

この屋敷が最初に作られた時にはそれこそ完璧な気密性を目指したのだろうが、それを維持している間に徐々にほころびができていったと。

だからこれが作られてからそれなりの期間が経っていることも、それから推測されるという訳だ。

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