Gの愉悦

京衛武百十

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愛想もクソもない

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で、結論から言うと、今回はあの洋館ではなかった。似たような施設ではあったものの、こちらはいかにもなシェルター、いや、どちらかと言えば<トーチカ>か?な印象のある、愛想もクソもない建造物だった。

外見はさすがに確かめられなかったが、こちらは一家族数人が過ごしている気配はあるものの、中の構造が実用一辺倒でな。この辺りは、最初に建造した者の好みやシェルターに対する思想のようなものが反映されているのかもしれん。

それで言うとあの洋館は、シェルターであっても<潤い>のようなものが必要だと考えていたのかもな。

いずれにせよ、目的の洋館でなかったことは残念だ。とにかく出直し出直し。



だが、あの地下施設への帰り道、

「……遭難者か……」

アジア系の男が呟いて、雪上車を止めた。

やはり外が見える位置には出ていけんので、やり取りだけを聞いておく。

「あれ、隔離区画の奴らっスよね」

「ああ…たぶんな」

「あそこよりマシなところを求めて脱走して、こんなところで氷の像になってちゃ世話ねーな」

「そうだな……だが、こいつらにとっては、それでも、ってことだったんだろう……」

その会話を聞いて、私は、あの地下施設の監視カメラ映像で見た、ぼろ布を纏った親子連れらしき人影が外へと歩み出ていく光景を思い出した。

見付かった遺体があの親子連れかどうかは分からんがな。

来る時には角度が悪くて見えなかったものが、帰り道で反対方向から見たから気付いたのだろうな。とは言え、収容するでもなく男は再び雪上車を走らせ、地下施設へと戻っていった。

それほど珍しいものでもなかったということだろう。

しかも、危険を冒してまで遺体を回収するという発想もないのは、やはりそれだけの余裕もないということでもある。

もっとも、回収したところで例の破砕機シュレッダーに掛けられてエネルギーバーになるだけだしな。

氷漬けのまま放っておかれるのとどちらがマシか? という程度の話でしかない。

いずれにせよ、私としては今回は空振りで、明日に期待ということでこの時は終わった。



帰ってからロッカールームで男が防寒装備を外した瞬間に私はロッカーの隙間に隠れ、明日を待つ。

焦れるような気分ではあるものの、だからといって急いてもどうにもならん。次の機会を待つだけだ。

ロッカールームに落ちている人間共の髪や剥がれ落ちた皮膚片などをとにかく食う。しかも、誰かここで食事をしたのか、クッキーの破片のようなものも落ちていて、私はそれをモリモリと食った。

食った後には糞をし、代謝によるリフレッシュを計る。

ピークを過ぎつつあるからこそ、よりよい状態を維持しなければな。

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