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命が溢れてないと
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土はあるが空はない、どう足掻いても虚構でしかない限られた空間ではあるが、ちっぽけな昆虫でしかない今の私にとってはなかなかに広大ではある。しかも、バッタにテントウムシにチョウにミミズと、なかなかに充実した顔ぶれも揃っている。
人間にとってはあまりありがたくないかもしれないが、ダニやナメクジもいた。
牛共の糞を分解し土へと変える微生物共も豊富なようだ。
小さな小さな箱庭でしかなくても、それでもまずまずの命が満ちている。
やはり楽しいな。命に触れるのは。
私は命を弄ぶ<邪神>ではあるが、それゆえにこうして命が溢れてないと退屈してしまうのだ。
適度に湿気を含んだ牧草の間を、子供のように駆けてしまう。ここならそれこそ、寿命が尽きるまで過ごすにはちょうどいいかもしれん。
が、そうなると今度は、アシダカグモとは別の<天敵>もいる。
そしては私は、ふと立ち止まった時にそいつにロックオンされたらしい。
三角の頭を持ち、巨大なカマを振りかざす、昆虫界の<猛獣>。
カマキリだ。
ふふふ、アシダカグモとの鬼ごっこにも飽きてきたことだしな。丁度いい気分転換だ。
風に揺れる草のように体を左右に揺らしながら、そいつは距離とタイミングを計っているようだった。
こちらが気付いていることを奴も察しているだろう。すでに奴の間合いだから、普通ならほぼほぼ詰んだ状態だろうな。
しかし私はその程度ではやられてやらんぞ。
カマの攻撃を紙一重で躱し、位置を取り直す。
本来なら間違いなく捕えられていた攻撃だった。カマキリの方も、確実に必殺の一撃のつもりだっただろう。
『あれ?』
とばかりに首をかしげたのが少々滑稽だ。
まあ、実際には、視界の確度を僅かにずらすことで距離を測り直しているのだろうが。
だが、残念だったな。距離を測り損ねたのではない。お前より私の動きの方が単純に早いというだけだ。
再び体を揺らし始めた奴の動きに合わせ、私も同じように体を揺らす。
別に意味はない。言ってしまえばからかっているだけだな。
それに、基本的にカマキリは動かないものは獲物と認識できないからな。こうやって動いてやって獲物であることをアピールするという意味も、ないわけではないが。
そして、十分に距離を確認したのだろう。弾けるようにして奴の体が動いた。
しかし、私は奴が動き始めてから動いても躱せるのだ。
するりとカマの可動範囲から外れ、カマが閉じる寸前に触覚も抜いてみせる。
うむ。いい調子だ。恐らく今がこの体のピークだろう。つまり、ここを過ぎれば後は衰えていくだけだ。
『そうだな……カウントダウンが始まったということだ……』
カマキリを動きで圧倒しつつも、私はそんなことを考えてしまったのだった。
人間にとってはあまりありがたくないかもしれないが、ダニやナメクジもいた。
牛共の糞を分解し土へと変える微生物共も豊富なようだ。
小さな小さな箱庭でしかなくても、それでもまずまずの命が満ちている。
やはり楽しいな。命に触れるのは。
私は命を弄ぶ<邪神>ではあるが、それゆえにこうして命が溢れてないと退屈してしまうのだ。
適度に湿気を含んだ牧草の間を、子供のように駆けてしまう。ここならそれこそ、寿命が尽きるまで過ごすにはちょうどいいかもしれん。
が、そうなると今度は、アシダカグモとは別の<天敵>もいる。
そしては私は、ふと立ち止まった時にそいつにロックオンされたらしい。
三角の頭を持ち、巨大なカマを振りかざす、昆虫界の<猛獣>。
カマキリだ。
ふふふ、アシダカグモとの鬼ごっこにも飽きてきたことだしな。丁度いい気分転換だ。
風に揺れる草のように体を左右に揺らしながら、そいつは距離とタイミングを計っているようだった。
こちらが気付いていることを奴も察しているだろう。すでに奴の間合いだから、普通ならほぼほぼ詰んだ状態だろうな。
しかし私はその程度ではやられてやらんぞ。
カマの攻撃を紙一重で躱し、位置を取り直す。
本来なら間違いなく捕えられていた攻撃だった。カマキリの方も、確実に必殺の一撃のつもりだっただろう。
『あれ?』
とばかりに首をかしげたのが少々滑稽だ。
まあ、実際には、視界の確度を僅かにずらすことで距離を測り直しているのだろうが。
だが、残念だったな。距離を測り損ねたのではない。お前より私の動きの方が単純に早いというだけだ。
再び体を揺らし始めた奴の動きに合わせ、私も同じように体を揺らす。
別に意味はない。言ってしまえばからかっているだけだな。
それに、基本的にカマキリは動かないものは獲物と認識できないからな。こうやって動いてやって獲物であることをアピールするという意味も、ないわけではないが。
そして、十分に距離を確認したのだろう。弾けるようにして奴の体が動いた。
しかし、私は奴が動き始めてから動いても躱せるのだ。
するりとカマの可動範囲から外れ、カマが閉じる寸前に触覚も抜いてみせる。
うむ。いい調子だ。恐らく今がこの体のピークだろう。つまり、ここを過ぎれば後は衰えていくだけだ。
『そうだな……カウントダウンが始まったということだ……』
カマキリを動きで圧倒しつつも、私はそんなことを考えてしまったのだった。
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