62 / 92
スケジュール
しおりを挟む
中年女の髪にしがみつき、私を運ばせる。
ここの連中は、かつてほどはゴキブリに過剰反応しなくなっている者も多いが、やはりこの中年女のようなのもいるというわけだ。
ゴキブリが自分の髪に掴まっていると知れば、この女はどんな反応をするだろう?
それも興味があるが、今は後回しとする。
もっとも、あの洋館に戻れば私は再びここに来ることもないだろう。それを惜しいと思いつつも、今一番の欲求が優先だ。
愉悦こそが我が本質。それをなくしては私は私ではなくなってしまうからな。
女が倉庫と思しき部屋に飛び込んだのと同時に私は離れ、通風孔へと跳び付く。
「よし、ここは大丈夫そうだ……!」
残留した殺虫剤の濃度が十分に低いことを確認。ダクト内を進む。しかし、上層へと向かうエレベーターの手前まで来て、またも濃度が高まってきた。
「ええい! あと少しだというのに……!」
などとぼやいていても始まらん。
私はダクトから出て、通路を走った。そこに再び、人間の姿。
「こいつ!」
今度はアフリカ系と思しき男だった。男は私を見付けるなり、手にしていたファイルを叩きつけてくる。
『おいおい、それで潰したら後が困らんか?』
とは思うものの、潰されてはやらんがな。潰されるギリギリで躱し、男の股下を走り抜け、通風孔へと飛び込んだ。
この通風孔は、エレベーターシャフト内にも繋がっている。
残留した殺虫剤の濃度はかなり高かったが、後もう少しだ。このまま突っ切る。
殺虫成分がビリビリと体に突き刺さるような感覚もありつつ、私は走った。
辛うじて、体が動かなくなる前にエレベーターシャフト内に到達。
シャフト内を上へと向かう。
途中、下からカゴが上がってきたので、その上に飛び乗った。
楽ちん楽ちん。
そうして、あの、他のシェルターの点検業務に出る連中が居る階へと到達。再び通風孔から廊下へと移動。
さすがにここは、最下層の連中ほどは虫のことも気にしていないようで、殺虫剤も問題なかった。
とは言え、ここにたどり着いても、例の洋館へと点検に向かう奴らを見付け出さなければならない、しかも、毎日点検に行ってるわけではない。スケジュールを確認せねばならんだろう。
そこで私は、まず、あのアジア系の男を捜した。
ダクトを通って奴らが事務作業をするための部屋へと侵入する。
だが、この時は見付けられなかった。残っている者共の会話から察するに、今まさに点検に行っている最中のようだな。
ならば戻ってくるのを待つしかあるまい。しかしただ待っているだけなのもアレなので、先にスケジュールを確かめるか。
ちょうど部屋に残ってる奴らがスケジュールを確認しているところだったので、天井から覗き見たのだった。
ここの連中は、かつてほどはゴキブリに過剰反応しなくなっている者も多いが、やはりこの中年女のようなのもいるというわけだ。
ゴキブリが自分の髪に掴まっていると知れば、この女はどんな反応をするだろう?
それも興味があるが、今は後回しとする。
もっとも、あの洋館に戻れば私は再びここに来ることもないだろう。それを惜しいと思いつつも、今一番の欲求が優先だ。
愉悦こそが我が本質。それをなくしては私は私ではなくなってしまうからな。
女が倉庫と思しき部屋に飛び込んだのと同時に私は離れ、通風孔へと跳び付く。
「よし、ここは大丈夫そうだ……!」
残留した殺虫剤の濃度が十分に低いことを確認。ダクト内を進む。しかし、上層へと向かうエレベーターの手前まで来て、またも濃度が高まってきた。
「ええい! あと少しだというのに……!」
などとぼやいていても始まらん。
私はダクトから出て、通路を走った。そこに再び、人間の姿。
「こいつ!」
今度はアフリカ系と思しき男だった。男は私を見付けるなり、手にしていたファイルを叩きつけてくる。
『おいおい、それで潰したら後が困らんか?』
とは思うものの、潰されてはやらんがな。潰されるギリギリで躱し、男の股下を走り抜け、通風孔へと飛び込んだ。
この通風孔は、エレベーターシャフト内にも繋がっている。
残留した殺虫剤の濃度はかなり高かったが、後もう少しだ。このまま突っ切る。
殺虫成分がビリビリと体に突き刺さるような感覚もありつつ、私は走った。
辛うじて、体が動かなくなる前にエレベーターシャフト内に到達。
シャフト内を上へと向かう。
途中、下からカゴが上がってきたので、その上に飛び乗った。
楽ちん楽ちん。
そうして、あの、他のシェルターの点検業務に出る連中が居る階へと到達。再び通風孔から廊下へと移動。
さすがにここは、最下層の連中ほどは虫のことも気にしていないようで、殺虫剤も問題なかった。
とは言え、ここにたどり着いても、例の洋館へと点検に向かう奴らを見付け出さなければならない、しかも、毎日点検に行ってるわけではない。スケジュールを確認せねばならんだろう。
そこで私は、まず、あのアジア系の男を捜した。
ダクトを通って奴らが事務作業をするための部屋へと侵入する。
だが、この時は見付けられなかった。残っている者共の会話から察するに、今まさに点検に行っている最中のようだな。
ならば戻ってくるのを待つしかあるまい。しかしただ待っているだけなのもアレなので、先にスケジュールを確かめるか。
ちょうど部屋に残ってる奴らがスケジュールを確認しているところだったので、天井から覗き見たのだった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
鬼の兵法伝承者、異世界に転世せしむる
書仙凡人
ファンタジー
俺の名は桜木小次郎。
鬼一法眼を祖とする鬼一兵法の令和の伝承者。
だがある時、なぜか突然死してしまったのだ。
その時、自称神様の変なペンギンが現れて、ファンタジー世界の転生を持ちかけられた。
俺はヤケになって転生受け入れたら、とんでもない素性の奴にログインする事になったのである。
ログイン先は滅亡した国の王子で、従者に毒盛られて殺されたばかり。
なにこれ? クーリングオフねぇのかよ!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる