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滅亡する国1
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小鳥が囀る朝のひと時にお茶を飲みながら考えていた。素材が足りなくなってきたわ。そろそろ集めに行こうかしら。
……と言っても転移でちょっと行って、サクッと狩って、すぐ帰るだけなのよね。
私は出かける準備をしていると扉を叩く音が聞こえる。
― ドンドン ―
「はぁい。どなたかしら?」
扉を開けると冒険者のような装備をしている人間が三人ほど立っていた。
「貴殿は魔女殿で合っているだろうか?」
体格の良い剣士らしき男が確認してきた。
「ええ、そうだけど? 何か御用かしら?」
男達は武器を構えて殺気を飛ばしてくる。意味が分からないわ。
「なぜ、武器を構えているのかしら? 貴方達とは知り合いでも何でも無いのだけれど?」
「あぁ、俺達はあんたを殺すようにギルド依頼があったからだ」
ギルド? あらあら。そろそろかと思ってもいたのよね。
人間達が魔女はか弱い存在だと低く見積り、喧嘩を売りにくる。
人間達は忘れた頃に毎回同じ過ちを繰り返すのよね。
ナタクール国では無いと思うのよね。ロード国かサン国か。
「サン国の依頼かしら?」
冒険者達は臨戦態勢のまま答える。
「それは俺達からは言えねぇな!」
「あら。じゃあ、自分で確認しに行かないとね? ふふっ、身の程知らずの冒険者さん」
風貌からして戦士と魔法使いと召喚師かしら?
暇潰しには丁度良いわ。
「貴方達、本当に私を殺しにきたのかしら? 返り討ちに遭っても文句は言えないのよ?」
戦士が問答無用と言わんばかりに切りかかってきたが、私はそっと戦士の剣を片手で受け止めてみる。
「私が人間如きに傷を負うとでも思っているのかしら? ふふっ、良いわ。ちょうど暇を持て余していたところだし、相手になってあげても。
偶に何かを勘違いして魔女を討伐にくる人間がいるのよね。こんなにも私は協力してあげているのに。人間ってどこまでも残念な生き物よね」
剣士は受け止められた剣を引き抜こうとするが、びくともしないことに焦っているようだ。
「また人間達に魔女には歯向かってはいけないと教えてあげる時期なのね」
魔法使いは重力魔法の『グラビティ』魔法を唱えてきた。
「嫌ね。私のお家が壊れちゃうじゃない」
パチリと指を鳴らし魔法使いに反射させると、魔法使いは途端に重力に押し潰され血を吐いている。
『出よ、トレント!』
魔法使いと遊んでいる間にどうやら召喚師はトレントを呼び出したようだ。
ふふっ、面白いわ。
「あら、トレント。今日はそちら側? 狩っても宜しくて?」
「我は魔力で手を貸しているだけだからな」
本物のトレントが人間の召喚では姿を現す事はないので分体の一部が出ているだけのようだ。トレントは私と対峙するのは分が悪いと考えたようでその場で消えてしまった。
召喚師は私がトレントと話をしたことに驚いている。
もしかして召喚されたものには感情や言葉が無いとでも思っていたのかしら。
私は空いている片方の手を召喚師に翳し、召喚師を手元に招く。すると、召喚師の体は抵抗しながらも一歩、また一歩と近づいてくる。
「ふふっ、さぁどうしようかしら? そうだわ、こうしましょう!」
私はポイッと剣を放し、レースアイマスクを取って戦士と召喚師を見る。
すると、二人からの抵抗が無くなり、ダラリと手が下がり、剣と杖を落とした。
「おい、ジャダ、ゼーロン、しっかりしろ!」
自分の魔法で血を吐いていた魔法使いはようやく起き上がり、二人に声をかけた。
だが、二人は魔法使いの言葉は聞こえていないようだ。
「ふふっ、どうしちゃったのかしらね?」
「き、貴様。二人に何をしたんだ!?」
戦闘態勢に戻ろうと私の顔を見たその時、戦士達と同様に虚な目で動かなくなる。
「あらあら、あっけないわね。どこのギルドで依頼を受けたのかしら?」
冒険者達に聞くと抵抗することもなく男の一人が『ロード国のヤナタのギルドです』と答えた。
ふぅん、ロード国ねぇ。
『そのまま眠りなさい』と指示を出すと男達はバタリと倒れ込みながら眠りについた。
「さて、ギルドだったわね。ガロン、ガロンは居る?」
「もちろんですぞ。最初から見ておりましたとも! エイシャ様、こやつらを刻みますかな?」
「刻んでも良いけれど、殺してはだめよ? 私は今からギルドで依頼した者を探してくるわ」
私は冒険者達のカードを確認し、レースアイマスクをし直す。その後、ローブを深く被ってからロード国の少し大きな街へ転移する。
ロード国に来るのは久しぶりだわ。ここ暫くは隣国との戦争も無いから街も栄えてきているのね。
「魔法使いのお姉ちゃん、迷子なの?」
私はギルドを探して歩いていると小さな男の子が声を掛けてきた。
「ええ、そうね。ギルドを探しているの」
「ギルドはね、ここを右にいって三軒隣を左にいけばあるよ。僕が連れて行ってあげる」
男の子は笑顔で私の手を取り、ギルドまで案内してくれた。
「ここだよ」
「ありがとう。貴方のおかげで助かったわ。お駄賃をあげる」
私は男の子に小さな魔石の付いたネックレスを首にかけてあげた。
「かっこいい! ありがとう、おねえちゃん!」
「これは大事なお守りだから逃げる時にも肌身離さずに付けているのよ」
「? わかった! じゃあね」
男の子は笑顔で手を振りながら去っていった。
ギルドと書かれた看板のある大きな建物には多くの冒険者達で活気付いていた。
「ローブのねぇちゃん! 魔法使いか? 俺達と任務をこなさないか?」
「ごめんなさいね。用事があってきただけなの」
若い剣士に断りを入れつつ、ギルド受付に聞いてみる。
「魔女の森の魔女の討伐依頼があったと思うんだけど、あれはどうなったの?」
「魔女の討伐依頼ですか。しばらくお待ちください」
ギルドの受付の女は暫く書類を探した後に答える。
「お待たせしました。あの討伐依頼はS級冒険者のワイルドランカー様のグループが任務遂行中でして、他の方へ受付を止めています」
私は冒険者のギルドカードを受付に出す。
「彼等は任務を失敗したわ。私にその依頼を見せて頂戴」
受付の女の人はギルドカードを見るなり、青い顔をしながら再度貼り出す用の依頼書を渡してくれた。
「彼等は大丈夫なのでしょうか?」
「さぁ? カードを貰っただけだし。まだ生きてはいるんじゃない? 冒険はもう無理だとは思うけれど。それより、この依頼者は誰?」
「この印は王宮ですね。ここだけの話ですが、魔女の森はサン国との中間地点とはいえ、最近森付近の開発を進めているようですので、その関連での討伐依頼なんじゃないかって話ですよ。
魔女様の森に手をつけようなんて馬鹿げていると私は思うんですけどねぇ」
ふぅん。王様ね。
受付の女はこの依頼書の事を複雑に感じている様子で私に話をしている。
「ありがとう、詳しく知りたいから依頼主に詳しく聞いてみるわ」
「王宮へ向かうのですか? 取り合ってもらえるかは分かりませんが、こちらからも王宮に話を通しておきます」
「貴女、いい子ね」
「どういたしまして?」
女は首を傾げていたが、別の受注依頼の冒険者が話しかけてきたため、それ以上考えることなく笑顔で別の依頼の受付を始めた。
依頼書を片手にギルドの受付からさっと転移する。
……と言っても転移でちょっと行って、サクッと狩って、すぐ帰るだけなのよね。
私は出かける準備をしていると扉を叩く音が聞こえる。
― ドンドン ―
「はぁい。どなたかしら?」
扉を開けると冒険者のような装備をしている人間が三人ほど立っていた。
「貴殿は魔女殿で合っているだろうか?」
体格の良い剣士らしき男が確認してきた。
「ええ、そうだけど? 何か御用かしら?」
男達は武器を構えて殺気を飛ばしてくる。意味が分からないわ。
「なぜ、武器を構えているのかしら? 貴方達とは知り合いでも何でも無いのだけれど?」
「あぁ、俺達はあんたを殺すようにギルド依頼があったからだ」
ギルド? あらあら。そろそろかと思ってもいたのよね。
人間達が魔女はか弱い存在だと低く見積り、喧嘩を売りにくる。
人間達は忘れた頃に毎回同じ過ちを繰り返すのよね。
ナタクール国では無いと思うのよね。ロード国かサン国か。
「サン国の依頼かしら?」
冒険者達は臨戦態勢のまま答える。
「それは俺達からは言えねぇな!」
「あら。じゃあ、自分で確認しに行かないとね? ふふっ、身の程知らずの冒険者さん」
風貌からして戦士と魔法使いと召喚師かしら?
暇潰しには丁度良いわ。
「貴方達、本当に私を殺しにきたのかしら? 返り討ちに遭っても文句は言えないのよ?」
戦士が問答無用と言わんばかりに切りかかってきたが、私はそっと戦士の剣を片手で受け止めてみる。
「私が人間如きに傷を負うとでも思っているのかしら? ふふっ、良いわ。ちょうど暇を持て余していたところだし、相手になってあげても。
偶に何かを勘違いして魔女を討伐にくる人間がいるのよね。こんなにも私は協力してあげているのに。人間ってどこまでも残念な生き物よね」
剣士は受け止められた剣を引き抜こうとするが、びくともしないことに焦っているようだ。
「また人間達に魔女には歯向かってはいけないと教えてあげる時期なのね」
魔法使いは重力魔法の『グラビティ』魔法を唱えてきた。
「嫌ね。私のお家が壊れちゃうじゃない」
パチリと指を鳴らし魔法使いに反射させると、魔法使いは途端に重力に押し潰され血を吐いている。
『出よ、トレント!』
魔法使いと遊んでいる間にどうやら召喚師はトレントを呼び出したようだ。
ふふっ、面白いわ。
「あら、トレント。今日はそちら側? 狩っても宜しくて?」
「我は魔力で手を貸しているだけだからな」
本物のトレントが人間の召喚では姿を現す事はないので分体の一部が出ているだけのようだ。トレントは私と対峙するのは分が悪いと考えたようでその場で消えてしまった。
召喚師は私がトレントと話をしたことに驚いている。
もしかして召喚されたものには感情や言葉が無いとでも思っていたのかしら。
私は空いている片方の手を召喚師に翳し、召喚師を手元に招く。すると、召喚師の体は抵抗しながらも一歩、また一歩と近づいてくる。
「ふふっ、さぁどうしようかしら? そうだわ、こうしましょう!」
私はポイッと剣を放し、レースアイマスクを取って戦士と召喚師を見る。
すると、二人からの抵抗が無くなり、ダラリと手が下がり、剣と杖を落とした。
「おい、ジャダ、ゼーロン、しっかりしろ!」
自分の魔法で血を吐いていた魔法使いはようやく起き上がり、二人に声をかけた。
だが、二人は魔法使いの言葉は聞こえていないようだ。
「ふふっ、どうしちゃったのかしらね?」
「き、貴様。二人に何をしたんだ!?」
戦闘態勢に戻ろうと私の顔を見たその時、戦士達と同様に虚な目で動かなくなる。
「あらあら、あっけないわね。どこのギルドで依頼を受けたのかしら?」
冒険者達に聞くと抵抗することもなく男の一人が『ロード国のヤナタのギルドです』と答えた。
ふぅん、ロード国ねぇ。
『そのまま眠りなさい』と指示を出すと男達はバタリと倒れ込みながら眠りについた。
「さて、ギルドだったわね。ガロン、ガロンは居る?」
「もちろんですぞ。最初から見ておりましたとも! エイシャ様、こやつらを刻みますかな?」
「刻んでも良いけれど、殺してはだめよ? 私は今からギルドで依頼した者を探してくるわ」
私は冒険者達のカードを確認し、レースアイマスクをし直す。その後、ローブを深く被ってからロード国の少し大きな街へ転移する。
ロード国に来るのは久しぶりだわ。ここ暫くは隣国との戦争も無いから街も栄えてきているのね。
「魔法使いのお姉ちゃん、迷子なの?」
私はギルドを探して歩いていると小さな男の子が声を掛けてきた。
「ええ、そうね。ギルドを探しているの」
「ギルドはね、ここを右にいって三軒隣を左にいけばあるよ。僕が連れて行ってあげる」
男の子は笑顔で私の手を取り、ギルドまで案内してくれた。
「ここだよ」
「ありがとう。貴方のおかげで助かったわ。お駄賃をあげる」
私は男の子に小さな魔石の付いたネックレスを首にかけてあげた。
「かっこいい! ありがとう、おねえちゃん!」
「これは大事なお守りだから逃げる時にも肌身離さずに付けているのよ」
「? わかった! じゃあね」
男の子は笑顔で手を振りながら去っていった。
ギルドと書かれた看板のある大きな建物には多くの冒険者達で活気付いていた。
「ローブのねぇちゃん! 魔法使いか? 俺達と任務をこなさないか?」
「ごめんなさいね。用事があってきただけなの」
若い剣士に断りを入れつつ、ギルド受付に聞いてみる。
「魔女の森の魔女の討伐依頼があったと思うんだけど、あれはどうなったの?」
「魔女の討伐依頼ですか。しばらくお待ちください」
ギルドの受付の女は暫く書類を探した後に答える。
「お待たせしました。あの討伐依頼はS級冒険者のワイルドランカー様のグループが任務遂行中でして、他の方へ受付を止めています」
私は冒険者のギルドカードを受付に出す。
「彼等は任務を失敗したわ。私にその依頼を見せて頂戴」
受付の女の人はギルドカードを見るなり、青い顔をしながら再度貼り出す用の依頼書を渡してくれた。
「彼等は大丈夫なのでしょうか?」
「さぁ? カードを貰っただけだし。まだ生きてはいるんじゃない? 冒険はもう無理だとは思うけれど。それより、この依頼者は誰?」
「この印は王宮ですね。ここだけの話ですが、魔女の森はサン国との中間地点とはいえ、最近森付近の開発を進めているようですので、その関連での討伐依頼なんじゃないかって話ですよ。
魔女様の森に手をつけようなんて馬鹿げていると私は思うんですけどねぇ」
ふぅん。王様ね。
受付の女はこの依頼書の事を複雑に感じている様子で私に話をしている。
「ありがとう、詳しく知りたいから依頼主に詳しく聞いてみるわ」
「王宮へ向かうのですか? 取り合ってもらえるかは分かりませんが、こちらからも王宮に話を通しておきます」
「貴女、いい子ね」
「どういたしまして?」
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