想い紡ぐ旅人

加瀬優妃

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65.二つが一つに

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「さてと……もう、昔話はいいだろう。わざわざ家族で来てくれたんだ。親子ともども、わたしのために働いてもらおうか」

 カンゼルが自分に酔ったように狂気の笑みを浮かべている。
 私はガクリと項垂れたように見せ……ユウの耳元に唇を寄せた。

(私が少年と闘うわ。ユウはカンゼルを……) 
(いや……)

 ユウがよろよろと起き上がり、私の耳元に口を寄せる。

(カンゼルは朝日にフェルティガが効かないことを知っている。少年にはあくまで俺を狙わせるだろうから、俺が闘う。朝日はカンゼルを黙らせてくれ)
(わかった)

「ん? 何だ?」

 カンゼルがこちらの気配に気づいた。

「……!」

 私たちが立ち上がった瞬間、今まで無気力だった少年の瞳が急に生気づくのを感じた。
 ユウが、物凄い勢いで少年にダッシュする。そして、私は一直線にカンゼルに向かった。

「クソじじい! 目障りだ!」

 ジャンプして跳び蹴りを放つ。
 カンゼルは老人とは思えない機敏な動きで躱した。

「ジュリアン! 男を痛めつけろ! 殺しても構わん!」
「くっ……!」

 カンゼルを倒して『命令』を撤回させなくては!

 私は続けて背後から下段蹴りを放った。カンゼルがもんどりうって倒れる。
 普通の人間なら確実に骨折するはずだけど、カンゼルにはそこまで効いてはいない。
 どうやら、防御ガードがかけられているみたいだ。それも、かなり頑丈な。
 多分、さっきの気絶していた少年二人が残りのフェルすべてをかけて相当強い防御ガードをかけたのだろう。

「ふん、わたしは戦場こそは経験しておらんが、かつては自らフェルティガエの誘拐にも赴いてねじ伏せてきたのだぞ。……まだまだ暴れ足りなかったがな!」

 カンゼルは立ち上がると、腰から剣を抜いた。
 武器か、厄介だな。

 少し離れたところで、ユウが少年と闘っている気配がする。
 闘っているとはいっても、主に少年に攻撃させ続けていて、防戦一方のようだけど。
 私はいったんカンゼルから距離を取り、呼吸を整えた。

 防御ガードしないと。剣を防げるほど、強く、固く……。
 カンゼルを殺してしまうかもしれない。でも、本気で闘わなければ……逆にやられてしまう!

「くっ!」

 私はカンゼルに立ち向かった。足に、腕に……力を込める。振り被ったところで懐に入り、正拳突きを放つ。
 かなり強い壁に遮られた。

 ――こんな防御ガード、砕けてしまえ!

 念じながら拳に力を籠める。

「うっ……?」

 鎧をえぐられる感触に、カンゼルが異様な声を上げる。
 私の腕に剣を振り下ろしてきた。
 防御ガードした腕で弾いたあと、いったん後ろに飛び退く。

「貴様、何をした?」

 カンゼルが腹を抑えながら訝しげに聞く。
 だけど、それに答える……義務はないよね。

 私はもう一度呼吸を整えると、カンゼルに猛ダッシュした。
 腹を警戒したカンゼルが中段の構えで剣を振り抜く。
 私は滑り込むぐらいの勢いでしゃがみこむと、カンゼルの足に思いきり、蹴りを入れた。

「くっ……!」

 防御ガードが残っているから、効きはしない。だけどバランスを失ってぐらりとよろめく。
 続けざまに蹴りを2発放ち、カンゼルを床に押し倒す。
 そして身体の上に馬乗りになり、剣を持つ右手と顔を押さえつけた。

 身にまとっている防御ガードをすべてはぎ取ってやる!

「貴様……!」

 カンゼルが左腕で私の身体を突き飛ばした。私自身の防御ガードが甘かったらしく、後ろに転がされる。
 素早く起き上がると、カンゼルもゆらりと立ち上がった。そして、自分の状態に気づく。

「わしの……鎧が……薄れている?」

 うわ言のように言っている。
 そして私の方をギョロリとした瞳で睨むと、

「この……小娘が……!」

とぞっとするような声で叫んだ。

 物凄い勢いで私に突進してくる。剣を下段で構えている。
 防御ガードが殆どない……頭!
 私は高くジャンプすると、カンゼルのこめかみに思いきり回し蹴りを食らわした。

「ぐあぁぁー!」

 カンゼルがもんどり打って倒れた。
 いい加減気絶してよ! フェルティガエじゃないんだから……!
 そう思いながら振り返ると……いつの間にか、カンゼルが倒れながら剣を突き刺してきた。

「ぐうっ……」

 咄嗟に避けたつもりだったけど……左の脇腹が思いきり抉られる。しまった……油断した!
 カンゼルがその勢いのまま、床に倒れる。そして……ぴくりとも動かなくなった。

 防御ガードを奪い取った上で思い切り頭に蹴りを入れた。……最大限に強化させた、足で。
 ……多分、もう目覚めはしない。

「ぐっ……。はぁっ……」

 お腹が熱い。息が……苦しい。
 そのとき……。

「わああー! ぎゃああー!」

 赤ん坊の泣き声が聞こえた。

「……暁!」

 思わず叫ぶ。振り返ると……入口の陰に隠しておいたはずの暁が、なぜか中に入ってきて這いずって泣いている。

 まさか……私のケガを心配して、外に出てきてしまったの!?
 防御ガードはしたはずだけど……多分、もう外れてる。
 ユウはまだジュリアンと闘っているのに……!

「……暁!」

 私は暁に向かって駆け出した。こんな場所で……何が起こるかわからない!

「――朝日!」

 私が暁を抱き起こしたとき、耳元でユウの声が聞こえた。
 ユウが背中から私に覆いかぶさる。
 急に影で暗くなって……何が起こったのか分からなかった。



「……ぐ……」

 ぴちゃり、と水をかけられたような感覚。
 振り返ると……ユウが首から大量の血を流している。
 そして……左肩から左脇腹にかけてざっくり切り取られていた。
 少し離れたところに……カンゼルの剣とユウの左腕が転がっている。

 ジュリアンの攻撃!? フェルじゃなく、カンゼルの剣で!?

「いや……いやあ――!」

 血まみれのユウが床に倒れる。私はその背中にしがみついた。
 どうして!? どうしたらいいの!?

「ユウ! 朝日!」

 夜斗が跳んできて、私の目の前に現れた。

「夜斗! ユウが!」
「後ろ!」

 夜斗が叫んだので慌てて振り返る。
 ジュリアンが両腕に力を溜めて、とどめを刺そうとしていた。
 フェルなら、私が受け止められる!
 私は暁を置いてユウの前に出ると、大きく両腕を広げた。

「……!」

 さっきの威力に比べればだいぶん落ちている。
 私は少しも漏らすまい、と一生懸命、体全体で受けた。

「あ、あ、あああー!」
「……無駄よ」

 ジュリアンを睨みつける。私の声にピクリと反応し、ジュリアンが攻撃をやめた。
 顔は青ざめ……パニックに陥っているようだ。
 ――もう、カンゼルの声も……ない。

「朝日……」

 ユウが背後で息も絶え絶えになっていた。
 振り返りたい。追いすがって、早くこの場から立ち去ってユウを助けたい。
 だけど……!

「ユウ、喋らないで!」
「そいつは……気絶しない。フェルティガを……寿命をすべて使い切るまで……使い果たして……死ぬ。それが……俺……。あと……少しで……」

 ユウの呟きは、そこで途絶えた。きっと意識を失ったんだ。
 どうすればいい。ジュリアンから目を逸らすわけにはいかないのに。
 私が――ジュリアンを倒すしかない。

「夜斗! サン! エルトラ! ガラスの棺! 急いで!」

 ユウのことは夜斗に託すしかない。
 私は咄嗟に単語で捲し立てたが、夜斗はすぐに理解したようだった。

「わかった!」

という声がして、気配が消えた。

 私の脇腹からはまだ血が流れているけど、全く気にならなくなっていた。
 暁の泣く声が聞こえる。
 さっき抱き起こした時……案の定、防御ガードは解いてしまっているのがわかった。
 ユウは……私たち二人を、全身で守ってくれたのだ。

「暁! 防御ガード!」

 私は指を鳴らした。
 ……伝わったようだ。泣きながら、丸くなって身を守っているのが視界の端に映る。

 ユウがやり残したこと……私が、ケリをつける。
 私はジュリアンに一歩ずつ近づいた。

 ジュリアンはパニックになって滅茶苦茶フェルを放っている。塔の壁が崩れ……カンゼルが倒れていた上にガラガラと崩れ落ちた。
 もうこれで……カンゼルの声に操られることは……永久に、ない。

「どうしたの? 私にぶつけてみなさい。あなたの……力を!」

 ユウの一部……歪んで生み出された、生命。
 せめて私が、受け止めてあげる。

「うあああーっ!」

 ジュリアンが叫びながら私にフェルを浴びせてきた。
 すごい圧力だ。ユウがどれほど凄まじい力を持っていたかを思い知らされる。
 それをパパが、うまく導いて……守る力に変えたんだ。
 あなたには、それがなかった……。

「あ、あ、ああ……」

 少年の顔がどんどん土気色になっていき……フェルが途絶え、やがてガックリと跪いた。
 私は咄嗟に、少年を抱きしめた。

「あ……う……」

 少年が驚いたように私の顔を見上げる。
 もう死期が近い……。あのときのパパと同じ、酷い顔色をしていた。

「可哀想に……。もう、いいのよ……」

 こんな風にしか生きられなかったのは、この子のせいじゃないのに。
 カンゼル。何て酷いことをするのよ……。

 少年は私の胸の中で瞳を閉じそうになって……急にハッとしたような表情になった。
 こんな力がまだ残っていたのかと驚くぐらい、ものすごい勢いで私を突き飛ばした。かなりの距離を飛ばされてしまう。
 飛ばされながら……私は、見た。
 少年の上から大量の瓦礫が降ってくるのを。

「ちょっ……!」

 声をかける暇もなかった。少年の上にまたたく間に堆く降り積もり……姿が見えなくなる。

「ジュリア――ン!」

 彼の名前を、叫んで……思わず、涙が零れた。
 最後の最後……彼は、私を庇った。――自らの意思で。

「わあーん!」

 遠くで……暁が泣いている。
 立ち上がらなくちゃ。暁が……泣いて……。

「う……ぎゃあ――!」

 暁はそのまま宙に浮くと……さらに激しく泣き始めた。
 すると……見る見るうちに白い空が何か……青いものに覆われていく。
 まるで、雲のような……私の世界の空と真逆の景色になって……。

 ……ポツリ。

 頬に、水滴が滴る。

「……雨?」

 私は……ゆっくりと立ち上がった。
 青い雲から……たくさんの水滴が落ちてくる。
 それは、あっという間に……キエラの大地を埋め尽くす。
 目も開けられないほど……ものすごい勢いで雨が降る。
 上空の暁は……そのうちガクリと首を垂れて、ゆっくりと落ちてきた。
 慌てて駆け寄ると……私の腕の中にふわりと舞い降りる。

「あー……」

 眠っているのか……何かうわ言のようなものを言っている。
 私は雨が降り続く真逆の空を見上げて……ガクリと膝を落とした。


   * * *


 そのあとすぐに、夜斗がサンに乗って現れた。
 ユウとユウから切り離された身体をガラスの棺に入れたけど、フェルが足りないのか、衰弱する一方だという。
 エルトラに着くと、私は暁を夜斗に預けて急いで大広間に向かった。


「……アサヒ!」

 大広間に入ると、ガラスの棺の前に腰かけていた女王がハッとしたように振り返った。

「すまぬ。手を尽くしたが……」
「まだ……まだ間に合います。私、私が……」

 ジュリアンから受け取った力。
 ユウのもう一つの命。
 これを、ユウに……。

 私はガラスの棺を開け……体全体からフェルを放出した。
 今まで使い方がよくわからなかった……でも、今ならできる気がする。

「これ……は……」

 棺に力を送り込む。ガラスの棺の中が暖かいものに満たされているのがわかる。
 そして……ジュリアンから受け取った命を、そっと口移しでユウに渡した。

 ユウは目を閉じたままだったけど……体全体に力が行き渡った気がした。唇から、ユウの体温を感じる。
 生きて……必ず生きて帰ってきて!

「……おお……これは……!」

 女王の驚いたような声が聞こえた。
 私はそっとユウから離れると、棺の蓋を閉じた。

「どうで……しょうか……」

 今まで貰ったものを渡しただけ……だけど、すごく疲れている。

「とりあえず……一命は取り留めた……ようじゃの」

 私がフェルを渡す傍ら、ずっと手を翳してユウの様子を見ていた女王が呟くように言った。

「このガラスの棺の話が本当なら、左半身の傷が癒えるまで眠り続けるはずじゃ。力は十分に満たされていた」

 女王が私を見て力強く微笑んだ。

「そう……ですか……」

 私はユウを、守れたのかな。
 少し安心して……そのまま、気を失ってしまった。
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