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コックリさん

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私は雪

私には友達がいる
かれこれ6年くらい仲良くしている友達だ。

今日もいつもと何も変わらない日を送っている。


あき「せい!これでもくらえ!」

月「やんのかこらあああ!」


巻き込まれるとちょっと面倒臭いけれど、それでもいい人達だ。


あき「あ、そう言えばさー、話変わるけどこっくりさんやった事ある?」

月「あー、あるで!なんも起こらんかったけど。」

「ちょっと、やめてやめて!」

あき「今日やってみーへん?動画乗ってて面白そうやったから」

「やらん!絶対やらん!」


私は怖い話がとても苦手だ。

それなのにあの二人はわざと怖がらせにくる。

1回それで怖さの余り間違えてあきにビンタをした事があるレベルだ。
そのくらい怖い。


あき「いーから!よし、そうと決まれば月の家レッツゴー!」

月「えー、だる。」

「行かんからな!絶対!」

あき「大丈夫大丈夫、雪は横で見とけばいいねん!」


いやだ、絶対いやだ。
よし帰ろう。


「私帰るわ」

あき「だめ!行くのです」

「..(イラッ!)」


そして無理やり連れてこられ、月の家に来た。


あきが頑張って紙にこっくりさんのあいうえおを書いている。

月は十円玉とおつまみのお菓子を用意してる。

「あー帰りたい」

月「お菓子柿ピーとキャベツ太郎でいい?」

あき「よっしゃかけた!いいよ~」

月「電気消すよ~」


そう言って電気消して
私は参加せずに月とあきでコックリさんを始めた。


月、あき「こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいでください。もしおいでになられましたら、『はい』へお進みください」


本当に帰りたい。

その雰囲気に気分が悪くなってきて私はうずくまって目をつぶって耳を塞いだ。




あき「..やっぱなんも起こらんかー」


そう言うとあきは指を離しました


月「あ!手離したらあかんねんで!」

あき「あ!忘れてたわ!」


そういって、あきはまた10円玉に指を起き、月は指を離しました


月「あーあ!やっちゃったー」

あき「月も離してるやん!もう1回やる?」


そう言ってあきは指を離しました


月「めんどくさいわ!」

あき「いーからいーから!」


そう言って2人はまた指を置きました

あき「ん?あれ、10円なんか動いてない?」

月「え、気のせいちゃうん?」

あき「絶対動いた!え、怖い!」


あきは怖いと言いつつ続けようとします


月「もうやめよーや」

あき「いや、動いた!今離したら呪われんで」

月「いや、もう1回離しちゃったやん!」

あき「いや、今離したら余計あかんよ」


すると、10円玉が動き出しました


あき「えっ、やっぱり動いた!」

月「もう嫌や..」

あき「コックリさんコックリさん、私は就職出来ますか?」


すると10円玉は動き出します


〔あ〕


〔き〕


そして続いて動きます



〔き〕


〔え〕


〔る〕


あき「えっ、月動かしてる!?」

月「え、え?やめてーや」


そう言って月は泣き始めました


あきは慌てます


あき「月じゃないん?月やろ?え、やめてーや」


そう言ってあきも半泣きになります
そうして、また十円玉が動き出します


〔つ〕〔き〕〔は〕〔お〕〔ち〕〔る〕


月「おちる..?」

あき「終わらせよう!な?終わらせよう!」


そう言って、2人は終わりの言葉を唱えます


あき、月「こっくりさん、こっくりさん、どうぞおもどりください」


そしてまた、10円玉が動きます

〔いいえ〕


月「やっぱ失敗やったんやん」

あき「ごめん、私がやろうとか言ったから」

月「いや、いいよ」

あき「私もう帰りたくない」

月「下まで送ったるやん、ほら、雪おわったで!」

「ほんまに..?寝かけてたわ..」

あき「うん終わった、帰ろ!」

「帰る!」


2人の気は済んだみたいで、やっと帰れるようになった。

そして、やっと帰れると安心して玄関を出た所で
月が何かに引っ張られたように後ろによろめいた。


月「ほぁ!?」

あき「ちょ、月!?」


月の家は16階のマンションで、とても高い場所にある。

そんなマンションのコンクリートで出来た柵の上で仰向けに腰を反らせた。


月「えっ、えっ、あ!」

あき「ちょ!月!!」


あきは手を伸ばした。
けれど、月はそのまま後ろに落ちていった。


「え..?」

あき「月!!?」


マンションの下を見た
月はありえない方向に腕を曲げ
大量の血を流している。


あきが急いで救急車を呼んだ
私は泣き崩れる事しか出来なかった。


月は手遅れだった。




そしてその数日後、あきも行方意不明になってしまった。


私は月が落ちたその日から、外に出ることはなくなった。


あの日、私がもっと強く止めていればよかった。



私はあの日の事を、後悔してもしきれない。






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