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十一月:不思議な話
王妃様は悪女ですので【逆行/巻き戻り】
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「この悪女めッ!」
そう叫んで剣を振り下ろしたのは、私の愛しい国王陛下でした。
一撃では死ななかった私を繰り返し斬り刻む陛下のお言葉によると、どうやら私は男を差し向けて陛下最愛の側妃を襲わせたそうです。
この王宮内で? そもそも側妃周りの人事は、嫉妬に狂った私にはさせられないと言って、側妃と平民だった彼女を養女にした伯爵家の人間に任せていたではないですか。側妃の周囲にいる人間は、すべて彼女の味方ですよ。
おそらく陛下は身籠った側妃が心配だからと、先触れも出さずに彼女の部屋を訪れたのでしょう。
そこでお気に入りの護衛騎士と睦み合う側妃の姿を見たのでしょう。
側妃は自分自身が選んだ護衛騎士だったことを隠し、王妃である私が差し向けた男だと言って誤魔化したのでしょう。
陛下はそれを信じたのでしょうか?
信じたのかもしれません。
側妃を養女にする前の伯爵に誘われてお忍びで下町へ行き、彼女と出会ってからの陛下にとって私は、嫉妬に狂って最愛を苛む悪女だったのですから。
でも……でも本当は気づいているのかもしれません。
側妃が浮気をした、それが真実だということに。
だって陛下の瞳が潤んでいるのですもの。ご両親を事故で亡くした幼い日のように、どんなに学んでも体を鍛えても一足飛びに大人にはなれないことを悲しんでいた子どものときのように、私の前でだけ涙を見せてくれていたころのように──
私は冤罪です。男を差し向けて側妃を襲わせたりはしていません。
だって彼女は陛下の御子を身籠っているのです。
そんなことをしたら、陛下の御子にまで被害が及ぶかもしれないではないですか。
陛下が私を斬り刻んでいる剣は、建国王が国の守護女神から賜ったという国宝です。
その名は『正義の剣』。
もう声も出せませんでしたが、肉塊と化した私が心の底で訴えた無実を聞き届けてくださったかのように、その剣は淡く光り輝き始めました。
陛下には見えないらしい剣の光に包まれて意識を失い気がつくと、私は陛下との婚礼前夜に戻っていたのです。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「おめでとうございます。御子様は陛下によく似た王子殿下でいらっしゃるそうですね」
「……ああ」
初夜から三年ぶりに私の部屋を訪れた陛下は、暗い面持ちで首肯なさいました。
本当はこれまでにも部屋に来られたことはあるのですけれど、扉の前でお帰りいただいていたのです。
今回室内にまでお入れしたのは、慶事をお祝いするためです。
時間を遡った二度目の私は、前のときよりも長生き出来ています。
前のときは陛下の御子がお生まれになる前に殺されてしまいましたから。
この目出度き日を迎えられただけでも、時間が戻って良かったと思います。
「陛下と王国のご多幸をお祈りしております。それでは、私はこれで」
陛下を部屋へお入れしたのは、慶事をお祝いするためとお別れを告げるためでした。
王妃の部屋はすでに片付けられています。
三年間の白い結婚による離縁の手続きは昨夜終わっています。
あとは私が出て行くだけです。もちろん実家の侯爵家から来てくれた侍女や侍従も一緒です。
「お、王妃ッ!」
「どうなさいましたか、陛下。もう私は王妃ではありません。側妃様を王妃にするなり、新しい方を王妃に迎えるなりなさってください」
「……君以上に王妃に相応しい女性はいない」
そうでしょうね、と私は心の中でひとりごちます。
幼くして国王となった陛下を支え続けた我が侯爵家の後ろ盾がなければ、愛ゆえに厳しい妃教育を終えた私がいなければ、貴方は国王ではいられなかったことでしょう。
それがわかっているからこそ陛下は、側妃のためにも私を王妃として娶ったのです。
「父である侯爵は国が乱れることを望んではいません。これからも侯爵家は一丸となって陛下を支え続けますわ。獅子身中の虫は退治され、跡取りとなる王子殿下もお生まれになり、愛する女性も一緒にいらっしゃる。陛下の未来は順風満帆であらせられます」
「側妃をッ……あの女を王妃になど出来ないッ!」
「さようでございますね。養女の側妃様を利用して国費を横領していた伯爵家が罰せられた今、あの方は平民に戻っていらっしゃいます。お早目に養家を見つけて差し上げるべきですわ。伯爵家以上の家格なら問題はありませんでしょう」
「そうではないッ! あの女は……ッ! あの女はッ!」
今回の陛下も睦み合う側妃と護衛騎士を目撃なさいましたけれど、私は殺されませんでした。
初夜に白い結婚を誓ったことを理由に、陛下を部屋に入れなかったからです。
それに今回の私は、嫉妬に狂った悪女ではありませんでした。自分から白い結婚を申し出て、側妃関係の事柄には一切口も手も出さず、王妃としての役割だけを果たすお人形でした。心を持った人間よりもお人形でいたほうが信じてもらえるなんて、深く考えると複雑な気持ちになりますが、殺されてしまうよりは良いでしょう。
二度目の今回、扉の向こうで泣きじゃくる陛下の声を聞いても、私の心に憐憫の情が浮かんでくることはありませんでした。
前のとき、剣で斬り刻まれていたときでさえ、潤んだ瞳の陛下を抱き締めてお慰めしたくてたまらなかったのに。
あの剣が斬り刻んだのは、私の体ではなく陛下への恋心だったのかもしれません。
その次の朝に目覚めると、陛下は扉の外にはいらっしゃいませんでした。
陛下は護衛騎士に側妃の養家である伯爵家の息がかかっていること、そもそも伯爵家が養女である側妃を利用して国費を横領していたことを調べ上げ、彼らを罰しました。
王家の血筋かもしれない御子を身籠っていた側妃だけは、出産の日まで生かされていたのです。とはいえ、彼女は平民でした。親兄弟を人質に取られて伯爵に脅されていたことにすれば、厳しく罰さなくても大丈夫でしょう。
「あの女はだれにでも身を任せる浮気女だったんだ!」
陛下が叫びます。悪女の私は微笑みます。
「側妃様をそんな女性にしたのは陛下ではありませんか」
目を見開いた陛下に言葉を続けます。
「平民も貴族もありません。ほとんどの人間は貞節を守り愛する人を大切にして生きているのです。一部の不貞を好む浮気者が、自分達が普通だと声高に吠えているだけではありませんか。側妃様がどんなに貞節を守り愛する人を大切にして生きていくことを望んでいたとしても、この国の最高権力者で婚約者のいる陛下に見初められた時点で不可能だったのではないですか?」
「私は……あの女に強制したりはしていない」
「陛下が陛下であらせられるだけで、側妃様には選択肢がなかったのです」
本当はわかっています。
側妃は身分が高くて金を持った男ならだれでも良い、頭とお尻の軽い女の子でした。国王陛下を意のままにしたかった伯爵が彼女を上手く利用して、お忍びで高揚していた陛下を虜にしたのです。
でもそんな、陛下の心が安らぐようなことは言ってあげません。だって私は悪女ですので。
「側妃様はご自身に与えられた役割を果たされただけです。裏にいた伯爵もいなくなりました。跡取りの王子殿下のためにも、陛下はこれからも側妃様を愛し続けるべきだと思いますわ」
「……君は」
「はい?」
「侯爵令嬢、君も自分に与えられた役割を果たしていただけなのか? 王妃としての、国王の婚約者としての」
「三年前からは、そうですわ」
時間が戻ってからは、一度陛下に殺されてからは、愛のためではなく生き長らえるためだけに王妃を演じてきました。
婚礼前夜に意識が戻って、急いで家族に相談しました。
そんな未来が待っているのなら、と、急病ということにして婚礼自体を中止させようとまで言ってくれた家族に、前とは違う白い結婚という選択肢を選ぶと告げたのは私です。
あのときは陛下に会えば、殺されて凍りついた心が融けて燃え上がるのではないかとも思っていました。でも……
「私が、私が悪かったのはわかっている。恋愛ごっこに溺れて、欲望に溶かされていた。だがこの三年間でさえ、本当に辛く苦しいときに会いたいと思うのは君だった。……すまない、愛している。私が心から愛しているのは君なんだ!」
必死な形相の陛下が、縋りつくように伸ばしてきた手を払い除けます。
意識的なものではありません。
無意識です。無意識に体が陛下を拒むのです。時間が戻って三年も経つのに、私の中には自分を斬り刻んだ陛下への恐怖が今も息づいているのです。
「……」
陛下のお顔から色が抜けました。こんなにもはっきり拒まれるとは想像したこともなかったのでしょう。
「さようなら、陛下」
実家の侯爵家へ戻った元王妃が再婚するのは難しいと思います。
それでも私は悪女なので、ぬけぬけと新しい恋をして幸せになることでしょう。
陛下が望んだように、思っていたように、私は悪女ですので──
<終>
そう叫んで剣を振り下ろしたのは、私の愛しい国王陛下でした。
一撃では死ななかった私を繰り返し斬り刻む陛下のお言葉によると、どうやら私は男を差し向けて陛下最愛の側妃を襲わせたそうです。
この王宮内で? そもそも側妃周りの人事は、嫉妬に狂った私にはさせられないと言って、側妃と平民だった彼女を養女にした伯爵家の人間に任せていたではないですか。側妃の周囲にいる人間は、すべて彼女の味方ですよ。
おそらく陛下は身籠った側妃が心配だからと、先触れも出さずに彼女の部屋を訪れたのでしょう。
そこでお気に入りの護衛騎士と睦み合う側妃の姿を見たのでしょう。
側妃は自分自身が選んだ護衛騎士だったことを隠し、王妃である私が差し向けた男だと言って誤魔化したのでしょう。
陛下はそれを信じたのでしょうか?
信じたのかもしれません。
側妃を養女にする前の伯爵に誘われてお忍びで下町へ行き、彼女と出会ってからの陛下にとって私は、嫉妬に狂って最愛を苛む悪女だったのですから。
でも……でも本当は気づいているのかもしれません。
側妃が浮気をした、それが真実だということに。
だって陛下の瞳が潤んでいるのですもの。ご両親を事故で亡くした幼い日のように、どんなに学んでも体を鍛えても一足飛びに大人にはなれないことを悲しんでいた子どものときのように、私の前でだけ涙を見せてくれていたころのように──
私は冤罪です。男を差し向けて側妃を襲わせたりはしていません。
だって彼女は陛下の御子を身籠っているのです。
そんなことをしたら、陛下の御子にまで被害が及ぶかもしれないではないですか。
陛下が私を斬り刻んでいる剣は、建国王が国の守護女神から賜ったという国宝です。
その名は『正義の剣』。
もう声も出せませんでしたが、肉塊と化した私が心の底で訴えた無実を聞き届けてくださったかのように、その剣は淡く光り輝き始めました。
陛下には見えないらしい剣の光に包まれて意識を失い気がつくと、私は陛下との婚礼前夜に戻っていたのです。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「おめでとうございます。御子様は陛下によく似た王子殿下でいらっしゃるそうですね」
「……ああ」
初夜から三年ぶりに私の部屋を訪れた陛下は、暗い面持ちで首肯なさいました。
本当はこれまでにも部屋に来られたことはあるのですけれど、扉の前でお帰りいただいていたのです。
今回室内にまでお入れしたのは、慶事をお祝いするためです。
時間を遡った二度目の私は、前のときよりも長生き出来ています。
前のときは陛下の御子がお生まれになる前に殺されてしまいましたから。
この目出度き日を迎えられただけでも、時間が戻って良かったと思います。
「陛下と王国のご多幸をお祈りしております。それでは、私はこれで」
陛下を部屋へお入れしたのは、慶事をお祝いするためとお別れを告げるためでした。
王妃の部屋はすでに片付けられています。
三年間の白い結婚による離縁の手続きは昨夜終わっています。
あとは私が出て行くだけです。もちろん実家の侯爵家から来てくれた侍女や侍従も一緒です。
「お、王妃ッ!」
「どうなさいましたか、陛下。もう私は王妃ではありません。側妃様を王妃にするなり、新しい方を王妃に迎えるなりなさってください」
「……君以上に王妃に相応しい女性はいない」
そうでしょうね、と私は心の中でひとりごちます。
幼くして国王となった陛下を支え続けた我が侯爵家の後ろ盾がなければ、愛ゆえに厳しい妃教育を終えた私がいなければ、貴方は国王ではいられなかったことでしょう。
それがわかっているからこそ陛下は、側妃のためにも私を王妃として娶ったのです。
「父である侯爵は国が乱れることを望んではいません。これからも侯爵家は一丸となって陛下を支え続けますわ。獅子身中の虫は退治され、跡取りとなる王子殿下もお生まれになり、愛する女性も一緒にいらっしゃる。陛下の未来は順風満帆であらせられます」
「側妃をッ……あの女を王妃になど出来ないッ!」
「さようでございますね。養女の側妃様を利用して国費を横領していた伯爵家が罰せられた今、あの方は平民に戻っていらっしゃいます。お早目に養家を見つけて差し上げるべきですわ。伯爵家以上の家格なら問題はありませんでしょう」
「そうではないッ! あの女は……ッ! あの女はッ!」
今回の陛下も睦み合う側妃と護衛騎士を目撃なさいましたけれど、私は殺されませんでした。
初夜に白い結婚を誓ったことを理由に、陛下を部屋に入れなかったからです。
それに今回の私は、嫉妬に狂った悪女ではありませんでした。自分から白い結婚を申し出て、側妃関係の事柄には一切口も手も出さず、王妃としての役割だけを果たすお人形でした。心を持った人間よりもお人形でいたほうが信じてもらえるなんて、深く考えると複雑な気持ちになりますが、殺されてしまうよりは良いでしょう。
二度目の今回、扉の向こうで泣きじゃくる陛下の声を聞いても、私の心に憐憫の情が浮かんでくることはありませんでした。
前のとき、剣で斬り刻まれていたときでさえ、潤んだ瞳の陛下を抱き締めてお慰めしたくてたまらなかったのに。
あの剣が斬り刻んだのは、私の体ではなく陛下への恋心だったのかもしれません。
その次の朝に目覚めると、陛下は扉の外にはいらっしゃいませんでした。
陛下は護衛騎士に側妃の養家である伯爵家の息がかかっていること、そもそも伯爵家が養女である側妃を利用して国費を横領していたことを調べ上げ、彼らを罰しました。
王家の血筋かもしれない御子を身籠っていた側妃だけは、出産の日まで生かされていたのです。とはいえ、彼女は平民でした。親兄弟を人質に取られて伯爵に脅されていたことにすれば、厳しく罰さなくても大丈夫でしょう。
「あの女はだれにでも身を任せる浮気女だったんだ!」
陛下が叫びます。悪女の私は微笑みます。
「側妃様をそんな女性にしたのは陛下ではありませんか」
目を見開いた陛下に言葉を続けます。
「平民も貴族もありません。ほとんどの人間は貞節を守り愛する人を大切にして生きているのです。一部の不貞を好む浮気者が、自分達が普通だと声高に吠えているだけではありませんか。側妃様がどんなに貞節を守り愛する人を大切にして生きていくことを望んでいたとしても、この国の最高権力者で婚約者のいる陛下に見初められた時点で不可能だったのではないですか?」
「私は……あの女に強制したりはしていない」
「陛下が陛下であらせられるだけで、側妃様には選択肢がなかったのです」
本当はわかっています。
側妃は身分が高くて金を持った男ならだれでも良い、頭とお尻の軽い女の子でした。国王陛下を意のままにしたかった伯爵が彼女を上手く利用して、お忍びで高揚していた陛下を虜にしたのです。
でもそんな、陛下の心が安らぐようなことは言ってあげません。だって私は悪女ですので。
「側妃様はご自身に与えられた役割を果たされただけです。裏にいた伯爵もいなくなりました。跡取りの王子殿下のためにも、陛下はこれからも側妃様を愛し続けるべきだと思いますわ」
「……君は」
「はい?」
「侯爵令嬢、君も自分に与えられた役割を果たしていただけなのか? 王妃としての、国王の婚約者としての」
「三年前からは、そうですわ」
時間が戻ってからは、一度陛下に殺されてからは、愛のためではなく生き長らえるためだけに王妃を演じてきました。
婚礼前夜に意識が戻って、急いで家族に相談しました。
そんな未来が待っているのなら、と、急病ということにして婚礼自体を中止させようとまで言ってくれた家族に、前とは違う白い結婚という選択肢を選ぶと告げたのは私です。
あのときは陛下に会えば、殺されて凍りついた心が融けて燃え上がるのではないかとも思っていました。でも……
「私が、私が悪かったのはわかっている。恋愛ごっこに溺れて、欲望に溶かされていた。だがこの三年間でさえ、本当に辛く苦しいときに会いたいと思うのは君だった。……すまない、愛している。私が心から愛しているのは君なんだ!」
必死な形相の陛下が、縋りつくように伸ばしてきた手を払い除けます。
意識的なものではありません。
無意識です。無意識に体が陛下を拒むのです。時間が戻って三年も経つのに、私の中には自分を斬り刻んだ陛下への恐怖が今も息づいているのです。
「……」
陛下のお顔から色が抜けました。こんなにもはっきり拒まれるとは想像したこともなかったのでしょう。
「さようなら、陛下」
実家の侯爵家へ戻った元王妃が再婚するのは難しいと思います。
それでも私は悪女なので、ぬけぬけと新しい恋をして幸せになることでしょう。
陛下が望んだように、思っていたように、私は悪女ですので──
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