Gの愉悦

京衛武百十

文字の大きさ
17 / 92

食料の確保

しおりを挟む
コードと床の隙間を通り抜け部屋に入り込むと、そこはやはり変電および配電用のシステムのようだった。

しかも設備そのものが熱を発しているので、暖房は行われていないようだが若干温かい。

このゴキブリの体には都合がよかった。

が、他にも都合がよかった奴がいるようだ。

この部屋に入った瞬間に気配と匂いを察知していたのだがどうやら<先客>がいるらしい。

私が現れた途端にあちらも察知したのか、明らかに接近してくる。

明かりは点けられていないので、計器類のパイロットランプくらいしか光はないものの、私には見える。

ゴキブリに比べると明らかに巨大な影。

いや、ゴキブリから見れば、まぎれもなく恐ろしい<怪物>だな。

ネズミだ。大きさ的にはせいぜいハツカネズミ程度ではあるようだが、それでもゴキブリから見れば十分に大きく、そして脅威である。

なにしろ天敵の一つだし。

さすがに相手が悪い。ここは逃げるが勝ちだ。

私は全速でその場を離脱し、機械の隙間に逃げ込んだ。

まったく、こうして逃げ回らなければいけないというのは本当に業腹極まりない。

ゴキブリは通れてもネズミは鼻先しか入らない隙間にもぐりこんだことで、奴は鼻先を捻じ込むもののおよそどうにもならない。

「ジィッ! ジィッッ!!」

という忌々し気な鳴き声だけが届いてくる。

とはいえ、変に侮って油断するとまたロクでもないことになりそうなので、からかってやりたくなるのを我慢して、私はさらに奥へと進んだ。

そのまま隙間を移動して、機械の上部に出る。そこにはネズミの毛や糞などが落ちていた。奴らもここを通るのだろう。しかも機械が熱を発していて温かい。

取り敢えずネズミの気配は近くにはないので、毛や糞を片っ端からもりもりと食った。

人間であればいくら自分がゴキブリになっていてもネズミの糞など食えんだろうが、私には関係ない。

糞などに含まれる菌などは人間には有害でもゴキブリには関係ないということが、私には感覚的に分かる。

人間の思う不潔や清潔など、私にはまったくどうでもいいことなのだ。

肉体の持つ感覚に影響を受けるから人間体でいる時にはもちろん基本的に避けるがな。

とにかくせっかくのチャンスなのだ。今のうちにしっかりとエネルギー補給をさせてもらうとしよう。加えて、今後の食料の確保だ。

ネズミの糞を頭で押して、機械の隙間へと落とす。こうしておけば、今後も安全にエネルギー補給ができる。

もちろん他の場所でも食料探しはするが、念の為だ。

とにかくこれで少しは余裕もできただろう。

そして私は、再び探索へと戻った。取り敢えずはこの部屋をさらに探索する。

なにしろこの部屋は情報の宝庫だ。どういうシステムで動いている機械なのかを見るだけでもかなりのことが分かるからな。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

鬼の兵法伝承者、異世界に転世せしむる

書仙凡人
ファンタジー
俺の名は桜木小次郎。 鬼一法眼を祖とする鬼一兵法の令和の伝承者。 だがある時、なぜか突然死してしまったのだ。 その時、自称神様の変なペンギンが現れて、ファンタジー世界の転生を持ちかけられた。 俺はヤケになって転生受け入れたら、とんでもない素性の奴にログインする事になったのである。 ログイン先は滅亡した国の王子で、従者に毒盛られて殺されたばかり。 なにこれ? クーリングオフねぇのかよ!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

処理中です...