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第23話「紫電の魔女」
しおりを挟む詩音が転生して裏生徒会に入りはや数ヶ月が経った。
裏生徒会のメンバーにも大体会っているだろうと思いきや、まだ会ってない人が居た。
雷の魔女の2年生イクリーサの姉である(妹はいないらしい)。
称号は「紫電の魔女」、面倒見がよく人望も厚いお姉様・・・らしいのだがどんな人だろう。
レオナの話によると今日のお茶会で会えるらしいので、さっそく話しかけてみようと思った詩音であった。
―お茶会当日
「あのお方だから大丈夫だとは思うけど、決闘なんて申し込んじゃダメよ」
「わかってますって」
紫電の魔女の先輩に決闘宣言しない様にレオナに釘を刺された詩音。
あわよくばと考えていただけに少し残念だった。
見慣れない紺色の髪のショートヘアの女性がエリシア達3年生と話している。
彼女が紫電の魔女だろうか。
そう思った詩音はゆっくりともの静かに彼女に近付いた。
第一印象は大事だからである。
そして先に声を掛けて来たのは紫電の魔女その人からだった。
「あら、あなたが噂の地球の魔女さんね?ごきげんよう、紫電の魔女レイナよ」
「ええと、はい、そうです。天道詩音と申します。ごきげんよう、レイナ先輩」
「ごきげんよう、シオンさん」
「聞いてよレイナ。この娘レオナの妹なんだよ」
どうやらこの女性はレイナと言うらしい。
明るくてしっかりしていて、妹のイクリーサとは真逆の性格だ。
そしてエリシアが言わなくてもいい情報を彼女に伝えてしまう。
「へぇ・・・今迄妹を取らなかったのに。意外ね、イクリーサも見習ってくれればいいのに」
「はぁ」
「そうだ、シオンさんは表の生徒会長なんでしょう?どなたかいい娘いないかしら?」
「え!?私が紹介するんですか!?」
突然の申し出に困惑する詩音。
エリシアはやれやれといった感じで助け舟を出す。
「本気に取らなくていいよ。レイナの言う事の8割は冗談だから」
「ふふふ、あなた見かけによらず可愛い顔するのね、シオンさん」
レイナが詩音の顔を見て微笑む。
釣られてか周囲の人々も笑い出す。
しかし馬鹿にされた感じはせず、気持ちのいいユーモアといった感じの笑いだった。
「私の妹で遊ばないで下さいレイナ様」
「あらレオナ、いいじゃないの。一字違いの名前に免じてここは、ね?」
「名前は関係ないでしょう・・・いくわよ、シオン。」
「は、はい!」
「ちょっと待った。ねえ、シオンちゃん、私と決闘しない?」
「え!?」
レイナからの突然の申し出にまたもや困惑する詩音。
というかいつのまにかさん呼びがちゃんに変わっている。
エリシア以上に図々しい人かもしれない(嫌な感じはしないが)と感じた詩音だった。
「イクリーサが負けたと聞いて私も戦いたくなったのよ。駄目?」
「駄目ではないですけど・・・」
むしろ願ったりかなったりである。
しかしレオナは何と言うだろうか。
心配した詩音がレオナの顔を見る。
「先輩からの申し出じゃあしかたないわね。引き受けなさい」
「はい、お姉様!」
こうして紫電の魔女レイナとの決闘が決まった詩音であった。
一方でイクリーサは心配だった。
好奇心旺盛な姉の悪い癖が出るのではないかと。
二人の思惑は他所に決闘は明日へと迫った。
そして・・・
―学園中庭
「これより紫電の魔女レイナ対地球の魔女シオンの決闘を執り行います!」
「「よろしくお願いします」」
二人が一礼し、決闘開始の合図を待つ。
レイナは勝負服なのかグローブと格闘術用のスーツを着込み準備万端でいる。
ブー!
そしてついに決闘が始まった。
先手を取ったのは詩音である。
「ソードバレル、展開!」
大量の魔術の剣が精製され、レイナへと射出される。
が、レイナは迫る短剣を雷の様な素早さで全て避けつつ、詩音の懐に入った。
「くっ、防御障壁!」
詩音が何重にも防護障壁を展開する。
「判断が遅い!」
全ての障壁がレイナの拳の一撃でまとめて破壊される。
「くっ・・・転移!」
とっさに転移魔法でレイナから距離を取った詩音。
しかしその転移先には既にレイナが迫っていた。
「甘いわよ、シオンちゃん!」
「杖よ!」
「なっ・・・!?」
詩音が杖に合図を出した瞬間、レイナの背後に置いておいた杖が浮き上がり、
魔術弾を射出した。
突然の背後からの攻撃に防御が間に合わずモロに喰らうレイナ。
衝撃で砂ぼこりが巻き起こり、レイナの姿を隠した。
「やった?・・・訳ないわよね・・・ブック!」
レイナに対し詩音は再び距離を取ると今度は無数の武器を召喚した。
いずれも伝説級の強力な武器達ばかりである。
武器達は浮遊すると、詩音の合図でレイナがいるであろう砂ぼこりの中心地に降り注いだ。
「面白くなってきたじゃない!」
レイナは拳を握ると砂ぼこりから飛び出した。
自身に飛んでくる武器達を次々とかわしていくレイナ。
いかなる強力な武器でも当たらなければ意味が無い。
レイナは紙一重で武器を避けていくが完全にとはいかず服がボロボロに、体も傷だらけになっている。
後で治癒魔法や修復魔法で治せるとはいえ、今のレイナにはどれも辛い一撃達だった。
「トドメよ!」
降り注ぐ武器達の間から詩音が拳で突撃してくる。
しかしレイナはそれを瞬時に見切りカウンターをおみまいした。
「これは・・・クロスカウンター!?」
観客席から驚くエリシア。
クロスカウンターとは両者の手が交差するように決まるカウンターの事で、
今回は詩音にもレイナにも顔面に拳が決まっていた。
しかしカウンターな分ダメージは詩音の方が大きい。
そして二人が音を立てて倒れた。
バタン
「早く、救護班を!」
シルフィーヌとエリシアが駆け付けて二人に治癒魔法を施す。
こうして決闘は引き分けという形で幕を閉じた。
―学園保健室
「あなた中々やるわね、シオンちゃん」
「レイナ先輩こそ」
「二人とも大怪我寸前だったんですから気を付けて下さいね・・・!」
「「は、はい・・・」」
笑っているが内心怒っているシルフィーヌに恐怖する二人。
それは置いておいて、久々に戦いがいのある決闘だったと内心喜ぶレイナであった。
「大丈夫、シオン!?」
「お姉様・・・は大丈夫なようですね」
そしてなんだかんだで二人を心配するレオナとイクリーサであった。
後でレオナから詩音に無茶をするなとお小言をくらったのは言うまでもない。
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