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32 リディンナさんの薬
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一人の生活にも慣れた頃、突然ラルド魔法使い総団長から手紙が送られてきた。どうやらすぐに私に魔法使い棟まで来てほしいということらしい。
一体どうしたのかな。
私はワンピース姿にローブを羽織り、ラルド魔法使い総団長の元に転移した。
「ラルド総団長、久しぶり」
「クロエ殿!!」
ラルド総団長は待っていましたとばかりに眉を下げ、抱きつきそうなほどの状態だった。
何かとても困った事態がおきたの?
私は困惑して彼に聞いてみた。
「ラルド総団長、何かあったの?」
「よくお戻りになりました!! どうか、クロエ殿、どうか私と結婚してください」
「へっ!?」
今、何ていった?
何かおかしな言葉が聞こえてきた気がする。
「クロエ殿、どうか私と結婚してください」
「はっ? 突然どうしたの? 頭がおかしくなっちゃった?」
私の言葉にジェイド副官がプッと息を噴き出した。
「魔女クロエ様、どうぞこちらにおかけ下さい」
ジェイド副官は笑いを堪えながら私をソファに案内する。ラルド総団長は困ったと言わんばかりの表情で向かいに座った。
「で、私と結婚したいという原因は何?」
「えっと、実は……父からそろそろ婚姻するようにと言われた。高位貴族令嬢と婚姻するのは王族の務めではあるんだが、今、婚約者のいない令嬢は訳ありの令嬢ばかりなんだ。
多少の我儘であれば私も受け入れるんだが、一癖も二癖もある令嬢と生涯を添い遂げると思うと逃げたくもなる」
「で、なんで私なの? 私は黒色を持つ平民だよ」
「それはクロエ殿が魔法使い総団長としての経歴があるし、私もクロエ殿となら今すぐにでも婚姻したいと……」
彼は何か尻すぼみに言葉を発しているが、最後が上手く聞き取れなかった。
「ん? でも黒色は嫌われているからみんな反対するよ。ね、ジェイド副官」
「まあ、そうですね。だけど、ラルド総団長と釣り合うような令嬢も居ないし……」
私はジェイド副官が言葉を濁そうとしている意味をちゃんと理解しているつもりだ。
魔法使いのことを理解してくれるような伴侶でないと困るんじゃないかな。
魔法使いに理解がある貴族令嬢……この王都にはいなさそうだ。
いつの時代も令嬢は着飾ることが好きな人が多い。ユーグ師匠の記憶の中に登場する令嬢たちにユーグ師匠も困っていたっけ。
ふと、そんな過去を思い出して一人の人物に思い当たった。
「話は分かった。その話はしばらく待ってて」
「え? いや、あのっ……」
ラルド総団長は何かを言おうとしていたが、私は気づかず立ち上がり、そのまま魔女の村へと転移していった。
「リディンナさん、いますかー?」
「おやクロエじゃないかぇ。今日はどうしたんだぇ?」
「アリアさんっています?」
「あの子ならほらっ、あっちの家にいるぇ。最近、ようやく独り立ちできるまでになったよぉ。真面目な娘っ子だねぇ」
「そっか。彼女、独り立ちできるほどにまでなったんだ。ちょうど良かったよ」
「おやおや、クロエ。彼女を連れていく気かぇ?」
「んーどうかな。今王宮の魔法使い総団長が婚約者を探していてね、アリアさんはまだ貴族籍を抜けていないからいい縁談だと思うんだけど、リディンナさんはどう思う?」
私はさっきあった出来事を詳しく話をする。
こればかりは本人の将来に関わることなので無理強いはできないけれど、侯爵家の後継ぎとして必死になっていたアリアさんを思えばやはり貴族でいたいような気もするんだよね。
彼女は貴族令嬢として申し分ない。
ただリディンナさんは彼女の師匠なのでその辺はちゃんと確認しておかないといけない。
「そうねぇ。彼女なら貴族に戻っても問題ないわねぇ。今の魔法使い総団長は王族で彼女を守るにはいい話だねぇ」
「あとは本人がどう思うか、なのかねぇ。そうだ、いいことを思いつたぇ」
ニヒヒと不敵に笑うリディンナさんに呆れた。彼女にとっておきの祝いの品を思いついたのだろう。
「クロエ、こっちへ来て手伝ってちょうだい」
「はいはい」
リディンナさんは窯に様々な薬草を入れて、詠唱と共に魔力を流しながら薬を作っていく。
「リディンナさん、これは?」
私はエティ師匠の知識もあるけれど、魔法を基とした物が多かったので薬草を基にする薬の知識は薄いの。
「これはね、お互いの魅力に気づく魔法薬なのぇ」
「お互いということは両方に飲ませなければいけないの?」
「そうさぇ。クロエなら飲ませられるだろう?」
「まぁ……」
「問題ないわぁ。お互いの魅力に気づくだけの薬だから違法でもなんでもないねぇ」
リディンナさんはそう言いながら液体を二つの可愛い小瓶に液体を入れた。
今からリディンナさんがアリアさんに飲ませ、私はラルド総団長に飲ませる。
ただそれだけでいいらしい。
魔力を注ぎ入れたのにも拘わらず、薬には魔力が宿っていないのが見て取れる。さすがリディンナさんだ。魔力は全て薬草の成分に変化しているのね。
「これを食品に混ぜてもいいし、直接飲ませるのもいいわねぇ」
「分かった。それはこっちでなんとかしておくね。上手くいくかなぁ」
「大丈夫よ。クロエはまだ結婚したくないんよねぇ?」
「うん。ちゃんと師匠が生まれ変わってくるのを見届けようと思ってるんだ」
「健気な子ねぇ。はい、これをきっちりと飲ませるのよぉ。一口飲めば効果はひと月ほどかしらねぇ」
「リディンナさん、わかった。また明日くるから」
「はいはい」
こうして私は小瓶を一つもらって自分の家に戻った。
一体どうしたのかな。
私はワンピース姿にローブを羽織り、ラルド魔法使い総団長の元に転移した。
「ラルド総団長、久しぶり」
「クロエ殿!!」
ラルド総団長は待っていましたとばかりに眉を下げ、抱きつきそうなほどの状態だった。
何かとても困った事態がおきたの?
私は困惑して彼に聞いてみた。
「ラルド総団長、何かあったの?」
「よくお戻りになりました!! どうか、クロエ殿、どうか私と結婚してください」
「へっ!?」
今、何ていった?
何かおかしな言葉が聞こえてきた気がする。
「クロエ殿、どうか私と結婚してください」
「はっ? 突然どうしたの? 頭がおかしくなっちゃった?」
私の言葉にジェイド副官がプッと息を噴き出した。
「魔女クロエ様、どうぞこちらにおかけ下さい」
ジェイド副官は笑いを堪えながら私をソファに案内する。ラルド総団長は困ったと言わんばかりの表情で向かいに座った。
「で、私と結婚したいという原因は何?」
「えっと、実は……父からそろそろ婚姻するようにと言われた。高位貴族令嬢と婚姻するのは王族の務めではあるんだが、今、婚約者のいない令嬢は訳ありの令嬢ばかりなんだ。
多少の我儘であれば私も受け入れるんだが、一癖も二癖もある令嬢と生涯を添い遂げると思うと逃げたくもなる」
「で、なんで私なの? 私は黒色を持つ平民だよ」
「それはクロエ殿が魔法使い総団長としての経歴があるし、私もクロエ殿となら今すぐにでも婚姻したいと……」
彼は何か尻すぼみに言葉を発しているが、最後が上手く聞き取れなかった。
「ん? でも黒色は嫌われているからみんな反対するよ。ね、ジェイド副官」
「まあ、そうですね。だけど、ラルド総団長と釣り合うような令嬢も居ないし……」
私はジェイド副官が言葉を濁そうとしている意味をちゃんと理解しているつもりだ。
魔法使いのことを理解してくれるような伴侶でないと困るんじゃないかな。
魔法使いに理解がある貴族令嬢……この王都にはいなさそうだ。
いつの時代も令嬢は着飾ることが好きな人が多い。ユーグ師匠の記憶の中に登場する令嬢たちにユーグ師匠も困っていたっけ。
ふと、そんな過去を思い出して一人の人物に思い当たった。
「話は分かった。その話はしばらく待ってて」
「え? いや、あのっ……」
ラルド総団長は何かを言おうとしていたが、私は気づかず立ち上がり、そのまま魔女の村へと転移していった。
「リディンナさん、いますかー?」
「おやクロエじゃないかぇ。今日はどうしたんだぇ?」
「アリアさんっています?」
「あの子ならほらっ、あっちの家にいるぇ。最近、ようやく独り立ちできるまでになったよぉ。真面目な娘っ子だねぇ」
「そっか。彼女、独り立ちできるほどにまでなったんだ。ちょうど良かったよ」
「おやおや、クロエ。彼女を連れていく気かぇ?」
「んーどうかな。今王宮の魔法使い総団長が婚約者を探していてね、アリアさんはまだ貴族籍を抜けていないからいい縁談だと思うんだけど、リディンナさんはどう思う?」
私はさっきあった出来事を詳しく話をする。
こればかりは本人の将来に関わることなので無理強いはできないけれど、侯爵家の後継ぎとして必死になっていたアリアさんを思えばやはり貴族でいたいような気もするんだよね。
彼女は貴族令嬢として申し分ない。
ただリディンナさんは彼女の師匠なのでその辺はちゃんと確認しておかないといけない。
「そうねぇ。彼女なら貴族に戻っても問題ないわねぇ。今の魔法使い総団長は王族で彼女を守るにはいい話だねぇ」
「あとは本人がどう思うか、なのかねぇ。そうだ、いいことを思いつたぇ」
ニヒヒと不敵に笑うリディンナさんに呆れた。彼女にとっておきの祝いの品を思いついたのだろう。
「クロエ、こっちへ来て手伝ってちょうだい」
「はいはい」
リディンナさんは窯に様々な薬草を入れて、詠唱と共に魔力を流しながら薬を作っていく。
「リディンナさん、これは?」
私はエティ師匠の知識もあるけれど、魔法を基とした物が多かったので薬草を基にする薬の知識は薄いの。
「これはね、お互いの魅力に気づく魔法薬なのぇ」
「お互いということは両方に飲ませなければいけないの?」
「そうさぇ。クロエなら飲ませられるだろう?」
「まぁ……」
「問題ないわぁ。お互いの魅力に気づくだけの薬だから違法でもなんでもないねぇ」
リディンナさんはそう言いながら液体を二つの可愛い小瓶に液体を入れた。
今からリディンナさんがアリアさんに飲ませ、私はラルド総団長に飲ませる。
ただそれだけでいいらしい。
魔力を注ぎ入れたのにも拘わらず、薬には魔力が宿っていないのが見て取れる。さすがリディンナさんだ。魔力は全て薬草の成分に変化しているのね。
「これを食品に混ぜてもいいし、直接飲ませるのもいいわねぇ」
「分かった。それはこっちでなんとかしておくね。上手くいくかなぁ」
「大丈夫よ。クロエはまだ結婚したくないんよねぇ?」
「うん。ちゃんと師匠が生まれ変わってくるのを見届けようと思ってるんだ」
「健気な子ねぇ。はい、これをきっちりと飲ませるのよぉ。一口飲めば効果はひと月ほどかしらねぇ」
「リディンナさん、わかった。また明日くるから」
「はいはい」
こうして私は小瓶を一つもらって自分の家に戻った。
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