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十一月:不思議な話
きっと悪魔は笑ってる。【人でないもの】
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古文書を買い漁って知識を辿り、呼び出した悪魔にトーマスは言った。
「ザーラの嫉妬心を奪い取ってくれ」
ザーラは伯爵家の跡取り娘で、トーマスの婚約者だ。
子爵家次男のトーマスは、この王国の貴族子女が通う学園卒業後、ザーラの婿として伯爵家へ入ることが決まっている。
トーマスはザーラの嫉妬深さに辟易していた。婚約者の彼女がいながら、男爵令嬢ヘルディンと仲睦まじくしている自分の浮気心については棚に上げて。
床に描かれた魔法陣から立ち上る煙を椅子代わりにして、悪魔は優雅に足を組んでいる。
基本的な造作は同じなのに明らかに人とは違う美しい顔を下に向けて、悪魔はその瞳にトーマスを映した。
心を乱して不安にさせるくせに、いつまでも聞いていたくなるような甘やかな声が言う。
『それは無理だ』
「どうして」
『嫉妬心というのは独立した存在ではない。影のようなものだ。本体のある状態で影だけを奪うことは出来ない』
「本体……?」
『そう、たとえば……』
トーマスを見つめて悪魔は嘲笑を浮かべる。
悪魔は、魔力が世界に溢れていた神代に、魔法を人間に教えてくれた精霊の末裔なのだと言われている。
おとぎ話の時代には人間が自在に魔法を使えるようになった代わりにか、零落した精霊がイタズラな妖精となって暴れていた。そのまた妖精が時を経て悪意を得たのが悪魔だというのだ。
『たとえば憤怒……学園を卒業したら行き場のない下位貴族の次男坊を婿にしてあげようというのに、浮気をするなんて許せない!……とか、だな』
途中の声音は完全にザーラのものだった。
伯爵令嬢のザーラは淑女として育てられた。
悪魔が口にしたような悪口雑言をトーマスにぶつけたことなど一度もない。
でもトーマスは、いつもそんな言葉を浴びせられているような気分だった。
男爵令嬢との不貞行為やそこから生じた学業不振を注意されるたびに、自分が馬鹿にされているように感じて憎悪を覚えた。
もちろん、すべての原因が自分にあることは棚に上げている。心の棚は便利なのだ。
「だったら、それを奪い取ってくれ!」
『それ……?』
「憤怒の心を……いや、少しも怒らなくなったら伯爵家の当主としてやっていけなくなるな。もっと狭い範囲で……」
悩むトーマスに悪魔が助け舟を出した。
『嫉妬心を生み出している、お前に対する感情を、ということで良いか?』
「あ、ああ、そうだ。そうしてくれ!」
言いきった後でトーマスは、自分がなにか間違えてしまったような気がした。
もっとしっかり考えなくてはいけないのではなかろうか。
トーマスがやり直しを望む前に、悪魔が唇を開いた。
『ところで、お前の願いを叶える報酬だが……』
「……ぼ、僕の死後の魂、か?」
トーマスが悪魔を呼び出すために漁った古文書には、そう書いてあった。
悪魔は願い事の代償に召喚者の死後の魂を望む。
この儀式で悪魔を呼び出せるほど強い魔力の持ち主の魂は、自分の魔力の予備、ほかの悪魔との交渉の材料、少し加工して忠実な道具などとして使われるのだという。
(生きている間、裕福な伯爵家の婿として贅沢な暮らしが出来るんだから良いか? ザーラの嫉妬心が悪魔に奪い取られたら、ヘルディンを愛人として囲っても許してくれるかもしれないし)
ヘルディンの実家である男爵家は貧しい。
貧しいからトーマスに擦り寄っているのだ。
トーマスは婿入り予定の伯爵家から潤沢な援助金を与えられていた。それで両親や跡取りの兄を助けているし、今回の儀式に必要な古文書や品物も購入した。
(でも……)
悩み始めたトーマスを見て、口角を上げた悪魔が言う。
『お前の負の感情で良い』
「僕の負の感情?」
『悲しみや苦しみ、辛いと思う気持ちなどだ。……悪魔はそういうものが好きなんだ』
あまりにも都合の良い言葉に、トーマスは即答出来なかった。
(悲しみや苦しみ、辛いと思う気持ちがなくなったら、いつでも明るく楽しい幸せな気分で過ごせるじゃないか!)
ヘルディンと遊んで成績が落ち、ザーラに叱責されたことに落ち込んで、さらに成績が落ちるなんて言う悪循環ともお別れ出来るかもしれないと、トーマスの心が弾む。
婿入り先が決まらず、自力で将来を切り開けてもいない貴族子息達に妬まれて陰口を叩かれても、気にならなくなるだろう。
伯爵家に婿入りした後も、周囲の羨望や僻みを跳ね飛ばせるに違いない。
「そ、それで! それで良い! 僕の負の感情を代償に、ザーラの嫉妬心のもとを奪い取ってくれ!」
『本当に? 本当にそれで良いのか? 今ならやり直せるぞ』
「ああ、もちろんだ!」
『わかった』
契約完了だ、と悪魔は微笑んで、煙とともに消えた。
後に残ったのはトーマスだけ。
そして──しばらくして、トーマスはザーラから婚約を解消された。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
(当たり前だ。憤怒もあったかもしれないが、ザーラが嫉妬していたのは僕を愛してくれていたからなんだ)
悪魔によってトーマスへの愛、恋心を奪い取られた伯爵令嬢ザーラは、浮気者との婚約をこれ以上続けても意味がない、と判断した。
悪魔との会話の中で、嫉妬心の本体を憤怒だと誘導されて、それを信じ込んでしまったトーマスが愚かだったのである。
ザーラとの婚約を解消された途端、男爵令嬢ヘルディンもトーマスから離れた。最初から金目当てだったので仕方がない。トーマスだって伯爵家からの援助でヘルディンに奢ってやることで優越感を得ていたのだ。
(優越感……劣等感)
悪魔がザーラの恋心を奪い取ることの報酬として、トーマスから奪ったのは劣等感だった。
ザーラのほうが身分が高くて、裕福な伯爵家に実家の子爵家が援助されていて、頭脳を買われたのに学業不振に陥ってしまったトーマスから劣等感が消えると、残っていたのは元婚約者への恋心だった。
彼女に恋していたからこそ、劣等感を紛らわせるために浮気をして、嫉妬する姿を見て悦に入っていたのだ。
(悪魔にザーラから嫉妬心を奪い取ってくれと願ったのだって、本当は嫉妬したザーラに見切りをつけられるのが怖かったからだ……)
悪魔はトーマスから劣等感を奪ったが、自分の恋心を認識し、今の状況を理解したトーマスの心には新しい劣等感が沸き上がっていた。
トーマスは根っからの莫迦ではない。そうだったなら伯爵家の跡取り娘の婿になど望まれない。
古文書を買い漁ったところで、悪魔を呼び出す儀式を完成させるまでの知識を得られるのは一部の賢い人間だけだ。
(援助金は無理のない間隔で返済したので良い、と伯爵家は言ってくれてる。卒業までに頑張って成績を戻せば、僕はどこかの文官になれるかもしれない。そうしたら家へ仕送りも出来るだろう。だけど……)
ザーラの婚約者に戻れる日は永遠に来ない、それくらいはわかっている。
昔は勉強嫌いだった伯爵令嬢は、以前は勉強好きだったトーマスと一緒に賢くなった。
学園の成績はトーマスよりも良いし、もとから王国で一、二を争うほど魔力が強い。
今はおとぎ話のように魔法が自在に使える時代ではないけれど、それでも神代から伝わるさまざまな儀式で魔力が必要とされている。
彼女の新しい婚約者はすぐ見つかるに違いない。
きっと悪魔は笑いながら、今の自分の姿を見ているのだろうな、とトーマスは思った。
★ ★ ★ ★ ★
──私の恋心を奪い取って欲しいの。
悪魔を呼び出した伯爵令嬢は、開口一番そう言った。
頭は良いのに不器用な婚約者に対する彼女の初恋は極上品で、願いの代償に死後の魂を求める必要さえ感じられなかった。
むしろお釣りが必要だと感じて、ほかに欲しいものがないかと聞いてみた。
──彼が、トーマスが、私との婚約を解消された後で、少しでも後悔してくれたら嬉しいわ。
伯爵令嬢が恋心を捨てたがっているのは、婚約を解消したいからだった。
男爵令嬢と睦み合う婚約者の姿を見るのも嫌だし、それで自分が嫉妬するのも嫌だったのだ。
悪魔には婚約者が劣等感を拗らせているだけなのはわかっていたが、そこで親切に仲人をするようなお人好しではなかった。ちょうどトーマスにも呼び出されたので、悪魔は悪魔に良いように話を進めた。悪魔の契約は報酬の二重取りを禁じられてはいない。
伯爵令嬢から奪い取った初恋を楽しみながら、悪魔はときおり子爵家次男の劣等感を口に運ぶ。
劣等感は食べられたものではない味がするけれど、不思議と甘く甘く、どこか酸っぱい初恋の味を引き立ててくれる。
悪魔は笑いながら、初恋を味わい続けた。
<終>
「ザーラの嫉妬心を奪い取ってくれ」
ザーラは伯爵家の跡取り娘で、トーマスの婚約者だ。
子爵家次男のトーマスは、この王国の貴族子女が通う学園卒業後、ザーラの婿として伯爵家へ入ることが決まっている。
トーマスはザーラの嫉妬深さに辟易していた。婚約者の彼女がいながら、男爵令嬢ヘルディンと仲睦まじくしている自分の浮気心については棚に上げて。
床に描かれた魔法陣から立ち上る煙を椅子代わりにして、悪魔は優雅に足を組んでいる。
基本的な造作は同じなのに明らかに人とは違う美しい顔を下に向けて、悪魔はその瞳にトーマスを映した。
心を乱して不安にさせるくせに、いつまでも聞いていたくなるような甘やかな声が言う。
『それは無理だ』
「どうして」
『嫉妬心というのは独立した存在ではない。影のようなものだ。本体のある状態で影だけを奪うことは出来ない』
「本体……?」
『そう、たとえば……』
トーマスを見つめて悪魔は嘲笑を浮かべる。
悪魔は、魔力が世界に溢れていた神代に、魔法を人間に教えてくれた精霊の末裔なのだと言われている。
おとぎ話の時代には人間が自在に魔法を使えるようになった代わりにか、零落した精霊がイタズラな妖精となって暴れていた。そのまた妖精が時を経て悪意を得たのが悪魔だというのだ。
『たとえば憤怒……学園を卒業したら行き場のない下位貴族の次男坊を婿にしてあげようというのに、浮気をするなんて許せない!……とか、だな』
途中の声音は完全にザーラのものだった。
伯爵令嬢のザーラは淑女として育てられた。
悪魔が口にしたような悪口雑言をトーマスにぶつけたことなど一度もない。
でもトーマスは、いつもそんな言葉を浴びせられているような気分だった。
男爵令嬢との不貞行為やそこから生じた学業不振を注意されるたびに、自分が馬鹿にされているように感じて憎悪を覚えた。
もちろん、すべての原因が自分にあることは棚に上げている。心の棚は便利なのだ。
「だったら、それを奪い取ってくれ!」
『それ……?』
「憤怒の心を……いや、少しも怒らなくなったら伯爵家の当主としてやっていけなくなるな。もっと狭い範囲で……」
悩むトーマスに悪魔が助け舟を出した。
『嫉妬心を生み出している、お前に対する感情を、ということで良いか?』
「あ、ああ、そうだ。そうしてくれ!」
言いきった後でトーマスは、自分がなにか間違えてしまったような気がした。
もっとしっかり考えなくてはいけないのではなかろうか。
トーマスがやり直しを望む前に、悪魔が唇を開いた。
『ところで、お前の願いを叶える報酬だが……』
「……ぼ、僕の死後の魂、か?」
トーマスが悪魔を呼び出すために漁った古文書には、そう書いてあった。
悪魔は願い事の代償に召喚者の死後の魂を望む。
この儀式で悪魔を呼び出せるほど強い魔力の持ち主の魂は、自分の魔力の予備、ほかの悪魔との交渉の材料、少し加工して忠実な道具などとして使われるのだという。
(生きている間、裕福な伯爵家の婿として贅沢な暮らしが出来るんだから良いか? ザーラの嫉妬心が悪魔に奪い取られたら、ヘルディンを愛人として囲っても許してくれるかもしれないし)
ヘルディンの実家である男爵家は貧しい。
貧しいからトーマスに擦り寄っているのだ。
トーマスは婿入り予定の伯爵家から潤沢な援助金を与えられていた。それで両親や跡取りの兄を助けているし、今回の儀式に必要な古文書や品物も購入した。
(でも……)
悩み始めたトーマスを見て、口角を上げた悪魔が言う。
『お前の負の感情で良い』
「僕の負の感情?」
『悲しみや苦しみ、辛いと思う気持ちなどだ。……悪魔はそういうものが好きなんだ』
あまりにも都合の良い言葉に、トーマスは即答出来なかった。
(悲しみや苦しみ、辛いと思う気持ちがなくなったら、いつでも明るく楽しい幸せな気分で過ごせるじゃないか!)
ヘルディンと遊んで成績が落ち、ザーラに叱責されたことに落ち込んで、さらに成績が落ちるなんて言う悪循環ともお別れ出来るかもしれないと、トーマスの心が弾む。
婿入り先が決まらず、自力で将来を切り開けてもいない貴族子息達に妬まれて陰口を叩かれても、気にならなくなるだろう。
伯爵家に婿入りした後も、周囲の羨望や僻みを跳ね飛ばせるに違いない。
「そ、それで! それで良い! 僕の負の感情を代償に、ザーラの嫉妬心のもとを奪い取ってくれ!」
『本当に? 本当にそれで良いのか? 今ならやり直せるぞ』
「ああ、もちろんだ!」
『わかった』
契約完了だ、と悪魔は微笑んで、煙とともに消えた。
後に残ったのはトーマスだけ。
そして──しばらくして、トーマスはザーラから婚約を解消された。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
(当たり前だ。憤怒もあったかもしれないが、ザーラが嫉妬していたのは僕を愛してくれていたからなんだ)
悪魔によってトーマスへの愛、恋心を奪い取られた伯爵令嬢ザーラは、浮気者との婚約をこれ以上続けても意味がない、と判断した。
悪魔との会話の中で、嫉妬心の本体を憤怒だと誘導されて、それを信じ込んでしまったトーマスが愚かだったのである。
ザーラとの婚約を解消された途端、男爵令嬢ヘルディンもトーマスから離れた。最初から金目当てだったので仕方がない。トーマスだって伯爵家からの援助でヘルディンに奢ってやることで優越感を得ていたのだ。
(優越感……劣等感)
悪魔がザーラの恋心を奪い取ることの報酬として、トーマスから奪ったのは劣等感だった。
ザーラのほうが身分が高くて、裕福な伯爵家に実家の子爵家が援助されていて、頭脳を買われたのに学業不振に陥ってしまったトーマスから劣等感が消えると、残っていたのは元婚約者への恋心だった。
彼女に恋していたからこそ、劣等感を紛らわせるために浮気をして、嫉妬する姿を見て悦に入っていたのだ。
(悪魔にザーラから嫉妬心を奪い取ってくれと願ったのだって、本当は嫉妬したザーラに見切りをつけられるのが怖かったからだ……)
悪魔はトーマスから劣等感を奪ったが、自分の恋心を認識し、今の状況を理解したトーマスの心には新しい劣等感が沸き上がっていた。
トーマスは根っからの莫迦ではない。そうだったなら伯爵家の跡取り娘の婿になど望まれない。
古文書を買い漁ったところで、悪魔を呼び出す儀式を完成させるまでの知識を得られるのは一部の賢い人間だけだ。
(援助金は無理のない間隔で返済したので良い、と伯爵家は言ってくれてる。卒業までに頑張って成績を戻せば、僕はどこかの文官になれるかもしれない。そうしたら家へ仕送りも出来るだろう。だけど……)
ザーラの婚約者に戻れる日は永遠に来ない、それくらいはわかっている。
昔は勉強嫌いだった伯爵令嬢は、以前は勉強好きだったトーマスと一緒に賢くなった。
学園の成績はトーマスよりも良いし、もとから王国で一、二を争うほど魔力が強い。
今はおとぎ話のように魔法が自在に使える時代ではないけれど、それでも神代から伝わるさまざまな儀式で魔力が必要とされている。
彼女の新しい婚約者はすぐ見つかるに違いない。
きっと悪魔は笑いながら、今の自分の姿を見ているのだろうな、とトーマスは思った。
★ ★ ★ ★ ★
──私の恋心を奪い取って欲しいの。
悪魔を呼び出した伯爵令嬢は、開口一番そう言った。
頭は良いのに不器用な婚約者に対する彼女の初恋は極上品で、願いの代償に死後の魂を求める必要さえ感じられなかった。
むしろお釣りが必要だと感じて、ほかに欲しいものがないかと聞いてみた。
──彼が、トーマスが、私との婚約を解消された後で、少しでも後悔してくれたら嬉しいわ。
伯爵令嬢が恋心を捨てたがっているのは、婚約を解消したいからだった。
男爵令嬢と睦み合う婚約者の姿を見るのも嫌だし、それで自分が嫉妬するのも嫌だったのだ。
悪魔には婚約者が劣等感を拗らせているだけなのはわかっていたが、そこで親切に仲人をするようなお人好しではなかった。ちょうどトーマスにも呼び出されたので、悪魔は悪魔に良いように話を進めた。悪魔の契約は報酬の二重取りを禁じられてはいない。
伯爵令嬢から奪い取った初恋を楽しみながら、悪魔はときおり子爵家次男の劣等感を口に運ぶ。
劣等感は食べられたものではない味がするけれど、不思議と甘く甘く、どこか酸っぱい初恋の味を引き立ててくれる。
悪魔は笑いながら、初恋を味わい続けた。
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