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98 カシュール君の願い サイドストーリー3開放
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国は今まで子爵が魔法を使えるのは知らなかったのだろうか。ここから王都まではかなり遠い。人が行き来するにはかなりの時間が掛かる。
今までどうしていたのだろうか?
もしかしてここ数年は王都に出ていなかった?
疑問は次々と浮かんでくるけれど、今は父たちの今後の判断を待つしかない。
街の中は荒れているとはいえ、私はテントの中に入ると、先ほどの出来事で興奮していた気分も落ち着いてきた。
私は疲れていたようでそのままあっさりと眠ってしまったようだ。
早朝、私は小鳥の声で目を覚ました。
見張り番をしていた騎士たちに挨拶すると、彼らはとても私のことを心配していたようだ。
晩御飯を呼びに来たが、出てこなかったらしい。全く気づいていなかったわ。
「おはようございます!!」
私たちが朝食を食べているとカシュール君が走ってきた。あれから彼は一晩中子爵に怒られたのだとか。
「ナーニョ様、昨日はごめんなさい。私は何も分かっていませんでした。ナーニョ様、もし、よければ、私を巡視に連れて行って欲しいです」
「駄目に決まっている。巡視は丸腰では危ないんだ。魔法を使えない君が巡視に参加するなんて有り得ない」
隣にいたエサイアス様が渋い顔で返答する。
「大丈夫です。私は剣も使えます。自分の身は自分で守れます。ナーニョ様の盾になる覚悟できました。もっと魔法のことを知りたいんです。お願いします」
カシュール君はエサイアス様に必死に頼み込んでいるが、エサイアス様や護衛騎士たちは許しそうにない。
まぁ、こればかりは仕方がない。
「カシュール君、騎士たちの巡視に付いていくのは危険だから許可はできないわ。でも、巡視が終わった後、街の人の治療に当たるので、その時でよければ荷物持ちとして参加してもいいわ」
「ナーニョ様、本当ですか!? やったー!!! 俺、ナーニョ様の荷物持ちになります」
カシュール君の喜び具合にエサイアス様は更に渋い顔になったが、私が許可したので止めはしないようだ。
街中で治療を見学する方がカシュール君も安全だし、彼はこの街のことを良く知っているだろうから何かと助かると思う。
そして気になっていたことを聞いてみた。
「カシュール君、魔力は封印されているけれど、気持ち悪くないの?」
「魔力がぐるぐると身体を巡っているのを感じます。多少不快には感じますが、問題はありません」
人間にとって魔力は違うのだろうか?
私もローニャもグズグズ泣いてしまうほど気持ち悪い感覚だったのに。少し羨ましいと思ってしまったのは内緒だ。
人間のカシュール君の身体は徐々に成長しているし、まだ魔法を使えば使うほど魔力も増えるに違いない。
本当なら毎日枯渇するまで魔法を使わせた方が良いのだけれど、昨日のカシュール君の状態では悪い方向にしか向かない。
彼の反省が見えたら封印を解いてもいいと思っている。
「カシュール君、手を出して」
私はカシュール君の手を取り、魔力を確認する。
……やはり幼い頃から魔法を使っているため私たちほどではないけれど、魔力量はかなりある。
グリークス神官長よりも多い。
上位魔法が一回は使えそうだ。毎日枯渇ギリギリまで魔力を使っていればもう少し使えるようになりそうだ。
「ナーニョ様、私の身体は大丈夫そうですか?」
心配そうにカシュール君は聞いてきた。
「え、っと、私が今見たのはカシュール君の魔力の量です。身体は元気そのものです」
「本当!? 俺の魔力はたくさんありますか?」
興奮して俺に戻っていることに気づいていないようだ。
「ある方だと思うわ」
「嬉しい!」
「封印されているがな」
エサイアス様はカシュール君の手を私から引き離すとシッシッと手で払った。
「ナーニョ様、そろそろ時間ではありませんか?」
護衛の一人が私に声を掛けてきた。
「本当だわ。では騎士の皆様、私に手紙を持ってきてください」
朝食を摂っていた騎士たちは一斉にテントからしたためた手紙を籠に入れていく。それをカシュール君は不思議そうに眺めていた。
エサイアス様は報告書とロキアさん宛に手紙を書いたようだ。
「では送りますね。『ファッジ』」
私の魔法で籠の中の手紙や報告書はふわふわと消えていった。そのすぐ後に光が浮かび上がり、トサリと手紙が籠の中に入ってきた。
「配りますね」
「おぉぉ! 今のはなんだ?? すげぇ! 手紙が消えたと思ったら戻ってきた!」
興奮している横で冷静な騎士たちは手紙を受け取っていく。
その中にマートス長官から私宛に手紙が入っていた。
魔法を使える人間が見つかったことに王宮は歓喜に溢れているらしい。そして研究員をそちらに送りたいと書いてあり、誰が現地で調査を行うか選定中らしい。
きっと皆が行きたがっていると思うわ。
魔力のある人間がどの程度魔法を使えるのかも調査して欲しいと書いてあった。
どう調査すべきか……。
考えている最中、また小包が届いた。
「エサイアス様、小包が届いています」
「ありがとう。……剣か。今回の手紙に書いたばかりだったのに届くのが早いな。その場にいたのか?」
「それはエサイアス様の剣が駄目になったあの時、私がロキアさんに手紙を送っていたからだと思います」
「そうか。ナーニョ様、ありがとう。助かった。予備の剣は切れ味も違うから早めに武器屋で買おうと思っていたんだ。ロキアなら俺にあった剣が分かるからすぐに用意してくれたんだろう。しっくりと手に馴染んでいる」
エサイアス様は送られてきた剣を確認した後、すぐに腰に提げた。
「さあ、あまりゆっくりしているわけにはいかない。準備するぞ」
エサイアス様の言葉で騎士たちはテキパキと片づけをし、巡視に向かった。
もちろん言いつけを守ってカシュール君は一旦街に戻っていった。
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「猫種の私が聖女?~サイドストーリー~」
にてサイドストーリー3を開放しました⭐︎
今までどうしていたのだろうか?
もしかしてここ数年は王都に出ていなかった?
疑問は次々と浮かんでくるけれど、今は父たちの今後の判断を待つしかない。
街の中は荒れているとはいえ、私はテントの中に入ると、先ほどの出来事で興奮していた気分も落ち着いてきた。
私は疲れていたようでそのままあっさりと眠ってしまったようだ。
早朝、私は小鳥の声で目を覚ました。
見張り番をしていた騎士たちに挨拶すると、彼らはとても私のことを心配していたようだ。
晩御飯を呼びに来たが、出てこなかったらしい。全く気づいていなかったわ。
「おはようございます!!」
私たちが朝食を食べているとカシュール君が走ってきた。あれから彼は一晩中子爵に怒られたのだとか。
「ナーニョ様、昨日はごめんなさい。私は何も分かっていませんでした。ナーニョ様、もし、よければ、私を巡視に連れて行って欲しいです」
「駄目に決まっている。巡視は丸腰では危ないんだ。魔法を使えない君が巡視に参加するなんて有り得ない」
隣にいたエサイアス様が渋い顔で返答する。
「大丈夫です。私は剣も使えます。自分の身は自分で守れます。ナーニョ様の盾になる覚悟できました。もっと魔法のことを知りたいんです。お願いします」
カシュール君はエサイアス様に必死に頼み込んでいるが、エサイアス様や護衛騎士たちは許しそうにない。
まぁ、こればかりは仕方がない。
「カシュール君、騎士たちの巡視に付いていくのは危険だから許可はできないわ。でも、巡視が終わった後、街の人の治療に当たるので、その時でよければ荷物持ちとして参加してもいいわ」
「ナーニョ様、本当ですか!? やったー!!! 俺、ナーニョ様の荷物持ちになります」
カシュール君の喜び具合にエサイアス様は更に渋い顔になったが、私が許可したので止めはしないようだ。
街中で治療を見学する方がカシュール君も安全だし、彼はこの街のことを良く知っているだろうから何かと助かると思う。
そして気になっていたことを聞いてみた。
「カシュール君、魔力は封印されているけれど、気持ち悪くないの?」
「魔力がぐるぐると身体を巡っているのを感じます。多少不快には感じますが、問題はありません」
人間にとって魔力は違うのだろうか?
私もローニャもグズグズ泣いてしまうほど気持ち悪い感覚だったのに。少し羨ましいと思ってしまったのは内緒だ。
人間のカシュール君の身体は徐々に成長しているし、まだ魔法を使えば使うほど魔力も増えるに違いない。
本当なら毎日枯渇するまで魔法を使わせた方が良いのだけれど、昨日のカシュール君の状態では悪い方向にしか向かない。
彼の反省が見えたら封印を解いてもいいと思っている。
「カシュール君、手を出して」
私はカシュール君の手を取り、魔力を確認する。
……やはり幼い頃から魔法を使っているため私たちほどではないけれど、魔力量はかなりある。
グリークス神官長よりも多い。
上位魔法が一回は使えそうだ。毎日枯渇ギリギリまで魔力を使っていればもう少し使えるようになりそうだ。
「ナーニョ様、私の身体は大丈夫そうですか?」
心配そうにカシュール君は聞いてきた。
「え、っと、私が今見たのはカシュール君の魔力の量です。身体は元気そのものです」
「本当!? 俺の魔力はたくさんありますか?」
興奮して俺に戻っていることに気づいていないようだ。
「ある方だと思うわ」
「嬉しい!」
「封印されているがな」
エサイアス様はカシュール君の手を私から引き離すとシッシッと手で払った。
「ナーニョ様、そろそろ時間ではありませんか?」
護衛の一人が私に声を掛けてきた。
「本当だわ。では騎士の皆様、私に手紙を持ってきてください」
朝食を摂っていた騎士たちは一斉にテントからしたためた手紙を籠に入れていく。それをカシュール君は不思議そうに眺めていた。
エサイアス様は報告書とロキアさん宛に手紙を書いたようだ。
「では送りますね。『ファッジ』」
私の魔法で籠の中の手紙や報告書はふわふわと消えていった。そのすぐ後に光が浮かび上がり、トサリと手紙が籠の中に入ってきた。
「配りますね」
「おぉぉ! 今のはなんだ?? すげぇ! 手紙が消えたと思ったら戻ってきた!」
興奮している横で冷静な騎士たちは手紙を受け取っていく。
その中にマートス長官から私宛に手紙が入っていた。
魔法を使える人間が見つかったことに王宮は歓喜に溢れているらしい。そして研究員をそちらに送りたいと書いてあり、誰が現地で調査を行うか選定中らしい。
きっと皆が行きたがっていると思うわ。
魔力のある人間がどの程度魔法を使えるのかも調査して欲しいと書いてあった。
どう調査すべきか……。
考えている最中、また小包が届いた。
「エサイアス様、小包が届いています」
「ありがとう。……剣か。今回の手紙に書いたばかりだったのに届くのが早いな。その場にいたのか?」
「それはエサイアス様の剣が駄目になったあの時、私がロキアさんに手紙を送っていたからだと思います」
「そうか。ナーニョ様、ありがとう。助かった。予備の剣は切れ味も違うから早めに武器屋で買おうと思っていたんだ。ロキアなら俺にあった剣が分かるからすぐに用意してくれたんだろう。しっくりと手に馴染んでいる」
エサイアス様は送られてきた剣を確認した後、すぐに腰に提げた。
「さあ、あまりゆっくりしているわけにはいかない。準備するぞ」
エサイアス様の言葉で騎士たちはテキパキと片づけをし、巡視に向かった。
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