562 / 625
19章
529話 制御難
しおりを挟む
いきなりステータスを上げたから色々出来るってのは甘い話で、なんだったら急に上げて機敏になった自分の体に反応しきれてないのが現状だったりする。新しいFPSやTPSのゲームでマウス感度弄って上手い事噛み合わない時が続く、あの感じ。どうも反応が過敏になりすぎている。
このVRゲームじゃないけど、普通のコンシューマーゲームでもタイミングが大事なコマンドだったり、アクションをする時は咄嗟に出せるっちゃ出せるのに、こういうのになるとどうもダメだな。
「アカメ殿、動きが雑ですぞ!」
「感度が良いのってどうも苦手なのよね」
二人になってから、アリスの置き土産でもある大盾を使いつつ、相変わらずの近接戦を続けているわけだが、流石にガウェインとガヘリスのコンビを相手にするのはまあきつい。松田の奴はあの手この手でアオメを抑え込んでくれているので、専念出来ているとはいえさっきよりも受けの精度が悪い。ああ、でも反応しやすくなってるから、慣れたらステ振り直す時よりもいいのか。
「よくもまあ、AGIカンストして動けてるわ、マイカの奴は」
って言うかよくよく考えてみたらレベル上限が99って聞いてたから、ステータス振り直したとしても「99+24」で123ポイント分しかステータスが振れないわけで、それを全部ぶっこめばあんな風な機動力になるのも頷ける。
「この手のゲームって結局の所、極化が強くなるもんだなあ……」
オールマイティが強いってどのゲームでも中途半端になりがち。だからまあ、こういう感じになってるわけだが。
「相手のガンナー、厄介ですな!こっちもショットガンはないんですかな!」
「使えなくなったから無理だな、あっても使いにくい」
「だからって出し惜しみしていたら負けますぞ!」
そんな事を言っていれば銃声が響き、散弾が辺り一面にばら撒かれる。アリスの大盾が本当にあって良かったと思うくらいには遮蔽としてしっかり使えている。必死こいて松田が引っ張って移動したりもしてどうにかこうにか使い続けているが、障害物扱いのせいで装備は出来ない。
「それにしても、こんな重い物良く振り回せていましたな!」
「ほんと、そう思う」
アリスがやられてからというものの、しっかりガンナーとしての後衛をやっているアオメを意識して深く前に突っ込めないのが原因で、結構な膠着状態になっている。幸いなことにガヘリスが前に出て、という事はないので、集中出来れば良いんだけど。
「やはり後ろ2人がきついですかな?」
「まー、そりゃね……タイマンで殴り合いになったら負ける気はしないし」
って言うただの強がりではあるけど、残り少ない弾数を考えれば、タイマンの方が圧倒的にやりやすい。
「自爆でもしますかね?」
「うちの連中は自爆好きねえ……あの後衛二人をやれるならお釣りまでくるけど、倒せるほどの火薬はもうないんだな、これが」
スモークとフラッシュグレネードは爆発性じゃないし、グレネードも道中渡して使ってあと2本。これだけの火薬量じゃ、レベルの高い相手にはちょっと心もとない。って言うかなんでもかんでもすぐに自爆する癖やめさせんと。
「ではどうやってタイマンをするんですかな!」
「そうねー……アオメさえやれればあんたとガヘリスはいい勝負しそうだから」
ちらりと大盾から軽く顔を出して、射撃でガウェインの足止めをしつつ、アオメの位置を確認。これがTPSだったらカメラ越しに場所わかるけど、残念ながら一人称視点。向こうもしっかり盾役の後ろに引っ込んでこっちの事を伺いつつ射撃なのは変わらず。挟み撃ちしていた時にアリスと松田で落とせなかったのが悔やまれる。
「それじゃあ気合入れていくか」
「どうするんで」
「フラッシュとスモークを使って攪乱しつつ、背中にグレネード突っ込んで直接吹っ飛ばすとか?」
「派手な作戦ですな!」
実際は数少ない手札を切っているだけで、これ以外でアオメの奴を少しでも無効化し、先に仕留めにかかるか。
「どうにかガウェインの脚を止められないか?」
「粘着液ならありますぞ」
「よし、あいつにぶつけてから仕掛けにいこう」
調合系の強みってのが良く出てる気がする。こういう便利アイテム作れるのは唯一無二って感じ。とりあえず丸底フラスコに入っ白い粘着液。明らかにどこぞの蜘蛛男が使う奴だけど、そんな事は気にしない。
2人で一息ついてからフラッシュを投げ込み視界を奪ってからのスモーク投擲。先にフラッシュを出したのはトラッカー封じ。スモーク抜けてくるから地味に厄介なのよね、あれ。
「よーし、いけいけ!」
大盾から身を低くしたまま飛び出し、松田を反対のサイドにいかせ、こっちはガウェインの奴に向かって前進。流石にフラッシュはアオメの方に投げ込んだからスモークだけしか影響がないが、こっちをうっすらとでも捉えているあたり良い腕している。
「全く、これだから強い相手は」
そのまま近づいてきた私を狙って一閃。上げたAgiのおかげもあるが、攻撃を避けるため正座の状態になりつつ滑り、上体を後ろに逸らして回避、そこから一気に体を跳ね上げて立ち上がり、ガウェインの盾を踏み台にして跳躍、そのまま一番上にきて、あの憎たらし犬顔を拝んだ所で、しゅぱっとフラスコを敢えて足元に投げつける。
「ガヘリスがいない」
さっきまで後ろにいたと思ったんだが、姿が見えず、あたりを探りながら着地し、松田の援護に入るために駆けだすと共に、走った方向を見ると赤い光点が二つ。
「クソ、読まれたか!」
「いかせませんよ!」
足が固定されている状態でも上半身を捻って攻撃することは出来る。振り向きながらの飛ぶ斬撃。これを目で追ってから折れた刀を抜いて防ぐと共に手放して、急いで松田の方に。銃声と陥没するような衝撃音が響く中、松田の奴の必死こいてる声が聞こえる。
「やっぱ博打だったか」
ガウェインの奴は取るのにてこずってるし、十分距離も開けた。あいつが来るまでに、かつ松田の奴がやられる前に2人しとめるってまた難度のたかいこって。
このVRゲームじゃないけど、普通のコンシューマーゲームでもタイミングが大事なコマンドだったり、アクションをする時は咄嗟に出せるっちゃ出せるのに、こういうのになるとどうもダメだな。
「アカメ殿、動きが雑ですぞ!」
「感度が良いのってどうも苦手なのよね」
二人になってから、アリスの置き土産でもある大盾を使いつつ、相変わらずの近接戦を続けているわけだが、流石にガウェインとガヘリスのコンビを相手にするのはまあきつい。松田の奴はあの手この手でアオメを抑え込んでくれているので、専念出来ているとはいえさっきよりも受けの精度が悪い。ああ、でも反応しやすくなってるから、慣れたらステ振り直す時よりもいいのか。
「よくもまあ、AGIカンストして動けてるわ、マイカの奴は」
って言うかよくよく考えてみたらレベル上限が99って聞いてたから、ステータス振り直したとしても「99+24」で123ポイント分しかステータスが振れないわけで、それを全部ぶっこめばあんな風な機動力になるのも頷ける。
「この手のゲームって結局の所、極化が強くなるもんだなあ……」
オールマイティが強いってどのゲームでも中途半端になりがち。だからまあ、こういう感じになってるわけだが。
「相手のガンナー、厄介ですな!こっちもショットガンはないんですかな!」
「使えなくなったから無理だな、あっても使いにくい」
「だからって出し惜しみしていたら負けますぞ!」
そんな事を言っていれば銃声が響き、散弾が辺り一面にばら撒かれる。アリスの大盾が本当にあって良かったと思うくらいには遮蔽としてしっかり使えている。必死こいて松田が引っ張って移動したりもしてどうにかこうにか使い続けているが、障害物扱いのせいで装備は出来ない。
「それにしても、こんな重い物良く振り回せていましたな!」
「ほんと、そう思う」
アリスがやられてからというものの、しっかりガンナーとしての後衛をやっているアオメを意識して深く前に突っ込めないのが原因で、結構な膠着状態になっている。幸いなことにガヘリスが前に出て、という事はないので、集中出来れば良いんだけど。
「やはり後ろ2人がきついですかな?」
「まー、そりゃね……タイマンで殴り合いになったら負ける気はしないし」
って言うただの強がりではあるけど、残り少ない弾数を考えれば、タイマンの方が圧倒的にやりやすい。
「自爆でもしますかね?」
「うちの連中は自爆好きねえ……あの後衛二人をやれるならお釣りまでくるけど、倒せるほどの火薬はもうないんだな、これが」
スモークとフラッシュグレネードは爆発性じゃないし、グレネードも道中渡して使ってあと2本。これだけの火薬量じゃ、レベルの高い相手にはちょっと心もとない。って言うかなんでもかんでもすぐに自爆する癖やめさせんと。
「ではどうやってタイマンをするんですかな!」
「そうねー……アオメさえやれればあんたとガヘリスはいい勝負しそうだから」
ちらりと大盾から軽く顔を出して、射撃でガウェインの足止めをしつつ、アオメの位置を確認。これがTPSだったらカメラ越しに場所わかるけど、残念ながら一人称視点。向こうもしっかり盾役の後ろに引っ込んでこっちの事を伺いつつ射撃なのは変わらず。挟み撃ちしていた時にアリスと松田で落とせなかったのが悔やまれる。
「それじゃあ気合入れていくか」
「どうするんで」
「フラッシュとスモークを使って攪乱しつつ、背中にグレネード突っ込んで直接吹っ飛ばすとか?」
「派手な作戦ですな!」
実際は数少ない手札を切っているだけで、これ以外でアオメの奴を少しでも無効化し、先に仕留めにかかるか。
「どうにかガウェインの脚を止められないか?」
「粘着液ならありますぞ」
「よし、あいつにぶつけてから仕掛けにいこう」
調合系の強みってのが良く出てる気がする。こういう便利アイテム作れるのは唯一無二って感じ。とりあえず丸底フラスコに入っ白い粘着液。明らかにどこぞの蜘蛛男が使う奴だけど、そんな事は気にしない。
2人で一息ついてからフラッシュを投げ込み視界を奪ってからのスモーク投擲。先にフラッシュを出したのはトラッカー封じ。スモーク抜けてくるから地味に厄介なのよね、あれ。
「よーし、いけいけ!」
大盾から身を低くしたまま飛び出し、松田を反対のサイドにいかせ、こっちはガウェインの奴に向かって前進。流石にフラッシュはアオメの方に投げ込んだからスモークだけしか影響がないが、こっちをうっすらとでも捉えているあたり良い腕している。
「全く、これだから強い相手は」
そのまま近づいてきた私を狙って一閃。上げたAgiのおかげもあるが、攻撃を避けるため正座の状態になりつつ滑り、上体を後ろに逸らして回避、そこから一気に体を跳ね上げて立ち上がり、ガウェインの盾を踏み台にして跳躍、そのまま一番上にきて、あの憎たらし犬顔を拝んだ所で、しゅぱっとフラスコを敢えて足元に投げつける。
「ガヘリスがいない」
さっきまで後ろにいたと思ったんだが、姿が見えず、あたりを探りながら着地し、松田の援護に入るために駆けだすと共に、走った方向を見ると赤い光点が二つ。
「クソ、読まれたか!」
「いかせませんよ!」
足が固定されている状態でも上半身を捻って攻撃することは出来る。振り向きながらの飛ぶ斬撃。これを目で追ってから折れた刀を抜いて防ぐと共に手放して、急いで松田の方に。銃声と陥没するような衝撃音が響く中、松田の奴の必死こいてる声が聞こえる。
「やっぱ博打だったか」
ガウェインの奴は取るのにてこずってるし、十分距離も開けた。あいつが来るまでに、かつ松田の奴がやられる前に2人しとめるってまた難度のたかいこって。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
───────
自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
転生したみたいなので異世界生活を楽しみます
さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。
誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。
感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~
雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。
突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。
多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。
死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。
「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」
んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!!
でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!!
これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。
な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)
底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった
椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。
底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。
ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。
だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。
翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。
お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。
下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。
豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる