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クトゥルフ神話TRPGセッション切り抜き集
二人用 男2 「兄弟の絆」
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登場人物
伊野崎 竜也 男 23 自衛隊
明るく気さくな性格。あらゆる不幸を呼び込み自衛隊仲間には密かに『疫病神の化身』と恐れられるちょっとした有名人。
とある登山に参加してとんでもない化け物にあったり、なんだか親友がいなくなって大変な目にあったりといろんな経験を積んでいる。
不運を招くことは本人は気づいていない。鈍感男である。
伊野崎 俊太郎 男 20 航空自衛隊
のんびりで内気な性格。竜也の弟。生き別れの弟だが今では連絡を取り合っている。行動力があって気さく、人望もあって実力もある兄を心底慕っている。、いつか兄の手助けがしたいと、同じ仕事を目指して奮闘中
【あらすじ】
とある事件の少し後、弟の俊太郎に兄からの電話。何だろうと電話をとると、何やらいつも元気な兄の様子がおかしい。
事情を探り、元気付ける兄弟の絆瓦解見える、そんな1ページ
【以下台本】
竜也と俊太郎の会話【通話】
竜也「もしもし?シュンか?」
俊太郎「兄さん、おはよう」
竜也「おう。久しぶりだなぁ。元気にしてたか?」
俊太郎「元気だよ、兄さんは?」
竜也「まぁ、ボチボチだな」
俊太郎「ボチボチ?兄さんにしては珍しいね、何かあったの?」
竜也「、、、まぁ、色々とな」
俊太郎「大丈夫?僕が力になるよ?兄さんのためなら、僕何でもやるからさ、遠慮なく言ってよ」
竜也「ありがとな。でもまぁ、大丈夫だろ」
俊太郎「ほんとに?兄さんがそう言うときは、何かあるときなんだよ?気付いてる?」
竜也「え、あー」
俊太郎「兄さん?僕に隠し事はできないの、わかってるよね?」
竜也「わかったわかった。全くお前は本当にすごいな。俺のことなら何でもわかるんじゃないのか?」
俊太郎「当たり前でしょ?兄さんの弟だよ?」
竜也「そうだったなw」
俊太郎「で、何があったの?」
竜也「んー、どう説明したものかな。仕事でさ、へましちまって」
俊太郎「え?それって、、」
竜也「特殊任務でさ、極秘で救助任務にあたってたんだ。すげえ小さい子供が俺のところに来て、行方不明になってるよう救助者の手紙を俺に差し出したんだ」
俊太郎「ご、極秘?まって兄さん、それ僕に話してもいいことなの?」
竜也「まぁもう随分前のことだし、任務自体は終わってるからな。箝口令ももう敷かれてないようなもんだし、大丈夫だろ」
俊太郎「んーまぁ僕が黙ってればいいのかな?わかった。続けて?」
竜也「ああ。それで、その子供が持ってきた手紙を辿って救助者の捜索に当たったんだが、流れでその子供も助けなきゃいけない状況になってな?」
俊太郎「うん」
竜也「よう救助者の捜索は成功して、発見できた上に助けることもできたんだが、その子供がな、、、」
俊太郎「、、、子供が?」
竜也「助けるか、見捨てるか、の選択を迫られたんだ」
俊太郎「え、それは、子供を見捨てるか、助けるかって選択を、兄さんが迫られたってこと?」
竜也「そう言う、ことになるな」
俊太郎「、、、兄さんは助けようとしたんでしょ?」
竜也「そうだ。俺は自衛隊だ。そんな二択を迫られて【見捨てる】なんてことは絶対できなかった」
俊太郎「兄さんだもん。どれだけ危なくても、命を張って助けようとするんでしょ?」
竜也「ハハっ、正解だ。さすが弟だよ」
俊太郎「当然。それで?」
竜也「まぁ、助けようとはしたんだよ。でもな、、、」
俊太郎「、、、ヘマをしたってことは、助け、られなかった?」
竜也「、、、」
俊太郎「それで元気がなかったんだ、、、」
竜也「命を、助けられなかった経験は当然ある。その度に後悔する。、もっと、できることがあったんじゃないかって」
俊太郎「うん。わからなくはないよ。僕も経験はあるからね。でもね。兄さん」
竜也「ん?」
俊太郎「兄さんの悪い癖は、思い悩みすぎるところだよ」
竜也「思い悩みすぎる?」
俊太郎「そう。そうして後悔することは、僕個人としては悪いことじゃないって思うよ。そう言う、苦しい思いを心に刻めば刻むほど、人は、僕たち自衛隊はより強くなるって信じているからね。でも兄さんの場合は【薬】になるはずのその思いが【刺】になってしまってるんだよ」
竜也「そんなことは、、、」
俊太郎「ないって、断言はできないんじゃないかな?」
竜也「、、、」
俊太郎「ねぇ兄さん。自分を責めすぎないで?僕はその場にいたわけじゃないから、お節介かもしれないけど、それでも僕は言うね」
竜也「お前の言葉をお節介だと思ったことはないから大丈夫だ」
俊太郎「ありがとう兄さん。兄さん、その思いはかかすぎてはいけないものだよ。今までも、僕はずっと思ってた。兄さんは優しすぎるよ。優しすぎて、暖かすぎる。それは兄さんの何よりの長所で、僕はそこが大好きだよ。でも、それが兄さんを苦しめてるなら、僕はその、、、嫌だよ」
竜也「、、、そいつはさ」
俊太郎「、、、」
竜也「そいつは、ただひたすらに羨んでただけなんだ。欲しいものを、ただ欲しいと願っただけだった。手に入りそうなものに、必死に手を伸ばして。ただただ健気で可愛らしい、一人の人間だったんだ。なのに、その欲しいものが手に入りそうだったのに。全てが、そこで終わってしまった。終わらせてしまったんだ。俺が、躊躇したばかりに」
俊太郎「にいさん、、、、」
竜也「俺の、責任なんだ。助けきれなかった。弱い心のままだった俺の。でもそうだな。ここで立ち止まってても仕方ないよな。俺の取り柄はただひたすら前を向くことだけだ」
俊太郎「っ!そうだよ兄さん!兄さんはいつだって前向きで、ただひたすら走ってきたんだ!いろんなものを巻き込んで、いろんな世界と一緒に走り抜けてきたんだよ!それでこそ兄さんなんだから!それでいいんだよ!」
竜也「そうだな、、、、。すまないなシュン。変なところ見せちまって」
俊太郎「何を言ってるの兄さん!むしろ、力になれて嬉しいくらいなのに!謝らないでよ」
竜也「そうだな。さて。そろそろ行くよ。吾作が早く来いってうるさいからな」
俊太郎「うん!気をつけて行ってきてね!」
竜也「あぁ。またな」
俊太郎「うん!」
伊野崎 竜也 男 23 自衛隊
明るく気さくな性格。あらゆる不幸を呼び込み自衛隊仲間には密かに『疫病神の化身』と恐れられるちょっとした有名人。
とある登山に参加してとんでもない化け物にあったり、なんだか親友がいなくなって大変な目にあったりといろんな経験を積んでいる。
不運を招くことは本人は気づいていない。鈍感男である。
伊野崎 俊太郎 男 20 航空自衛隊
のんびりで内気な性格。竜也の弟。生き別れの弟だが今では連絡を取り合っている。行動力があって気さく、人望もあって実力もある兄を心底慕っている。、いつか兄の手助けがしたいと、同じ仕事を目指して奮闘中
【あらすじ】
とある事件の少し後、弟の俊太郎に兄からの電話。何だろうと電話をとると、何やらいつも元気な兄の様子がおかしい。
事情を探り、元気付ける兄弟の絆瓦解見える、そんな1ページ
【以下台本】
竜也と俊太郎の会話【通話】
竜也「もしもし?シュンか?」
俊太郎「兄さん、おはよう」
竜也「おう。久しぶりだなぁ。元気にしてたか?」
俊太郎「元気だよ、兄さんは?」
竜也「まぁ、ボチボチだな」
俊太郎「ボチボチ?兄さんにしては珍しいね、何かあったの?」
竜也「、、、まぁ、色々とな」
俊太郎「大丈夫?僕が力になるよ?兄さんのためなら、僕何でもやるからさ、遠慮なく言ってよ」
竜也「ありがとな。でもまぁ、大丈夫だろ」
俊太郎「ほんとに?兄さんがそう言うときは、何かあるときなんだよ?気付いてる?」
竜也「え、あー」
俊太郎「兄さん?僕に隠し事はできないの、わかってるよね?」
竜也「わかったわかった。全くお前は本当にすごいな。俺のことなら何でもわかるんじゃないのか?」
俊太郎「当たり前でしょ?兄さんの弟だよ?」
竜也「そうだったなw」
俊太郎「で、何があったの?」
竜也「んー、どう説明したものかな。仕事でさ、へましちまって」
俊太郎「え?それって、、」
竜也「特殊任務でさ、極秘で救助任務にあたってたんだ。すげえ小さい子供が俺のところに来て、行方不明になってるよう救助者の手紙を俺に差し出したんだ」
俊太郎「ご、極秘?まって兄さん、それ僕に話してもいいことなの?」
竜也「まぁもう随分前のことだし、任務自体は終わってるからな。箝口令ももう敷かれてないようなもんだし、大丈夫だろ」
俊太郎「んーまぁ僕が黙ってればいいのかな?わかった。続けて?」
竜也「ああ。それで、その子供が持ってきた手紙を辿って救助者の捜索に当たったんだが、流れでその子供も助けなきゃいけない状況になってな?」
俊太郎「うん」
竜也「よう救助者の捜索は成功して、発見できた上に助けることもできたんだが、その子供がな、、、」
俊太郎「、、、子供が?」
竜也「助けるか、見捨てるか、の選択を迫られたんだ」
俊太郎「え、それは、子供を見捨てるか、助けるかって選択を、兄さんが迫られたってこと?」
竜也「そう言う、ことになるな」
俊太郎「、、、兄さんは助けようとしたんでしょ?」
竜也「そうだ。俺は自衛隊だ。そんな二択を迫られて【見捨てる】なんてことは絶対できなかった」
俊太郎「兄さんだもん。どれだけ危なくても、命を張って助けようとするんでしょ?」
竜也「ハハっ、正解だ。さすが弟だよ」
俊太郎「当然。それで?」
竜也「まぁ、助けようとはしたんだよ。でもな、、、」
俊太郎「、、、ヘマをしたってことは、助け、られなかった?」
竜也「、、、」
俊太郎「それで元気がなかったんだ、、、」
竜也「命を、助けられなかった経験は当然ある。その度に後悔する。、もっと、できることがあったんじゃないかって」
俊太郎「うん。わからなくはないよ。僕も経験はあるからね。でもね。兄さん」
竜也「ん?」
俊太郎「兄さんの悪い癖は、思い悩みすぎるところだよ」
竜也「思い悩みすぎる?」
俊太郎「そう。そうして後悔することは、僕個人としては悪いことじゃないって思うよ。そう言う、苦しい思いを心に刻めば刻むほど、人は、僕たち自衛隊はより強くなるって信じているからね。でも兄さんの場合は【薬】になるはずのその思いが【刺】になってしまってるんだよ」
竜也「そんなことは、、、」
俊太郎「ないって、断言はできないんじゃないかな?」
竜也「、、、」
俊太郎「ねぇ兄さん。自分を責めすぎないで?僕はその場にいたわけじゃないから、お節介かもしれないけど、それでも僕は言うね」
竜也「お前の言葉をお節介だと思ったことはないから大丈夫だ」
俊太郎「ありがとう兄さん。兄さん、その思いはかかすぎてはいけないものだよ。今までも、僕はずっと思ってた。兄さんは優しすぎるよ。優しすぎて、暖かすぎる。それは兄さんの何よりの長所で、僕はそこが大好きだよ。でも、それが兄さんを苦しめてるなら、僕はその、、、嫌だよ」
竜也「、、、そいつはさ」
俊太郎「、、、」
竜也「そいつは、ただひたすらに羨んでただけなんだ。欲しいものを、ただ欲しいと願っただけだった。手に入りそうなものに、必死に手を伸ばして。ただただ健気で可愛らしい、一人の人間だったんだ。なのに、その欲しいものが手に入りそうだったのに。全てが、そこで終わってしまった。終わらせてしまったんだ。俺が、躊躇したばかりに」
俊太郎「にいさん、、、、」
竜也「俺の、責任なんだ。助けきれなかった。弱い心のままだった俺の。でもそうだな。ここで立ち止まってても仕方ないよな。俺の取り柄はただひたすら前を向くことだけだ」
俊太郎「っ!そうだよ兄さん!兄さんはいつだって前向きで、ただひたすら走ってきたんだ!いろんなものを巻き込んで、いろんな世界と一緒に走り抜けてきたんだよ!それでこそ兄さんなんだから!それでいいんだよ!」
竜也「そうだな、、、、。すまないなシュン。変なところ見せちまって」
俊太郎「何を言ってるの兄さん!むしろ、力になれて嬉しいくらいなのに!謝らないでよ」
竜也「そうだな。さて。そろそろ行くよ。吾作が早く来いってうるさいからな」
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竜也「あぁ。またな」
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