Gの愉悦

京衛武百十

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合理的な選別方法

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<隔離区域>に暮らしている連中のことについては、そもそも寒すぎて私自身が立ち入ることができず、直接確かめることはできない。

ただ、通気口に入れば音は拾えるから、ある程度は推測できる。

今日、拾えた音は、どうやら子供だけの部屋。おそらく親を亡くした子供らが押し込められてる場所だろう。

何人かの子供の声は聞こえるが、どいつもこいつも声に覇気がない。

ドアが開けられる気配に、おそらくワゴンを運び込む音。そこに置かれたものを子供らが手にする気配。

ビニール袋に包まれた何かだ。となれば、まあ、あのエネルギーバーだな。

量だけは十分にあるようだから飢えはしないだろう。とは言え、毎食あれのようだからな。<食の楽しみ>などおよそ頭にもよぎらない、

<死なないための食事>

だ。

だから『まるでお通夜』どころじゃなく、ただただ黙々とブロック状のエネルギーバーを齧り、咀嚼する音だけが届いてくる。

こういう時、フィクションであればいかに味気ない食事であるかという演出のために、

『もう飽きた』

『もっと美味いものが食べたい』

みたいなことを言わせるのだろうが、ここの奴らはもうすでにそういう不満を口にする段階すら過ぎているようだ。

完全に<家畜>としての境遇が染みついているんだろう。本当に一言もなく食っている。

取り合いが起こっているような騒々しさもないから、それで量が確保されていることは窺える。

だが、本当に、

『死んでいないだけ』

という生。

しかしその中で、一人だけ、違う気配を出している者がいる。

食事を終えたのか、テキストのようなものを開く気配。そして、字を書いているような気配。

しかもそれは、鉛筆で紙に書いているのとは明らかに違う。

あれだ、幼児向けの玩具おもちゃにある、

<磁石式お絵かきボード>

とかいうやつに書いている時の音だった。

なるほど。資源を無駄にできないから、書けば無くなってしまう鉛筆や紙ではなく、何度でも繰り返して使えるようにということだな。

だが、教師のような者が教えているような気配はない。つまり、やる気のある奴だけが自主的に勉強をしているということか。

そうして知識を身に付けられた子供は仕事にありつき、この隔離区画から出る感じだろう。

教育を与えるのではなく、今の環境から抜け出すために努力する奴にはその機会も与えられていると。

やる気があるのかないのか分からん奴らに一律で教育を施すのではなく、やる気のある奴が自主的に学ぶ。

ふふん。余裕のない状況ではなるほど合理的な選別方法かもしれんな。

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