【受賞&本編完結】たとえあなたに選ばれなくても【改訂中】

神宮寺あおい@1/23先視の王女の謀発売

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番外編 テリオスのつぶやき<7>

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 二週間もするとミリヤは屋敷に馴染んだ。
 ばあやとの分担も決まっているのか、迷いなく仕事をこなしてくれている。
 何事もテキパキと進めていくミリヤに対して、じいやもばあやも良い人が来てくれて良かったと言っていた。

 もちろん僕もだ。

 何よりも僕にとってはミリヤが話してくれる外の世界の話が楽しくて。
 最近では毎日のようにミリヤに話をねだっている。

 ただ、じいやもばあやも僕が必要以上に外への興味を持つことをあまり良く思っていない。
 それはきっと、どれだけ外の話を聞いたとしても僕が実際に外に出ることができないからだろう。

 それにしてもなぜ僕は外へ出ることを許されていないのか。
 
 例えば、ものすごく病弱で外に出たら悪化したり倒れたりしちゃうとか。
 そんな理由があればわかるんだけど。

 自分自身のことながら僕は僕の置かれている状況をしっかりと理解していないのかもしれない。

 そんな疑問を持ってしまったのは、ミリヤの存在だけでなく僕が成長しつつあるからなんだと思う。

 何回か。
 最近何回か理由をじいやに聞こうと思ったことがある。
 でも聞けなかった。
 それは触れてはいけないパンドラの箱のようで。
 僕は無意識に避けていたのだと思う。

 そうしてまた少しの時間をやり過ごしたんだけど、結局子どもなんてものは興味のあることを忘れることなんてできないんだ。

 だからその日。

「もしよろしければテリオス様も一緒にお買い物に出かけますか?」

 そうミリヤに誘われた時にとっさに断れなかった。

「でも、屋敷から出ることはダメだって言われてるんだ」
「なぜですか?」

 僕の返事にミリヤが心底不思議そうに言うから。
 『本当、なんでなんだろう?』
 その疑問が僕の頭から離れなくなった。

「では、ほんの少しの間だけ。こっそり出かけるのはどうでしょう?」

 いたずらっぽくミリヤが言うから僕もついつい少しならいいかなという気持ちに傾く。
 本当は黙って屋敷を出ることなんて許されないってわかっていた。
 ましてやじいやとばあやが僕がいなくなっていることに気づいたら、ものすごく心配をかけてしまう。

 そのことは十分にわかっていたけれど。

 なぜかその時は僕の冒険心が全然収まってくれなくて。

 少しくらいならいいかな?
 心配させないくらいの時間だけ。
 ちょっと行ってすぐに帰ってくればいいよね?
 ミリヤも一緒なんだし、心配するようなことはないんじゃない?

 そうやっていくつもの言い訳が僕の心を埋め尽くしていく。

 多くの誘惑はこうやって心に住み着くのかもしれない。

 そう思ったのは後になってのこと。

 そしてとうとう、僕は外への誘惑に抗えなくなったのだった。
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