陰陽師の異世界騒動記〜努力と魔術で成り上がる〜

熊1969

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第1章 遥か高き果ての森

十八話 会議と謎

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   ヴェルメリオを始めとした東部から逃げてきた魔物たち5人を保護してから、はや一週間が経過した。

   その間にもニィシャさんやヴェルから入手した情報により、何人かの二種族の保護に成功している。

   保護した人たちは、西部の中のリィスの両親が統治している南部まで送り届けた。俺の所で全員面倒見るわけにもいかない。

   五人からの情報によると、彼女達が知っている兎人族と鬼人族の人数は、二種族を足して大体1500人と言ったところか。

   そのうち、既に半数は保護できたのだが……その人たちから聞くと、一緒に行動していたものや家族が追っ手にやられた人が多くいた。

   もっと早く保護できなかったことに悔しさを感じながらも、彼らからもたらされた情報を頼りにエクセイザーの配下のミスリルリザードで構成された精鋭部隊とともに西部内を捜索。

   結果、、遥か高き果ての森を四分割する大河の近くで多くの亡骸が発見された。その数は600を超え、どちらの種族も同じくらいの被害が出ていた。

   しかし、発見できた亡骸の数を全体の数から差し引くと、既に生存者のほとんどは見つけて保護することができた。

   話を聞くだけでわかる東部のやり方から考えるに、結果はいい方だろう。

「……では、これより会議を始める」

   そして今俺は……西部の各区画のリーダー、重鎮が集まっている会議の会場である、〝小人の森〟の大樹。

   その頂上にある白亜の石造りの円形のテーブルの席の一つに座っていた。


●◯●


   護衛役である何体かの最上位種の魔物が後ろに控える中、そのうちの一人であるガルスさんの工房で作られた木製の椅子に座るのは、俺と隣に人化して座っているエクセイザーを含めて、7人。

   まず、エクセイザー。次にこの〝小人の森〟の統率者であるオグさん。三人目に、今回は鍛冶屋ではなく、切り込み隊長として参加したガルスさん。

   ガルスさんは西部随一の剣の使い手であり、何よりも剣を愛している。だから自分で剣を作りたくて、鍛冶師になったらしい。

   四人目が、ゴスロリドレスを着た落ち着いた印象の麗人。リィスの母である、始祖たる吸血姫オリジン・ヴァンパイアクイーンであるリリスさん。

   五人目は同様にリィスの父親に当たる、始まりの死騎士ジ・オリジンデュラハンたるディアルさん。こちらもリィスの親で、父親に当たる。鋭い赤眼が印象的だ。

   六人目は西部の西部……なんかややこしいな。

   西部区画を取りまとめる、蜘蛛女皇アラクネ・クィーンであるユキさん。ゆったりとした白いローブに長い白髪、鈍色寄りの白眼。

   腰からは白い毛に包まれた六本の蜘蛛足を備え、無表情とその威圧的な見た目から感情に乏しいに見えるがその実、かなりの人情家だ。

   ユキさんは俺のコートを作ってくれた張本人でもあり、代わりに一晩中自分の管轄地域の魔物たちの自慢を延々と聞かされたのは記憶に新しい。

   そして今現在、西部地域の守護者の立場をエクセイザーより受け継いだ異世界から来た俺、皇 龍人すめらぎ りゅうと

  並ぶ顔ぶれの壮観さに少し気後れしながらも、俺はなんとか会議に望んでいた。

議題は……当然、東部のことについてだ。

「この一週間で殆どの避難民を確保、保護することができています。リュート君が尽力してくれたおかげでもありますわね」

   手元の大きな葉で作られた報告書を見ながらリリスさんが言えば、オグさんが頷く。

「だねぇ~。流石は私が認めただけはあるよ~。それで……この状況に関して、あちらの反応はどうなのかな~?」
「数日前使者の〝噂鳥バード〟がこちらに来ました。そのバードによると、黒鬼神は『我が地の民が逃げ出し、それを無遠慮にも掻っ攫っていった西部に宣戦布告をする。今度こそ滅ぼしてやる』と言っているそうです……ふざけるなって感じですね」

   あれだけ派手に先遣部隊を潰して回っていたので目をつけられ、直接送られてきた書面を俺が読み上げた。

   そうすれば、全員がギリッと奥歯を噛む音が会議場にこだまする。

「……あんなゴミ小鬼どものために殺して回ったくせに、屁理屈も甚だしい。相変わらずいけ好かない。今度こそあの顔に毒針をぶち込んでやるべき」

   まず最初に、ユキさんが小さな声で怒りをあらわにした。するとすぐにディアルさんが机に拳を叩きつける。

「いや、俺の鎌が先だ。あのふざけた真っ黒な面を真っ二つにしてやる」
「みんな物騒だなぁ~………そこは棍棒でどたまカチ割るのが一番楽でしょ?」
「あなたも物騒ですよ、オグさん……ふむ、四肢を切り落として見世物にするのはどうでしょう?」

……みんなバイオレンスすぎない?

《仕方のないことかと》

   まあ、俺もニィシャさんや、何より一番奴の近くにいたヴェルのことがあるから、一発ぶん殴ってやりたい気持ちは同じだ。

   不気味に笑うメンバーたちを見てエクセイザーがため息をつき、パンパンと手を叩いて諌める。

「そこまでじゃ。奴が性根の腐りきった屑なのはいつものことであろうに。そんなことより、建設的な話をしようではないか」
「……それもそうですね。少し取り乱しました」
「いずれにせよ~、あいつのせっかちさから考えると~後一ヶ月以内に戦争が起きるのは間違いないね~」
「一ヶ月、か……」

   俺がこの世界にきてから、もうすぐ五ヶ月近くになる。まさか異世界に来てから節目の半年目が戦争とはな。

   当たり前だけど、俺に戦争の経験なんてない。いくら陰陽師だからって、そうそう大人数の人間や妖魔と戦う機会はなかった。

   戦争中、一瞬でも気を抜けば俺は死ぬだろう。この中で戦争の素人は俺だけだ。心してかからなくては。

「ガルス、装備の方は?」
「……すでに数は揃えてある。後は個々の体に合わせて調整するのみだ」
「よし……こちらも食糧をはじめとした物資やトラップなどの魔道具類は準備を進めている。開戦前には余裕で間に合うだろう。妨害工作も監視している」
「……西部も、回復薬の類はいざというときのため十分以上に貯蓄してある。問題ない」
「では次にーー」

   もう幾度も繰り返したためか、トントン拍子に会議は進んでいった。

   そして、俺はオグさんのところのゴブリン大隊のうちの一つの指揮官を任され、遊撃部隊として組み込まれた。

 俺もその黒鬼神を直接叩きに行きたかったが、それは不可能だった。その理由はこの世界のシステムにある。

   この世界のあらゆる生物は、すなわち亜神へと至ると〝Eの理〟というものが適用されるらしい。

   これは地球の指数表記と同じで、 膨大なステータスが簡易化されたものだ。その数値は俺などとは比べ物にならない。

   そして〝Eの理〟にたどり着いたものは、同じ〝Eの理〟の到達者、あるいは特殊なスキルを持っていないとダメージを与えることはできない。

   つまり、俺に黒鬼神を倒す手段はない。一応【魔術】がそれに該当するが、亜神を倒せるほどには熟達していなかった。

   だから俺は、遊撃部隊に加わってゴブリンたちを蹴散らすことにした。少しでも力になれることがあるなら、全力でやる。

   その後もいま考えうる相手側の行動やこちらの対策の話についてあらかた話し終わると、昼を過ぎたところで解散となった。

「……リュート」

   剣に戻ったエクセイザーをかついでいると、ユキさんが近づいてくる。

「あれ、ユキさんどうかしましたか?」
「……先に謝っておく。外から来たあなたを私たちの問題に巻き込んでしまっている」

……何を言うのかと思えば。

   無表情を少しだけ申し訳なさそうなものにしているユキさんに俺は笑い、なるべく元気よく答えた。

「そんなことでしたら、気にしないでください。俺は、自分のことをこの遥か高き果ての森の住人だと思ってます」
「……ん。あなたは確かにここの住人。確かに別の世界から来たけれど、しっかりと役目を持っている」

   俺の役目。それはエクセイザーに代わり、この西部を守ること。それをできていると言われて、少し嬉しくなる。

「だったらなおさら、俺が戦わない理由はないです。皆のために、俺はこの剣を振るいます」
「……ん。リュートは優しいね。そして強い」
「はは、そんなことないですよ……」

   ……本当に、そんなことない。

   〝あの時〟だって、俺は自分の憎しみを抑えられなかった。真っ黒な感情に支配されて、自分を見失った。

   今の俺じゃあ、〝あの時〟の二の舞になりかねない。だからもっと、自分の感情をうまくコントロールできるようにしなくては。

   それにあいつのことだって、まだ忘れられてない。あいつも未練がましく死者に好かれ続けても迷惑だろうし。

《……どうでしょうね。もしかすると逆に、死んでもなお好かれ続けているというのはそれはそれで嬉しいとは思いますが》

   ……そうだといいな。けど、そんなことを話したって意味がない。

「……?」

   考え込んでしまった俺に首をかしげるユキさんに俺は慌てて笑いを浮かべ、言葉を連ねる。

「とにかく、俺も西部を守るために頑張りますから」
「ん、お願いね。それと、コートの調子はどう?」
「バッチリですよ。いつも使ってます」
「よかった。それじゃあ」

   自分の服を褒められて嬉しいのか、やや上機嫌な様子でユキさんは離れていった。

   俺は蜘蛛足の揺れるその背中を見送りながら、護衛の魔物の一匹である〝カルラ〟というカラス人間のような魔物に手伝ってもらい、大樹を降りるのだった。


●◯●


   〝小人の森〟の大樹から降りると、雨が降っていた。弱すぎることも強すぎることもない、言うなればちょうどいい雨といったところだろうか。

   雲が存在している高さより遥か上に存在するこの遥か高き果ての森に雨が降っている理由は、この浮島を制御している大精霊の力だ。

「ありがとうございます」
「いえ。帰りの道中、お気をつけて」

   俺は運んでくれたカルラにお礼を言うと、アイテムポーチから傘を取り出してそれを差す。

   撥水性の高いゴブリンの皮でできたそれを肩に乗せると、俺はログキャビンへと歩き始める。

   俺は、割と雨が好きである。なぜならあいつと出会ったのもまた、雨の日だったからだ。

   あいつとの付き合いは長く、中学の時からだった。今日と同じような雨の日、たまたま傘を忘れてた時に貸してくれたんだったか。

《普通は逆かと思われますが……》
「それは俺が一番よく分かってるからツッコミは無しだ」

   ともかく、そんなわけであいつとの出会いの日の象徴である雨は俺が好きなものの一つなのである。

   とはいえ、ログキャビンにはまだ人がいるし、そうゆっくりと歩いてもいられない。早く帰ったほうがいいだろう。

   足早に森の中を進んでいき、やがていつも通り木柵が見えてくる。霊力で結界を通り抜け、〝維持〟の結界で守られている畑の間を通り抜けてテラスを登った、

   前に突き出た屋根の下まで行き、傘を閉じて水を切るとドアを開ける。すると、キッキンからいい匂いがしてきた。

「あら? お帰りなさい、リュウトさん」
「今帰りました、ニィシャさん。ヴェルもただいま」
「おーう、おかえりリュート」

   ログキャビンの中に入ると俺のエプロンを着て料理をしているニィシャさんと、それを手伝って食材を調理しているヴェルがいた。

   どうやら、ご飯を作ってくれていたらしい。先ほどまでは雨で消されていたのか、気がつかなかった。

「いい匂いですね」
「うふふ、便利な道具もあるからはかどっています」
「む、むぅ……あぁっ!?」
「……何やってんだ」

   こちらにすっ飛んできたジャガイモもどきの芽をキャッチして、シンクの近くにあるゴミ入れ用のずだ袋の中に投げ入れる。

「なかなかピーラーの使い方が上手くならないな」
「だ、だってよ、力加減がむずくてよ……」
「まあ、そんなに焦らなくていいよ。少しずつ慣れればいい」

   二人はこの一週間で、俺の作り出した地球の現代の調理器具を使うようになっていた。

   包丁や鍋はこの世界……というよりこのはるか高き果ての森にもあるらしいので、主にコンロやヴェルノ持ってるピーラーなどだ。

   なるべく精巧に再現するのを心がけたお陰か、結構な質のものが揃っていて二人が驚いていたのは記憶に新しい。

「俺も何か手伝おうか?」
「妾も、できることがあるならやるぞ?」
「こちらは大丈夫ですから、お二人は座っていてください」
「でもーー」
「いーから!ほら、あっちで待ってろって!」

   人化したエクセイザーと俺も何か手伝おうとしたが、ヴェルに背中を押されてしまったので、仕方なくソファに座った。

「前は自炊が基本だったから、誰かにご飯を作ってもらうのって久し振りだな」
「ほう、そうなのか。料理は誰に習ったのじゃ?」
「爺ちゃんだよ。あとは自分でやり方を調べて作ったりしてた」
「ふむ……母親に習うのが普通と〝神鳥〟に聞いたがな。まあ、そういう場合もあるのか」
「………」

   ふむふむと頷いているエクセイザーに俺は曖昧な笑みを浮かべ、そういえばいつも真っ先に飛びついてくるレイがいないなと思い出した。

   気配を探ってみれば、どうやら寝室で寝ているらしい。これは起こさないほうがいいだろう。寝る子は育つというし。

   レイは他の二人がそれぞれの保護された家族のところに行ったのに対し、まだこのログキャビンに残っていた。

   というのもニィシャさん曰く、レイの父親が娘を溺愛しているタイプならしく、顔を見たら飛びかかってくるのが容易に想像できるらしい。

   一度会いに行って挨拶をしたけど、かなりの重症だった。だから本人の体のためにここに残っているわけだ。

   自分勝手な話だが、俺としては妹のように思っている(本人に聞いてないので多分俺が一方的に)レイがいるのはちょっと嬉しかったりする。

「…でも、この状況ってあんまり良くないよな」

   一つ屋根の下、男一人とレイを抜いた女三人が男である自分と一つ屋根の下暮らしているというのはちょっとアレだ。

   でもニィシャさんにそれを聞いても不変の微笑でかわされてしまうし、ヴェルは二種族が落ち着くまでという約束があるのでどうしようもない。

    そんなことを考えながらぼーっとしていると、ふと先ほどの会議のことが頭に思い浮かんできた。一ヶ月後と予想される戦争のことだ。

   その時俺は、しっかり西部を守れるだろうか。いや、守らなくてはいけない。それがエクセイザーとの約束で、俺の願いだから。

「そういや強さって言えば、最近ステータスを確認してなかったな」
「そういえば、お主がステータスを確認するのは最近見ないのう」

   二種族のことで色々と忙しかったし、前は普段は二週間に一回修行の成果が出てるか見てたんだが。

   考えだすとなんだか気になってきたので、ステータスを確認することにした。

「ステータスオープン」


ーーーーーーーーーー
皇 龍人 17歳
種族:人間
レベル:113/300
装備:戒めの髪飾り、灰狼のブーツ・疾風、灰狼のベルト、エクセイザー、銀龍神の上着、オールスMr.I、アイテムポーチ、土短剣、木札、黒鬼の腕輪
ステイタス
HP:37700 MP:40300
体力:37100 腕力:38000
耐久:36600 俊敏:38000
精神:38100 知力:38200
称号スキル
【皇】【守護者】
【創世神の友】【大地を操るもの】【水使い】【獄炎の使者】【風乗り】【幸運者】【彫木士】【彫金師】【銀を倒せしもの】【亜神の弟子】【風の狩人】【大番狂わせ】【解体師】【錬成師】【魔物の友】【努力家】【主夫】【剣聖】【銃士】【格闘家】【殺戮者】【ゴブリンの天敵】【剣人】【拳人】【暗殺者】【極みを目指す者】【救済者】【守護者】【代理人】【異常者】【矛盾者】【苦悩者】【闇を抱える者】【兎に好かれし者】【鬼に好かれし者】
通常スキル
【身体能力超強化Lv-】【体術Lv-】【爪撃Lv8】【衝撃、打撃、斬撃、魔法、精神、汚染、細菌、魅了、阻害、毒、炎熱、石化、疲労耐性】 【料理Lv-】【投擲Lv-】【射撃術Lv7】【札錬金Lv8】【鉱物錬成Lv6】【瞬歩Lv-】【気配感知Lv9】【魔力感知Lv9】【気配遮断Lv-】【魔力遮断Lv-】【隠密Lv8】【威圧Lv4】【咆哮Lv5】【遠視Lv4】【精肉Lv9】【看破】【思考速度上昇Lv7】【斬撃、打撃、射撃強化Lv8】【探知Lv9】【立体起動Lv7】【魔力障壁Lv8】【女たらしLv5】【暗視Lv5】【再生促進Lv5】
固有スキル
【魔術】【龍鱗】【空歩】【皇タル者】【皇ノ剣】【皇ノ術】【皇ノ技】【気功法】【龍眼(偽)】【固有剣奥義:龍ノ一太刀】【影舞】
ーーーーーーーーーー


「……相変わらずな数値だな」

   エクセイザーのステータスを知っている今、一般人からすれば、という言葉が最初につくが。

   それでも【創造神の友】の第2効果でレベル上限も三倍になっているので、まだまだ伸び代はある。俺はまだ強くなれる。

   エクセイザーのステータスは前に見せてもらったけど、桁が明らかに違った。彼女に追いつくことも最近の目標の一つである。

   そんなようなことを思いながらそれぞれのスキルの効力を見たりしてステータスを見ていると、ふと【創造神の友】の説明のところで手が止まった。



【創造神の友】

第1:ステータスの成長率を三倍まで引き上げ、スキルの成熟速度を速める。

解放条件:他者の魂を受け入れ、自らの格を上げること。

第2:レベルの限界を三倍まで引き上げ、魔物を倒した際に手に入れられる経験値を増加する。

解放条件:平凡な限界に至ること。

第3:最◾️◾️◾️。◾️◾️の◾️界を超◾️し、所◾️者の◾️◾️へ◾️道◾️を開◾️する。

解放条件:強◾️を◾️ん◾️時、これは解◾️さ◾️る。

発動条件:亜◾️を二体以◾️◾️す◾️◾️。



「なんだ、これ……?」

    こんな能力、前に見たときは解放されていなかったぞ……?

   それに、文字化けしていてろくに読むことができない。解放条件もそうだけど、新たに現れた発動条件とやらもだ。

   いくら目を凝らしても、こすっても、しかしそれがわかることはない。ひたすらに疑問が浮かぶばかりだ。

   俺が【創造神の友】の第三能力について考え込んでいるうちにご飯が出来上がり、俺は疑問を胸中に抱えながらも一旦頭の隅に追いやることにした。

   そしてその疑問はニィシャさんとヴェルの料理に舌鼓をうっている間に奥にしまい込まれ、その日思い出すことはなかった。




   それがとても大切なものであることに気がつくこともなく。




●◯●


「……おや?〝あれ〟が解放されたのか。流石は龍人君だ……君が来ることを心待ちにしているよ」

   全ての世界の上にあるそこ……神界にて、イザナギはそう言い意味ありげな微笑を浮かべたのだった。




ーーー

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