【完結】我儘な王女

まるねこ

文字の大きさ
12 / 13

12 ラナSide3

しおりを挟む
「先生、私達は既に婚姻しています。このままカイト様と初夜を迎えますわ」
「ラナちゃん、いいのかい?こんな状態で。カイトは君を乱暴に扱うかもしれないんだよ?」
「お義父様、大丈夫です。カイト様を治すためですもの。それに娼館の方に任せてしまえばきっと私はカイト様も私自身も許せなくなると思うのです。こんなになるまで王女殿下を拒否してくれたのです。私もカイト様を支えたい」

その言葉に父もローゼフ子爵も何も言わなかった。何も言えなかったのかもしれない。暫く重い空気が流れた所で医務官が告げる。

「……ラナ様、ラナ様の覚悟は分かりました。子爵様方、宜しいですか?」
「あぁ。仕方がない」
「ラナちゃん、すまない」
「ではラナ様にお話がありますのでお二人は別室で待つかお帰りいただけますか?」
「そ、そうだな。すまない。ラナ、私達は一足先に家に帰る」
「……わかりました。お父様。有難うございます」

 私は頭を下げると父達は部屋を出て行った。残された医務官と私とカイト様。

「ラナ様、これからカイト様の縄を解きます。その前に侍女を呼び、湯浴みを。いくら患者の治療とはいえ、初夜は大切なものですから。湯浴み後にまた説明しますね」
「はい。先生」

 医務官はそう言うと部屋を出た。入れ替わるように侍女がやってきてすぐに湯浴みの準備に取り掛かってくれたわ。
どうやら侍女は王妃様付きの侍女で王妃様から直接指示を受けて来たらしい。私は侍女に頭の先から足の先まで洗われて今まで使ったことがないような化粧品やらマッサージまで受けた。
しっとりツヤツヤで感動してしまったわ。待たせているカイト様の状態を考えると申し訳ないのだけれど。
 そうして準備も終わり、また侍女が部屋を出ると医務官が部屋へ入ってきた。

「ラナ様、どうぞこの小瓶をお飲みください」
「先生これは?」
「これは痛みを緩和させるための物ですから飲んだ方が良いと思います。あと、潤滑油を置いておきますのでお使い下さい」

私は医務官に指示された通り小瓶を一気に飲み干す。効果が出るまで少し時間が掛かるのだろう、医務官は話を始めた。

「ラナ様、王妃様からの伝言がございます。『今回の件で迷惑を掛けたわ。グレイスは既に隣国へ送りつけた。カイト・ローゼフ子爵子息を拉致し、娘に宛がおうとした陛下の退位も決まった。
もう貴方達を引き裂く者はいないから安心して欲しい。謝罪や慰謝料は後ほど子爵にします。このような形で婚姻と初夜を迎えさせる事になってごめんなさい』という事です」

 そうか、やはり私達の事は筒抜けよね。王妃様にまで私達の事が知られていると思うと羞恥心で一杯になる。泣きたい。

「ではカイト様の縄を解きます。後はゆっくり彼に身体を預けるようにお願いします。治療ですから。気に病まずに」
「はい。皆様にとても良くしてもらって感謝しかありません。王妃様にも感謝していたとお伝え下さい」

私は医務官へお礼をいう。そうして医務官はカイト様の縄を解き部屋を後にした。

残された私はカイト様を覗き込む。

「……ラナ、ラナ」

夢うつつで私を呼んでいる。

「カイト様、私は此処にいるわ」

そうしてベッドへ入った。

……
……どれくらい時間が経ったのか分からない。

気づけば既に日が高かった。

 逞しい腕が私に絡んで離してくれそうにない。恥ずかしいけれど彼の胸板にそっと顔を埋める。

「ラナ?」
「カイト様?」

私はカイト様の顔を見ようと顔を上げると、カイト様は泣きそうになっている。

「あぁ、ラナ!本当にラナなのかな。俺が抱いていたのは夢じゃないよな」

そう言いながらギュウギュウと私を抱きしめてくる。

「く、苦しいですわっ。夢ではありません」
「ずっと君とこうしたかった。もう一生離さない。すぐにでも結婚しよう」
「ふふっ。嬉しいです。でも、一つだけ間違っていますよ。旦那様、私達は既に結婚しております。不束な嫁ですが宜しくお願いしますね」

 その言葉を聞いたカイト様の腕はまた私をギュッと抱きしめていた。色々な事が短期間で起こったけれど、皆に祝福され、幸せを掴むことができて本当に良かった。


【完】


ーーーーーーーーーーーー

最後までお読みいただきありがとうございました⭐︎
この後、グレイス王女の話が1話残っておりますが、【やや閲覧注意】部分も有りますので大丈夫な方のみお願いします。(´∀`)
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

断罪された薔薇の話

倉真朔
恋愛
悪名高きロザリンドの断罪後、奇妙な病気にかかってしまった第二王子のルカ。そんなこと知るよしもなく、皇太子カイルと彼の婚約者のマーガレットはルカに元気になってもらおうと奮闘する。  ルカの切ない想いを誰が受け止めてくれるだろうか。  とても切ない物語です。  この作品は、カクヨム、小説家になろうにも掲載中。   

貴方に私は相応しくない【完結】

迷い人
恋愛
私との将来を求める公爵令息エドウィン・フォスター。 彼は初恋の人で学園入学をきっかけに再会を果たした。 天使のような無邪気な笑みで愛を語り。 彼は私の心を踏みにじる。 私は貴方の都合の良い子にはなれません。 私は貴方に相応しい女にはなれません。

思いを込めてあなたに贈る

あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。

(完結)モブ令嬢の婚約破棄

あかる
恋愛
ヒロイン様によると、私はモブらしいです。…モブって何でしょう? 攻略対象は全てヒロイン様のものらしいです?そんな酷い設定、どんなロマンス小説にもありませんわ。 お兄様のように思っていた婚約者様はもう要りません。私は別の方と幸せを掴みます! 緩い設定なので、貴族の常識とか拘らず、さらっと読んで頂きたいです。 完結してます。適当に投稿していきます。

お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ

Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。 理由は決まって『従妹ライラ様との用事』 誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。 「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」 二人の想いは、重なり合えるのだろうか …… ※他のサイトにも公開しています。

【完結】悪役令嬢の薔薇

ここ
恋愛
公爵令嬢レオナン・シュタインはいわゆる悪役令嬢だ。だが、とんでもなく優秀だ。その上、王太子に溺愛されている。ヒロインが霞んでしまうほどに‥。

恋の終わりに

オオトリ
恋愛
「我々の婚約は、破棄された」 私達が生まれる前から決まっていた婚約者である、王太子殿下から告げられた言葉。 その時、私は 私に、できたことはーーー ※小説家になろうさんでも投稿。 ※一時間ごとに公開し、全3話で完結です。 タイトル及び、タグにご注意!不安のある方はお気をつけてください。

気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!

ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。 え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!! それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?

処理中です...