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26 魔獣討伐
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「クロエ魔法使い総団長、昨日は突然休みが欲しいと言っていたので心配になりましたよ」
「ごめんね。ちょっと魔女の村に用事があって。もう済んだから大丈夫」
「そうでしたか」
ラルド副官は心配して声をかけてくれた。
「今日は第二団が魔獣討伐に行く日だったね」
「はい。クロエ様からの課題が終わった者のみの参加になります」
「どれくらいの人数が参加するの?」
「半数程度でしょうか」
「それで足りるの?」
「厳しいでしょうね」
「そっかぁ。なら第三団の課題が終わった人たちも連れていけばいいんじゃないかな?」
「ですが、団を跨ぐと指揮系統が乱れるかもしれません」
ラルド副官は困ったような仕草をしている。団ごとに何かあるのだろうか?
誇りが汚されるとか?
記憶の中の騎士団はお互い助け合わないといけないほどだったから争いなどなかったけど、今は違うのかもしれない。
「いいよ。第二、第三、第四の課題が終わった人と一緒に私も付きそうから。どれだけやれるかちょうどいい機会だし、確認する」
ラルド副官は驚いたように、持っていた書類を机に勢いよく置いた。
「総団長が行かれるのですか?」
「うん。ラルド副官は書類を片付けなきゃいけないんだっけ」
「いえ! 私も一緒に行きます」
「書類は大丈夫なの?」
「数日放置していても問題ありません」
「そうなの? いつもラルド副官は忙しそうなのに」
私が不思議そうにしていると、ラルド副官はフッと笑顔になる。
「これくらい王子の時の執務の量に比べたら全然急ぐものでもないし、大したこともないですよ」
「ああ、たしかに。王族は大変だもんね。じゃあ、行こうか」
「はい」
私は第三、第四団に顔を出し、課題をクリアして暇をしている魔法使いたちを連れ出し、第二団の魔法使いたちと合流する。
訓練場には既に騎士団も整列をしていて出発式が行われる直前だったようだ。
「クロエ総団長と数名の魔法使いも急遽参加することになった。よろしく頼む」
魔法使い団では私の実力を見せたため、誰も文句を言う人はいなくなったけれど、騎士団はあからさまに私を軽蔑するような視線がいくつも見られている。
うん、覚えておこう。
今日の目的は王都の外で魔獣の大規模討伐のようだ。
こうして各団が定期的に行うことでスタンピードを防ぎ、技術の維持を行っている。
馬車に揺られ目的の場所に運ばれていく。本日の場所は王都の東側の森一帯のようだ。街道を中心とした魔獣狩りが行われる。
「では、これより東の森一帯の魔獣討伐を行う!クロエ魔法使い総団長、一言ありますか?」
「昔に比べ騎士、魔法使い共に力の低下にしており、モンシェール顧問も嘆き悲しんでいる! 今回、技術向上に寄与するため私も同行することにした。様々な困難が待ち受けているかもしれないが、一同協力して魔獣を討伐するように! 以上だ」
魔法使いたちは薄っすらこれからのことを考え暗い表情を浮かべているが、反対に騎士は私の言葉を馬鹿にしたように笑っている者さえいる。
あの笑った者たち、試練三倍増ししよう。
私はそう心に固く決めた。
団は数名の騎士と一人の魔法使いで一組になり、各方面に散らばりながら敵を倒していくようだ。
「クロエ総団長、何か楽しそうですね」
ラルド副官は後ろから私の様子を見て声を掛けてきた。
「ラルド副官、さっき私を笑った騎士達を覚えている?」
「もちろん」
「あそこの組とあそことあそこ、ここと、あそことー」
私は笑顔で指さしながら話をする。
「彼らをどうするのですか?」
「ん? 簡単だよ。こうするの」
私は詠唱を始める。
―漆黒の闇に包まれし魂よ、人々の輝きを感じよ。古の儀式を奏で香り高き者を教えん。魔獣よ、混沌の力を解き放ち、香り高き者達のもとに集え―
そう唱えると、赤く光った魔法円がいくつも複製され、私を笑った者たちの背中にぺたりとくっついた。
「これでいいね!」
「最近兵士たちは弛んでいると騎士団長たちもぼやいていたので良い薬ですね」
「あやつらにはちょうどいい。クロエ魔法使い総団長、感謝します」
第三騎士団団長の言葉に副官も頷いている。
「じゃ、見学しよっか」
みんなでふわりと浮かび上がり、上空から彼らの様子を見学し始めた。
背中に魔法円を付けた人たちは周りの人たちに指摘され、気付くものの、どうにもできずにいる。
一緒にいる魔法使いも解除できないようだ。なさけなくて涙が出てくる。
ユーグ師匠はもっと過激だからあの魔法円から魔獣を涌き出させていたかもしれない。そう考えれば、私は優しい方よね。
森にいる魔獣が寄ってくるだけなんだもん。
グォォォ。
グルルゥゥ。
オォォォ。
そこかしこから聞こえる魔獣の声。
森の中から魅惑的な香りの魔法円に向かって魔獣たちが集まり始め、騎士達は恐怖したようだ。
いくつかの組は隊列を崩し、逃亡を図ろうとしている。
「あの組はだめだね」
団長たちと団員の動きを見ながら今後のことを考えていく。
魔法使いの魔法も型にはまった使い方をしている人もいる。いくら課題を終える実力があっても実践ではまだまだのようだ。
私はというと、空中から風の玉を彼らの頭にぶつけていく。要は邪魔しているのだ。
大怪我を負いそうな場合は、もちろんラルド副官と回復魔法を投げたりしてギリギリのところを上手く調整していく。
ラルド副官も最初は戸惑っていたけれど、彼らの動きに合わせて魔法を使うようになった。
ある程度魔獣を倒したところで、私は魔法円を消した。
魔獣討伐が終わり、皆王宮騎士団訓練場へと戻ってきた。
ボロボロの姿で疲れ切っており、誰一人口を開くものはいないようだ。
「ごめんね。ちょっと魔女の村に用事があって。もう済んだから大丈夫」
「そうでしたか」
ラルド副官は心配して声をかけてくれた。
「今日は第二団が魔獣討伐に行く日だったね」
「はい。クロエ様からの課題が終わった者のみの参加になります」
「どれくらいの人数が参加するの?」
「半数程度でしょうか」
「それで足りるの?」
「厳しいでしょうね」
「そっかぁ。なら第三団の課題が終わった人たちも連れていけばいいんじゃないかな?」
「ですが、団を跨ぐと指揮系統が乱れるかもしれません」
ラルド副官は困ったような仕草をしている。団ごとに何かあるのだろうか?
誇りが汚されるとか?
記憶の中の騎士団はお互い助け合わないといけないほどだったから争いなどなかったけど、今は違うのかもしれない。
「いいよ。第二、第三、第四の課題が終わった人と一緒に私も付きそうから。どれだけやれるかちょうどいい機会だし、確認する」
ラルド副官は驚いたように、持っていた書類を机に勢いよく置いた。
「総団長が行かれるのですか?」
「うん。ラルド副官は書類を片付けなきゃいけないんだっけ」
「いえ! 私も一緒に行きます」
「書類は大丈夫なの?」
「数日放置していても問題ありません」
「そうなの? いつもラルド副官は忙しそうなのに」
私が不思議そうにしていると、ラルド副官はフッと笑顔になる。
「これくらい王子の時の執務の量に比べたら全然急ぐものでもないし、大したこともないですよ」
「ああ、たしかに。王族は大変だもんね。じゃあ、行こうか」
「はい」
私は第三、第四団に顔を出し、課題をクリアして暇をしている魔法使いたちを連れ出し、第二団の魔法使いたちと合流する。
訓練場には既に騎士団も整列をしていて出発式が行われる直前だったようだ。
「クロエ総団長と数名の魔法使いも急遽参加することになった。よろしく頼む」
魔法使い団では私の実力を見せたため、誰も文句を言う人はいなくなったけれど、騎士団はあからさまに私を軽蔑するような視線がいくつも見られている。
うん、覚えておこう。
今日の目的は王都の外で魔獣の大規模討伐のようだ。
こうして各団が定期的に行うことでスタンピードを防ぎ、技術の維持を行っている。
馬車に揺られ目的の場所に運ばれていく。本日の場所は王都の東側の森一帯のようだ。街道を中心とした魔獣狩りが行われる。
「では、これより東の森一帯の魔獣討伐を行う!クロエ魔法使い総団長、一言ありますか?」
「昔に比べ騎士、魔法使い共に力の低下にしており、モンシェール顧問も嘆き悲しんでいる! 今回、技術向上に寄与するため私も同行することにした。様々な困難が待ち受けているかもしれないが、一同協力して魔獣を討伐するように! 以上だ」
魔法使いたちは薄っすらこれからのことを考え暗い表情を浮かべているが、反対に騎士は私の言葉を馬鹿にしたように笑っている者さえいる。
あの笑った者たち、試練三倍増ししよう。
私はそう心に固く決めた。
団は数名の騎士と一人の魔法使いで一組になり、各方面に散らばりながら敵を倒していくようだ。
「クロエ総団長、何か楽しそうですね」
ラルド副官は後ろから私の様子を見て声を掛けてきた。
「ラルド副官、さっき私を笑った騎士達を覚えている?」
「もちろん」
「あそこの組とあそことあそこ、ここと、あそことー」
私は笑顔で指さしながら話をする。
「彼らをどうするのですか?」
「ん? 簡単だよ。こうするの」
私は詠唱を始める。
―漆黒の闇に包まれし魂よ、人々の輝きを感じよ。古の儀式を奏で香り高き者を教えん。魔獣よ、混沌の力を解き放ち、香り高き者達のもとに集え―
そう唱えると、赤く光った魔法円がいくつも複製され、私を笑った者たちの背中にぺたりとくっついた。
「これでいいね!」
「最近兵士たちは弛んでいると騎士団長たちもぼやいていたので良い薬ですね」
「あやつらにはちょうどいい。クロエ魔法使い総団長、感謝します」
第三騎士団団長の言葉に副官も頷いている。
「じゃ、見学しよっか」
みんなでふわりと浮かび上がり、上空から彼らの様子を見学し始めた。
背中に魔法円を付けた人たちは周りの人たちに指摘され、気付くものの、どうにもできずにいる。
一緒にいる魔法使いも解除できないようだ。なさけなくて涙が出てくる。
ユーグ師匠はもっと過激だからあの魔法円から魔獣を涌き出させていたかもしれない。そう考えれば、私は優しい方よね。
森にいる魔獣が寄ってくるだけなんだもん。
グォォォ。
グルルゥゥ。
オォォォ。
そこかしこから聞こえる魔獣の声。
森の中から魅惑的な香りの魔法円に向かって魔獣たちが集まり始め、騎士達は恐怖したようだ。
いくつかの組は隊列を崩し、逃亡を図ろうとしている。
「あの組はだめだね」
団長たちと団員の動きを見ながら今後のことを考えていく。
魔法使いの魔法も型にはまった使い方をしている人もいる。いくら課題を終える実力があっても実践ではまだまだのようだ。
私はというと、空中から風の玉を彼らの頭にぶつけていく。要は邪魔しているのだ。
大怪我を負いそうな場合は、もちろんラルド副官と回復魔法を投げたりしてギリギリのところを上手く調整していく。
ラルド副官も最初は戸惑っていたけれど、彼らの動きに合わせて魔法を使うようになった。
ある程度魔獣を倒したところで、私は魔法円を消した。
魔獣討伐が終わり、皆王宮騎士団訓練場へと戻ってきた。
ボロボロの姿で疲れ切っており、誰一人口を開くものはいないようだ。
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