【受賞&本編完結】たとえあなたに選ばれなくても【改訂中】

神宮寺あおい@1/23先視の王女の謀発売

文字の大きさ
123 / 156

番外編 その後の二人<アリシアの考え>

しおりを挟む
「私がニキアス皇太子殿下のお心を推察するなど恐れ多いこととは存じますが…殿下はディミトラ皇太子妃殿下を大変大事に思っておられると思います」

アリシアの言葉をディミトラは黙って聞いている。

「妃殿下は、殿下の以前のご婚約者様とご自分が正反対の性格だということを気にされてみえるのでしょうか?」
「それは…あるかもしれないな。昔からニキアスは可憐な令嬢を好んだ。私とは正反対だ」

それでも、好みと実際に好きになる人が違うタイプというのはよくあることだ。
もしかするとニキアスはディミトラがそんなことを気にしているとは思ってもいないのかもしれない。

「私はこの世の中に普遍なものはないと思います。人と人との関係は良くも悪くも変化するもの」

一息入れて、アリシアは言葉を続ける。

「妃殿下と殿下はこの5年を夫婦として共に過ごされております。僭越ながら、お二方のご様子を拝見させていただく限り、お子様がお産まれになればさらに良いご関係になるのではないかと考えます」

「つまり、ディミトラ様のご心配は杞憂に終わるのではないかと思っております」
そこまで言って、アリシアは言葉を切った。

どれだけ言葉を重ねようともディミトラにその気がなければアリシアの言葉は届かないだろう。
それでも、アリシアが見る限りディミトラもどこかでわかっているのではないかと思うのだ。

ただ、心に巣食う不安はできるだけ吐き出してしまう方がいい。

「本当はその不安をニキアス皇太子殿下にそのままお伝えになるのが一番よろしいかとは存じますが」
「ニキアスは呆れないだろうか?」
「もしかすると、そんなことに悩んでいたのかと意外に思われるかもしれませんね」

小さく微笑んでアリシアは言った。
男と女では考え方も捉え方も違う。
たとえどれだけディミトラが男性的な言動や行動をとっていたとしても、根本が違うのだ。

特に今は精神的にも不安定になる時期。

「妃殿下、不安を感じたままではお腹のお子さまによろしくないと思いますわ」
アリシアの言葉にディミトラが反応する。

「そうか。妊娠中の母親の気持ちが腹の子に影響すると聞くな」
「そうです。なるべくストレスなく、ゆったりとしたお気持ちで過ごされるのがよろしいかと」

「アリシア夫人と話していて頭の中が整理された気がするよ」
今日最初に会った時よりもディミトラの顔色が幾分良くなっているように感じられてアリシアはほっとした。

「今度は子どもと共に来るが良い」
「よろしいのですか?」
「ああ。楽しみにしている」

こうして、ディミトラとアリシアの初めてのお茶会は幕を閉じた。
今後自分が何度もこの部屋に通うことになるなど、この時点ではアリシアは知る由もない。
しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

もう演じなくて結構です

梨丸
恋愛
侯爵令嬢セリーヌは最愛の婚約者が自分のことを愛していないことに気づく。 愛しの婚約者様、もう婚約者を演じなくて結構です。 11/5HOTランキング入りしました。ありがとうございます。   感想などいただけると、嬉しいです。 11/14 完結いたしました。 11/16 完結小説ランキング総合8位、恋愛部門4位ありがとうございます。

ローザリンデの第二の人生

梨丸
恋愛
伯爵令嬢、ローザリンデの夫はいつも彼女より仕事を優先させ、彼女を無碍にしている。 彼には今はもういない想い人がいた。 私と結婚したことにいい思いをしていないことは知っていた。 けれど、私の命が懸かっていた時でさえも、彼の精神は変わらなかった。 あなたが愛してくれないのなら、私は勝手に幸せになります。 吹っ切れたローザリンデは自分自身の幸せのために動くことにした。 ※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。) 1/10 HOTランキング1位、小説、恋愛3位ありがとうございます。

結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。

真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。 親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。 そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。 (しかも私にだけ!!) 社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。 最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。 (((こんな仕打ち、あんまりよーー!!))) 旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。

離婚した彼女は死ぬことにした

はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。 もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。 今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、 「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」 返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。 それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。 神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。 大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。

【完結】愛してました、たぶん   

たろ
恋愛
「愛してる」 「わたしも貴方を愛しているわ」 ・・・・・ 「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」 「いつまで待っていればいいの?」 二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。 木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。  抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。 夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。 そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。 大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。 「愛してる」 「わたしも貴方を愛しているわ」 ・・・・・ 「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」 「いつまで待っていればいいの?」 二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。 木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。  抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。 夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。 そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。 大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。

あなたに嘘を一つ、つきました

小蝶
恋愛
 ユカリナは夫ディランと政略結婚して5年がたつ。まだまだ戦乱の世にあるこの国の騎士である夫は、今日も戦地で命をかけて戦っているはずだった。彼が戦地に赴いて3年。まだ戦争は終わっていないが、勝利と言う戦況が見えてきたと噂される頃、夫は帰って来た。隣に可愛らしい女性をつれて。そして私には何も告げぬまま、3日後には結婚式を挙げた。第2夫人となったシェリーを寵愛する夫。だから、私は愛するあなたに嘘を一つ、つきました…  最後の方にしか主人公目線がない迷作となりました。読みづらかったらご指摘ください。今さらどうにもなりませんが、努力します(`・ω・́)ゞ

ご安心を、2度とその手を求める事はありません

ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・ それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望

裏切られ殺されたわたし。生まれ変わったわたしは今度こそ幸せになりたい。

たろ
恋愛
大好きな貴方はわたしを裏切り、そして殺されました。 次の人生では幸せになりたい。 前世を思い出したわたしには嫌悪しかない。もう貴方の愛はいらないから!! 自分が王妃だったこと。どんなに国王を愛していたか思い出すと胸が苦しくなる。でももう前世のことは忘れる。 そして元彼のことも。 現代と夢の中の前世の話が進行していきます。

処理中です...