604 / 625
21章
569話 実力ありきの覆せない運
しおりを挟む
「だあー!クッソ疲れる!」
ライフルを持ったまま線路の横を走りつつ、文句をぶー垂れる。さっさと落石を破壊して通行可能にしたのは良いけど、線路まで変形したからそれの修理をしなきゃならんって事で走っている。結構な勢いで怒られたが、岩は破壊したから、とりあえず直すまで走れって言われた結果がこれ。
「モンスターが外に出たりって事はないみたいだから、洞窟……坑道かな。トラブった所の坑道に入って、中のモンスターぶちのめして、恩を売ってあれこれしてもらおうってクエストだよなあ!」
リアルで疲れるって訳じゃないけど、こうずっと走ってると精神的にしんどい。移動速度の遅いゲームって大体クソ寄りでストレスたまるし。とは言え、この現状に関しては私の移動速度って言うよりも単純に移動距離が長いってのが問題なんだけど。
「文明の利器が欲しい!なあー!」
ひたすら走り、ぶーぶーと文句を言いつつ上がり切る。ぜいぜいと息を切らしながら、暫く走ったのちにようやく目的地でもある坑道の入り口に到着して状況を確認。
「あんた、中に入るのか?」
「はあ……はあ……ちょっと、待って……」
膝に手を付いて息を整える。リアルで走ってる訳じゃないから息が上がってる訳じゃないんだけど、それでもやっぱ精神的に疲れる。移動速度が上がったり、壁を駆け上がれるスキルもあるみたいだし、サブは忍者なんだからそういうの取っておけばよかった。
「そろそろ、3次元的な動きも、出来るように、しよ……」
「で、中に入るのか?」
「入るって…のっ!」
ぐっと起き上り、銃を構えた状態で中を覗く。まあいたって普通の坑道、中でモンスターがいたってのを考えると、急に湧いてくる可能性は高い。なのでいつも通りのトラッカーを使用してゆっくりと中に侵入、入り口すぐ30歩目くらいで急に視界が振られ、暗転。
「……いくら脆いからって、急すぎる」
どの辺まで落ちたのか分からんが、立ち上がって状況を確認。スキル周りは使えるし、特にHPが減っていたりもなし、敵影も無ければ、だだっ広い広場のような所にいる。
「アイテムと装備がごっそりねえな」
何時ものように銃を構えてと思ったがどこかに落としたのか得物がない。ついでに言えばいつも仕込んでいる銃弾も、ガンベルトごとなくなっている。防具と言うか来ている物はそのままだが、性能が落ちている。
「ちょっと探索しよう」
とりあえず移動を開始、広場から通路に出て暫く進む。特に光源が無いと言う事もないので通路は明るく、先を見通せる。とりあえず装備やらを回収して、このダンジョンを攻略しないといけない。めんどうな手順を踏ませる……と。
「うーぬ、敵か……」
通路を歩き、また違う広場の入り口から中を見てどうするかを考える。敵は何ていうかまあ……2足歩行のモグラみたいな奴。あんまり可愛い顔はしていない。
「他に何かあれば……っと?」
様子を見ているうちに気が付いたことが一つ、2足歩行モグラの近くにハンドガンがぽろっと落ちている。別にそれをどうこうしようという感じもなく、辺りを見回し続けているだけなのもなんか違和感がある。
「なんで動かない?」
様子を見ているだけで特に移動しているわけでもなく、索敵って感じでもない。それじゃあ、一気に駆け出してハンドガン拾って撃ち倒して次ってのが良い感じか。
そういう訳で一旦通路に引っ込み、銃が落ちていたポイントを思い出してから一気に広場に入り込んで、銃の所に一直線。まあ勿論モグラもこっちを向いてなんかよくわからん奇声を発しながら突っ込んでくるが、こっちの方が速く到達。スライディングで滑りながらハンドガンを手に取り、手早くコッキングしてから反転、狙いを付けて一発。
「……私の銃じゃねえな、これ」
ポリゴン状に消えていくモグラを見ながら使った銃を見てまじまじと。一応マガジンを抜いて残弾を確認、とりあえずあと7発は撃てるのでマガジンを戻してもう一度周りを見て他に何かないか見るが、特にない。
「新しい通路が二つ、さて、どっちに行くか……」
そんな事を言いつつ、とりあえず目についた方の通路に歩いていくと、通路に出る少し前のあたりでモグラが通路から広場へとやってくるので、足が止まる。と、同時にモグラも動かなくなる。
「……まさか」
少し思いついたので2,3歩後ろに下がってみると、モグラもこちらに距離を詰めてくる。
「ローグライクシステムか」
こっちが動けば向こうも動く、こっちが止まれば向こうも止まる。ちょっともったいないが一発わざと外してみると、向こうが1歩分こっちに近づいてくる。そういえばPCのゲームで、敵が撃った弾を避けながらアクションするってFPSのゲームがあったっけ。やっぱ色々ゲームをしているとこういう時に混乱しないよね。
「ま、分かってりゃ簡単よ」
狙いを付けてゆっくりと引き金を絞り、一発。攻撃一回分でカウントされるから向こうも1歩だけしか動かないので、ローグライクにおける遠距離攻撃が如何に強いかってのがよくわかる……はずだった。
「おい、ジャムるってマジか」
がっつりと排莢部分に銃弾が噛んでしまったのでコッキング、それだけで1歩近づいてくる。こういう時は慌てずにもう一度射撃。次はしっかり命中して倒せたので火力は申し分なし、問題は攻撃成功率って所か。
「これで残り4発、どういう感じに敵がわいてやってくるか次第なのと……ジャムった弾は使えないから完全に撃ち切り用で割り切るか……杖みたいだ」
色んなローグライクをやって来たからこの手のシステムはお手の物よ。合成までは流石にないと思うので、多分太った商人が出てくる奴の1作目のシステムがベースだと思う。
「……なんにせよ、楽しめるじゃないの」
こっからは実力と運の勝負って事だ。
ライフルを持ったまま線路の横を走りつつ、文句をぶー垂れる。さっさと落石を破壊して通行可能にしたのは良いけど、線路まで変形したからそれの修理をしなきゃならんって事で走っている。結構な勢いで怒られたが、岩は破壊したから、とりあえず直すまで走れって言われた結果がこれ。
「モンスターが外に出たりって事はないみたいだから、洞窟……坑道かな。トラブった所の坑道に入って、中のモンスターぶちのめして、恩を売ってあれこれしてもらおうってクエストだよなあ!」
リアルで疲れるって訳じゃないけど、こうずっと走ってると精神的にしんどい。移動速度の遅いゲームって大体クソ寄りでストレスたまるし。とは言え、この現状に関しては私の移動速度って言うよりも単純に移動距離が長いってのが問題なんだけど。
「文明の利器が欲しい!なあー!」
ひたすら走り、ぶーぶーと文句を言いつつ上がり切る。ぜいぜいと息を切らしながら、暫く走ったのちにようやく目的地でもある坑道の入り口に到着して状況を確認。
「あんた、中に入るのか?」
「はあ……はあ……ちょっと、待って……」
膝に手を付いて息を整える。リアルで走ってる訳じゃないから息が上がってる訳じゃないんだけど、それでもやっぱ精神的に疲れる。移動速度が上がったり、壁を駆け上がれるスキルもあるみたいだし、サブは忍者なんだからそういうの取っておけばよかった。
「そろそろ、3次元的な動きも、出来るように、しよ……」
「で、中に入るのか?」
「入るって…のっ!」
ぐっと起き上り、銃を構えた状態で中を覗く。まあいたって普通の坑道、中でモンスターがいたってのを考えると、急に湧いてくる可能性は高い。なのでいつも通りのトラッカーを使用してゆっくりと中に侵入、入り口すぐ30歩目くらいで急に視界が振られ、暗転。
「……いくら脆いからって、急すぎる」
どの辺まで落ちたのか分からんが、立ち上がって状況を確認。スキル周りは使えるし、特にHPが減っていたりもなし、敵影も無ければ、だだっ広い広場のような所にいる。
「アイテムと装備がごっそりねえな」
何時ものように銃を構えてと思ったがどこかに落としたのか得物がない。ついでに言えばいつも仕込んでいる銃弾も、ガンベルトごとなくなっている。防具と言うか来ている物はそのままだが、性能が落ちている。
「ちょっと探索しよう」
とりあえず移動を開始、広場から通路に出て暫く進む。特に光源が無いと言う事もないので通路は明るく、先を見通せる。とりあえず装備やらを回収して、このダンジョンを攻略しないといけない。めんどうな手順を踏ませる……と。
「うーぬ、敵か……」
通路を歩き、また違う広場の入り口から中を見てどうするかを考える。敵は何ていうかまあ……2足歩行のモグラみたいな奴。あんまり可愛い顔はしていない。
「他に何かあれば……っと?」
様子を見ているうちに気が付いたことが一つ、2足歩行モグラの近くにハンドガンがぽろっと落ちている。別にそれをどうこうしようという感じもなく、辺りを見回し続けているだけなのもなんか違和感がある。
「なんで動かない?」
様子を見ているだけで特に移動しているわけでもなく、索敵って感じでもない。それじゃあ、一気に駆け出してハンドガン拾って撃ち倒して次ってのが良い感じか。
そういう訳で一旦通路に引っ込み、銃が落ちていたポイントを思い出してから一気に広場に入り込んで、銃の所に一直線。まあ勿論モグラもこっちを向いてなんかよくわからん奇声を発しながら突っ込んでくるが、こっちの方が速く到達。スライディングで滑りながらハンドガンを手に取り、手早くコッキングしてから反転、狙いを付けて一発。
「……私の銃じゃねえな、これ」
ポリゴン状に消えていくモグラを見ながら使った銃を見てまじまじと。一応マガジンを抜いて残弾を確認、とりあえずあと7発は撃てるのでマガジンを戻してもう一度周りを見て他に何かないか見るが、特にない。
「新しい通路が二つ、さて、どっちに行くか……」
そんな事を言いつつ、とりあえず目についた方の通路に歩いていくと、通路に出る少し前のあたりでモグラが通路から広場へとやってくるので、足が止まる。と、同時にモグラも動かなくなる。
「……まさか」
少し思いついたので2,3歩後ろに下がってみると、モグラもこちらに距離を詰めてくる。
「ローグライクシステムか」
こっちが動けば向こうも動く、こっちが止まれば向こうも止まる。ちょっともったいないが一発わざと外してみると、向こうが1歩分こっちに近づいてくる。そういえばPCのゲームで、敵が撃った弾を避けながらアクションするってFPSのゲームがあったっけ。やっぱ色々ゲームをしているとこういう時に混乱しないよね。
「ま、分かってりゃ簡単よ」
狙いを付けてゆっくりと引き金を絞り、一発。攻撃一回分でカウントされるから向こうも1歩だけしか動かないので、ローグライクにおける遠距離攻撃が如何に強いかってのがよくわかる……はずだった。
「おい、ジャムるってマジか」
がっつりと排莢部分に銃弾が噛んでしまったのでコッキング、それだけで1歩近づいてくる。こういう時は慌てずにもう一度射撃。次はしっかり命中して倒せたので火力は申し分なし、問題は攻撃成功率って所か。
「これで残り4発、どういう感じに敵がわいてやってくるか次第なのと……ジャムった弾は使えないから完全に撃ち切り用で割り切るか……杖みたいだ」
色んなローグライクをやって来たからこの手のシステムはお手の物よ。合成までは流石にないと思うので、多分太った商人が出てくる奴の1作目のシステムがベースだと思う。
「……なんにせよ、楽しめるじゃないの」
こっからは実力と運の勝負って事だ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
───────
自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
転生したみたいなので異世界生活を楽しみます
さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。
誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。
感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~
雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。
突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。
多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。
死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。
「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」
んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!!
でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!!
これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。
な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。
下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。
豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。
小説家になろう様でも投稿しています。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる