クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ

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第4章:奈落の影、揺るがぬ誓い

第126話:狙われる絆

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遺跡を後にして二日。
俺とリーネ、美咲は山道を抜け、小さな村へとたどり着いていた。

「ここなら……少しは落ち着けそうだな」
瓦屋根の家々から煙が立ちのぼり、子どもたちの声が響く。
血と死の匂いから離れ、ほんの少し、平穏が胸に沁みた。

「宿はあちらにあるようです」
リーネが顎で指し示し、俺は頷く。



その頃――村の外れ。

黒衣の影たちが木陰に潜んでいた。
「対象の行動を確認。同行者は二名。女性と思われる」
「ふむ……従属スキルそのものは強力だが、彼の隙は“仲間”にある」

低い声が続く。
「直接本人を狙うより……仲間を揺さぶれ。心を折るのが一番早い」

兵たちは音もなく散り、村の外周を包囲していった。



「悠斗くん、これ……」
宿屋の食堂で、美咲が差し出したのは村人からもらった花束だった。
色とりどりの野草を束ねただけの、素朴な花。

「お礼だって。私たちが魔物を追い払ったこと、知ってるみたい」

「……ありがたいな」
花の香りが、どこか懐かしく胸を落ち着ける。
だが同時に、背筋を走る嫌な寒気を拭えなかった。



夜。

「……悠斗、何か気になっているのですか?」
窓際で剣を研いでいると、リーネが問いかけてきた。

「……ああ。あの術者が言ってたろ。“次はある”って」
「……」
「確実に、もう動いてるはずだ」

リーネは静かに頷き、視線を窓の闇に向ける。



その闇の中。

一人の村人が家から出て、井戸へ水を汲みに来ていた。
背後に忍び寄る黒い影。

「……」
次の瞬間、影の刃が閃いた。

「ひっ……!」
悲鳴が夜に響き渡る。



俺はすぐに立ち上がった。
「リーネ! 美咲! 外だ!」

三人は駆け出し、井戸の前に辿り着く。
そこには倒れた村人と、その背後に立つ黒衣の兵士がいた。

「やはり……来やがったか」
剣を抜き、睨み据える。

兵士はにやりと笑った。
「……高宮 悠斗。お前を直接仕留めろとは言われていない」

「……何?」

「狙うのは――お前の大事な仲間だ」

兵士が指を鳴らす。
村の外から、さらに数体の影が忍び寄る気配がした。



「悠斗くん!」
美咲が震える声で叫ぶ。
リーネは氷の剣を構え、前に出た。

俺は黒鎖を握り締める。
(……やっぱり来たか。狙いは俺じゃない。美咲とリーネ……!)



__________________

後書き

ここまで読んでくださりありがとうございます!

第126話では「影誓機関が仲間を標的にし始める」展開を描きました。

悠斗が術者の“次がある”という言葉を思い出す

村の静かな日常に忍び寄る影

ついに「仲間を狙う」と明言される敵

次回127話は「仲間狙いの急襲」。
美咲やリーネを守るため、悠斗が再び全力を振るうことになります。
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