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7 カイトSide4
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「ふむ。サインしたな。これでグレイスはナーゼル国へ行かなくても済むのだ!さぁ、この婚姻届をグレイスにサインさせた後、教会へ提出してこい。儂は執務室へ戻ってナーゼル国に謝りの手紙を書かねばならんな」
国王陛下は満面の笑みを浮かべるとサインされた婚姻届を従者に渡して立ち上がった。
「あぁ、もしものために既成事実も作っておかねばならんな。そこの騎士、カイトをグレイスの部屋へ連れていけ。途中で逃げぬようにしておけ」
そう言い残し、陛下は去っていった。俺はすぐに後ろ手に縛られた。そして四方取り囲むように護衛騎士を付けられてグレイス王女のいる部屋まで歩かされる。行きたくない。どうすればいいんだ。
立ち止まらないよう後ろから押される。まるで罪人扱いだ。
俺が今ここで暴れても騎士達に歯も立たないだろう。いい案も浮かばないままグレイス王女の部屋へと着いてしまった。騎士達は縄を解き、嫌がる俺を部屋に押し入れた。俺が王女を殺すと思っていないのだろうか?
俺は扉を開けろとドンドンと叩いてみるが反応はない。
「カイト……?来てくれたのねっ!やっぱり!」
そう声が聞こえたかと思うと、後ろから抱きつかれた。全身が強張り、鳥肌が立つ。
「……お放し下さい、グレイス王女殿下」
俺は振り返り、王女を引き剥がそうとするが、王女はギュッと俺に抱きついたまま離れないように抵抗している。その姿にだんだんと苛立ちが募ってきた。周りを見渡すと、部屋は王女の部屋とは思えないほど閑散としていた。
どうやらテーブルの上にはお茶がセットされており、グレイス王女はお茶を飲んでいる途中だったようだ。
「……離れて下さい」
「嫌よ!折角カイトがここに来たのだものっ」
グレイス王女はそう言ったかと思うと、急に手を放した。そしてポケットをゴソゴソと何かをしている。そしてハンカチを取り出したかと思うと、自分の鼻と口に当てもう片方の手から香水の瓶のような物をこちらに吹きかけてきた。
不意な事で避けきれず、俺はその香水のような液体を嗅いでしまう。甘い香りがしたと思った途端、グラリと膝をつく。心臓がバクバクと音を立てて息苦しさを感じる。
「まぁ、こんなに即効性があったのねっ。さすがお父様!」
「グ、グレイス王女、今、俺に掛けたのは……?」
グレイス王女は嬉しそうにクルクルと周りながら上機嫌に応える。
「これは強力な媚薬なんですって。これで既成事実を作ればナーゼル国に行かなくて済むとさっき聞いたのっ。婚姻届にサインをした時にねっ」
……あの時の従者か。
クソッ。
だから縄を解いても大丈夫だと思われていたんだな。頭がどんどん麻痺をしていくようだ。これは不味い。グレイス王女が俺に抱きついてきた。
「ふふっ。嬉しいわっ!ベッドはこっちよ?」
王女が俺の手を引いてベッドに連れていこうとした時、俺は最後の力をふり絞った。
「ラナ!!!うぉぉぉ」
王女の手を振り払い、叫びながら重いテーブルを持ち上げ、窓へと投げつけた。『ガシャーン!!』ガラスの割れる音が響き渡る。意識が朦朧としてくるのを気力で押さえつけ、窓から飛び降りた。
「ラナ、ラナ……」
何とか中庭へ飛び降りたが俺の意識はそこで途絶えてしまった。
国王陛下は満面の笑みを浮かべるとサインされた婚姻届を従者に渡して立ち上がった。
「あぁ、もしものために既成事実も作っておかねばならんな。そこの騎士、カイトをグレイスの部屋へ連れていけ。途中で逃げぬようにしておけ」
そう言い残し、陛下は去っていった。俺はすぐに後ろ手に縛られた。そして四方取り囲むように護衛騎士を付けられてグレイス王女のいる部屋まで歩かされる。行きたくない。どうすればいいんだ。
立ち止まらないよう後ろから押される。まるで罪人扱いだ。
俺が今ここで暴れても騎士達に歯も立たないだろう。いい案も浮かばないままグレイス王女の部屋へと着いてしまった。騎士達は縄を解き、嫌がる俺を部屋に押し入れた。俺が王女を殺すと思っていないのだろうか?
俺は扉を開けろとドンドンと叩いてみるが反応はない。
「カイト……?来てくれたのねっ!やっぱり!」
そう声が聞こえたかと思うと、後ろから抱きつかれた。全身が強張り、鳥肌が立つ。
「……お放し下さい、グレイス王女殿下」
俺は振り返り、王女を引き剥がそうとするが、王女はギュッと俺に抱きついたまま離れないように抵抗している。その姿にだんだんと苛立ちが募ってきた。周りを見渡すと、部屋は王女の部屋とは思えないほど閑散としていた。
どうやらテーブルの上にはお茶がセットされており、グレイス王女はお茶を飲んでいる途中だったようだ。
「……離れて下さい」
「嫌よ!折角カイトがここに来たのだものっ」
グレイス王女はそう言ったかと思うと、急に手を放した。そしてポケットをゴソゴソと何かをしている。そしてハンカチを取り出したかと思うと、自分の鼻と口に当てもう片方の手から香水の瓶のような物をこちらに吹きかけてきた。
不意な事で避けきれず、俺はその香水のような液体を嗅いでしまう。甘い香りがしたと思った途端、グラリと膝をつく。心臓がバクバクと音を立てて息苦しさを感じる。
「まぁ、こんなに即効性があったのねっ。さすがお父様!」
「グ、グレイス王女、今、俺に掛けたのは……?」
グレイス王女は嬉しそうにクルクルと周りながら上機嫌に応える。
「これは強力な媚薬なんですって。これで既成事実を作ればナーゼル国に行かなくて済むとさっき聞いたのっ。婚姻届にサインをした時にねっ」
……あの時の従者か。
クソッ。
だから縄を解いても大丈夫だと思われていたんだな。頭がどんどん麻痺をしていくようだ。これは不味い。グレイス王女が俺に抱きついてきた。
「ふふっ。嬉しいわっ!ベッドはこっちよ?」
王女が俺の手を引いてベッドに連れていこうとした時、俺は最後の力をふり絞った。
「ラナ!!!うぉぉぉ」
王女の手を振り払い、叫びながら重いテーブルを持ち上げ、窓へと投げつけた。『ガシャーン!!』ガラスの割れる音が響き渡る。意識が朦朧としてくるのを気力で押さえつけ、窓から飛び降りた。
「ラナ、ラナ……」
何とか中庭へ飛び降りたが俺の意識はそこで途絶えてしまった。
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