Gの愉悦

京衛武百十

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殺処分部隊

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で、せっかくなので<殺処分部隊>の連中の様子も窺ってみた。

こいつらも、フィクションにありがちな、

<強権を笠に着た冷酷かつ残虐な人殺し共>

という印象はまるでなく、うん、さっきも言った通りどちらかと言うとロボットのような冷淡な奴らだった。

自身の役目を、個人の感情や主観を交えて捉えるのではなく、ただただ、

『そうしなければならないからそうする』

だけという連中だな。

一部の隊員は家族もいるようだが、ほとんどは独身で、見た目も判で押したように、『無駄がない』という意味の痩躯に短髪といういでたちだった。

自室にいても、娯楽と言えばひたすら<落ちゲー>を何時間もしているか、分解整備のトレーニング用のモックアップ銃(構造は実銃と同じだが、実弾を発射できるほどの強度はない、一種の模型)を延々と分解したり組み立てたりしているか、読書をしているか、音楽を聴いているか、精密な模型を組み立てているかという、およそ健全な精神状態の人間とは思えない、

『同じ行動を延々と続ける』

というものだ。

まあ、こんな閉鎖空間で人を殺すだけの仕事などをしていれば、神経もまともじゃいられないだろうが。



そしてこの日も、待機中の<殺処分部隊>に任務が命じられた。

隔離区画で、テロ計画が練られているというものだった。

まだ前回の任務から二週間と経っていないというのに、懲りん奴らだな。もっとも、<犯罪者>というのはえてしてそういうものだが。何故か、

『自分だけは上手くいく』

と思い込んでしまうらしい。だから非合理的な行為に走り、周囲を巻き込みながら自滅する。

命令が下された<殺処分部隊>は、ボディアーマーをはじめとした装備一式を身に着け、顔全体を覆うヘルメットを被り、

「ヨシ! ヨシ!」

二人一組で向かい合い、互いに指差しで装備を確認。

「総員八名、オールグリーン!」

小隊長らしき奴が声を上げると、部隊長らしき奴が、

「状況開始!」

と、淡々と命じた。

すると、量産品の人形の如く見分けのつかない姿となった八人が通路を駆け抜け、管理権限をもつ者にしか操作できないエレベーターに乗り込み、隔離区画へと上がっていく。

ちなみに、エレベーターの中には操作用のパネルもない、ただの大きなロッカーといった風情の作りだ。指揮所で操作しているわけだ。さらに外部にさえ、作動しているのかどうか分かる表示はされない。僅かな作動音だけが、動いていることを告げるのみだな。

そして隔離区画へと到着。扉が開くと同時に弾かれるように駆け出し、通路を歩いていた隔離区画の連中を無言で突き飛ばしながら進行。目的の部屋の扉を開け放ち、中を確認することさえなく自動小銃の引き金を引いたのだった。

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