最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

文字の大きさ
607 / 625
21章

572話 死亡回数=経験値

しおりを挟む
 結局のところ、このローグライクシステムに苦戦すること2週間。
 システムの把握、アイテム類、モンスターの種類、罠……通常のゲームプレイとは別の専用システムとアイテム類だったのでそっちを覚えるのに苦戦した。

「それに、とにかくぶん殴ってくる相手じゃないならやりようはいくらでもあるってな」

 メニューもある程度は専用のUIに変わっているが、メモ帳等の便利ツール的な部分は特に変わっていない。で、1週間とちょっとしたときにあれこれ弄繰り回していたらアクセシビリティで残弾のデジタル表示が出来たりとローグライクをするにあたって便利な機能が結構あった。
 とにかく、メモ帳を使えるのが大きく、ある程度は整理したがかなりの数を書きなぐってまとめておいた。これも何度も死んで、アイテムを拾い、モンスターの対応をし続けた結果ともいえる。

「対処方法と攻撃手段さえ揃ってりゃガンナーが最強なのは変わりないんだけどなあ」

 目の前にいるモンスター3体、メモ帳に書いてある対処方法は『さっさと倒せ』。これ書いたときの私って何を考えていたんだろうか。とりあえずハンドガンからショットガンに持ち替えて、ばらけている敵を数歩移動してまとめる。そこから一気にショットガンをぶっ放して蹴散らす。武器の強弱と特性は結構オーソドックスな感じだったのも良かった。ショットガンで言えば散弾しかないのと扇状に攻撃できるので角からの攻撃と複数体巻き込んで倒しやすい。一直線ならライフルで貫通狙いも出来たり、SMGだと複数回攻撃、等々。

「こんなにあれこれ銃器を持ち変えることもないね」

 今使って残弾が無くなったショットガンを肩に担いだまま、フロアの先を進んでいくと、通路からまたモンスターが1体。でかめの牛、見るからにパワータイプの奴がのっそり出てくるので、相手との距離を測ったら、空になっていたショットガンを投げつけて攻撃。これも普段はやらない事だしあり得ない事だが、アイテム欄を圧迫するだけで、なおかつリロードも出来ないのでガンガン使って使い捨てるのがこのダンジョンのルール。直撃したら固定ダメージも入るみたいなので案外強い。長物の武器はなぜか知らないが、必中するので更に使えるのが良い所。

「しかしまあ慣れるまでが大変で、それ以降はそこまでの難度もないか」

 ボスらしいボスもいないし、やばいのはモンスターハウスに足突っ込んだ時と、良い感じにアイテムが拾えなかった時なので、それ以外なら問題なし。罠もやばいのはそうそうないので本当にシステムに慣れるまでが大変だっただけだった。

「まー、それでもそろそろクリアしたいんだけど」

 上に行く転移地点に立ったら次のフロアに。何だかんだで良い所までずっと来ていたので次で15階層目。流石にそろそろ終わってくれないとしんどい。ちなみに1フロア回るのに大体リアルで20分くらいかかる。つまり20×14=280分……うっわ、めっちゃ時間掛かってる。性質上途中でログアウトしても途中から再開するから良いんだけどさ。

「なんとなーく、空気が変わった感じもある」

 降り立ったフロアがやけに広い。通路もいつもより広い感じがある。そこまでがっつり99フロアまであるみたいな感じでもないし、イベントの一環だとしてもちょいちょい長い方だからこのぐらいがちょうどいいとは思う。

「嫌な予感だけは当たりやすいんだよねえ」

 フロアを探索しつつ、落ちている銃、今回はオートマチックハンドガンを拾ってまじまじと見つめて確認してからインベントリに入れる。銃弾は落ちてないし変えのマガジンも落ちてないってこのゲームやり始めた時の事を思い出すわ。

「もしかしたらあの時が一番このゲームを楽しんでたかもしれんのが皮肉だよなあ」

 くつくつと思い出し笑いをしながら先に進んでいく途中、ぴたりと足を止める。

「……ふーむ……」

 まだ通路の途中、敵がいる感じではない。一応前方数歩分には敵がいないのは分かるし、通路だから罠は絶対にありえない。こういうのは長年の勘よね。一応でかぶつであろうが、こっちが動かなければ向こうも動かない。倍速の奴だってそのルールが前提にある。

「後ろかな」

 一歩後ろに下がると二歩前程の所に目の前に何か大きい物が横を通り過ぎる。先に進んでたらやられていたというのもあるが、どうやら目当ての奴がいるようだ。

「やっぱ私って冴えてるわ」

 通過していった所が新しい通路になっているので、通り過ぎた所を後ろから付いていく。のはやめておく。

「一応マップはあるから……どういう動きをするか確認してからゆっくり倒すか」

 空腹になることもないし、今の所雑魚モンスターもいないのでボスだけ倒せばOK。だったら良いんだけど、それはまあやって見なきゃわからんな。

「此処でやられると300分……いやー、やられたくはないねえ」

 そろそろクリアしたいわな。 
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~

雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。 突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。 多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。 死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。 「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」 んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!! でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!! これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。 な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...