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第48話 魔王城
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紆余曲折があったものの、町の魔物達はジャックのことを信用してくれた。
今度はジャックが魔物達を信用する番である。
「うぉぉぉぉぉ!!!」
ジャックの悲鳴が魔大陸にこだまする。
ジャックは魔物に掴まって、生まれて初めて空を飛んでいた。
もちろん魔物が手を放せばそこでお仕舞ということになるが、そこは信用するしかなかった。
何故なら魔物は空を飛ぶことが出来るので、魔大陸には道が無い。また魔王の城は外敵の侵入を阻む為に崖の上に建っているので、ジャックがその足で向かおうとすると何日、いや何カ月かかるか分からなかった。
なので、大人の魔物が連れて行ってくれることになったのだ。
「ジャックー 空からの眺めって気持ちいいでしょー」
ピクシーはジャックが景色を眺める余裕が無いことを分かっていてからかっている。
普通に飛んでいるだけならジャックでもすぐ慣れて景色を楽しむことが出来ただろう。しかし、いかんせん魔物一体で持ち上げるにはジャックは重すぎた。
風にあおられるたびにフラフラしているし、たまに落ちそうになっている。ジャックがそのたびに悲鳴を上げるのは仕方のないことだった。
魔王城に着く頃にはジャックは一生分の悲鳴を上げきったかのように声は枯れ、疲れ切っていた。それを見てピクシーは更にジャックをからかおうとしていたようだが、流石にこの後に控えている事の重要性を考慮して喉だけはヒーリングで癒しくれた。
それにしても、お城というものはどこでも同じような造りになっているものらしい。魔物の城も、屈強な者が警備している大きな扉をいくつも通らないと王様の元へは辿り着けない様になっている。
人間のお城の時もそうだったが、この長々とした廊下を歩くのは慣れていないという事もあって、妙に落ち着かない。その不安はジャックの頭の中に余計な考えを巡らせてしまう……
「交渉が失敗したらその場で戦闘になってしまうんだろうか?」
「そういえば、町にいた魔物は自分に交渉の権限が無いと言ってたが……そういう意味では俺も人間を代表してる訳じゃないんだよな……」
「そもそも自分に下された王命は魔物達の駆逐だった。今から自分がしようとしている事は王命に背く行為なんだろうな……」
そんなことを考えていると、魔王との交渉は成功しても失敗しても自分の未来は暗いんじゃないか? と、そんな考えがジャックの中でどんどん増幅して、ジャックを弱気にさせていった。
魔王城の長い廊下もそろそろ終わりそうだ。しかしまだジャックは不安のどん底にいた。
目の前には恐らく最後になるであろう大きな扉が、今まさに開こうとしている。
ジャックは腹をくくらなければならなかった……しかし、ここまで来ているのにまだ開き直れない。
気だけが焦る……
「大丈夫だよ。ジャックのやろうとしてること、ボクは正しいと思うよ」
ピクシーはこれまで聞いたことが無いような優しい、慈愛に満ちた声でジャックを励ました。
普段ふざけたことばかり言ってる者がたま良いことを言うと説得力を増す様に、ピクシーのこの言葉はジャックの心に深く突き刺さった。
「よし。行こう!」
ジャックはピクシーを見て軽く頷くと、最後の扉が開くのを静かに待った。
扉の隙間からは魔王の姿が見えていた。
今度はジャックが魔物達を信用する番である。
「うぉぉぉぉぉ!!!」
ジャックの悲鳴が魔大陸にこだまする。
ジャックは魔物に掴まって、生まれて初めて空を飛んでいた。
もちろん魔物が手を放せばそこでお仕舞ということになるが、そこは信用するしかなかった。
何故なら魔物は空を飛ぶことが出来るので、魔大陸には道が無い。また魔王の城は外敵の侵入を阻む為に崖の上に建っているので、ジャックがその足で向かおうとすると何日、いや何カ月かかるか分からなかった。
なので、大人の魔物が連れて行ってくれることになったのだ。
「ジャックー 空からの眺めって気持ちいいでしょー」
ピクシーはジャックが景色を眺める余裕が無いことを分かっていてからかっている。
普通に飛んでいるだけならジャックでもすぐ慣れて景色を楽しむことが出来ただろう。しかし、いかんせん魔物一体で持ち上げるにはジャックは重すぎた。
風にあおられるたびにフラフラしているし、たまに落ちそうになっている。ジャックがそのたびに悲鳴を上げるのは仕方のないことだった。
魔王城に着く頃にはジャックは一生分の悲鳴を上げきったかのように声は枯れ、疲れ切っていた。それを見てピクシーは更にジャックをからかおうとしていたようだが、流石にこの後に控えている事の重要性を考慮して喉だけはヒーリングで癒しくれた。
それにしても、お城というものはどこでも同じような造りになっているものらしい。魔物の城も、屈強な者が警備している大きな扉をいくつも通らないと王様の元へは辿り着けない様になっている。
人間のお城の時もそうだったが、この長々とした廊下を歩くのは慣れていないという事もあって、妙に落ち着かない。その不安はジャックの頭の中に余計な考えを巡らせてしまう……
「交渉が失敗したらその場で戦闘になってしまうんだろうか?」
「そういえば、町にいた魔物は自分に交渉の権限が無いと言ってたが……そういう意味では俺も人間を代表してる訳じゃないんだよな……」
「そもそも自分に下された王命は魔物達の駆逐だった。今から自分がしようとしている事は王命に背く行為なんだろうな……」
そんなことを考えていると、魔王との交渉は成功しても失敗しても自分の未来は暗いんじゃないか? と、そんな考えがジャックの中でどんどん増幅して、ジャックを弱気にさせていった。
魔王城の長い廊下もそろそろ終わりそうだ。しかしまだジャックは不安のどん底にいた。
目の前には恐らく最後になるであろう大きな扉が、今まさに開こうとしている。
ジャックは腹をくくらなければならなかった……しかし、ここまで来ているのにまだ開き直れない。
気だけが焦る……
「大丈夫だよ。ジャックのやろうとしてること、ボクは正しいと思うよ」
ピクシーはこれまで聞いたことが無いような優しい、慈愛に満ちた声でジャックを励ました。
普段ふざけたことばかり言ってる者がたま良いことを言うと説得力を増す様に、ピクシーのこの言葉はジャックの心に深く突き刺さった。
「よし。行こう!」
ジャックはピクシーを見て軽く頷くと、最後の扉が開くのを静かに待った。
扉の隙間からは魔王の姿が見えていた。
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