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引っ越します
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有能な執事であるヨハンのおかげで、フレイの離宮への引っ越しは滞りなく行われた。
「……すごいな。これがお前の屋敷になるのか」
「借りものですよ。できるだけ早めに別の家を建てて出ていかないといけません」
フレイの隣にいるのは次兄のロベールである。屋移りが決まったので、約束通り、ラゼルム家の屋敷をでてきたのである。
「この調度品、いったいいくらするんでしょう? 壊しでもしたら、私の首が飛びそうですよ」
「厨房はどこでしょうか、まずはそこを確認したいのですが」
「これじゃ、掃除したくとも怖くてできません。どこかに片づけていただくわけにはいかないんですか?」
ただ、本来であればここに引っ越すのは当主であるフレイ、執事のヨハン、それに代官就任予定のロベールの三人であったはずなのだが、なぜかそれ以外にも数名の姿があった。
「とりあえず最初は、派遣されてきた者たちに任せておけばいいよ。マルゴ、ゲーテ、コレット」
「それより、坊ちゃん。馬はどこにいれりゃいいんですか?」
「あっちにそれっぽいのがありましたよ、親方」
「バルにニコも、とりあえず落ち着こうな?」
言うまでもないかもしれないが、彼らはラゼルム家に仕えていた者たちである。「いる」ではなく「いた」という部分が重要だ。
マルゴット(マルゴ)は元々がロベールの乳母で、王都の屋敷の裏方を取り仕切っていた。ゲーテは厨房の主であり、コレットはマルゴの下でこまごまとした実務を担当していた。
バルは庭師兼馬番、ニコは数少ない――というか、唯一のロベールの直属の部下である。
「それにしても、いいのか、お前たち……領地に残してきた家族もいるだろうに」
「とっくの昔に成人して、今は女房の尻に敷かれてる息子の心配なんか必要ないですよ」
「あたしゃ、後家ですからね。子供もいないし、気楽なもんです」
「父さんも母さんも、王都でいい人を見つけたら、さっさとくっついちまえって言ってましたから大丈夫です」
さらに――。
「何にもねぇところから、俺の好きにいじれる庭が待ってるんですぜ。これに飛びつかねぇようなら庭師なんかやめちまえっ、ってなもんですよ」
「ロベール様が行くんなら、当然、俺も行きますよ。なんたって、俺のご主人さまですんで」
そして、最後に五名全員が、口をそろえて言う。
「それに、このままあそこにお仕えするより、こっちの方が絶対にいいに決まってます」
「……そうか。なら、よろしく頼む」
長男以外の息子にはさんざんな扱いをする親であったが、それは使用人たちにも同様であったようだ。
尚、わざわざ領地から人を連れてきて王都の屋敷で働かせているのは、人件費の節約の為である。王都で人を雇えば、王都の相場を払わなくてはならない。だが、領地から連れてきた相手ならば、それよりも格段に安い賃金で済むというわけだ。
「我が親ながら……」
「どこでもやっていることとはいえ、うちの賃金は格安だからな……」
ラゼルム家は決して裕福とはいえないので仕方のないことではあるが、そのくせ見栄は張りたがるので困ったものだ。結果的にそのしわ寄せが使用人、ひいては領民に降りかかることになるのだから。
「ロベール坊ちゃまがしっかりと見てくださるなら……と思っておりましたが、それが反故にされたのなら、もうあそこに義理立てすることもございません」
「マルゴの気持ちはうれしいが、あまり大声ではいわぬようにな?」
「わかっておりますよ、ロベール坊ちゃま」
「……それと、私ももう三十なのだから、いい加減、坊ちゃまはやめてくれ」
そんな一幕がありはしたが、ヨハンとの顔合わせも無事に終わり、後は国から派遣されてきた者たちの確認となる。
「近衛第二師団所属のグイード・ベルク・エルヴァンスと申します。離宮の警護、並びに灘公殿下の護衛の統括をさせていただきます」
「フレイ・ザナルだ、よろしく頼む。ところでエルヴァンスという姓は、近衛師団長殿と同じだが?」
「はい、我が父でございます」
これはまた大物を持ってきてもらったらしい。エルヴァンスといえば武門の誉れも高い侯爵家である。
「父上のご高名は、北の辺境にも届いていました。その御子息に守っていただけるとは、光栄です」
近衛への転属の話が出ていたフレイにとっては、もしかしたら自分の上司(の上司)になるかもしれない相手に対して、思わず素の話し方になってしまったのも無理もない話だった。
「もったいないお言葉です――時に、殿下も以前は軍に所属しておられたと聞き及んでおります。確か、北方軍であられましたか? 最前線でご活躍なさっておられた御身であられますから、我らの出番はないかもしれませぬな」
その言い様に、ん? と引っ掛かるものがあったフレイである。しかし、まだまだ顔を合わせなければならない相手は山ほど残っているため、ここで時間を取られすぎるわけにもいかなかった。
「……とりあえず、警護面に関してはすべてそちらにお任せし……任せる。良いように取り計らってくれ」
「承りました」
表情を引き締め騎士の礼をとるグイードに、先ほどの少々不穏な雰囲気はかけらもない。そのため、まぁいいか……と歩き始めたフレイに、そっとロベールが近寄ってくる。
「あの時、彼もいたぞ」
「え?」
「私の前の集団だ」
とっさにピンとこなかったフレイだが、ロベールの二言目でやっと理解する。
灘公選定の儀に、グイードも参加していたということだ。
選定の儀の仔細については神術により口にするのを禁じられているが、それは主に灘妃に関することであり、誰それが参加していた程度のことならば、その禁忌に触れることはない。そのため、ロベールも情報提供ができたのだ。
「なるほど、それで……ですか」
「自分の職務を放棄するようなことはあるまいが、それでもあまり気を許さない方がいい」
「了解です、兄上」
自分を守ってくれるはずの相手を信用できないとは、一体どういうことだ。
げんなりとするフレイだが、所詮は借り物であるのだから仕方がない。自前の騎士団とまではいかなくとも、護衛の為の小隊(十五名程度)は早めに調達する必要がある。
「早いところダニエルが戻ってくれるといいんだが……」
あちら(北方)で、フレイに仕えてくれそうな連中を集めると言ったその言葉だけが頼りだ。
「あまり焦るな。何しろまだ六日しか経っていないんだぞ」
「それはそうなんですが……色々ありすぎて、たったの六日とは思えません」
こっそりとため息を吐くフレイであった。
その後は、国から派遣された執事候補、侍女長、料理長、そしてその配下たちとの顔合わせとなる。
「フレイ・ザナルだ。しばらくの間、この離宮を使わせていただくことになった。右にいるのは私の兄で、コンヴァルの代官となるロベール・ペシオ。左が執事のヨハン・セバスティアンだ。その他は、私の生家に仕えていてくれた者たちだが、私が大公家を興すにあたりついてきてくれた。私ともども、見知りおいてくれ」
フレイがそう宣言すると、執事の服装をした男が代表して口を開く。
「モーリッツ・デプレと申します、殿下。私は、宰相閣下より直々に、殿下のお側近くにお仕えする様に仰せつかってまいりました。それは、この離宮を去られて後までということでございましたが……?」
「宰相殿のご配慮、痛み入る。灘妃様にお選びいただくまで、一人の家臣も持たなかった私を心配してくださったのだろう。だが、幸いなことに友人であるガーランド伯爵家の次男殿が家宰を引き受けてくださり、実務はここにいるヨハンが取り仕切ってくれることになった。ただ、大公家ともなればいろいろと特別なしきたりなどもあろう――モーリッツ、だったな? 私がここに滞在している間に、彼らにそれらを教えこんでもらえればありがたい」
「いや、ですが、その……」
「よろしく頼む」
「……畏まりましてございます」
ちなみに侍女長、料理長らとも同じやり取りをすることになる。
侍女長に関しては、どこぞの伯爵家の出らしく、平民であるマルゴの下につくことになると聞いたとたんに、離宮を出て行ってしまった。ただ、幸いなことに『拍付け』の意味で送り込まれたらしく、実務に関しては侍女たちで十分事足りることが判明した。
料理長は、意外にもゲーテが気に入ったようだ。
あっという間に意気投合し、客人が来た時などの格式が必要な場合は料理長が主導し、それ以外の日常的な食事に関してはゲーテと共同で当たることをさっさと決めてしまう。
余談ではあるが、後にこの二人は結婚をする。料理長は早くに妻を亡くし、それ以来やもめを貫いてきたのだが、同じく連れ合いをなくしていたゲーテに一目惚れをしたらしい。
庭師のバルだが、すでに完璧に整えられている離宮の庭については、手を出すつもりはない、と自分から宣言していた。ただ、その代わりに王家直属の庭師の持つ技術を教えてくれ、と交渉したらしい。ニコもしばらくはそんなバルに付き合うことになった。どのみち、ロベールがコンヴァルに赴任すればそれについていくので、ここで焦って自分の居場所を確保する必要はないのだ。
「……意外に収まるところに収まるものだな」
「灘の女神のご加護でございましょう」
当主として、離宮でも最も豪華で広い一室をあてがわれたフレイが、思わずといった風につぶやくと、それまで見事なまでに黒子に徹していたヨハンがそれに応じる。
「とはいえ、まったく問題がないわけでもないのだが……」
そういいつつ、初めて出されて以来、すっかりお気に入りになったコンヴァル産のお茶を口に運ぶ。もちろん、これもヨハンが淹れたものである。
「お焦りになりませぬよう――何事も一つ一つ、でございます」
「そうだな」
今のところ、概ねフレイにとって都合の良いように事は運んでいる。できればこの先もこうあってほしいものだと思いながら、しばしの休息に浸るフレイであった。
「……すごいな。これがお前の屋敷になるのか」
「借りものですよ。できるだけ早めに別の家を建てて出ていかないといけません」
フレイの隣にいるのは次兄のロベールである。屋移りが決まったので、約束通り、ラゼルム家の屋敷をでてきたのである。
「この調度品、いったいいくらするんでしょう? 壊しでもしたら、私の首が飛びそうですよ」
「厨房はどこでしょうか、まずはそこを確認したいのですが」
「これじゃ、掃除したくとも怖くてできません。どこかに片づけていただくわけにはいかないんですか?」
ただ、本来であればここに引っ越すのは当主であるフレイ、執事のヨハン、それに代官就任予定のロベールの三人であったはずなのだが、なぜかそれ以外にも数名の姿があった。
「とりあえず最初は、派遣されてきた者たちに任せておけばいいよ。マルゴ、ゲーテ、コレット」
「それより、坊ちゃん。馬はどこにいれりゃいいんですか?」
「あっちにそれっぽいのがありましたよ、親方」
「バルにニコも、とりあえず落ち着こうな?」
言うまでもないかもしれないが、彼らはラゼルム家に仕えていた者たちである。「いる」ではなく「いた」という部分が重要だ。
マルゴット(マルゴ)は元々がロベールの乳母で、王都の屋敷の裏方を取り仕切っていた。ゲーテは厨房の主であり、コレットはマルゴの下でこまごまとした実務を担当していた。
バルは庭師兼馬番、ニコは数少ない――というか、唯一のロベールの直属の部下である。
「それにしても、いいのか、お前たち……領地に残してきた家族もいるだろうに」
「とっくの昔に成人して、今は女房の尻に敷かれてる息子の心配なんか必要ないですよ」
「あたしゃ、後家ですからね。子供もいないし、気楽なもんです」
「父さんも母さんも、王都でいい人を見つけたら、さっさとくっついちまえって言ってましたから大丈夫です」
さらに――。
「何にもねぇところから、俺の好きにいじれる庭が待ってるんですぜ。これに飛びつかねぇようなら庭師なんかやめちまえっ、ってなもんですよ」
「ロベール様が行くんなら、当然、俺も行きますよ。なんたって、俺のご主人さまですんで」
そして、最後に五名全員が、口をそろえて言う。
「それに、このままあそこにお仕えするより、こっちの方が絶対にいいに決まってます」
「……そうか。なら、よろしく頼む」
長男以外の息子にはさんざんな扱いをする親であったが、それは使用人たちにも同様であったようだ。
尚、わざわざ領地から人を連れてきて王都の屋敷で働かせているのは、人件費の節約の為である。王都で人を雇えば、王都の相場を払わなくてはならない。だが、領地から連れてきた相手ならば、それよりも格段に安い賃金で済むというわけだ。
「我が親ながら……」
「どこでもやっていることとはいえ、うちの賃金は格安だからな……」
ラゼルム家は決して裕福とはいえないので仕方のないことではあるが、そのくせ見栄は張りたがるので困ったものだ。結果的にそのしわ寄せが使用人、ひいては領民に降りかかることになるのだから。
「ロベール坊ちゃまがしっかりと見てくださるなら……と思っておりましたが、それが反故にされたのなら、もうあそこに義理立てすることもございません」
「マルゴの気持ちはうれしいが、あまり大声ではいわぬようにな?」
「わかっておりますよ、ロベール坊ちゃま」
「……それと、私ももう三十なのだから、いい加減、坊ちゃまはやめてくれ」
そんな一幕がありはしたが、ヨハンとの顔合わせも無事に終わり、後は国から派遣されてきた者たちの確認となる。
「近衛第二師団所属のグイード・ベルク・エルヴァンスと申します。離宮の警護、並びに灘公殿下の護衛の統括をさせていただきます」
「フレイ・ザナルだ、よろしく頼む。ところでエルヴァンスという姓は、近衛師団長殿と同じだが?」
「はい、我が父でございます」
これはまた大物を持ってきてもらったらしい。エルヴァンスといえば武門の誉れも高い侯爵家である。
「父上のご高名は、北の辺境にも届いていました。その御子息に守っていただけるとは、光栄です」
近衛への転属の話が出ていたフレイにとっては、もしかしたら自分の上司(の上司)になるかもしれない相手に対して、思わず素の話し方になってしまったのも無理もない話だった。
「もったいないお言葉です――時に、殿下も以前は軍に所属しておられたと聞き及んでおります。確か、北方軍であられましたか? 最前線でご活躍なさっておられた御身であられますから、我らの出番はないかもしれませぬな」
その言い様に、ん? と引っ掛かるものがあったフレイである。しかし、まだまだ顔を合わせなければならない相手は山ほど残っているため、ここで時間を取られすぎるわけにもいかなかった。
「……とりあえず、警護面に関してはすべてそちらにお任せし……任せる。良いように取り計らってくれ」
「承りました」
表情を引き締め騎士の礼をとるグイードに、先ほどの少々不穏な雰囲気はかけらもない。そのため、まぁいいか……と歩き始めたフレイに、そっとロベールが近寄ってくる。
「あの時、彼もいたぞ」
「え?」
「私の前の集団だ」
とっさにピンとこなかったフレイだが、ロベールの二言目でやっと理解する。
灘公選定の儀に、グイードも参加していたということだ。
選定の儀の仔細については神術により口にするのを禁じられているが、それは主に灘妃に関することであり、誰それが参加していた程度のことならば、その禁忌に触れることはない。そのため、ロベールも情報提供ができたのだ。
「なるほど、それで……ですか」
「自分の職務を放棄するようなことはあるまいが、それでもあまり気を許さない方がいい」
「了解です、兄上」
自分を守ってくれるはずの相手を信用できないとは、一体どういうことだ。
げんなりとするフレイだが、所詮は借り物であるのだから仕方がない。自前の騎士団とまではいかなくとも、護衛の為の小隊(十五名程度)は早めに調達する必要がある。
「早いところダニエルが戻ってくれるといいんだが……」
あちら(北方)で、フレイに仕えてくれそうな連中を集めると言ったその言葉だけが頼りだ。
「あまり焦るな。何しろまだ六日しか経っていないんだぞ」
「それはそうなんですが……色々ありすぎて、たったの六日とは思えません」
こっそりとため息を吐くフレイであった。
その後は、国から派遣された執事候補、侍女長、料理長、そしてその配下たちとの顔合わせとなる。
「フレイ・ザナルだ。しばらくの間、この離宮を使わせていただくことになった。右にいるのは私の兄で、コンヴァルの代官となるロベール・ペシオ。左が執事のヨハン・セバスティアンだ。その他は、私の生家に仕えていてくれた者たちだが、私が大公家を興すにあたりついてきてくれた。私ともども、見知りおいてくれ」
フレイがそう宣言すると、執事の服装をした男が代表して口を開く。
「モーリッツ・デプレと申します、殿下。私は、宰相閣下より直々に、殿下のお側近くにお仕えする様に仰せつかってまいりました。それは、この離宮を去られて後までということでございましたが……?」
「宰相殿のご配慮、痛み入る。灘妃様にお選びいただくまで、一人の家臣も持たなかった私を心配してくださったのだろう。だが、幸いなことに友人であるガーランド伯爵家の次男殿が家宰を引き受けてくださり、実務はここにいるヨハンが取り仕切ってくれることになった。ただ、大公家ともなればいろいろと特別なしきたりなどもあろう――モーリッツ、だったな? 私がここに滞在している間に、彼らにそれらを教えこんでもらえればありがたい」
「いや、ですが、その……」
「よろしく頼む」
「……畏まりましてございます」
ちなみに侍女長、料理長らとも同じやり取りをすることになる。
侍女長に関しては、どこぞの伯爵家の出らしく、平民であるマルゴの下につくことになると聞いたとたんに、離宮を出て行ってしまった。ただ、幸いなことに『拍付け』の意味で送り込まれたらしく、実務に関しては侍女たちで十分事足りることが判明した。
料理長は、意外にもゲーテが気に入ったようだ。
あっという間に意気投合し、客人が来た時などの格式が必要な場合は料理長が主導し、それ以外の日常的な食事に関してはゲーテと共同で当たることをさっさと決めてしまう。
余談ではあるが、後にこの二人は結婚をする。料理長は早くに妻を亡くし、それ以来やもめを貫いてきたのだが、同じく連れ合いをなくしていたゲーテに一目惚れをしたらしい。
庭師のバルだが、すでに完璧に整えられている離宮の庭については、手を出すつもりはない、と自分から宣言していた。ただ、その代わりに王家直属の庭師の持つ技術を教えてくれ、と交渉したらしい。ニコもしばらくはそんなバルに付き合うことになった。どのみち、ロベールがコンヴァルに赴任すればそれについていくので、ここで焦って自分の居場所を確保する必要はないのだ。
「……意外に収まるところに収まるものだな」
「灘の女神のご加護でございましょう」
当主として、離宮でも最も豪華で広い一室をあてがわれたフレイが、思わずといった風につぶやくと、それまで見事なまでに黒子に徹していたヨハンがそれに応じる。
「とはいえ、まったく問題がないわけでもないのだが……」
そういいつつ、初めて出されて以来、すっかりお気に入りになったコンヴァル産のお茶を口に運ぶ。もちろん、これもヨハンが淹れたものである。
「お焦りになりませぬよう――何事も一つ一つ、でございます」
「そうだな」
今のところ、概ねフレイにとって都合の良いように事は運んでいる。できればこの先もこうあってほしいものだと思いながら、しばしの休息に浸るフレイであった。
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