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新章 切掛
44 魔女と魔法使いの違い
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「クロエ魔術師最高顧問、質問なのですが魔女というのは薬草や占いを得意としている人たちという認識であっていますか?」
え?
私は不思議に思い立ち止まってしまった。
「どういうこと? 魔女もいないの? いや、魔女の村は確かになくなったけど……」
「今現在でも小さな村には魔女がいると聞いていますが、ほとんどいないでしょう。詳しくはわからないのです」
「そっか。実は魔女と魔法使いの違いはほとんどないの。私を見てもわかる通り、私も魔法を使うし、薬だって占いもする。
女の人が魔女と名乗っているだけ。女の人は薬や占いを得意とする人が多くて、魔法円や魔法を得意とする人は男の人が多かったから自然とそうなったのかも。
昔はね、黒い色を持つ人たちも多くて迫害から逃れるために村を作ったのが魔女の村なんだ。そこでは魔力のある人たちが普通に生活していたんだ」
「なるほど、そうなんですね」
昔話をしているうちにフィルさんの執務室へと辿り着き、部屋に入った。
「クロエ様、今、お茶を淹れますね」
フィルさん自らお茶を淹れようとカップに手を取った時に私はずっと思っていたことを口にした。
「フィルさん、このお茶を淹れる水はどこから汲んでいるの?」
「さあ? 王宮で使われている井戸から汲み上げていると思いますが、それがどうかしたのですか?」
「あのさ、ずっと思っていたんだよね。魔法使いがいなくなって、資料も無くなったからきっと誰も知らないの。私が渡した本を読んでも感じたと思うんだけど、昔の魔法使いはもっと大がかりな魔法を使っているでしょう?」
「そうですね。我々が使っている魔法はあの本を見た後では本当に初期魔法に毛が生えた程度だったのだと知りました」
「そもそも魔力があるのに使える魔力が少ないんだよ。これはあくまで私の推測でしかないんだけど……」
「はい」
「昨日、フィルさんたちが話をしていたアーズワースって人は本当に魔法の無い世界にしようとしていたんだと思う」
「魔法の無い世界……」
「資料も消し、魔力を減らし、魔法使いや魔女を次々と殺害していった。平和な世界を本気で目指していたか、忌み子である自分が嫌になり暴挙に出たか。理由は分からないけどね」
「忌み子、ですか?」
「うん。前にも話をしたけど、昔は黒色を持つ人は忌み子として扱われていたの。私もしょっちゅう村人から石を投げられていたんだよ」
ずっとずっと遠い記憶。
嫌われていたから辛いなんて考えてもいなかった。もう、母親の顔さえ覚えていないけど。
微かに覚えている優しい肌の温もり。
母たちはとうの昔に生まれ変わってまた亡くなっているのだと思う。
いけない、少し思い出しすぎた。
「クロエ様はどうして魔法使いのいない世界を作ろうとしたかわかるのですか?」
「それは、この水」
「……水?」
「これはきっと大罪の水と呼ばれるものだと思う。私も記憶を持っているだけで実際に見たことはないんだ」
「大罪の水とはどういったものなのですか?」
「大罪の水を体内に取り込むと、魔力の出力器官に溜まって詰まらせてしまうの。体外に魔力を出させないようにするためのもの。それが三百年前に各国の井戸に投げ込まれた」
私の話を聞いてフィルさんは真剣に聞いてきた。
「それは本当の話ですか?」
疑うのも仕方がないよね。実際に魔力が無くなったとは聞かないから。三百年前の魔法使いたちは本当に大混乱だったのだと思う。
「さあ? 本当かは分からない。でも私から見える一人一人の魔力と使っている魔力には差がありすぎる。三百年前の大罪の水が未だ影響しているんじゃないかな」
「……」
フィルさんは黙り込んでしまった。しばらく待った後、彼は言葉を選ぶように口を開いた。
「クロエ様、本当の話なのでしょうか。いや、本当のことだとして大罪の水というものは取り除くことは可能なのですか? それとその水を飲んで影響を受けている私たちを治療する方法はあるのでしょうか?」
「わからない」
「わからない、というのは……」
「私は実物を見たことがないって言ったでしょう? しかも作られたのは三百年も前と考えると、今どうなっているかもわからない状況ではどうにもできない。それと解除薬と治療薬は師匠が作ろうとしていたけど、完成には至らなかったんだもん」
「……そうなんですね」
「フィルさん、王宮と王都の街の中にある井戸の場所ってわかる?」
「いえ、すぐには……」
「なら二週間後にまた来るからそれまでに用意しておいて」
「わかりました。その間、クロエ様は?」
「私は大罪の水を中和させる魔法薬を作ってみるよ。手が離せないからその間は連絡できない」
「わかりました」
「そうだ! その間にみんなに課題を出していかないとね!」
「……課題、ですか?」
「うん。みんな魔術師として成長したいんでしょう?」
「ええ、まあ、そうですが」
「じゃあ、みんなの集まっているところに挨拶も兼ねていこっか」
「は、はい」
魔術師たちは研究目的で集められた人がほとんどのようで昔のような複数の団に分けるほどの人数はいないようだ。
大きな部屋に魔術師たちはいた。三十人程度だろうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
流行り病で高熱を出している間にストックが切れて更新が止まってしまいました。
すみませんでした。汗
え?
私は不思議に思い立ち止まってしまった。
「どういうこと? 魔女もいないの? いや、魔女の村は確かになくなったけど……」
「今現在でも小さな村には魔女がいると聞いていますが、ほとんどいないでしょう。詳しくはわからないのです」
「そっか。実は魔女と魔法使いの違いはほとんどないの。私を見てもわかる通り、私も魔法を使うし、薬だって占いもする。
女の人が魔女と名乗っているだけ。女の人は薬や占いを得意とする人が多くて、魔法円や魔法を得意とする人は男の人が多かったから自然とそうなったのかも。
昔はね、黒い色を持つ人たちも多くて迫害から逃れるために村を作ったのが魔女の村なんだ。そこでは魔力のある人たちが普通に生活していたんだ」
「なるほど、そうなんですね」
昔話をしているうちにフィルさんの執務室へと辿り着き、部屋に入った。
「クロエ様、今、お茶を淹れますね」
フィルさん自らお茶を淹れようとカップに手を取った時に私はずっと思っていたことを口にした。
「フィルさん、このお茶を淹れる水はどこから汲んでいるの?」
「さあ? 王宮で使われている井戸から汲み上げていると思いますが、それがどうかしたのですか?」
「あのさ、ずっと思っていたんだよね。魔法使いがいなくなって、資料も無くなったからきっと誰も知らないの。私が渡した本を読んでも感じたと思うんだけど、昔の魔法使いはもっと大がかりな魔法を使っているでしょう?」
「そうですね。我々が使っている魔法はあの本を見た後では本当に初期魔法に毛が生えた程度だったのだと知りました」
「そもそも魔力があるのに使える魔力が少ないんだよ。これはあくまで私の推測でしかないんだけど……」
「はい」
「昨日、フィルさんたちが話をしていたアーズワースって人は本当に魔法の無い世界にしようとしていたんだと思う」
「魔法の無い世界……」
「資料も消し、魔力を減らし、魔法使いや魔女を次々と殺害していった。平和な世界を本気で目指していたか、忌み子である自分が嫌になり暴挙に出たか。理由は分からないけどね」
「忌み子、ですか?」
「うん。前にも話をしたけど、昔は黒色を持つ人は忌み子として扱われていたの。私もしょっちゅう村人から石を投げられていたんだよ」
ずっとずっと遠い記憶。
嫌われていたから辛いなんて考えてもいなかった。もう、母親の顔さえ覚えていないけど。
微かに覚えている優しい肌の温もり。
母たちはとうの昔に生まれ変わってまた亡くなっているのだと思う。
いけない、少し思い出しすぎた。
「クロエ様はどうして魔法使いのいない世界を作ろうとしたかわかるのですか?」
「それは、この水」
「……水?」
「これはきっと大罪の水と呼ばれるものだと思う。私も記憶を持っているだけで実際に見たことはないんだ」
「大罪の水とはどういったものなのですか?」
「大罪の水を体内に取り込むと、魔力の出力器官に溜まって詰まらせてしまうの。体外に魔力を出させないようにするためのもの。それが三百年前に各国の井戸に投げ込まれた」
私の話を聞いてフィルさんは真剣に聞いてきた。
「それは本当の話ですか?」
疑うのも仕方がないよね。実際に魔力が無くなったとは聞かないから。三百年前の魔法使いたちは本当に大混乱だったのだと思う。
「さあ? 本当かは分からない。でも私から見える一人一人の魔力と使っている魔力には差がありすぎる。三百年前の大罪の水が未だ影響しているんじゃないかな」
「……」
フィルさんは黙り込んでしまった。しばらく待った後、彼は言葉を選ぶように口を開いた。
「クロエ様、本当の話なのでしょうか。いや、本当のことだとして大罪の水というものは取り除くことは可能なのですか? それとその水を飲んで影響を受けている私たちを治療する方法はあるのでしょうか?」
「わからない」
「わからない、というのは……」
「私は実物を見たことがないって言ったでしょう? しかも作られたのは三百年も前と考えると、今どうなっているかもわからない状況ではどうにもできない。それと解除薬と治療薬は師匠が作ろうとしていたけど、完成には至らなかったんだもん」
「……そうなんですね」
「フィルさん、王宮と王都の街の中にある井戸の場所ってわかる?」
「いえ、すぐには……」
「なら二週間後にまた来るからそれまでに用意しておいて」
「わかりました。その間、クロエ様は?」
「私は大罪の水を中和させる魔法薬を作ってみるよ。手が離せないからその間は連絡できない」
「わかりました」
「そうだ! その間にみんなに課題を出していかないとね!」
「……課題、ですか?」
「うん。みんな魔術師として成長したいんでしょう?」
「ええ、まあ、そうですが」
「じゃあ、みんなの集まっているところに挨拶も兼ねていこっか」
「は、はい」
魔術師たちは研究目的で集められた人がほとんどのようで昔のような複数の団に分けるほどの人数はいないようだ。
大きな部屋に魔術師たちはいた。三十人程度だろうか。
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流行り病で高熱を出している間にストックが切れて更新が止まってしまいました。
すみませんでした。汗
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