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13 グレイスSide ★やや閲覧注意★
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馬車に乗せられた私はどれだけ我儘を言っても誰も聞いてくれなかった。罪人を運ぶように格子が付けられた馬車はあっさりと隣国へと到着した。
「グレイス・アルバラート・カルダローダ様、お待ちしておりました」
到着早々、馬車二台分しかなかった荷物を後宮へ従者達がいそいそと運んでいく。
「私は今から後宮へ行けばいいの?」
苦手な公用語だって全く話せないわけじゃないわ。私だって王女の端くれだからね!
「これから後宮へ入る前に陛下への面会があります」
従者にそう言われ、付いていった先はこの国の王で私の夫となったガルゴンの執務室だった。私を頭の先から足の先まで舐める様な視線で見たガルゴン。
「ガルゴン陛下、グレイス・アルバラート・カルダローダ様が到着致しました」
「あぁ。待っていたぞ。ふむ、気が強そうで何よりだ。これから第六夫人として後宮で過ごす様に。あと、此処にサインをしておけ」
バサリと投げる様に渡されたのは婚姻届。
「嫌よ!サインしたくないわっ。第六夫人だなんて」
私がそう拒否するとガルゴンは鼻で笑った。
「グレイスよ、この場でサインをせねばお前は毒杯なのだろう?我が国にもお前の話は伝わっている。見目の良い男を誑かせる事が出来なくて残念だったな。クククッ。お前のその我儘が後宮で通用すると良いがな。生き残れば第一側妃までのし上がれるぞ?」
ガルゴンはそう楽しそうに私に言ってきた。ここでサインをしなければ毒杯。私は仕方なくサインをする。
「サインをしたな。では後宮に案内する」
なんとガルゴン自らが後宮へと案内するのだという。私は驚いた。
「ん?何か不満か?夫となったのだ。これくらいはしてやらんとな」
そう言いつつ、私は後宮へと連れてこられた。
「ガルゴン様。待っておりましたわ!今度私の部屋へいつ訪れて下さるの?あらこの方は?」
「ローラ、久しぶりだな。この娘は今日から第六夫人のグレイスだ。この後宮のルールなどを後で教えておいてくれ」
「あら、この方が。わかりましたわ。ではまた」
ローラという女は私を値踏みするように視線を向けた後、部屋へと去っていった。
「グレイス、ここが今日からお前の部屋だ」
そうして部屋に着くと、思っていたより小さな部屋で最低限の家具しか置かれていなかった。
「私は王女なのよ!?こんなに狭い部屋だなんて馬鹿にしているわっ!」
私が不満を言うとガルゴンがクククッと笑っている。
「ここは一番位の低い部屋だ。説明をしておく。その前に、さぁまず、この茶を飲め」
ガルゴンの従者に淹れられたお茶を口にする。いつも飲んでいるお茶とは違い、甘い香りの中に少し苦味が舌を刺激する。不思議な味。
「飲んだな。後宮内は実力主義で部屋が変わっていく。正妃以外がこの後宮で暮らしておる。妃の強さにより順番が変わっていくのだ、といってもここ二年程第三側妃までの順位は変わっておらんがな。
多い時は第十夫人まで暮らしていたが今はグレイスの第六以降はおらん。詳しいルールは先ほど会った第三側妃のローラに話を聞くといい。……薬が効いてきたな」
ガルゴンがニタリと笑っている。どうやら薬の入ったお茶を飲んだみたい。
「なんの薬を飲ませたのよっ!」
そう言いながら部屋を出ようと立ち上がろうとした時、ガルゴンがそのまま抱き上げてベッドへと投げられた。
「お前はここに来る前に見目の良い男に媚薬を使ったのだろう?あれは興奮するようなやつだが、グレイスが飲んだ薬とは違うぞ?どれ、敏感に感じているだろう?クククッ。野良猫を手懐けるのはまた一興。俺しか満足出来なくなる。さぁ、楽しむか」
「嫌よ!触らないで!いやぁぁ」
そうしてガルゴンと望まないまま初夜を迎えた。気が付けば朝になっていた。
どうやら第六夫人には専属の侍女は付かず食事以外は自分で身の回りをしなければいけないらしい。そんな事は聞いていないと泣き叫ぼうが誰も聞いてくれない。お風呂の入り方も分からなければドレスの着方も分からない。
それから後宮の暮らしは最悪だった。他の夫人たちから服の一つも着ることが出来ないのかと笑われる。どうやら従者は各家から連れてきているらしい。身一つで来た私に従者はいないし、祖国の兄に手紙を送っても返事は来ない。
我慢するのは服だけじゃない。髪は切られるし、強制的に呼ばれた夫人たちのお茶会では虫が入っていたり、毒が淹れられていた。偶にガルゴンは閨に訪れるけれど、後宮は側妃に任せているの一点張りで取り合ってくれない。
私がこんな扱いを受けるなんて絶対おかしいわ。私を虐める夫人たちを殺してしまえばいい。
……皆大なり小なりやっているんだもの気にする必要はないわ。
手始めに私は公務に付いていった第二側妃の部屋に忍び込み、薬を盗む。やはり側妃は過去の邪魔になった夫人たちを毒殺していたのね!私がやっても問題ないわ!
そうして一人、また一人と夫人達を毒殺していく。
時には暴力で夫人を黙らせて協力者にさせて。楽しいわ!後宮は私の天下になりつつある。
……この三年、とても長かったわ。
この間、第三側妃を蹴落とした。これで私は第三側妃になるのよ!
……どこで間違ったの?
何がいけなかったの?
私は今、後宮の一室で手足を切断されている。叫ぼうにも喉も焼かれて声が出ない。
「ガルゴン様、先日第三側妃となったグレイス様なのですが……病気のため動く事もままならないようです。死亡届を出しておきますわ」
「あぁ。グレイスはここまでか。仕方がない。新たに夫人を迎えるか」
話をする声が遠ざかっていく。何故?嫌よ!死にたくないわ!すると第一側妃が部屋へ入ってきて私に声を掛けた。
「馬鹿な子。やっぱり馬鹿は馬鹿のままだったわね。まぁ、毒杯を最初から飲んでいれば手足を切られる事もなかったでしょうに。
貴方はここでやりすぎたのよ。まぁ分かっているわよね。貴方の死亡届は出しておいたわ。これから捨てられるの。拾ってくれる人が沢山いる所にね。フフッ。さようなら」
従者によって私は後宮の外に連れ出され、強制労働者達の家の前に捨てられた。
自分から死ぬことも出来ずただ遊ばれ、暴力を振るわれる。
……こんなはずじゃなかった。
誰か、私を助けて。
【完】
ーーーーーーーーーーーーーーーー
最後までお読みいただきありがとうました!!
「グレイス・アルバラート・カルダローダ様、お待ちしておりました」
到着早々、馬車二台分しかなかった荷物を後宮へ従者達がいそいそと運んでいく。
「私は今から後宮へ行けばいいの?」
苦手な公用語だって全く話せないわけじゃないわ。私だって王女の端くれだからね!
「これから後宮へ入る前に陛下への面会があります」
従者にそう言われ、付いていった先はこの国の王で私の夫となったガルゴンの執務室だった。私を頭の先から足の先まで舐める様な視線で見たガルゴン。
「ガルゴン陛下、グレイス・アルバラート・カルダローダ様が到着致しました」
「あぁ。待っていたぞ。ふむ、気が強そうで何よりだ。これから第六夫人として後宮で過ごす様に。あと、此処にサインをしておけ」
バサリと投げる様に渡されたのは婚姻届。
「嫌よ!サインしたくないわっ。第六夫人だなんて」
私がそう拒否するとガルゴンは鼻で笑った。
「グレイスよ、この場でサインをせねばお前は毒杯なのだろう?我が国にもお前の話は伝わっている。見目の良い男を誑かせる事が出来なくて残念だったな。クククッ。お前のその我儘が後宮で通用すると良いがな。生き残れば第一側妃までのし上がれるぞ?」
ガルゴンはそう楽しそうに私に言ってきた。ここでサインをしなければ毒杯。私は仕方なくサインをする。
「サインをしたな。では後宮に案内する」
なんとガルゴン自らが後宮へと案内するのだという。私は驚いた。
「ん?何か不満か?夫となったのだ。これくらいはしてやらんとな」
そう言いつつ、私は後宮へと連れてこられた。
「ガルゴン様。待っておりましたわ!今度私の部屋へいつ訪れて下さるの?あらこの方は?」
「ローラ、久しぶりだな。この娘は今日から第六夫人のグレイスだ。この後宮のルールなどを後で教えておいてくれ」
「あら、この方が。わかりましたわ。ではまた」
ローラという女は私を値踏みするように視線を向けた後、部屋へと去っていった。
「グレイス、ここが今日からお前の部屋だ」
そうして部屋に着くと、思っていたより小さな部屋で最低限の家具しか置かれていなかった。
「私は王女なのよ!?こんなに狭い部屋だなんて馬鹿にしているわっ!」
私が不満を言うとガルゴンがクククッと笑っている。
「ここは一番位の低い部屋だ。説明をしておく。その前に、さぁまず、この茶を飲め」
ガルゴンの従者に淹れられたお茶を口にする。いつも飲んでいるお茶とは違い、甘い香りの中に少し苦味が舌を刺激する。不思議な味。
「飲んだな。後宮内は実力主義で部屋が変わっていく。正妃以外がこの後宮で暮らしておる。妃の強さにより順番が変わっていくのだ、といってもここ二年程第三側妃までの順位は変わっておらんがな。
多い時は第十夫人まで暮らしていたが今はグレイスの第六以降はおらん。詳しいルールは先ほど会った第三側妃のローラに話を聞くといい。……薬が効いてきたな」
ガルゴンがニタリと笑っている。どうやら薬の入ったお茶を飲んだみたい。
「なんの薬を飲ませたのよっ!」
そう言いながら部屋を出ようと立ち上がろうとした時、ガルゴンがそのまま抱き上げてベッドへと投げられた。
「お前はここに来る前に見目の良い男に媚薬を使ったのだろう?あれは興奮するようなやつだが、グレイスが飲んだ薬とは違うぞ?どれ、敏感に感じているだろう?クククッ。野良猫を手懐けるのはまた一興。俺しか満足出来なくなる。さぁ、楽しむか」
「嫌よ!触らないで!いやぁぁ」
そうしてガルゴンと望まないまま初夜を迎えた。気が付けば朝になっていた。
どうやら第六夫人には専属の侍女は付かず食事以外は自分で身の回りをしなければいけないらしい。そんな事は聞いていないと泣き叫ぼうが誰も聞いてくれない。お風呂の入り方も分からなければドレスの着方も分からない。
それから後宮の暮らしは最悪だった。他の夫人たちから服の一つも着ることが出来ないのかと笑われる。どうやら従者は各家から連れてきているらしい。身一つで来た私に従者はいないし、祖国の兄に手紙を送っても返事は来ない。
我慢するのは服だけじゃない。髪は切られるし、強制的に呼ばれた夫人たちのお茶会では虫が入っていたり、毒が淹れられていた。偶にガルゴンは閨に訪れるけれど、後宮は側妃に任せているの一点張りで取り合ってくれない。
私がこんな扱いを受けるなんて絶対おかしいわ。私を虐める夫人たちを殺してしまえばいい。
……皆大なり小なりやっているんだもの気にする必要はないわ。
手始めに私は公務に付いていった第二側妃の部屋に忍び込み、薬を盗む。やはり側妃は過去の邪魔になった夫人たちを毒殺していたのね!私がやっても問題ないわ!
そうして一人、また一人と夫人達を毒殺していく。
時には暴力で夫人を黙らせて協力者にさせて。楽しいわ!後宮は私の天下になりつつある。
……この三年、とても長かったわ。
この間、第三側妃を蹴落とした。これで私は第三側妃になるのよ!
……どこで間違ったの?
何がいけなかったの?
私は今、後宮の一室で手足を切断されている。叫ぼうにも喉も焼かれて声が出ない。
「ガルゴン様、先日第三側妃となったグレイス様なのですが……病気のため動く事もままならないようです。死亡届を出しておきますわ」
「あぁ。グレイスはここまでか。仕方がない。新たに夫人を迎えるか」
話をする声が遠ざかっていく。何故?嫌よ!死にたくないわ!すると第一側妃が部屋へ入ってきて私に声を掛けた。
「馬鹿な子。やっぱり馬鹿は馬鹿のままだったわね。まぁ、毒杯を最初から飲んでいれば手足を切られる事もなかったでしょうに。
貴方はここでやりすぎたのよ。まぁ分かっているわよね。貴方の死亡届は出しておいたわ。これから捨てられるの。拾ってくれる人が沢山いる所にね。フフッ。さようなら」
従者によって私は後宮の外に連れ出され、強制労働者達の家の前に捨てられた。
自分から死ぬことも出来ずただ遊ばれ、暴力を振るわれる。
……こんなはずじゃなかった。
誰か、私を助けて。
【完】
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読ませて頂いて有難うございました。
hiyo様コメントありがとうございます。
最後までお読み頂きありがとうございます。。゚(゚´ω`゚)゚。
グレイスの最後は労働者階級の為のダルマ娼婦………。
因果応報ってヤツですね( ´ー`)フゥー...
死んだほうが良かったパターンですね。
リコ様コメント有難うございます。
毒杯を飲んでおけば…。(*´-`)
最後までお読みいただきありがとうございました⭐︎
カイトとラナ良かったね。
夢じゃないって言っていたカイトはラナだと思っていたから、きっとちゃんと素敵な初夜を迎えられたことでしょうね。
閲覧禁止のグレイスの処遇楽しみです🥰
リコ様コメント有難うございます。
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