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第一章 ハイディン編
真夏の夜の夢魔(4)
しおりを挟む黒い糸を辿り、夜の街を走る。多少激しく動いても『糸』が切れたりもつれたりする様子がないのは、これが実際の物質ではない証拠だろう。
黒い霧を封じた水晶を持ち、先頭を行くロウの後ろをガルドさんと並走しながら、いくつかの角を曲がり、街路を駆け抜け、たどり着いたのは高級そうな住宅が並ぶ一角だった。その中でもかなり豪華な構えの門の奥へと、糸が続いている。
「ここか?」
「らしいぜ。ほれ――あの窓を見ろよ。あそこみてぇだ」
二階の、中央よりやや左の窓に糸の先がつながっていた。つまりあそこに、痴漢で粘着ストーカー野郎の本体がいる、というわけだ。
「流石に正面から行くわけにもいかねぇな」
「任せろ」
こういう時に実に便利な全身黒づくめのロウが、音もなく門の脇にある鉄柵を乗り越えて、向こう側へと着地した。それから、何やら指先を動かしていたと思ったら、すぐに門扉が静かに開く。この間、一分も経っていない上に、ガルドさんも当たり前みたいにロウが開けてくれた門から中に入って行く。
もしかして、鍵開けの技術も放浪者には必須だったりするんだろうか?
「この辺りにはないが、ほかの地方だと古代の遺跡が残っていることがある。そこに潜ると、いろいろな罠があったりするからな。本職の鍵師には敵わんが、簡単なものなら解除できる」
おお、それってもしかしてダンジョンですか? で、罠にかかると壁の中にワープとか?
「レイちゃん、気になるのは仕方ねぇが、その話は後にしとけ」
「あ、ごめんなさい」
いかんいかん。ずっと緊張していた反動で、ちょっと気が緩んでるみたいだ。
気を引き締めて、やはりロウの先導の元、お屋敷の建物に近づいていく。特に警備の人がいるわけでもないらしく、何の苦も無く窓の下までたどり着くと、ガルドさんが壁に背を向けて両手を組む。ロウがその手に足をかけると、ガルドさんが無言の気合を発しつつ上へと投げ上げ、ロウ自身のばねもあって、一気に二階の窓まで飛び上がる。夏のことで、夜風に涼を求めたのだろう、窓はわずかにあけられており、拍子抜けがするほどあっさりと侵入できたようだ。
そこで、魔倉からロープを取り出して下に投げると、それを伝ってまずはガルドさんが登り、その後から私も捕まらせてもらって二人掛かりで引っ張り上げられた。
音もなく室内に降り立った私は、強化した視力で暗い室内を見渡す。
外装と同じく、立派なつくりの室内だったが、その壁を見てげんなりとした顔になってしまう。
「……なにこれ。いつの間に、こんなの作られてたのよ。肖像権の侵害じゃない」
「ショウゾウケンノシンガイ? ……なんか知らんが、有名人の絵姿なんざ、珍しいもんじゃねぇだろ」
「確かにガルドの言う通りだが……これは、常軌を逸しているな」
私の怒りは、今一、二人には通じていないようだけど、それでもこの室内の様子にかなり引いているようだ。なんとなれば、そこの部屋の壁を埋め尽くす勢いで、数え消えないほどの私の肖像画が飾られているのである。
立派な額に入った油絵のようなものから、スケッチのような走り描きまで。上手い下手の差も様々だけど、私であるのは間違いない。ほとんどが夏至祭に出たときの衣装を着ているんで、あの時に私を見かけた人が、勝手に描いて売りに出しているんだろうな。
そして、それらに囲まれるように中央に置かれたベッドの上に寝ているのが、今回の騒動の張本人――デブで引きこもりで、無意識に痴漢行為を働く粘着気質のストーカーだ。
「なるほど、こりゃアレフ様の言ったとおりだな」
盛りだくさんの属性(?)が物凄いマイナス要因ばかりなのに加えて、現実の体もかなりアレな感じだ。一言で言えば、でっぷりと太った、陰気そうな脂ぎった中年男。
後でわかった事なんだけど、この男の年齢は五十三才。平気寿命が百五十才と言うこちらではまだ青年と言ってもいいはずの年齢なんだけど、日ごろ余程不摂生な生活をしているのか、平均よりもはるかに老けて見える。頭髪がやや寂しくなりかけているのも、その一因だと思われる。
そして、更に言うならば、彼の母親というのがギルドへ押しかけ、私への無茶な依頼をしつこく出し続けていた人物であったりする。
このおっさんの世話を、泊りがけでやれ、ってあれだ。
絶対に引き受けるわけがないでしょうが!
尤も、今の私達にはそんなことを知る由もない。知っていれば、ロウとガルドさんの『説得』に、更に熱が入ったかもしれないが――。
「おい、起きろ」
ロウがそう言いながら、手に持っていた水晶球を男の額に向けて落下させる。
狙いは過たず、ゴンという痛そうな音がして、水晶球が当たるのと同時に、中の黒い霧が男の額へと移動した。
「ぎゃぁ! い、痛いぃっ?」
水晶球がぶつかった痛みからなのか、それとも黒い霧が体内に戻ったせいなのか。
途端に目を覚まし、おっさんが盛大な悲鳴を上げる。
が、その目が自分が寝ているベッドからやや離れた位置に立つ私を認めるや否や、気持ちの悪い顔に、気持ちの悪い歓喜の表情が浮かぶ。
「レ、レイガちゃん?! これは、夢の続き? い、いや、夢でもいい! ようやくボクのところにきてくれたんだねぇぇぇ」
勝手にちゃん付けで呼ぶな、ついでに気持ちが悪いから、その顔で『ボク』とかいうな。
しかし、このおっさん、まったく周りの状況を理解していないのか、私へと飛びかかる勢いで跳ね起きた。そのまま、こちらへと突進しかけるのだが、その目の前に剣が三本――ロウが二本、ガルドさんが一本ね――が、突きつけられる。
「え? お、お前ら、誰だ?! どうやってここに?」
そこでようやく私以外の存在に気が付いたようだが、そんなことを問われても、こちらには素直に答える義理はない。無言のまま、殺気を隠す気もない二人に睨みつけられて、おっさんの顔にだらだらと冷や汗が浮かぶ。
「お前ら――ボクに乱暴したら、お母さまが黙ってないぞ! 金が欲しいならいくらでもやるから、さっさと出て行け!」
ここで出てくるのが『お母さま』とは恐れ入る。デブで引きこもりの若ハ○で、粘着質の精神的ストーカーの上に、五十を過ぎてもまだマザコンの気があるらしい。属性を盛りすぎで、もうお腹いっぱいです。
お金には不自由していない様子だが、妙齢の女性に聞けば、ぶっちぎりで『旦那にしたくない男NO.1』の称号が今すぐもらえる超不良物件だな、こりゃ。
しかも、私に対してしでかしたことについても、全く反省の色がない(これについては、冷静に考えれば、本人は無意識の事であるので一概に責めることもできないんだけどね……)。
容赦する必要、無し。
ロウとガルドさんが無言のままアイコンタクトだけで出した結論は、単純明快にして、この男に死刑宣告したも同然だった。まぁ、流石に、本当に殺しまではしないだろうが、アレフ様からお願いされた分も加えて、しっかりと『説得』せねばと思っていることは間違いない。
斯くして――深夜の高級住宅街の一角で、おっさんの聞き苦しい悲鳴と、助けを求める声が室内せましと響き渡る結果となった。あ、私が防音結界を張っているので、他人に聞きつけられる心配は全くないよ。
心行くまで『説得』をつづけ、おっさんが快く私達の言い分を受け入れたのを確認した後で、私が療術を施した。くれぐれも、これは証拠隠滅などではない。おっさんが私達の主張を認めてくれたことに対するお礼です。
加えて、私達の深夜の訪問について口止めしたのも、せっかく築けたお互いの友好的な関係を損なわぬための配慮である。他意はない。ないったら、ない。
そういうわけで。
「いやぁ、いい仕事したよな」
「全くだ」
「あー、すっきりしたぁ」
月明かりに照らされた夜の道に、私達の影が仲良く並んで揺れている。
忘れていたが今夜は満月であったので、懸案事項も解決したことであり、宿に帰る道を少々変更して夜の散歩としゃれ込むことにしたのだ。
「綺麗なお月様だね」
「ああ……お前と初めて会った夜も、こんな月夜だったな」
「なんだ、そりゃ。俺は聞いてねぇぞ?」
「あれ、そうだった? あのね、私が初めてこっちに来たのって……」
「あれから、三月になるか」
そんな事を話しながら、中央広場に差し掛かると、夜中だというのに、神殿の前に多くの人々が集まっており、対応する神官も忙しそうだ。
「ああ、今夜は満月参りか――道理で、アレフ様が俺らに付き合えなかった訳だな」
「みんな、赤ちゃんを授かりに来てるんだね」
「そうだな」
幸せそうな新婚から、難しい顔つきの熟年カップルまで。様々な人々が受付を待つのを横目に、神殿の前を通り過ぎる。アレフ様にご挨拶を、とも思ったが、次の機会にした方がよさそうだ。
いつかは私たちも、あの中に混じることがあるかもしれない――そんな思いを抱きながら、私達三名はゆっくりとした足取りで、宿へ戻っていった。
思っていたよりもサクサクと事が進んだせいか、私達が宿に着いたのは真夜中を少々回ったくらいだった。
普段であれば当然眠りについている時間なんだけど、たっぷり昼寝をしてしまったのに加え、一連の騒動で気が高ぶっているのか眠くならない。それはロウとガルドさんも同様らしい。
「さて、どうすっかな……とりあえず、酒でも飲むか?」
「ああ。そうするか」
厨房の人もとっくに寝ているはずだから、宿に頼むのは無理だ。が、男性二人の魔倉にはいざという時のストックがあった。通常の食料のスペースはケチっても、お酒だけはしっかり準備しておくのが放浪者としてのたしなみだとか……いや、それ単に飲兵衛なだけでしょ。
「レイ、どうした?」
そんなことを考えていたところに、ロウが私に声をかけてくる。
「ん? どうかしたのか……おい、まさか、まだなんか異常があったりするんじゃねぇだろうな?」
「あ、ううん。大丈夫だよ。そうじゃないんだけど……いや、そう、ともいえるんだけど……」
「何か言いたいことがあるなら、遠慮せずに言え」
ううむ、ロウの勘が良すぎる。そりゃまぁ、確かに言いたいことはあるんだけど、そうがっつりと見つめられてしまうと……。
いろいろ今更なのは自覚しているけど、もじもじと体をよじってしまう。つくづく、若返れてよかったと思うのはこんな時だ。アラサーがやると可愛らしさよりも断然、気味の悪さが先に来る仕草だもの。
あ、いや、言いたかったのはそう言う事じゃなくて――。
「えっと、ね。……二人とも、まだ眠くない?」
「ああ」
「眠れそうにねぇから酒でも飲もう、って話だったろ?」
「そっか。それじゃ、その……ちょっと、お願い……があるんだけど」
真っ赤になりながら、少し上目遣いにロウとガルドさんを交互に見ながら、ごにょごにょと小さな声で言ってみる。
「――どうした? 言ってみろ?」
「レイちゃんの頼みなら何でも聞くぜ?」
うむ、ロウもだけどガルドさんも勘がいい。取り出しかけていたお酒を魔倉に逆戻りさせながら、先を促してくる声がさっきよりも随分と甘い。
私を挟むようにして左右に立ち、ついでに髪や肩にさりげなく触れて、私をリラックスさせようとしてくれている。そのおかげで、私にしてみれば少々言いづらい内容も、口にする覚悟ができた。
「あ、あのね……夕べの、アレにね。その……触られたのを思い出すと、なんか……まだ、感触が消えなくて、気持ち悪くて……」
「もう、痕はねぇんだよな?」
「うん、けど、感覚だけのこってるっていうか……だから、その……」
こんなことを強請るなんて、自分でもはしたないと思う。けれど、二人に言ったことは本当で、事件は解決しているし、アレに触られてから丸一日以上経っているというのに、まだ自分の体を這ったアレの感触が残っている。胸は勿論、腰や下腹、お尻、挙句に両足の間の秘密の場所まで……それが私の夢の中の出来事なのか、それともロウ達が目撃した現実でなのか、どっちとも判別しがたいし、常にその状態ってわけでもないんだけど、気持の悪い手が這い回った時の鳥肌が立つような感覚が、不意に蘇ってくるのは非常に耐えがたい。もっと時間が経てばその記憶も薄れていくのかもしれないけど、『生霊』に加えて、本体までを見てしまった為に、生理的嫌悪感はMAXまできてて、そんな悠長なことを言っている余裕は今の私にはない。
だから、恥ずかしいのを堪えて二人に『お願い』しようとしたんだ。あの気持ちの悪い感覚を、上書きしてほしい、と。けど、幸いなことに、私が全部を口にするよりも早く、口をそろえて請け負ってくれた。
「可哀想にな……大丈夫だ、レイ」
「俺らに任せとけ。ちゃんと全部、きれいさっぱり、嫌な事なんざ忘れさせてやるぜ」
――というわけで(二回目)。
ベッドの上に座りこんだガルドさんの懐に、すっぽりと私の体が抱き込まれている。
お願いをした後で、二人に交互に抱きしめられ、口づけを受けていたんだけど、その安心感とキスの感触にぼぅっとしていたら、気が付いたらこうなっていた。
尚、さっきまで服を着ていたはずなんだけど、そっちもとっくの昔に綺麗に剥かれてしまっている。男性二人の共同作業は迅速で的確だったよ。
身長差がかなりあるため、私の頭はガルドさんの顎のあたりまでしか届かない。私の髪に顔をうずめるようにしながら、後ろから回した手で私の胸を柔らかく揉んでいる。
そう言えば、昨夜もこうやって私の事を守ってくれていたっけ――その時は、胸を揉まれてはなかったけどね。
「……どうだ、レイちゃん?」
「ん……気持ちいい」
耳元で甘く囁かれて、小さな喘ぎを漏らしながら頷く。
下から掬い上げるみたいにして、ガルドさんの大きな掌が私の胸の膨らみを包み込んでいる。
優しい手つきで全体を揉み解すようにしたかと思うと、先端を指の間に挟み込み、擦り合わせるように刺激を与える。こうやって、膨らみと先端の両方を同時に刺激されるのが好きだってことは、ガルドさん(勿論、ロウも)も知っている。素直な私の返事に、低い含み笑いを漏らすと、更に丁寧な手つきで私を喘がせてくれる。
ロウは……といえば、ガルドさんの膝の上に抱っこされた私の、足の間に屈みこんでいる。ひざ裏に手を差し入れて持ち上げ気味にし、下腹部から内股にかけて、幾度も口づけを落としては赤い痕をつけていく。
恥かしいところが丸見えの体勢なのだが、すっかりこうした行為に慣らされている上に、今は私が願ってしてもらっているのだから、抵抗なんかするわけがない。それをいいこと(?)に、さんざん痕をつけまくりながら、私の肌にほおずりしたり、時折舐めたり、という行為を繰り返す。
『自分以外の誰かに触られる』という一点において、昨日のアレも、今のロウとガルドさん達も同じなのだけど、同じなのはそこだけだ。どこの誰とも知らぬ相手に、こちらの意思を無視して触れられるのと、信頼し、心の通じ合った相手に、すべてを委ねた上で触れられるのとでは、天と地ほどの違いがある。アレに触られたときには気持ち悪さと嫌悪しか感じなかったが、今、二人に触れられていると、快感と共に、何とも形容しようのない幸福な気持が湧き上がってくる。
「レイ――アレはどこを触った?」
そうやって二人の与えてくれる刺激により、私の秘密の部分はすっかりと潤って、その上にある小さなぽっちりも充血して立ち上がってしまっている。けど、そこにはまだ直接触れてくれないロウが、そんなことを尋ねてくる。快感で少々ぼんやりしながらも、記憶を探り、答えを返す。
「えっ? あ……そこ、と……それから、お尻、も……」
「わかった」
そうやって素直に答えたところ、一旦体を起こし、ガルドさんと何やらアイコンタクトをした後で、私の体に手を添えてくるりと裏返される。
「ここ、か?」
「あんっ……う、うん……ん、むぅっ?」
お尻をロウに突き出すような姿勢にされ、そこに唇が落とされる。ちゅちゅっ……と音を立てて口づけながら、お尻の丸みに沿うように手のひらで撫でまわされながら、確認のために質問される。不規則に動く唇と吐息がお尻にあたって、小さな悲鳴にも似た喘ぎを漏らした後、答えた私の唇が、直ぐにとあるモノにふさがれる――ガルドさん、いきなりですか?
ちらりと上目づかいで様子を伺うと、若干、申し訳なさそうではあるものの、それ以上に期待に満ちた顔がみえる。
仕方ないなぁ……なんて、心の中でつぶやいてから、口いっぱいに頬張らされたそれに舌を這わせた。
「くっ、あ……レイちゃ……っ」
「ん……ふ、ぅ……ぷ、は……」
ガルドさんの気持ちの良さそうな声に、私の行為にも熱が入る。色々と規格外のモノであるから、全部を口中に収めるのは無理だ。
この前はどうやったっけ……と、記憶を掘り起こす。あのガルドさんの『ご褒美』の夜の事だ。あの時は、先っぽだけ咥えた状態で、チロチロと舌を動かしてそこを刺激すると、しょっぱい先走りが出てきたんだった。そのことを思い出して、同じようにしてみると、やはり舌に薄い塩の味が感じられる。それを舌で舐めとった後、ゆっくりとしたストロークで頭を上下させながら、根元のとこを指で作った輪っかで刺激してみる。
すると、目の前にある腹筋に力がこもるのが分かり、頭の上の方からは押し殺したため息と言うか、喘ぎと言うか、そう言うものが聞こえてきて、うっかりそこに意識を集中させていたら――ちょっと(認識と言う意味で)お留守になったロウから、反撃が来た。
「ん、ふ……っ! んんっ!」
熱心にお尻を撫でまわしていたロウの手が、前に回ったかと思うと、先程から放置されていた尖りに指が触れる。軽く押さえつけられるようにして刺激されて、ガルドさんにふさがれたままの唇からくぐもった嬌声が漏れ、お尻から太ももにかけての筋肉にきゅっと力が入った。
さらに、指と指の間に挟み込まれ、コリコリと擦り合されたかと思うと、上に被った薄皮を丁寧な手つきで剥かれて、敏感になったところでまたも軽く押しつぶされる。お腹の奥がじんっと熱くなって、幾重にも襞の重なったその部分から、熱い液体があふれてロウの手を濡らしてしまう。それを指先で掬いとり、滑りがよくなった指で突起と襞の両方を弄られると、我慢しきれず、腰が揺れてしまう。
「んーっ! ……ん、ふ、ぅんっ」
口いっぱいにガルドさんが詰まっているので、声が出せない。が、言いたいことは十分に伝わったようだ。
わずかに体を引いたロウは、前を弄る手はそのままに、後ろから私のソコへと顔を寄せる。空いていた片手の指で、襞を押し広げ、ためらうことなくそこへと吸い付いた。
あふれ出る液体を舌で掬い、わざと音を立てて飲み下される。唇で襞の間を残らずたどり、とがらせた舌先を中に差し込み、中にたまっているものを吸い上げるようにして嚥下する音がきこえた。けど、際限なくソコから湧き出て来て、飲み下せず、溢れたものがロウの顎を伝い、シーツへと滴る。
「んんっ……んぅ……は、あ……ロ、ロウぅぅ」
さすがに苦しくて、一旦、ガルドさんから口を離して、ロウの名前を呼ぶ。
「もう、いいのか?」
わざと意地悪く尋ねられ、知らぬ間に涙がにじんでいた目で睨みつけはしたのだけど、自分でもそれが何の役にも立たないのはわかっている。意地悪な癖に、むちゃくちゃ色っぽい顔で無言で先を促され、コクコクと小さく頷く。
「も、大丈夫だから……ね?」
何が『ね?』だ、どうして欲しいかちゃんと言え――みたいな顔をするが、ここらで勘弁してください。ロウも物足りなくはあるが、ぎりぎり今ので満足してくれたようだったのだけど、別方向からとんでもない攻撃が来た。
「レイちゃん――ロウの野郎は鈍感だからな。ちゃんと言わねぇと、分からねぇかもしれねぇぞ?」
あれだけ勘が良い癖に、どこが鈍感なんですかっ、といつもであれば反論するのだが、今はそんな余裕なんかない。
「……レイ?」
せっかく、あれで済ませてもらえそうだったのに……ガルドさん、恨みます。
おかげで、一転して、ロウは言わせる気満々になってしまっている。うう……言うの? 言わなきゃダメ?
「う……その……もう、大丈夫だから……」
「だから?」
「ロ、ロウのを……い、挿れてほしいのっ」
さすがに、どこへとまでは言えません。そのうち言わせてみたい、と思ってそうな顔なのは見なかったことにします。
これで貸し一つな、と言わんばかりのガルドさんには、後でお仕置きだ――具体的にどうするかっていうのは思いつけないけど。
そして、ロウ――ちゃんと言ったんだから、もう、いいよね?
……大丈夫だったみたいだ。もう一度ロウが姿勢を変えたかと思うと、私のソコに硬いものが宛がわれるのが分かった。さんざんにあふれ出ている液体を、その先端に絡ませるようにしてから、後ろから一気にソレが入って来る。
「は――ぁんっ!」
一瞬、息が詰まるような感覚がして、その後で甘い悲鳴を上げてしまう。
表面を舌でなぞられただけで、指で慣らされてもいなかったのだけど、痛みとかは全くない。いつもながらに熱くて固いもので満たされる感覚に、私のナカがロウのソレに絡みついて、きゅうきゅうと締め上げている。
最初の挿入だから、まだお互いの位置が浅い。ロウは、両手で私の腰をつかみ、小刻みに前後しながら奥を目指す。
「あっ、ふ……んぁ……」
ひくつく粘膜が、喜んでロウにまとわりついて、奥へ奥へといざなっているのが分かる。
「あ、あっ……もっと……奥まで……」
私の願いで、ロウがぐいっと腰を進めると、ひときわ高い嬌声が私の口から迸る。
「ああっ、ロウぅ――あ、あん!」
ロウの体が小さく震えたかと思うと、激しい律動を開始される。私の弱いところなんかとっくに把握されていて、そこを集中的に狙って腰を衝き入れられる。強すぎる快感に、無意識に腰が逃げようとするのだが、勿論、そんなことを許してくれるロウではない。
がっちりとつかんだ手で腰を固定され、思うがままに責めてたてられてしまう。
「やっ、そこ! ……ひあっ、あ、強すっ……もっ、許し、てっっ」
快感のあまりに、激しく首を振り、その動きに連れて私の髪が乱れて宙を舞う。懇願交じりに発した声には、涙の気配すら混じっている。気持ちが良すぎて辛い、なんて、ロウとこうなるまで経験したことすらなかった。ロウを受け入れている部分が熱い。強い力で腰を掴んでいる手の感触、背後に感じる荒い吐息、少し視線を動かせば視界にはいって来る逞しい腕や足腰も、全ての刺激が快感に変換され、私を真っ白な世界へと追い上げていく。
「あ、やっ――や、だ……も……イ、っちゃ……」
「くっ……かまわん、イ、けっ!」
私の内部が、キュウキュウとロウを締め付けているのが分かる。それでも力強い腰の動きは止まるどころか、さらに勢いを増しつつ、絡みつく粘膜を無理やりに引きはがすようにして抜かれ、また突き入れられる。
じゅぷじゅぷと湿った水音に、私の甘く啼く声と、ロウの押し殺してはいるが激しい息遣いが混じり、やがて臨界点を突破する。
「ああっ――だ、めっ……ロウぅ……ぅ!」
「う、く……」
私の胎内深くに埋め込まれたロウのソレの先から、白い液体が迸る。根元まで私の中に収められたモノが痙攣を繰り返し、その度に白濁が私の最奥にたたきつけられる。
存分に呑み込まされた後で引き抜かれ、まだ荒い息をつきながらロウが自分でソレをしごけば、残っていた熱い飛沫がパタパタと音を立てて私のお尻に飛び散った。
「あ……は、ぁ……」
私の息も勿論、荒い。頂点を極めたことで、ぐったりと弛緩した体をシーツの上に俯せに倒れ込んでしまう。それを、優しいが断固とした手つきで引き起こしたのはガルドさんだ。
「今度は俺の番、だよな?」
笑いを含んでいはいるが、その声には隠しきれない情欲がにじんでいる。先ほど、ちょっとだけ口でシたはずなんだけど、あんなものでは到底足りなかったんだろう。ちらりと視線を落とした先では、ナニがビンビンの状態で天を仰いでいる。
仰向けにした私の上半身をロウ預け、自分は私の足の間に体を進める――最初とは、真逆の体勢になった感じだ。
「最初は、ちと、ゆっくりにしとくな」
そう言いながら、ついさっきまでロウを飲み込んでいたところに、いきり立ったモノをあてがわれる。
すっかり柔らかくほどけた入り口に、さほどの抵抗もなく先端が埋まり――続いて、太い幹の部分もそれに倣う。
「あ、んっ……ガ、ルドさ……んんっ!」
ゆっくりとしたストロークで挿入を繰り返しながら、少しずつ奥を目指す動きに、甘い声で名前を呼ぶ。
「――キツかったら、言ってくれよな?」
「ん……大丈夫、だよ」
「なら、いいが――気持ちいい、か?」
「うん……すごく、いい……」
緩やかなガルドさんの動きが、物凄く気持ちよくて、うっとりとした声が出てしまう。
「そっか――俺も、気持ちいいぜ?」
「うん……」
ロウのように焦らされておねだりをさせられて、その後激しくされちゃうのも、決して嫌じゃないんだけど、こうやって優しく高められていくのはやっぱりすごく気持ちがいい。
ガルドさん自身も、私が素直に快感を感じているのを見るのが好きみたいだ。それと、私からされるのも、ね。
なんだっけ、前に聞いたことがあるあのセリフ――ああ、そうだ。
『相手も自分も楽しんで、気持ちよくなるのが一番だ』
それを言ったのってガルドさんだっけ? うまく頭が働かなくて思い出せないけど、その内容には全面的に賛成する。その相手が、大好きな人ならなおさらだ。
「レイちゃんのナカ、すごく、いいぜ……じっとしてるだけ、でも、持ってかれちまい、そうだっ」
切れ切れに囁かれる内容は、かなりあけすけで――正直、女である私にはよく理解できない。
だけど、それでガルドさんが気持ちよくなってくれているのなら、すごくうれしい。
「あ、んっ――ガルドさ……私も、気持ち、い……いっ」
緩やかな動きの合間に、時折、少しだけ強く突き上げられる。その度にこらえきれずに漏れる声に、私自身は勿論、ガルドさんもさらに高ぶっていく。ドクン、と私のナカでガルドさんが脈打って、また少し大きくなった気がする。
そして、先ほどの援護射撃(?)のお返しなのか、ロウが私の体を少し起こして、私達がつながっている部分へと視線を誘導する。
「ほら、レイ――見てみろ?」
「見えるか、レイちゃん……俺のが、ほら……」
「え? ……あ、やだ……こんなっ」
痛々しいほどに開ききったソコを、ガルドさんの逞しいモノが出入りする様が見えてしまう。ピンク色の肉襞の間を、赤黒いソレが白濁した液体をまとって……恥ずかしいが、それ以上に興奮する光景だ。思わず、強くガルドさんを締め付けると、低いうめき声がその口から洩れた。
「って――やべぇって! ……んな、こと、されちゃ……っっ」
「ああ、やっ……お、っきすぎ、っ……ガルドさ……っ」
まだ育つ余裕があったのか、と、苦しさに喘ぎつつも驚愕する。本気でぎりぎりだ。
けど、ここまで来たらガルドさんも止まれない。せめて少しでも早く楽にしてくれようとしてか、突き上げる動きが激しいものへと変化する。感じる部分を狙って突きこまれ、ぐりぐりと腰を使って刺激されると、お馴染みの白いスパークが瞼の裏にちらつき始める。ロウも私の胸に手を這わせ、弱点である首筋を吸い上げて、二人掛かりで二度目の頂点へと押し上げられていく。
「ああっ、やぁっ、あっ、あっ――」
私の声が切羽詰まったものへと変わるのに合わせ、ひときわ強くガルドさんが突き上げてくる。同時に、ロウに胸の先端をきつく摘み上げられて、体が大きくのけぞった。
「ああっ! あ、ああああっ! ……はぁ……ぁ、ぅ……」
奥の奥の壁を突き破らんばかりに衝かれた瞬間、ガルドさんの根元から先端までをギリギリと締め上げて、達してしまう。そのまま、少しの間、全身を痙攣させた後、微かな声を漏らして私の体から一切の力が抜ける。
「くっ……毎度だが、クソやべぇ……」
ドクドクと、内部にガルドさんの熱いモノが注がれる感覚が、おぼろに意識に上るのだけど、それに反応する体力は残っていない。ぐったりと弛緩した体を、背後からロウがきつく抱きしめてくれた後、優しい手つきでシーツの上に横たえられた。
そのすぐ後で、ベッドが軋んで両側がへこんだ感覚があった。瞼を開けて確認するのさえ億劫だったのだけど、左右から延びてきた手で二人がすぐそばにいてくれるのが分かる。
満たされて、幸せで……もう、あの黒い霧に触れられた感触なんか、思い出そうとしても思い出せない。
「ロウ……ガルド、さ……ありがと、う……」
最後の最後に、残った力を振り絞って、二人に感謝を伝えた後――安心しきった私は、そのまま眠りの国へと旅立った。
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変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
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