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おまけ
初恋は実らせる! 上
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大いなるフォスのみそなわすフォーセラの(以下略)、シルヴァージュ王国で国王の代替わりが行われて十年以上が経つ。
譲位した折の先王はまだ十分に執務をとれる年齢ではあったが、早めに王座を譲り渡し次代に経験を積ませるというのがシルヴァージュの伝統だ。現王に万が一の事があった場合、再び先代が政務を取り仕切る必要が出てくる可能性もあるので、代替わりは早い方がいいという一面もあるのだが――国内は先王時代と同様、いや、それ以上の繁栄と平和を謳歌しており、新たに王太子も立てられた今となってはそんな心配も無用になりそうだ、というのが昨今の状態であった。
「さっさと引退した両親がうらやましい……ウルに本格的に任せられるようになるのは、まだ少し先になりそうだしな……」
「即位してまだ十年ちょっとなのに、何、言ってるの。それにいくら王太子になったといっても、ウルリッヒは去年結婚したばかりで、まだ子供もいないのよ?」
ぼやく夫をたしなめている彼女は、名をリィ・クアーノ・エ・ル・シルヴァージュという。この国の王妃で、夫というのはもちろん国王だ。
民からは『奇跡の乙女』改め『奇跡の王妃』と呼ばれ親しまれている彼女は、実はこの世界の生まれではない。『異世界召喚』というものに引っかかり、とんでもないところへと飛ばされた後に当時の王太子であった夫――ライムート・エ・ラ・シルヴァージュに助けられ、紆余曲折を経て結ばれたという数奇な運命の持ち主だ。かつて生きていた世界では加賀野絵里という名であったが、ごく親しい者以外にそれを知るものはいない。
「十年か。もうそんなになるんだな……時間の流れは早いな」
「普通は『まだ十年』だと思うんだけどね。まぁ、シルヴァージュの王様って、代々そんな風だったとは聞いているけど」
四十手前で即位したライムートも、既に五十を超えている。金茶の髪には白いものが随分と増え、顔の半分を覆う髭も同様だが、生来の美貌はそれで損ねられるどころか貫禄と威厳を増し、民から『英雄王』と称えられるのも当然といった風情である。
「のんびりと離宮で余生を楽しんでいるんだろうな……」
「お二方ともまだまだ元気でいらっしゃるものね。少し前にお風邪を召したと伺ったけど、軽かったようで何よりだわ」
「下手をしたら、俺たちが引退するときもまだ元気かもしれん」
「それならそれでいいじゃない。私もゆっくりお義母様とお茶がしたいわ」
世に言う『嫁姑問題』はシルヴァージュ王家には存在しない。王(王太子)妃が良識のある人柄なのも勿論だが、何よりも夫と仲が良い(よすぎる)のが一番の理由だ。嫁を虐めている暇があれば、夫といちゃついた方がいい――大体、もしもいじめたいと思ったとしても、息子は嫁をかばって自分が悪者になるのは目に見えている。誰しも、そんな目には合いたくはない。
「お袋は俺よりもリィの事をかわいがっていたからなぁ」
「貴方を助けてくれた恩人だっておっしゃってくださるけど、助けられたのは私も同じなのにね」
ライムートの言葉遣いが、国王にしては些か砕けすぎているのは、彼の過去を考えれば無理もない。絵里もこちらの方を好んでいるし、公の場ではそれにふさわしい言葉使いをしているので問題はない。
「それでも、な――リィが現れてくれなかったら、俺はまだ大陸中を旅していただろう。勿論、こうやって国王なん
かやってられなかった。王太子になったウルや、その他の子供たちだって存在していなかったんだ。感謝するのは当たり前だ」
「そう思ってくださるのはとってもありがたいわ。少しでも、その思いにこたえられているのならいいんだけど……」
元居た世界での彼女は、所謂、天涯孤独という身の上だった。
最初は勿論、両親が揃っていたのだが、父親は彼女が幼い頃に亡くなり、母も二十歳になる前に病没した。兄弟はおらず、近しい親戚も存在しない。
そんな、どこの馬の骨ともわからぬ平民――どころか、異世界人である自分を、何のためらいもなく家族として受け入れてくれた先王夫妻には、返しきれないほどの恩がある。
「俺の子の顔を見せてやれただけで十分だ。その上、ひ孫の顔までとなれば、おつりがくる」
「アイナとカンナのところの、ね――孫であるあの子達の時もそうだったけど、生まれた子達を可愛がってくださるのはうれしいんだけど、ちょっと度が過ぎてるんじゃないかって、この前、愚痴られちゃったわ」
「アイナか? それとも、カンナの方か?」
「両方」
ライムートと絵里の間の五人の子は、上から順にアイナ(愛奈)、ウルリッヒ、カンナ(神菜)、クルゼイロ、サナ(咲菜)と名付けられていた。男児はシルヴァージュ王家の代々の名がつけられているが、女児の名に秘かに漢字が当てられているのは絵里のたっての願いである。
長女のアイナは嫁いで数年が経っており、次女のカンナも三年前に目出度く婚儀を終えている。どちらも早々に子宝に恵まれて、絵里とライムートにとっても目の中に入れても痛くないほどかわいい孫たちだ。
「それを聞いちゃうと、私もちょっと自重しなきゃって思うわ」
「……まぁ、度が過ぎなければいいんじゃないか?」
「その内、ウルのところにも生まれるでしょうし……外孫と違って、内孫だと会う機会も多いだろうから、ホント気をつけなきゃね」
たった一人きりで生きていくのだと思っていたのに、気が付けば夫だけではなく、第二の両親ともいえる先王夫妻や、五人もの子供たち、更にはまだまだ増えそうな孫……これほどの幸せはないが、それに甘えすぎて迷惑をかけてしまっては本末転倒になってしまう。
「クルも婚約が決まったしな。そのうち、孫の名前を覚えきれなくなりそうだ」
そんな嬉しい悩みに頭を悩ませられるのも、長男のウルリッヒが王太子として執務の幾分かを負担してくれ始めた恩恵だ。こうして、次代につながっていくのだと、しみじみと思うライムートである。
「お嫁さんたちも二人共、とってもいい子で、ウルやクルとの仲も良好だしね。あり得る話だから、ちゃんと覚えられるようにがんばってね」
「ああ……しかし、考えてみると、もう手元に残っているのはサナだけか」
アイナとカンナは、当たり前の話だが婚家に入り、王太子となったウルリッヒも、同じ内宮ではあるがかつてライムート達も使っていた王太子一家の為の別棟に移った。クルゼイロは結婚と同時に王籍を離れ公爵家を興す事になっており、今はそのための屋敷で準備にいそしんでいる。
「ああ、サナね……うん、側にいてくれるのはうれしいんだけど、もうあの子も適齢期だし……」
末っ子三女のサナは、今年で十八になった。姉のアイナとカンナが同じ年齢で嫁いだことからもわかる様に、シルヴァージュでは結婚適齢期真っ盛りだ。
で、あるのに。
サナには未だ結婚相手どころか、婚約者すらいなかった。
絵里の元居た世界では、十八といえば高校を卒業したばかりの年齢である。大学や専門学校で学ぶか、或いは就職するか――どちらにせよ、その年で結婚するのは少数派といえるだろう。
だが、ここは異世界であり、サナはシルヴァージュの王女だ。適齢期の王女に決まった相手がいないというのは、いろいろと問題になりやすい。
婚き遅れといわれるくらいはまだかわいい方で、人に言えない病に侵されているだの、実は子供が産めない体だだの、ひどいのになると男遊びをしすぎて一人に落ち着きたくないからだの……いくらライムートの統治によりシルヴァージュが平和に治まっているとはいえ、宮廷雀たちによる無責任な噂まで絶滅したわけではないのだ。
「へんな噂があの子の耳に届く前に何とかしなきゃ、と思うのよ」
「そうは言っても、まだ好いた相手もいないんだろう? サナの性格なら、こちらが勝手に相手を用意でもしたら、それこそ口をきいてくれなくなる」
一時期、髭が嫌だという理由でそういう目に遭っているため、ライムートは末っ子にはどうしても強く出られないらしい。何より、唯一手元に残った可愛い娘を手放したくはないという、父親としての思いもある。
「あの子に好きな人ができればね……そうしたら、全部解決するんだけど」
この際、相手のえり好みはしない。よほど人格に問題があったり、既婚者だったりすれば話は別だが、サナの想いに応えてくれるのなら、どんな下級貴族だろうと、いや、平民だろうとかまわない。姉二人と――そして、自分と同じく、相思相愛の相手と添わせてやりたいと思うのが母心だ。
だが、姉二人が十代の初めに愛する人を見つけたのとは異なり、サナにはまだ『初恋』すら訪れてはいなかった。
「本当に、誰かいないかしらね。あの子に『恋』を教えてくれる相手が……」
そんな会話を、ライムートと絵里が交わした数日後のこと。
シルヴァージュの王城は、その日、にわかに騒がしくなっていた。
「……この書に書かれていることは真か?」
「はい、陛下」
玉座に座り王様モード全開で尋ねるライムートに、謁見中の異国風の衣装に身を包んだ男が応える。
「重ねて問うが、ディアハラ王家は、本当に我が国に王子を派遣するつもりだ、と?」
ライムートの手の中にあるのは、豪華な装飾を施された一通の手紙――『ディアハラ王からの親書』というシロモノだ。
「左様でございます。畏れながら申し上げます。昨今のシルヴァージュ王国は、文化技術共に他国の追従を許さぬほどの水準を誇っておられます。また、下々の者たちへの御恩情も厚い国王陛下のご英知により王国の隆盛は留まるところを知らず――」
最近のシルヴァージュが(絵里の日本での知識をもとに)他国より格段に文化や技術の水準が高く、また革新的で効率的な統治ができているのは事実だ。
なので、ディアハラからの使者がいくら美辞麗句を並べ立てて褒めちぎろうと、そんなものはライムートは既に聞き飽きている。ただ、その後に続いた言葉が問題だった。
「……そして聞きますに、シルヴァージュ王国では広く他国に門戸を開き、その高い文化技術をお伝えになられていらっしゃるとのこと。ここは是非、我が国もその一員として末席に加わりたいと存じた次第にございます。そして、まずはその先駆けとして、王子の一人に、こちらの国への訪問をお許しいただきたい、と我が国王はおっしゃっておられます」
国家間の交流は、別にこの世界でも珍しくはない。現に、今も留学生という形をとって、シルヴァージュの知識を得ようとしている国はいくつもある。ただ――その相手が『ディアハラ』となると話は別になる。
シルヴァージュとディアハラは、かつては一触即発、何かあれば即開戦という状況に置かれていたことがある。
もう数十年も前――ライムートが王太子だった頃の話だが、その当時のディアハラ王とその周辺がとんでもないことをたくらんだのである。幸い、そのたくらみは未然に防ぐことができ――ライムートが『英雄王』と呼ばれるようになった理由の一つに、この対ディアハラの騒動を収めたことが挙げられる――当時のディアハラ王はその責を負って玉座を追われ、新王と交代した。
その騒動の折、ディアハラはシルヴァージュだけではなく、その他多くの国々にも喧嘩を売っていたため、新王はそのしりぬぐいに新王は大変な苦労をしたらしい。尤も、大陸の中央のシルヴァージュと、西の端のディアハラではあまりにも距離が離れすぎており、事後処理が終わった後は以前の様な平和といえる状態に戻ったのだが――ここで、また一つ、ディアハラがやらかしてしまった。
先王の引退の原因となった事案に関する重要人物が、先の事件から一年もたたないうちに、身柄を預けられていた修道院から脱走したのである。
公には秘されているが、この人物はシルヴァージュ王妃である絵里との因縁が深く、そのことも鑑みて、直ぐにシルヴァージュへと知らせればよかったのだ。だが、ディアハラ側はそれを秘匿した。大事になる前に、ひそかにその人物を見つけ出すつもりだったのだろうが、そうこうしている間に、シルヴァージュは別口の事件からその人物の脱走を知ってしまった。
ここでもう、シルヴァージュのディアハラへの評価は地に落ちたといっていい。
新体制になって少しはましになったかと思ったら……ということだ。
とはいえ、先に述べたように二国の間には物理的な距離がある。その結果、わざわざまた国家間のごたごたを蒸し返すよりも、極力関わり合いにならない方がいいと判断された。
シルヴァージュ側からすれば、冷たい無関心という表現が一番しっくりくるのだが、それで特に困ったこともなかったため、その状態が現在まで長く続いていた。
なお、これらの事はディアハラも十分心得ており、これまでは必要最低限の儀礼的接触に収めていた。
それが今になってこうして使者を送ってきたのは、おそらくはあまりにもシルヴァージュの国力が増強され、且つその恩恵に他国も預かるようになってきたからだろう。このまま指を咥えてみていれば、ディアハラのみが時流に乗り遅れる事となりかねない。そう危惧した新王(と言っても、即位して既に三十年近く経っているのだが)が、恥を忍んで申し出てきた――ということだろう。
「なるほど……ディアハラは我が国の事をよくご存じのようだ。そこで、今一度確認したいのだが、ディアハラの王子殿は、他国と同じように学生として、この国で学びたいということだろうか? それとも、単に我が国を訪問したいだけか?」
後者であれば、それなりの歓待をし、適当にいくつかの場所を案内した後で送り返せば終わる。
だが、もし本気で留学生としてシルヴァージュに来たいというのならば、その王子にとっては、結構な試練となるだろう。
「ディアハラといたしましては、できればしばらく腰を据え、あれこれと学ばせていただきたいと思っております。無論、シルヴァージュ王国が受け入れてくだされば、の話でございますが」
「ふむ……しかし、王子一人では、学ぶにしても限度があるのではないか?」
「それにつきましては、さすがに我が国も王子殿下ただお一人を、こちらに来させるわけにもいきませんので、殿下の腹心の者を加えた数名を、受け入れていただければ幸いにございます」
突然人数が増えたが、これはライムートでなくとも予想内の事である。使者の言ったように、仮にも王族が一人でフラフラと他国へ行くことなどあり得ない――尤も、そのあり得ないことをしていたのが、他でもないライムート本人であるのだが、これはここでは関係のない話だ。
「……重ねて聞くが、ディアハラは我が国がとっている『留学生制度』をきちんとご存じか?」
「はい。伺いますに、優秀な講師を揃えた『学園』という場所で、思う存分学ぶことができるとか」
「ああ、確かにそうだ。だが、もう一つ――わが国の『学園』では、全ての者が平等に学べることになっている。他国の貴族も、我が国の平民も、純粋に学園での成績で判断される。しかるに、学園では未だ王族を受け入れたことはないのだが、やはり同じように扱われるものと思うが、それも承知の上でのお話か?」
この『学園』とは、絵里の発案で数年前にできた施設の事である。簡単に言えば、高校と専門学校を合体させたようなものだ。今は貴族階級と、裕福な平民が主な生徒となっているが、同時に創設された『初等学園』というものもあり、こちらは親が通わせる気があれば、誰でもが入学できるシステムとなっていた。これは『学園』と同じく王都にしかなく、卒業までに時間がかかるためまだ卒業生はいないのだが、そこから『学園』に進むものがこの先増えてくることだろう。
いつしか、このシステムを国内全てに広めることが、王妃となった絵里の念願であるのだが、それはさておき。
これらの場所では、さすがに平民は貴族には敬意を払うことが暗黙の了解となっているが、それはあくまでも『敬意』であり、絶対的服従ではない。貴族も、身分を振りかざして横暴を働くような真似は許されていない。状況によっては成績優秀な平民が、貴族の上に立つこともある。そんなところへ、温室育ちの王子などを放り込むつもりなのか、と問うているわけだ。
「勿論でございます。我がディアハラ王も、シルヴァージュへと来られるご予定のサリオン殿下も、そのことは重々承知の上でのお願いにございます」
ここまで言われてもし断れば、今度はシルヴァージュの方が悪く言われかねない。数十年も昔のことをまだ根に持っているなど判断されるのは、ライムートとしても本意ではない。
「あい分かった。それほどまでに覚悟を決めておられるのであれば、是非もない。シルヴァージュは、王子一行を歓迎しよう」
「ありがたき幸せにございます」
「実際の王子殿の来訪の時期などについては、後程、実務を取り仕切るものを向かわせよう」
「重ね重ね感謝いたします」
深く一礼をして去っていく使者を見送り――ライムートは傍らに控えていたジークリンドへと声をかける。
「サリオンという王子、知っているか?」
「はい。ディアハラ王陛下の第二王子殿下の御三男でいらっしゃいますね。ご長男とご次男は正妃腹ですが、御三男は側妃があげられた方だったと記憶しております」
いくら国交がないも同然のディアハラとはいえ、王族の動向を調べるのは国家としてのたしなみだ。そして、ライムートがとっさには思い出せなかったことをすらすらと述べるあたり、相変わらず有能な側近である。
「……なかなか微妙なところを送りつけて来るな」
ディアハラの現王はライムートの父と同世代なので、その孫となればライムートの子供たちと同じくらいだと推測される。
第二王子の子で側妃腹――王位継承順位で言えば、十位以内に入るかどうかというところだろう。
「これが王太子である第一王子殿下のお子であればまた違ってきますが……」
「王位継承権を持ってはいるが、最悪、捨て駒にしてもかまわん王子、か……ふん。だからディアハラは好かんのだ」
「陛下……」
「安心しろ、お前にしか言わん――しかし、そうとなれば、学園の方にも俺から話を通しておいた方がいいな」
「それと妃殿下にも。学園については、妃殿下の肝いりで作られたものでございますので」
「リィか……なんというだろうな……」
ディアハラについては、絵里も複雑な思いをいだいているはずだ。そこの王子が、彼女が心血を注いでいる学園に来るのである。さすがのライムートも、妻がどのような反応を示すか、見当がつかなかった。
譲位した折の先王はまだ十分に執務をとれる年齢ではあったが、早めに王座を譲り渡し次代に経験を積ませるというのがシルヴァージュの伝統だ。現王に万が一の事があった場合、再び先代が政務を取り仕切る必要が出てくる可能性もあるので、代替わりは早い方がいいという一面もあるのだが――国内は先王時代と同様、いや、それ以上の繁栄と平和を謳歌しており、新たに王太子も立てられた今となってはそんな心配も無用になりそうだ、というのが昨今の状態であった。
「さっさと引退した両親がうらやましい……ウルに本格的に任せられるようになるのは、まだ少し先になりそうだしな……」
「即位してまだ十年ちょっとなのに、何、言ってるの。それにいくら王太子になったといっても、ウルリッヒは去年結婚したばかりで、まだ子供もいないのよ?」
ぼやく夫をたしなめている彼女は、名をリィ・クアーノ・エ・ル・シルヴァージュという。この国の王妃で、夫というのはもちろん国王だ。
民からは『奇跡の乙女』改め『奇跡の王妃』と呼ばれ親しまれている彼女は、実はこの世界の生まれではない。『異世界召喚』というものに引っかかり、とんでもないところへと飛ばされた後に当時の王太子であった夫――ライムート・エ・ラ・シルヴァージュに助けられ、紆余曲折を経て結ばれたという数奇な運命の持ち主だ。かつて生きていた世界では加賀野絵里という名であったが、ごく親しい者以外にそれを知るものはいない。
「十年か。もうそんなになるんだな……時間の流れは早いな」
「普通は『まだ十年』だと思うんだけどね。まぁ、シルヴァージュの王様って、代々そんな風だったとは聞いているけど」
四十手前で即位したライムートも、既に五十を超えている。金茶の髪には白いものが随分と増え、顔の半分を覆う髭も同様だが、生来の美貌はそれで損ねられるどころか貫禄と威厳を増し、民から『英雄王』と称えられるのも当然といった風情である。
「のんびりと離宮で余生を楽しんでいるんだろうな……」
「お二方ともまだまだ元気でいらっしゃるものね。少し前にお風邪を召したと伺ったけど、軽かったようで何よりだわ」
「下手をしたら、俺たちが引退するときもまだ元気かもしれん」
「それならそれでいいじゃない。私もゆっくりお義母様とお茶がしたいわ」
世に言う『嫁姑問題』はシルヴァージュ王家には存在しない。王(王太子)妃が良識のある人柄なのも勿論だが、何よりも夫と仲が良い(よすぎる)のが一番の理由だ。嫁を虐めている暇があれば、夫といちゃついた方がいい――大体、もしもいじめたいと思ったとしても、息子は嫁をかばって自分が悪者になるのは目に見えている。誰しも、そんな目には合いたくはない。
「お袋は俺よりもリィの事をかわいがっていたからなぁ」
「貴方を助けてくれた恩人だっておっしゃってくださるけど、助けられたのは私も同じなのにね」
ライムートの言葉遣いが、国王にしては些か砕けすぎているのは、彼の過去を考えれば無理もない。絵里もこちらの方を好んでいるし、公の場ではそれにふさわしい言葉使いをしているので問題はない。
「それでも、な――リィが現れてくれなかったら、俺はまだ大陸中を旅していただろう。勿論、こうやって国王なん
かやってられなかった。王太子になったウルや、その他の子供たちだって存在していなかったんだ。感謝するのは当たり前だ」
「そう思ってくださるのはとってもありがたいわ。少しでも、その思いにこたえられているのならいいんだけど……」
元居た世界での彼女は、所謂、天涯孤独という身の上だった。
最初は勿論、両親が揃っていたのだが、父親は彼女が幼い頃に亡くなり、母も二十歳になる前に病没した。兄弟はおらず、近しい親戚も存在しない。
そんな、どこの馬の骨ともわからぬ平民――どころか、異世界人である自分を、何のためらいもなく家族として受け入れてくれた先王夫妻には、返しきれないほどの恩がある。
「俺の子の顔を見せてやれただけで十分だ。その上、ひ孫の顔までとなれば、おつりがくる」
「アイナとカンナのところの、ね――孫であるあの子達の時もそうだったけど、生まれた子達を可愛がってくださるのはうれしいんだけど、ちょっと度が過ぎてるんじゃないかって、この前、愚痴られちゃったわ」
「アイナか? それとも、カンナの方か?」
「両方」
ライムートと絵里の間の五人の子は、上から順にアイナ(愛奈)、ウルリッヒ、カンナ(神菜)、クルゼイロ、サナ(咲菜)と名付けられていた。男児はシルヴァージュ王家の代々の名がつけられているが、女児の名に秘かに漢字が当てられているのは絵里のたっての願いである。
長女のアイナは嫁いで数年が経っており、次女のカンナも三年前に目出度く婚儀を終えている。どちらも早々に子宝に恵まれて、絵里とライムートにとっても目の中に入れても痛くないほどかわいい孫たちだ。
「それを聞いちゃうと、私もちょっと自重しなきゃって思うわ」
「……まぁ、度が過ぎなければいいんじゃないか?」
「その内、ウルのところにも生まれるでしょうし……外孫と違って、内孫だと会う機会も多いだろうから、ホント気をつけなきゃね」
たった一人きりで生きていくのだと思っていたのに、気が付けば夫だけではなく、第二の両親ともいえる先王夫妻や、五人もの子供たち、更にはまだまだ増えそうな孫……これほどの幸せはないが、それに甘えすぎて迷惑をかけてしまっては本末転倒になってしまう。
「クルも婚約が決まったしな。そのうち、孫の名前を覚えきれなくなりそうだ」
そんな嬉しい悩みに頭を悩ませられるのも、長男のウルリッヒが王太子として執務の幾分かを負担してくれ始めた恩恵だ。こうして、次代につながっていくのだと、しみじみと思うライムートである。
「お嫁さんたちも二人共、とってもいい子で、ウルやクルとの仲も良好だしね。あり得る話だから、ちゃんと覚えられるようにがんばってね」
「ああ……しかし、考えてみると、もう手元に残っているのはサナだけか」
アイナとカンナは、当たり前の話だが婚家に入り、王太子となったウルリッヒも、同じ内宮ではあるがかつてライムート達も使っていた王太子一家の為の別棟に移った。クルゼイロは結婚と同時に王籍を離れ公爵家を興す事になっており、今はそのための屋敷で準備にいそしんでいる。
「ああ、サナね……うん、側にいてくれるのはうれしいんだけど、もうあの子も適齢期だし……」
末っ子三女のサナは、今年で十八になった。姉のアイナとカンナが同じ年齢で嫁いだことからもわかる様に、シルヴァージュでは結婚適齢期真っ盛りだ。
で、あるのに。
サナには未だ結婚相手どころか、婚約者すらいなかった。
絵里の元居た世界では、十八といえば高校を卒業したばかりの年齢である。大学や専門学校で学ぶか、或いは就職するか――どちらにせよ、その年で結婚するのは少数派といえるだろう。
だが、ここは異世界であり、サナはシルヴァージュの王女だ。適齢期の王女に決まった相手がいないというのは、いろいろと問題になりやすい。
婚き遅れといわれるくらいはまだかわいい方で、人に言えない病に侵されているだの、実は子供が産めない体だだの、ひどいのになると男遊びをしすぎて一人に落ち着きたくないからだの……いくらライムートの統治によりシルヴァージュが平和に治まっているとはいえ、宮廷雀たちによる無責任な噂まで絶滅したわけではないのだ。
「へんな噂があの子の耳に届く前に何とかしなきゃ、と思うのよ」
「そうは言っても、まだ好いた相手もいないんだろう? サナの性格なら、こちらが勝手に相手を用意でもしたら、それこそ口をきいてくれなくなる」
一時期、髭が嫌だという理由でそういう目に遭っているため、ライムートは末っ子にはどうしても強く出られないらしい。何より、唯一手元に残った可愛い娘を手放したくはないという、父親としての思いもある。
「あの子に好きな人ができればね……そうしたら、全部解決するんだけど」
この際、相手のえり好みはしない。よほど人格に問題があったり、既婚者だったりすれば話は別だが、サナの想いに応えてくれるのなら、どんな下級貴族だろうと、いや、平民だろうとかまわない。姉二人と――そして、自分と同じく、相思相愛の相手と添わせてやりたいと思うのが母心だ。
だが、姉二人が十代の初めに愛する人を見つけたのとは異なり、サナにはまだ『初恋』すら訪れてはいなかった。
「本当に、誰かいないかしらね。あの子に『恋』を教えてくれる相手が……」
そんな会話を、ライムートと絵里が交わした数日後のこと。
シルヴァージュの王城は、その日、にわかに騒がしくなっていた。
「……この書に書かれていることは真か?」
「はい、陛下」
玉座に座り王様モード全開で尋ねるライムートに、謁見中の異国風の衣装に身を包んだ男が応える。
「重ねて問うが、ディアハラ王家は、本当に我が国に王子を派遣するつもりだ、と?」
ライムートの手の中にあるのは、豪華な装飾を施された一通の手紙――『ディアハラ王からの親書』というシロモノだ。
「左様でございます。畏れながら申し上げます。昨今のシルヴァージュ王国は、文化技術共に他国の追従を許さぬほどの水準を誇っておられます。また、下々の者たちへの御恩情も厚い国王陛下のご英知により王国の隆盛は留まるところを知らず――」
最近のシルヴァージュが(絵里の日本での知識をもとに)他国より格段に文化や技術の水準が高く、また革新的で効率的な統治ができているのは事実だ。
なので、ディアハラからの使者がいくら美辞麗句を並べ立てて褒めちぎろうと、そんなものはライムートは既に聞き飽きている。ただ、その後に続いた言葉が問題だった。
「……そして聞きますに、シルヴァージュ王国では広く他国に門戸を開き、その高い文化技術をお伝えになられていらっしゃるとのこと。ここは是非、我が国もその一員として末席に加わりたいと存じた次第にございます。そして、まずはその先駆けとして、王子の一人に、こちらの国への訪問をお許しいただきたい、と我が国王はおっしゃっておられます」
国家間の交流は、別にこの世界でも珍しくはない。現に、今も留学生という形をとって、シルヴァージュの知識を得ようとしている国はいくつもある。ただ――その相手が『ディアハラ』となると話は別になる。
シルヴァージュとディアハラは、かつては一触即発、何かあれば即開戦という状況に置かれていたことがある。
もう数十年も前――ライムートが王太子だった頃の話だが、その当時のディアハラ王とその周辺がとんでもないことをたくらんだのである。幸い、そのたくらみは未然に防ぐことができ――ライムートが『英雄王』と呼ばれるようになった理由の一つに、この対ディアハラの騒動を収めたことが挙げられる――当時のディアハラ王はその責を負って玉座を追われ、新王と交代した。
その騒動の折、ディアハラはシルヴァージュだけではなく、その他多くの国々にも喧嘩を売っていたため、新王はそのしりぬぐいに新王は大変な苦労をしたらしい。尤も、大陸の中央のシルヴァージュと、西の端のディアハラではあまりにも距離が離れすぎており、事後処理が終わった後は以前の様な平和といえる状態に戻ったのだが――ここで、また一つ、ディアハラがやらかしてしまった。
先王の引退の原因となった事案に関する重要人物が、先の事件から一年もたたないうちに、身柄を預けられていた修道院から脱走したのである。
公には秘されているが、この人物はシルヴァージュ王妃である絵里との因縁が深く、そのことも鑑みて、直ぐにシルヴァージュへと知らせればよかったのだ。だが、ディアハラ側はそれを秘匿した。大事になる前に、ひそかにその人物を見つけ出すつもりだったのだろうが、そうこうしている間に、シルヴァージュは別口の事件からその人物の脱走を知ってしまった。
ここでもう、シルヴァージュのディアハラへの評価は地に落ちたといっていい。
新体制になって少しはましになったかと思ったら……ということだ。
とはいえ、先に述べたように二国の間には物理的な距離がある。その結果、わざわざまた国家間のごたごたを蒸し返すよりも、極力関わり合いにならない方がいいと判断された。
シルヴァージュ側からすれば、冷たい無関心という表現が一番しっくりくるのだが、それで特に困ったこともなかったため、その状態が現在まで長く続いていた。
なお、これらの事はディアハラも十分心得ており、これまでは必要最低限の儀礼的接触に収めていた。
それが今になってこうして使者を送ってきたのは、おそらくはあまりにもシルヴァージュの国力が増強され、且つその恩恵に他国も預かるようになってきたからだろう。このまま指を咥えてみていれば、ディアハラのみが時流に乗り遅れる事となりかねない。そう危惧した新王(と言っても、即位して既に三十年近く経っているのだが)が、恥を忍んで申し出てきた――ということだろう。
「なるほど……ディアハラは我が国の事をよくご存じのようだ。そこで、今一度確認したいのだが、ディアハラの王子殿は、他国と同じように学生として、この国で学びたいということだろうか? それとも、単に我が国を訪問したいだけか?」
後者であれば、それなりの歓待をし、適当にいくつかの場所を案内した後で送り返せば終わる。
だが、もし本気で留学生としてシルヴァージュに来たいというのならば、その王子にとっては、結構な試練となるだろう。
「ディアハラといたしましては、できればしばらく腰を据え、あれこれと学ばせていただきたいと思っております。無論、シルヴァージュ王国が受け入れてくだされば、の話でございますが」
「ふむ……しかし、王子一人では、学ぶにしても限度があるのではないか?」
「それにつきましては、さすがに我が国も王子殿下ただお一人を、こちらに来させるわけにもいきませんので、殿下の腹心の者を加えた数名を、受け入れていただければ幸いにございます」
突然人数が増えたが、これはライムートでなくとも予想内の事である。使者の言ったように、仮にも王族が一人でフラフラと他国へ行くことなどあり得ない――尤も、そのあり得ないことをしていたのが、他でもないライムート本人であるのだが、これはここでは関係のない話だ。
「……重ねて聞くが、ディアハラは我が国がとっている『留学生制度』をきちんとご存じか?」
「はい。伺いますに、優秀な講師を揃えた『学園』という場所で、思う存分学ぶことができるとか」
「ああ、確かにそうだ。だが、もう一つ――わが国の『学園』では、全ての者が平等に学べることになっている。他国の貴族も、我が国の平民も、純粋に学園での成績で判断される。しかるに、学園では未だ王族を受け入れたことはないのだが、やはり同じように扱われるものと思うが、それも承知の上でのお話か?」
この『学園』とは、絵里の発案で数年前にできた施設の事である。簡単に言えば、高校と専門学校を合体させたようなものだ。今は貴族階級と、裕福な平民が主な生徒となっているが、同時に創設された『初等学園』というものもあり、こちらは親が通わせる気があれば、誰でもが入学できるシステムとなっていた。これは『学園』と同じく王都にしかなく、卒業までに時間がかかるためまだ卒業生はいないのだが、そこから『学園』に進むものがこの先増えてくることだろう。
いつしか、このシステムを国内全てに広めることが、王妃となった絵里の念願であるのだが、それはさておき。
これらの場所では、さすがに平民は貴族には敬意を払うことが暗黙の了解となっているが、それはあくまでも『敬意』であり、絶対的服従ではない。貴族も、身分を振りかざして横暴を働くような真似は許されていない。状況によっては成績優秀な平民が、貴族の上に立つこともある。そんなところへ、温室育ちの王子などを放り込むつもりなのか、と問うているわけだ。
「勿論でございます。我がディアハラ王も、シルヴァージュへと来られるご予定のサリオン殿下も、そのことは重々承知の上でのお願いにございます」
ここまで言われてもし断れば、今度はシルヴァージュの方が悪く言われかねない。数十年も昔のことをまだ根に持っているなど判断されるのは、ライムートとしても本意ではない。
「あい分かった。それほどまでに覚悟を決めておられるのであれば、是非もない。シルヴァージュは、王子一行を歓迎しよう」
「ありがたき幸せにございます」
「実際の王子殿の来訪の時期などについては、後程、実務を取り仕切るものを向かわせよう」
「重ね重ね感謝いたします」
深く一礼をして去っていく使者を見送り――ライムートは傍らに控えていたジークリンドへと声をかける。
「サリオンという王子、知っているか?」
「はい。ディアハラ王陛下の第二王子殿下の御三男でいらっしゃいますね。ご長男とご次男は正妃腹ですが、御三男は側妃があげられた方だったと記憶しております」
いくら国交がないも同然のディアハラとはいえ、王族の動向を調べるのは国家としてのたしなみだ。そして、ライムートがとっさには思い出せなかったことをすらすらと述べるあたり、相変わらず有能な側近である。
「……なかなか微妙なところを送りつけて来るな」
ディアハラの現王はライムートの父と同世代なので、その孫となればライムートの子供たちと同じくらいだと推測される。
第二王子の子で側妃腹――王位継承順位で言えば、十位以内に入るかどうかというところだろう。
「これが王太子である第一王子殿下のお子であればまた違ってきますが……」
「王位継承権を持ってはいるが、最悪、捨て駒にしてもかまわん王子、か……ふん。だからディアハラは好かんのだ」
「陛下……」
「安心しろ、お前にしか言わん――しかし、そうとなれば、学園の方にも俺から話を通しておいた方がいいな」
「それと妃殿下にも。学園については、妃殿下の肝いりで作られたものでございますので」
「リィか……なんというだろうな……」
ディアハラについては、絵里も複雑な思いをいだいているはずだ。そこの王子が、彼女が心血を注いでいる学園に来るのである。さすがのライムートも、妻がどのような反応を示すか、見当がつかなかった。
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