最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

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21章

564話 新しい所

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「結局此処まで来るのがしんどかったわ」

 ドラゴン戦の後に移動するの、結構しんどかった。結構って言うか殆ど逃げるように此処まで飛び込んだといっても過言ではない。幾ら単体火力が出るって言っても複数になればなるほどリロード頻度が高まるし、周りの事に気を使わないといけないから、長時間それをやり続けるのは、今の私じゃちょっとしんどい。そう思たらだいぶ衰えてるわ。

「それにしても……」

 漸く到達した街、名前は『ゼン』、街並みはそこまでエルスタンの時と変わらない。若干だけど見たことない感じの物もあるけど、それは街の特徴だと思う。

「どーも、街の特色ってのが弱い気がするんだよなあ」

 なんだかんだで街ごとにあれこれはあったんだけど、あんまりにも薄い感じがずっとある。悪いって訳じゃないんだけど、此処まで来てる割には薄味と言うのが正直な感想。

「こういう街の探索ってのは私の得意分野だから良いんだけど、果たしてどう出てくるかな」

 トラッカーって便利な追跡用のスキルもある事だし、足跡みたいなもんを探して何となく怪しい所を探って壁に体当たりしたり、開かない扉を片っ端から調べる。うん、大丈夫、今までもこんな事やってきたし、変わらないさ。そういう訳でトラッカーを発動、残光を引きながら足元やら建物やら、とにかく辺り一面じろじろ見渡しながらふんふん鼻息を鳴らしつつ探りまわる。
 とは言え、当たり前だけど機械工学のスキルに直接関与するものに引っかかるわけもなく、全く持って何も手掛かりはない。そらー、私がこんな感じに見てささっと見つけられるなら、もうとっくに見つかってるだろうって話よ。

「そもそもこのマップにあるかどうかも分からんからなあ」

 マップ的に見ればまだ全然探索したりなく、ちょっとだけ当たりを付けた所を回っただけなので、ここから隅々までと言った流れに。街の中にいるから自然回復が強化されているので、トラッカーを使いっぱなしでも問題ないのは良い所だが、いかんせん広い。まー、広い。エルスタンは拡張してアホみたいにでかくしたけど、そこまでここは広くないはず。

「……いや、単純にじっくり見てるから広く感じるだけか」

 家の一つずつ調べながら先進んでりゃ、そりゃ広く感じるわ。

「にしたって、効率がゲロ悪い」

 ゼンの街に付いてから早速と言うようにトラッカーを使ってあちこち調べまわってリアルで2時間程度。進展のない要素をひたすらこなすってなかなかのどMプレイだわ。流石にガンナーギルドを見つけたようなヒント的なものがあると思ったけど、アプローチが違うような気もしてきた。
 


 
 って言うのをリアルで2日ほどしてから、ゼンの中心地にあるベンチに座ってぐでっと一息。
 息抜きに先のエリアや前のエリアでモンスターを狩り、レベリングもこなしつつ、暇さえあれば街中を調べに調べていったが、マジで進展なし。怪しい所を何か所か見つけたことは見つけたのだが、フラグが立ってないのか、そもそも関係ないのか分からないので全く反応なし。此処まできたら私の探し方自体が間違っている可能性の方が高いわ。

「ふーむ、どうしようかなあ」

 久々にどうやったら解決するか分からん状況になった。ヒントと言うか、手掛かりが「ある」って情報だけ、なんだったらこの街にあるかってのも分からない。分からないって言うか、此処までの街全部確認してきて、気配がありそうなのが此処ってだけだからなあ。

「ん-……アカメならあれこれ人脈を使えるんだろうけど……それに甘えすぎるのもなあ……」

 今まで自分が培ってきたものを使うってのは悪い事じゃないんだけど、私の中で負けた感じになるのがちょっと気に入らない。何か他にやったら関係ありそうなことはないだろうか。

「……ん-ん-……」

 ベンチに寄りかかり、うーんと考えつつ足をぱたつかせたり、耳やら尻尾を動かして思案。何かもっと、此処まで来るのに見落としているようなことはないか……そんな事を考えつつ、メモ帳を開いて一つずつ整理していく

「此処まで来て、やらないような事ってなんかあるかな」

 大体やる事やってきたし、敢えてやらないような事って何か……。

「好感度上げ?」

 NPCの関係性ってのがあるから、この線は結構ありそう。ほったらかしにされがちなクエストってのも結構あるし、このゲームにおいてはそこまでクエストの報酬周りが美味しいってわけでもないから、軽視されがち。

「此処まできたら、敢えてクエストって選択肢はないわな……やってる奴はいるけど、目的が違うだろうし」

 ぴこんと立たせた耳を動かしつつ、立ち上がってぐいっと伸び一つ。

「ま、色々やってみるか」

 元々そういう事ばっかりしてたしな。
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