34 / 156
不満
しおりを挟む
すべての仕事をルーカスを通すことにしてから、ルーカスはさらに多忙を極めた。
そのことに対して義母には苦言を呈されたが流されることはなかった。
仕事の合間には義母からの雑事やフォティアの買い物のつき合いをするように厳命されたりと時間はいくらあっても足りない。
それでも、先日来家令も使用人も今までよりルーカスの命に従ってくれるようになったため助かっていた。
とりあえずの様子見なのか今のところ義母が大人しくしているのが気になるが、ルーカスは仕事をできる限り前倒して時間を作ろうとしている。
なんとしてでもアリシアが領地に戻るまでにカリス邸を訪ねたい。
アリシアが発つまであと3日と迫っていた。
『コンコン』
執務室にノックの音が響き、ルーカスは読み込んでいた書類から顔を上げた。
「どうぞ」
許可の声にフォティアが入って来る。
「アクセサリーショップに行きたいの。一緒してくださるかしら」
「馬車は好きに使ってくれていい。護衛はつけよう」
けんもほろろに断るルーカスに、フォティアは不満げな顔を見せた。
「お義母様から、買い物にはなるべくルーカス様と一緒に行くように言われているの。どんな護衛よりもあなたの方が強いから」
少なからず媚を売るような声に、ルーカスは鼻白んだ。
「そんなに心配なら店の者に屋敷まで来て貰えばいい」
「お店に行って品物を見るのが楽しいのよ。持って来てもらうとなると物が限られてしまうし」
店まで行くのが大事なんだと主張するフォティアに、自分の仕事を邪魔するのが目的では?という考えが持ち上がるが、ルーカスはその疑いを一旦頭の隅に追いやった。
こう言い出したフォティアは希望が叶えられるまでしつこい。
さっさと用事を済ませてしまった方が結果的に早く解放されるのがわかっていた。
フォティアはルーカスが自分に魅力を感じているだろうという態度をとってくるが、ルーカスとしては勘違いも甚だしい思いだ。
昔の淡い恋心も消え失せるほど、今のルーカスにとってフォティアは厄介な相手だった。
「わかった。半時だけつき合おう。それ以上は無理だ」
「では、さっそく今から出かけましょう」
ルーカスの言葉にフォティアは嬉しそうに言い出す。
義母から厳命されていなければ。
フォティアがニコラオスの子を身籠もっていなければ。
こんな願いなど突っぱねられただろうか。
腹の底に溜まる何かが、今までなるべく感じないようにしてきた『不満』だということにルーカスも気づき始めていた。
そのことに対して義母には苦言を呈されたが流されることはなかった。
仕事の合間には義母からの雑事やフォティアの買い物のつき合いをするように厳命されたりと時間はいくらあっても足りない。
それでも、先日来家令も使用人も今までよりルーカスの命に従ってくれるようになったため助かっていた。
とりあえずの様子見なのか今のところ義母が大人しくしているのが気になるが、ルーカスは仕事をできる限り前倒して時間を作ろうとしている。
なんとしてでもアリシアが領地に戻るまでにカリス邸を訪ねたい。
アリシアが発つまであと3日と迫っていた。
『コンコン』
執務室にノックの音が響き、ルーカスは読み込んでいた書類から顔を上げた。
「どうぞ」
許可の声にフォティアが入って来る。
「アクセサリーショップに行きたいの。一緒してくださるかしら」
「馬車は好きに使ってくれていい。護衛はつけよう」
けんもほろろに断るルーカスに、フォティアは不満げな顔を見せた。
「お義母様から、買い物にはなるべくルーカス様と一緒に行くように言われているの。どんな護衛よりもあなたの方が強いから」
少なからず媚を売るような声に、ルーカスは鼻白んだ。
「そんなに心配なら店の者に屋敷まで来て貰えばいい」
「お店に行って品物を見るのが楽しいのよ。持って来てもらうとなると物が限られてしまうし」
店まで行くのが大事なんだと主張するフォティアに、自分の仕事を邪魔するのが目的では?という考えが持ち上がるが、ルーカスはその疑いを一旦頭の隅に追いやった。
こう言い出したフォティアは希望が叶えられるまでしつこい。
さっさと用事を済ませてしまった方が結果的に早く解放されるのがわかっていた。
フォティアはルーカスが自分に魅力を感じているだろうという態度をとってくるが、ルーカスとしては勘違いも甚だしい思いだ。
昔の淡い恋心も消え失せるほど、今のルーカスにとってフォティアは厄介な相手だった。
「わかった。半時だけつき合おう。それ以上は無理だ」
「では、さっそく今から出かけましょう」
ルーカスの言葉にフォティアは嬉しそうに言い出す。
義母から厳命されていなければ。
フォティアがニコラオスの子を身籠もっていなければ。
こんな願いなど突っぱねられただろうか。
腹の底に溜まる何かが、今までなるべく感じないようにしてきた『不満』だということにルーカスも気づき始めていた。
202
あなたにおすすめの小説
もう演じなくて結構です
梨丸
恋愛
侯爵令嬢セリーヌは最愛の婚約者が自分のことを愛していないことに気づく。
愛しの婚約者様、もう婚約者を演じなくて結構です。
11/5HOTランキング入りしました。ありがとうございます。
感想などいただけると、嬉しいです。
11/14 完結いたしました。
11/16 完結小説ランキング総合8位、恋愛部門4位ありがとうございます。
ローザリンデの第二の人生
梨丸
恋愛
伯爵令嬢、ローザリンデの夫はいつも彼女より仕事を優先させ、彼女を無碍にしている。
彼には今はもういない想い人がいた。
私と結婚したことにいい思いをしていないことは知っていた。
けれど、私の命が懸かっていた時でさえも、彼の精神は変わらなかった。
あなたが愛してくれないのなら、私は勝手に幸せになります。
吹っ切れたローザリンデは自分自身の幸せのために動くことにした。
※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。)
1/10 HOTランキング1位、小説、恋愛3位ありがとうございます。
離婚した彼女は死ぬことにした
はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
【完結】愛してました、たぶん
たろ
恋愛
「愛してる」
「わたしも貴方を愛しているわ」
・・・・・
「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」
「いつまで待っていればいいの?」
二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。
木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。
抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。
夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。
そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。
大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。
「愛してる」
「わたしも貴方を愛しているわ」
・・・・・
「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」
「いつまで待っていればいいの?」
二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。
木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。
抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。
夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。
そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。
大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。
裏切られ殺されたわたし。生まれ変わったわたしは今度こそ幸せになりたい。
たろ
恋愛
大好きな貴方はわたしを裏切り、そして殺されました。
次の人生では幸せになりたい。
前世を思い出したわたしには嫌悪しかない。もう貴方の愛はいらないから!!
自分が王妃だったこと。どんなに国王を愛していたか思い出すと胸が苦しくなる。でももう前世のことは忘れる。
そして元彼のことも。
現代と夢の中の前世の話が進行していきます。
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
あなたに嘘を一つ、つきました
小蝶
恋愛
ユカリナは夫ディランと政略結婚して5年がたつ。まだまだ戦乱の世にあるこの国の騎士である夫は、今日も戦地で命をかけて戦っているはずだった。彼が戦地に赴いて3年。まだ戦争は終わっていないが、勝利と言う戦況が見えてきたと噂される頃、夫は帰って来た。隣に可愛らしい女性をつれて。そして私には何も告げぬまま、3日後には結婚式を挙げた。第2夫人となったシェリーを寵愛する夫。だから、私は愛するあなたに嘘を一つ、つきました…
最後の方にしか主人公目線がない迷作となりました。読みづらかったらご指摘ください。今さらどうにもなりませんが、努力します(`・ω・́)ゞ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる