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第一章 ヴァルキリーの巫女
第九劇 浄化させる天使の花びら
しおりを挟むこれが、天使の剣か。
「この世に生まれし、悪しき魂よ。我が剣の力で聖職になりなさい」
そういい、剣を天高くかがげ、凜(りん)は突進していく。剣からは光が満ちていた。
剣を構え、思いっきり凜は切り込んだ。
「『エンジェルミストヴァイパー』」
ドーン!
この一撃が勝機を決した。
光が満ちあふれていた。
「ぐぁああ、ぐそ、我の生気が、セイキガァ!」
「消えてなくなりなさい。浄化ミスト!」
「ぐぁあぁぁあぁぁ」
これが、ギラドガーラの最期の断末魔となっていた。
キラキラ光るサクラの花びらが舞い、ユミエルの技と同時に、弾けて飛んだ。
その瞬間、切り口が光り、あっというまに、光りの花びらで包まれて、悪魔の姿は消滅した。
もう、この世にギラドガーラの姿はない。
凜たちからは笑みが浮かんだ。悪魔は浄化されたのだ。
「く、ヴァルキリーエンジェルの浄化花びらか、くそ、やむをえん。退散するか」
「あ、消えた」
ルシファーが消えたのをみると、凜は地面にへたれこんだ。
「おばあちゃんだったひとたちがみんな元に戻っていく」
「よくやったな、凜。大手柄だ」
「これが、魔法の国の戦う天使?」
女のコが若返り元の姿に戻っていくのをみると、少しニコリと安心して笑った。
ミカエルが一歩前に出た。
「後は、任せておけ、みんなの記憶から凜の記憶だけを消しておく」
「『記憶消去魔法バニッシュ!』」
ミカエルは記憶を消す魔法を唱えた。ステッキから、一瞬、まばゆい光が出た。
おそらく、その場にいる人の記憶からは凜の今あったできごとの記憶は消えいてるだろう。
何を思ったか、凜はハッとして、少し嘆息めいた。
「賞金はしかたないね、あきらめましょ」
「みんなを救ったことが、なによりの賞金じゃないか」
「あはは、あいかわらず、ミカエルうまいわね。ネコのカッコでいっても説得力なしよ」
そう、モデルになることと、賞金のことを凜は考えていたのだ。
いいながら、凜はミカエルの額を何回も突っついた。ミカエルの顔がのけぞった。
「て、おい、つっつくなって。私は、元は人間なんだぞ」
ミカエルはステッキをふりながら、軽くジャンプしふてくされた顔で怒っていた。
凜はニコリと笑うと後ろをふり向いた。
「記憶も消えたことだし、みんなが目を覚ます前に退散しましょ。って、ねぇ、ミカエル、この変身てどうやって、解除するの?」
「アテナチョーカーがついていれば、『トランスラリガルタマホラルマホラル』と念じるだけだ」
「なるほどね。わかったわ。『トランスラリガルタマホラルマホラル』」
凜の体が光で包まれていく。
光が消えると、元の姿に戻っていた。天使の姿は解かれ、モデル姿になっていた。
「もどった? じゃーん、どう絶世の美女。きれいでしょ」
「あぁ、そうだな」
何回もみて、あきれていたのか、ミカエルの声はかぼそかった。
まったく、といいたそうな顔つきだった。
凜は、次の瞬間、頬をプクッとふくらませて、ビシッとミカエルに指をさした。
「ミカエル、あんまり感心なさそうね。レディに賛辞おくらなきゃ、失礼よ。かわいいといいなさい」
「そうだな、かわいいのじゃないか」
再三、ミカエルはあきれた顔つきだった。
だが、内心はかわいいなと思っているのだが、素直にはいえなかったのだ。
凜はミカエルの言葉をきくと、きびすを返した。
「じゃぁ、ミカエル、うちに帰りましょ」
オーディションは棄権し、賞金はあきらめて、凜たちは会場を後にした。
会場を出て、歩道を歩きながら凜は考えていた。
また、あんな恐ろしい悪魔に襲われるのではないかと。
自分がみんなを守るために戦わねばならないことも。
ミカエルもカバンの中から心配そうにみつめていた。
凜がニコリと笑った。今は心強い味方がいるのだ。
☆☆
第十劇につづく。UP予定。
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