29 / 47
第29話「婚約」
しおりを挟む詩音は憂鬱だった。
生徒会室に山の様に積み上げられた書類のせいだ。
書類といっても仕事の書類ではない。
ファンレターやラブレターの類である。
そして詩音はそれを整理している時に奇妙な手紙を見つけた。
「果たし状?」
その手紙にはこう書かれていた。
婚約を賭けて決闘してください、と。
あれ?ここって女子高だったよね?
女の子同士でありなの?と疑問に思う詩音。
「ありですよ、シオン会長」
そう答えたのは書記のマリアであった。
心の声が口に出ていたらしい。
とても恥ずかしい。
詩音は正気に戻ると、その果たし状の山を持って裏生徒会に向かった。
レオナなら上手く断る術を知っていそうだからだ。
―裏生徒会教室
しかし肝心のレオナはいなかった。
仕方なく他のメンバーに相談する事にする詩音。
辺りを見回すと見覚えのある女性が一人だけいた。
「あれ?シオンちゃんじゃないか。もしかして私に会いに来てくれたとか?」
「ご冗談を。お姉様に相談事があってきたの」
「ふーん、相談ねぇ。よかったら私が聞いてあげようか?」
「・・・仕方ないか」
詩音は例の果たし状の事をエリシアに相談した。
どうせからかわれるんだろうなぁと思っていたら、
予想外にもまともな答えが返って来た。
「これは受けるしかないね。裏生徒会のみんなも何人かは経験済みだよ」
その何人かにエリシアは入っていたらしく、ことごとく決闘で返り討ちにしたらしい。
それが噂になり、以後果たし状を送って来る生徒はいなくなったとか。
「でも結局決闘しないといけないんでしょ?はぁ…」
「どうしたのシオン?ため息なんかついて」
「あ、お姉様。実は・・・」
教室に戻って来たレオナは詩音から果たし状の事を聞いた。
レオナは少し思案した後とんでもない事を言い出した。
「シオン、あなた私と婚約しなさい」
「へ?」
今のレオナの一言に詩音は困惑した。
嬉しい事には嬉しい詩音だったが、転生前の価値観を引きずっていた詩音は素直に受け入れられないでいた。
「婚約と言っても形式的な物よ。本当に結婚する訳じゃないわ。あなたが好きな時に破棄してくれて構わないわ。それとも私とじゃ嫌?」
「そそそんな事ないです!その婚約、受けさせて頂きます!」
こうしてレオナと詩音の婚約が決まり、その噂は学園中に伝わった。
そして・・・
―学園中庭
「シオン会長、重力の魔女レオナ先輩との婚約、破棄して頂きます!」
「なら私を決闘で負かしてごらんなさい」
あれから婚約を賭けた決闘の申し込みは減ったものの、
未だに婚約破棄の決闘を申し込んでくる人達がいる。
またレオナとの婚約を狙って申し込んでくる人もおり、前回よりも苦労が増えた気がする。
多少は忙しくなったが、憧れのお姉様の婚約者になれるなんてなんて幸せだろうと舞い上がっている詩音であった。
「杖よ!」
「きゃああああああああああ!」
「勝者シオン!」
こうして今回も決闘に勝った。
詩音が満足して帰ろうとしたその時である。
詩音は後ろから声を掛けられた。
そこには装飾の施された絢爛なローブを纏った女性がいた。
「困るねぇ、人の物を勝手に盗っちゃ」
「え?」
「君の婚約者のレオナの事だよ。あれは本来私の婚約者なのさ」
「さっきから物とかあれとかお姉様をなんだと思ってるんですか」
「あれは私の所有物だよ」
「お姉様の事を物扱いしないで!決闘よ!」
「私と君じゃあ勝負にならないと思うけど、それで君の気が済むのならば受けよう」
「じゃあ始めましょう。あなた名前は?」
「私の名前はレナス、時の魔女よ」
0
あなたにおすすめの小説
アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~
eggy
ファンタジー
もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。
村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。
ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。
しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。
まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。
幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。
「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜
みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。
…しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた!
「元気に育ってねぇクロウ」
(…クロウ…ってまさか!?)
そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム
「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ
そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが
「クロウ•チューリア」だ
ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う
運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる
"バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う
「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と!
その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ
剣ぺろと言う「バグ技」は
"剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ
この物語は
剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語
(自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!)
しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない
異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。
日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。
両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日――
「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」
女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。
目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。
作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。
けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。
――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。
誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。
そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。
ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。
癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる