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新章 切掛
51 魔術師顧問の副官
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「ロシュフォードさん、そろそろ起きる時間だよ」
私は寝ている彼の額に手をかざし、魔力の状態を確認する。彼はあの魔法を使い、詳細に映し出したようだ。
魔力をすべて使い、生命力も少し削ったようだ。
私は魔力を流し、魔法で絡まり、滞っている魔力を解いていく。
「よし、これでもう大丈夫だね」
私はそばにあった椅子に座り、彼の様子を見ていると、彼はぱちりと目を開けた。
「ロシュフォードさん、おはよう」
「ここは……?自分の部屋?」
「そうだよ。ロシュフォードさんは無罪が決まったから家に戻ってきたんだ」
「そうなのですね。クロエ様、ありがとうございます」
「さて、ロシュフォードさんは今、ジルディット殿下の側近をクビになった。つまり無職だよね。奥さんは?」
「妻は、子供と共に実家に戻っています」
「そっか。呼び戻すといいよ。これからは私の部下として働いてもらうから」
「……いいのですか?」
「うん。そういう契約だったでしょう? 私はロシュフォードさんに色々とやってもらいたいことがあるんだ」
「やってもらいたいこと、ですか」
「うん。でもまあ、眠り続けて体力も落ちただろうから起きるのも大変だろうし、動けるようになったら私に手紙をちょうだい」
「わかりました」
「じゃ、またくるよ」
私は言い残すようにそのまま家に戻った。
やることが沢山ありすぎて目が回りそうだ。
でも、この忙しさは嫌いじゃない。
この世界の傍観者だった私がこうしてまた関わることができた。後悔のないようにやりきっていきたい。
そうして二週間が経った。
ジルディット殿下は最初こそメルローズ妃の魔力を抜く練習に四苦八苦していたけれど、徐々に慣れ、今では毎朝の日課として魔力暴走が起きない程度に彼女の魔力を抜いている。
お腹の子供も順調に育っているようだ。
「クロエ様、ようやく身体も元に戻り、クロエ様にお仕えできるまでに回復しました」
「ロシュフォードさん、待ってたよ」
魔術師顧問の執務室へとやってきたロシュフォードさんはジルディッド殿下の側近を外されているため、制服ではないが、かっちりとした服装をしている。髭を剃り、髪も撫でつけて清潔感がある。
「これからロシュフォードさんは私の下で働いてもらうからこの制服になる。明日からこれを着てきてね。あと給料は魔術師顧問の副官ということで」
そう言いながら私は私がデザインした魔術師の制服、ローブ、バッヂと契約書を渡した。
「契約書はただの契約書だけど、ちゃんと確認してね」
「はい」
ロシュフォードさんは契約書をしっかり読んだ後、サインをする。
「私で本当にいいのでしょうか?」
「うん。これからよろしくね。副官」
「こちらこそよろしくお願いします」
私は早速ロシュフォードさんにローブとバッヂを付けてもらい、魔術師の人たちに挨拶をしにいく。
フィルさんや一部の貴族たちは驚いていたけれど、彼が無実だということを知っているし、ジルディッド殿下の元側近でとても優秀だということを知っているので特に反対はなかった。
「さて、挨拶も終わったし、まずは覚えてもらうことからはじめようか」
私は笑顔でそう言いながら昔の王宮魔法使い志望の学生が使う本を現代語に訳した本を数冊手渡した。
「これは……?」
「ロシュフォードさんは治療薬を飲み、今王族以外で一番魔力を使える状態なんだ。色々ロシュフォードさんにはやって欲しいことがあるからね」
「わかりました。私にどこまで出来るかは分かりませんが、一生懸命頑張ります」
私の斜め向かいに一つの机を準備してもらい、彼は副官として執務室で仕事をすることになった。
彼は真面目で魔法についての知識をしっかりと覚えていった。もともとジルディッド殿下の影響で魔法の知識はあったのが良かったのかもしれない。
最初の三ヶ月はほぼ知識の習得をするため机で本と向き合い、その後、技術の習得を目指すため訓練場で魔法の訓練を始めた。
この訓練は他の魔術師たちも参加している。
彼は魔術師としてめきめきと頭角を現してきていた。
ジルディッド殿下はというと、彼が私の副官として仕えたことで心配事が一つ解決したようだ。たまに私の執務室を訪れては彼と話をしてから戻っていく。
そうして一年が過ぎ、メルローズ妃は王子を産んだ。
世間は祝福に包まれた。私が見えていた大まかな流れがその通りになっているようだ。御子はアルノルドと名付けられた。
ジルディット殿下は私の忠告を守り、南部との折衝を早いうちから始め、衝突は回避された。またそのことでメルローズ妃と不仲になることもなかったようだ。
アルノルド王子が一歳になったころ、メルローズ妃は再び懐妊したことで国はお祝いムードで明るい雰囲気となっていた。
この頃になると、私が準備をしていた大罪の水の解除薬と治療薬で国中の貴族を中心として魔術に興味を持ち始める人も増えてきて魔術師棟の活動も活発になってきた。
もうすぐ、もうすぐだ。
メルローズ妃の第二子はアルノルド王子よりも魔力が多く、ジルディット殿下が朝晩魔力を抜く必要があった。
その魔力の多さに陛下も王妃陛下も喜んでいるようだ。
国王陛下はというと、私に奴隷契約のような契約を結ぼうとして怒られて以降、ジルディット殿下を窓口にして接触は最低限になっている。
私は寝ている彼の額に手をかざし、魔力の状態を確認する。彼はあの魔法を使い、詳細に映し出したようだ。
魔力をすべて使い、生命力も少し削ったようだ。
私は魔力を流し、魔法で絡まり、滞っている魔力を解いていく。
「よし、これでもう大丈夫だね」
私はそばにあった椅子に座り、彼の様子を見ていると、彼はぱちりと目を開けた。
「ロシュフォードさん、おはよう」
「ここは……?自分の部屋?」
「そうだよ。ロシュフォードさんは無罪が決まったから家に戻ってきたんだ」
「そうなのですね。クロエ様、ありがとうございます」
「さて、ロシュフォードさんは今、ジルディット殿下の側近をクビになった。つまり無職だよね。奥さんは?」
「妻は、子供と共に実家に戻っています」
「そっか。呼び戻すといいよ。これからは私の部下として働いてもらうから」
「……いいのですか?」
「うん。そういう契約だったでしょう? 私はロシュフォードさんに色々とやってもらいたいことがあるんだ」
「やってもらいたいこと、ですか」
「うん。でもまあ、眠り続けて体力も落ちただろうから起きるのも大変だろうし、動けるようになったら私に手紙をちょうだい」
「わかりました」
「じゃ、またくるよ」
私は言い残すようにそのまま家に戻った。
やることが沢山ありすぎて目が回りそうだ。
でも、この忙しさは嫌いじゃない。
この世界の傍観者だった私がこうしてまた関わることができた。後悔のないようにやりきっていきたい。
そうして二週間が経った。
ジルディット殿下は最初こそメルローズ妃の魔力を抜く練習に四苦八苦していたけれど、徐々に慣れ、今では毎朝の日課として魔力暴走が起きない程度に彼女の魔力を抜いている。
お腹の子供も順調に育っているようだ。
「クロエ様、ようやく身体も元に戻り、クロエ様にお仕えできるまでに回復しました」
「ロシュフォードさん、待ってたよ」
魔術師顧問の執務室へとやってきたロシュフォードさんはジルディッド殿下の側近を外されているため、制服ではないが、かっちりとした服装をしている。髭を剃り、髪も撫でつけて清潔感がある。
「これからロシュフォードさんは私の下で働いてもらうからこの制服になる。明日からこれを着てきてね。あと給料は魔術師顧問の副官ということで」
そう言いながら私は私がデザインした魔術師の制服、ローブ、バッヂと契約書を渡した。
「契約書はただの契約書だけど、ちゃんと確認してね」
「はい」
ロシュフォードさんは契約書をしっかり読んだ後、サインをする。
「私で本当にいいのでしょうか?」
「うん。これからよろしくね。副官」
「こちらこそよろしくお願いします」
私は早速ロシュフォードさんにローブとバッヂを付けてもらい、魔術師の人たちに挨拶をしにいく。
フィルさんや一部の貴族たちは驚いていたけれど、彼が無実だということを知っているし、ジルディッド殿下の元側近でとても優秀だということを知っているので特に反対はなかった。
「さて、挨拶も終わったし、まずは覚えてもらうことからはじめようか」
私は笑顔でそう言いながら昔の王宮魔法使い志望の学生が使う本を現代語に訳した本を数冊手渡した。
「これは……?」
「ロシュフォードさんは治療薬を飲み、今王族以外で一番魔力を使える状態なんだ。色々ロシュフォードさんにはやって欲しいことがあるからね」
「わかりました。私にどこまで出来るかは分かりませんが、一生懸命頑張ります」
私の斜め向かいに一つの机を準備してもらい、彼は副官として執務室で仕事をすることになった。
彼は真面目で魔法についての知識をしっかりと覚えていった。もともとジルディッド殿下の影響で魔法の知識はあったのが良かったのかもしれない。
最初の三ヶ月はほぼ知識の習得をするため机で本と向き合い、その後、技術の習得を目指すため訓練場で魔法の訓練を始めた。
この訓練は他の魔術師たちも参加している。
彼は魔術師としてめきめきと頭角を現してきていた。
ジルディッド殿下はというと、彼が私の副官として仕えたことで心配事が一つ解決したようだ。たまに私の執務室を訪れては彼と話をしてから戻っていく。
そうして一年が過ぎ、メルローズ妃は王子を産んだ。
世間は祝福に包まれた。私が見えていた大まかな流れがその通りになっているようだ。御子はアルノルドと名付けられた。
ジルディット殿下は私の忠告を守り、南部との折衝を早いうちから始め、衝突は回避された。またそのことでメルローズ妃と不仲になることもなかったようだ。
アルノルド王子が一歳になったころ、メルローズ妃は再び懐妊したことで国はお祝いムードで明るい雰囲気となっていた。
この頃になると、私が準備をしていた大罪の水の解除薬と治療薬で国中の貴族を中心として魔術に興味を持ち始める人も増えてきて魔術師棟の活動も活発になってきた。
もうすぐ、もうすぐだ。
メルローズ妃の第二子はアルノルド王子よりも魔力が多く、ジルディット殿下が朝晩魔力を抜く必要があった。
その魔力の多さに陛下も王妃陛下も喜んでいるようだ。
国王陛下はというと、私に奴隷契約のような契約を結ぼうとして怒られて以降、ジルディット殿下を窓口にして接触は最低限になっている。
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