45 / 156
幕間ー苛立ちー
しおりを挟む
フォティアの人生において思うようにいかないことは数多くあったけれど、ニコラオスと出会って以降は穏やかな日々を積み重ねられていた。
しかしその穏やかさはニコラオスがもたらしてくれたものだったからなのか。
最近は苛立つことが増えている。
「今日もご一緒していただけませんの?」
ルーカスの執務室で、フォティアはいらいらしながら声を上げた。
以前はなんだかんだ言いつつもどこへ行くにもつき添ってくれていたルーカスが、先日から全くというほどつき合ってくれなくなっている。
「お義母様からもお願いされているでしょう?」
「義母上からの仕事も全て引き継いだから時間がない。買い物には侍女と護衛と行ってくれ」
「そんなに大変なら今まで通りお義母様に手伝っていただけばよろしいのに」
フィティアの言葉に、ルーカスは冷めた眼差しを向ける。
「フォティア嬢はいつから公爵家の仕事に口を出す権利を得られたのだろうか」
辛辣な物言いにフィティアの頬にカッと血がのぼった。
「率直な意見に過ぎませんわ」
「あなたがどう思おうと関係ない。これ以上仕事に口を出すのは止めていただこう」
そう言うと、ルーカスは家令に命じてフォティアを執務室から追い出した。
「…なっ!」
パタリと目の前でドアを閉められて、フォティアは怒りにわなわなと震える。
おかしい。
あってはならない状態になっている。
このままでは、ルーカスがフォティアに魅かれてアリシアと婚約破棄をしフォティアと婚約をするという筋書きが狂ってしまう。
先日までは確かな手応えがあったのに。
何がいけないのか。
以前フォティアが考えていたほど簡単にルーカスが心変わりしなかったのは、心外ではあったが予想内だった。
それでも、一緒にいる時間を増やしていけば好かれる自信があったのに。
噂好きの貴族の住まう王都では上手くやらなければ揶揄されて弾かれるのはこちらになってしまう。
だからこそ、時間をかけてフォティアとルーカスが一緒にいる姿を当たり前にし、二人の仲を思えばアリシアとの婚約破棄も致し方ないと思ってもらわなければならなかった。
そうしなければ、その後のフォティアの社交界の立場に響いてしまう。
貴族間の婚約破棄は無いわけではないが、やはり基本的には外聞の良いものではないためそれなりの根回しが必要だった。
「このままではダメだわ」
状況を打破するには何か他の方法を考えなければならない。
ひとまず義母に相談するために、フォティアは身をひるがえした。
しかしその穏やかさはニコラオスがもたらしてくれたものだったからなのか。
最近は苛立つことが増えている。
「今日もご一緒していただけませんの?」
ルーカスの執務室で、フォティアはいらいらしながら声を上げた。
以前はなんだかんだ言いつつもどこへ行くにもつき添ってくれていたルーカスが、先日から全くというほどつき合ってくれなくなっている。
「お義母様からもお願いされているでしょう?」
「義母上からの仕事も全て引き継いだから時間がない。買い物には侍女と護衛と行ってくれ」
「そんなに大変なら今まで通りお義母様に手伝っていただけばよろしいのに」
フィティアの言葉に、ルーカスは冷めた眼差しを向ける。
「フォティア嬢はいつから公爵家の仕事に口を出す権利を得られたのだろうか」
辛辣な物言いにフィティアの頬にカッと血がのぼった。
「率直な意見に過ぎませんわ」
「あなたがどう思おうと関係ない。これ以上仕事に口を出すのは止めていただこう」
そう言うと、ルーカスは家令に命じてフォティアを執務室から追い出した。
「…なっ!」
パタリと目の前でドアを閉められて、フォティアは怒りにわなわなと震える。
おかしい。
あってはならない状態になっている。
このままでは、ルーカスがフォティアに魅かれてアリシアと婚約破棄をしフォティアと婚約をするという筋書きが狂ってしまう。
先日までは確かな手応えがあったのに。
何がいけないのか。
以前フォティアが考えていたほど簡単にルーカスが心変わりしなかったのは、心外ではあったが予想内だった。
それでも、一緒にいる時間を増やしていけば好かれる自信があったのに。
噂好きの貴族の住まう王都では上手くやらなければ揶揄されて弾かれるのはこちらになってしまう。
だからこそ、時間をかけてフォティアとルーカスが一緒にいる姿を当たり前にし、二人の仲を思えばアリシアとの婚約破棄も致し方ないと思ってもらわなければならなかった。
そうしなければ、その後のフォティアの社交界の立場に響いてしまう。
貴族間の婚約破棄は無いわけではないが、やはり基本的には外聞の良いものではないためそれなりの根回しが必要だった。
「このままではダメだわ」
状況を打破するには何か他の方法を考えなければならない。
ひとまず義母に相談するために、フォティアは身をひるがえした。
260
あなたにおすすめの小説
もう演じなくて結構です
梨丸
恋愛
侯爵令嬢セリーヌは最愛の婚約者が自分のことを愛していないことに気づく。
愛しの婚約者様、もう婚約者を演じなくて結構です。
11/5HOTランキング入りしました。ありがとうございます。
感想などいただけると、嬉しいです。
11/14 完結いたしました。
11/16 完結小説ランキング総合8位、恋愛部門4位ありがとうございます。
離婚した彼女は死ぬことにした
はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
ローザリンデの第二の人生
梨丸
恋愛
伯爵令嬢、ローザリンデの夫はいつも彼女より仕事を優先させ、彼女を無碍にしている。
彼には今はもういない想い人がいた。
私と結婚したことにいい思いをしていないことは知っていた。
けれど、私の命が懸かっていた時でさえも、彼の精神は変わらなかった。
あなたが愛してくれないのなら、私は勝手に幸せになります。
吹っ切れたローザリンデは自分自身の幸せのために動くことにした。
※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。)
1/10 HOTランキング1位、小説、恋愛3位ありがとうございます。
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
【完結】愛してました、たぶん
たろ
恋愛
「愛してる」
「わたしも貴方を愛しているわ」
・・・・・
「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」
「いつまで待っていればいいの?」
二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。
木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。
抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。
夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。
そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。
大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。
「愛してる」
「わたしも貴方を愛しているわ」
・・・・・
「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」
「いつまで待っていればいいの?」
二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。
木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。
抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。
夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。
そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。
大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。
【完結】好きです!あと何回言ったらわたしを好きになってくれますか?
たろ
恋愛
「貴方が好きです」
会うと必ず伝えるわたしの気持ち。
「ごめん、無理」
必ず返って来る答え。
わかっているんだけど、どうしても伝えたい。
だって時間がないの。
タイムリミットまであと数日。
わたしが彼に会えるのは。
両片思いのお話です。
たぶん5話前後で終わると思います。
裏切られ殺されたわたし。生まれ変わったわたしは今度こそ幸せになりたい。
たろ
恋愛
大好きな貴方はわたしを裏切り、そして殺されました。
次の人生では幸せになりたい。
前世を思い出したわたしには嫌悪しかない。もう貴方の愛はいらないから!!
自分が王妃だったこと。どんなに国王を愛していたか思い出すと胸が苦しくなる。でももう前世のことは忘れる。
そして元彼のことも。
現代と夢の中の前世の話が進行していきます。
あなたに嘘を一つ、つきました
小蝶
恋愛
ユカリナは夫ディランと政略結婚して5年がたつ。まだまだ戦乱の世にあるこの国の騎士である夫は、今日も戦地で命をかけて戦っているはずだった。彼が戦地に赴いて3年。まだ戦争は終わっていないが、勝利と言う戦況が見えてきたと噂される頃、夫は帰って来た。隣に可愛らしい女性をつれて。そして私には何も告げぬまま、3日後には結婚式を挙げた。第2夫人となったシェリーを寵愛する夫。だから、私は愛するあなたに嘘を一つ、つきました…
最後の方にしか主人公目線がない迷作となりました。読みづらかったらご指摘ください。今さらどうにもなりませんが、努力します(`・ω・́)ゞ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる