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「ポーン(兵士)」

「SPAWN」3

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「さ・ら・に…スペシャルゲストで~す!」
彼女は、時間を操り、未来から1人の者を呼び出した。
それは、神西暦546年にいたはずの攻雲こううんだった。
攻雲は、コウモリの翼で風を操り、ゆっくりと着地した。同時に彼女が、地面を操りフリードリヒ2世を着地させた。
何故、攻雲がコウモリの力を?
「何故って、先生が設定したことぢゃない。それ以前の歴史を変えたら水の神の力を持たない者の関係性はリセットされるって…むしろ、そこにいる「神西暦シリーズ」のキャラクターがリセットされないのがおかしいぐらい。まあ、主人公補正ってやつなのかしら…」
確かにその通りか…
「まあ、助けた所でその歴史を悲劇に戻すなんて簡単なことだけどね。」
攻雲は、風を操り、目の前に落ちた火の神の羽をフリードリヒ2世の方へと飛ばした。同時に、木の神の逆鱗と水の神の甲羅の欠片を自分の方へと引き寄せていった。
フリードリヒ2世は、すぐさま近くにある火の神の羽と金の神の髪に触れる。
フリードリヒ2世の髪は、金の神のように伸びていき、人間大ながら火の翼も生えた。どこかしら身体つきも女性的になってしいた。
攻雲も、木の神の逆鱗と水の神の甲羅の欠片を吸収し、背中には甲羅を付け、無数の雷を脚に纏った。雷の回復エネルギーからか、攻雲の顔が少し若返って見えた。
五行で木・火・金・水は…
「そうよ。五行で木は鱗、火は羽、金は毛、水は介…土はヒトを現す裸だから、土はアタシなの。」
私の考えとは少し離れた答えに、私は安心していた。
なるほど…おそらく正確に私の考えを読み取っているわけではない。
彼女が読み取れるのは、脳に流れる一部の電気信号のみ…つまりは心の上部の一部分のみ…そこから、長く知る私の考えを汲み取って纏めあげているわけか…凄いことではあるが、これであれば打開策はあるな…
ただ、問題はどうやって倒すかだが…
そんな事を考えるうちに、フリードリヒ2世と攻雲の変化は終わっていた。
「この二人が、アタシのポーン(兵士)…先生さ、何でアタシがフリードリヒ2世に神の存在教えたかわかる?」
あのまま行けば、神対策の準備が済んだ後、各主人公を拾いに行って、守備が万全になるため…
「ブッブー!全然ダメぢゃない!あのさ、それなら、アタシが行けばよくなくなくない?」
確かに…この時間で自由に動けるなら、自分で動けば事足りる。
「ポーン(兵士)と言った時点でわからない?GAME(ゲーム)よ…この世界なんて、アタシにはどうでもいいの…それこそ人間にとっての漫画や小説やゲームとSAME(同じ)なのよ…」
彼女は、私の方を見てニヤリと笑いながら解説を始めた。
「先生をキング(王)、後の主人公をナイト(騎士)として、このルーク(城)を守る籠城ゲーム…ディフェンスゲームと言った方がいいのかな…先生たちが倒されるか倒されないかぐらいの戦力をけしかけてどこかで詰めばゲームオーバー…先生が希望のVANE(翼)となって遂に今、最終決戦なのよ。」
狂ってる。
「ピンポーン!そこは正解!あ、ちなみに、ピンポーンは、ピンポンとポーンをかけてて…」
かなり機嫌がいいのか、いらないボケの解説まで開始した。
「ひど~い!「いらないボケ」ってひどくない?やっぱり、忘れてるんだ。アタシへの恩義を記憶の空白の中に忘れてるからそんな事言えるのよ~」
ひどいと言いながら、顔は怒っていない。だからこそ、昔から何を考えているかが読めない。
「先生さぁ、鬼火となって消えるところを、私が力を与えて助けたんだよ?先生さ、2027年に堤防から川に落ちたときに死んだんだよ。まあ、今いるんだし、死にかけたと言った方がいいのかな…」
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