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私と家族

はじめまして私の家族

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再び目を開けるとまた体が自由に動かない。
なんか最近自分の体なのに自由に動かないことが多すぎるなぁと思いつつ、何とか自分の手を見てみると、ぷくぷくしてて可愛らしい…。
ん?え、?転生って途中で前世思い出すとかじゃなくて赤ちゃんからなの??
と思いながら、誰かいないかなと考えて声を出してみた。

「あー?ぶー」
うわぁぁ。誰かに来てほしいのに呼ぶことも出来ない…困ったなぁ……歯痒いなぁ…と思っていたところ

「んー?リリア起きたの?おはよう」

優しく声をかけてくれる女の人が近くに来た。
色白でブロンドの長い髪にエメラルドのような瞳。すごく美人だなぁと思っていると近くに来てすぐ抱き上げられた。

日本生まれ日本育ちの私からするとブロンドの髪がとても珍しく綺麗で見とれてるうちに、気づけばその女性の髪に手を伸ばしていた。

「あぁーあ」

綺麗と言ったつもりなのに、当たり前だけど全然言葉にならない。
やっぱり歯痒い!!!
もう精神は大人なのに、動けない、喋れない、人にお世話して貰わないと何も出来ない状態がすごくムズムズする。
これは、この先心配すぎる。などと色々と考えていたら

「リリアどうしたの?リリアは母様の髪がお気に入りなのかな?」

優しく微笑んで頬を撫でられた。

そこでようやくこの美人な人が転生した自分の母親なんだと気づいた。
この美人な人の娘ならなかなか自分も美人になれそうかな?なんてちょっぴり嬉しくなっていると

「お母様?リリアが起きたのですか?」

可愛らしい少年の声が聞こえた。
お母様ってことは私の兄なのかな?

「ええ、今さっき起きたのよ。ふふっ ノアは本当にリリアの事が好きね。さっき起きたばっかりなのに、すぐ気づいて部屋に来るなんて」

お母様が笑いながらその、ノアと呼ばれた少年を手招きして近くに呼んだ。

「はい!リリアは僕の宝物ですから!!リリアはよく寝るからあまり起きてる時に一緒にいれないので…何となくもうすぐ起きるかな?って思って来てみたんです!」

「そう。じゃあノア、リリアのこと抱っこする?」

「いいんですか?したいです!!」

ノアがそう答えるとお母様は私に髪を手から話すように言いノアにそっと渡した。

「お母様抱き方大丈夫ですか?」

「大丈夫よ しっかり首を支えてあげてね」

会話してるのを聞きながら、ノアの顔をみた。
綺麗なお母様見てたから納得だけど、すごい美形。
天使みたいだなぁって思いながら、自分のことを抱き上げてる、シルバーパープルの髪にお母様ゆずりのエメラルドのような瞳の美しい顔を見つめていると、なんの反応もない私に不安になってきたのかだんだん綺麗な顔が困惑気味になってきていた。
それがなんだか可愛らしくて、おかしくなってしまいつい笑ってしまったが、笑顔になったことに安心したのかノアお兄様も笑顔になって話しかけてきた。

「リリア!ノアお兄様ですよ!リリアはかわいいね!リリアは僕が守ってあげるからね!」

キラキラと眩しい笑顔で、自分も4歳か5歳くらいだろうに妹である私の事を守ると言っているのが可愛く見えて笑ってしまうと、それをみたノアお兄様はさらに嬉しそうな顔をして私の事を眺めていた。

それから少しして、お兄様の腕からお母様の腕に移された時、また扉が開いて誰かが入ってきた。

「リリア起きてるのか。いやぁ タイミング良かったね。寝顔だけでもみて癒されてから戻ろうと思ってたんだけど」

優しい声が聞こえ、お母様とお兄様が一瞬驚いた様な顔をした。

「あなた、仕事中じゃなかったんですの?仕事放ったらかしてきたなんて言ったら怒りますよ??」

笑顔なのに冷たい空気を出すお母様

「お父様!リリアが可愛いからってお仕事後回しにしたら怒られるんですよ!!僕だってリリアに会うために勉強頑張ったんですからね!」

腰に手を当てて頬を膨らましながら言うお兄様

「いやいやいや!仕事をサボってる訳じゃなくてね、午前中に午後の分も少しやっておけたから少し時間が出来たんだ。だから休憩しながらリリアに会って癒されようと思ったんだよ」

2人に言われ慌てて弁明する、紫色の髪に赤色の瞳のお父様。
お父様は、おそらくノアの顔はお父様似なんだなと思う優しい顔と雰囲気のふわふわしたタイプの男性だった。

「リリアー お父様のとこにおいでー」

と言いながらお母様から私を受け取り、ふにゃっとした笑顔になる。

「やっぱりリリアは髪と目の色以外はオリヴィア似かな?オリヴィアに似たなら綺麗になるぞー」

なるほど。お母様似なのか。やっぱり最初の予想通りなかなかの美人に育つんじゃないか?と将来が楽しみになってきたところで、まだ赤ちゃんだからか眠くなってきた。
でも、願い通り仲が良く、幸せいっぱいな家族に囲まれているのが嬉しくてまだ寝たくないと思い頑張って目を開けていようとしたけれど、眠そうにしているのに気づいたお父様に

「眠いのかい?ベッドに戻ろうか。ゆっくりおやすみ」

ベッドに戻らないで、まだ幸せを感じていたいと思った私は力も強くない小さな手でお父様の服をギュッと握った。

「大丈夫だよ リリアが寝るまでみんな傍にいるから…ね?ゆっくりおやすみ 起きたらまたお母様にお兄様、お父様が抱っこしてあげるから」

優しく言い聞かせるように言いながら、服を掴んだ手を離して、ベッドにそっと寝かせられた。
寝かせられた私は我慢も出来ず優しい家族の微笑みを見て幸せを感じながら眠りについた。
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