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第二話 オオカミさんと暮らしてみれば
※14・見知らぬNPC(星のラクテ視点②)
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NPCも殺せないヌルいクソゲー世界に転生したことに気づいて舌打ちすると、目の前に立っていた父上が顔色を変えた。
若い後妻に殺されかけたことを訴えても怒鳴って黙らせ、頑張った末に寝込んでいた僕の部屋に来て役立たずと吐き捨てて去っていった父上がだよ?
自分が話してる途中で息子が舌打ちするなんて、想像もしてなかったんだろうね。
僕がゲーム知識の利用法を考えてるっていうのに、ギャーギャーうるさく話しかけてきたから、獣化魔法を発動させて毛むくじゃらの腕で殴りつけてやった。
壁に叩きつけられて、父上はやっと黙ったよ。
ゲームのアバターに設定する初期魔法が、僕は狼の獣化魔法だったんだよね。
この世界での獣化魔法は、魔法封印後も血によって受け継がれている。
父上が冷たかったのは僕を母上の不義の子だと思っていたからかもしれない。
もっとも獣化族は獣化した姿で生まれるから、魔法として発動する僕とは違うんだけど。
叩きつけられた衝撃で内臓に傷でもついたのか、口から血を吐いている父上を見て、僕は思ったよ。
ここならNPC殺せそうだな、って。
僕の生殺与奪権を握った、世界で一番認めてほしい人だった父上は、前世を思い出した瞬間ただのNPCに成り下がった。
僕が獣化魔法を持って生まれたことは秘密にされていたから、僕が獣化魔法を発動して異母弟を殺しても、後妻を殺しても、父上はなにも言えなかった。
姉上は薄々気づいていたかもしれない。
優しい姉上は、なにも言わないでくれたけど。
十五歳になった僕は、父上という設定のNPCに言われた通り星の神殿へ入った。
……家督? 姉上が婿養子でも迎えて継ぐんじゃない?
星の神殿に入ったころにはもう、僕はゲーム知識の利用方法を決めていた。
すべての女王モンスターを倒して封印のかけらを奪う。
だけど封印自体は解かない。
この世界で僕だけがすべての魔法を使えるようにするんだ。
封印のかけらを奪えるのはゲームの主人公だけの特性。
すなわち転生者だけの特権だ。
主人公は同時に全属性の魔法を習得できるという特性も持っていた。
僕が最初に持っていた狼の獣化魔法以外の属性の魔法も習得できることは、見習いとしての修行中にちゃんと確認している。……魔法は、持っている人間を殺しても習得できた。
強大な女王モンスターを倒すのは先の話だけど、僕は新米神官としてモンスター退治に勤しみ、司祭に昇格した。
もらった神獣がハエだったのは最悪だね。
元のゲームでも神獣はランダム決定だった。
本当にクソゲー。
とはいえ太陽の神殿の鳥や月の神殿の猫は見た目が良くて強力な反面弱点がある。
鳥神獣は昼、猫神獣は夜しか召喚できないんだ。
星の神殿の虫神獣はいつでも召喚できるもんね……ハエだけど。
まあ群れで召喚できるし、いろいろ役立つ部分もあるから今のところは許してやるか。
最終的には僕以外の魔法使いを全部殺して、世界の支配者になってもいいよなー。
なんて、のん気に思いながら暮らしていたとき、僕は彼の存在を知った。
──クロ村の狼獣化族、ルー。
ゲーム知識をどんなに掘り返しても存在しないNPCで、風属性の魔法をすべて持っている。月の女神に仕える司祭でもあり、神獣も授かっているという。
彼も『転生者』なのかもしれない。
実を言うと、これまでもゲーム知識の中にいないNPCは結構いた。
複数の属性の魔法を習得していることが多かったから、結構すぐわかるんだよね。
もちろん隙を見て殺してきた。
だって封印のかけらを横取りされたら僕の計画が台無しになる。
僕と同じように主人公特性を持つ転生者は、みんな全属性の魔法を集められるし封印のかけらを手にできるはずなんだから。
主人公以外は女王モンスターを倒しても封印のかけらを奪えない。
おまけに封印のかけらを媒体にして、女王モンスターは復活しちゃう。
逆を言えば、主人公が倒せば女王モンスターは復活しないんだ。
女王モンスターの居場所は固定だけど、人間はどこへ行くかわからない。
効率が悪いのは嫌いなんだよね。
そういえば、殺したヤツらはみんな前世の記憶を持っているようには見えなかった。
……僕だけが神に、世界に選ばれているのかもしれないね、あははっ。
だったらハエ以外の神獣を寄こせって思うけど。
まあ舐めるハエじゃなくて刺すハエだっただけマシかなあ。
若い後妻に殺されかけたことを訴えても怒鳴って黙らせ、頑張った末に寝込んでいた僕の部屋に来て役立たずと吐き捨てて去っていった父上がだよ?
自分が話してる途中で息子が舌打ちするなんて、想像もしてなかったんだろうね。
僕がゲーム知識の利用法を考えてるっていうのに、ギャーギャーうるさく話しかけてきたから、獣化魔法を発動させて毛むくじゃらの腕で殴りつけてやった。
壁に叩きつけられて、父上はやっと黙ったよ。
ゲームのアバターに設定する初期魔法が、僕は狼の獣化魔法だったんだよね。
この世界での獣化魔法は、魔法封印後も血によって受け継がれている。
父上が冷たかったのは僕を母上の不義の子だと思っていたからかもしれない。
もっとも獣化族は獣化した姿で生まれるから、魔法として発動する僕とは違うんだけど。
叩きつけられた衝撃で内臓に傷でもついたのか、口から血を吐いている父上を見て、僕は思ったよ。
ここならNPC殺せそうだな、って。
僕の生殺与奪権を握った、世界で一番認めてほしい人だった父上は、前世を思い出した瞬間ただのNPCに成り下がった。
僕が獣化魔法を持って生まれたことは秘密にされていたから、僕が獣化魔法を発動して異母弟を殺しても、後妻を殺しても、父上はなにも言えなかった。
姉上は薄々気づいていたかもしれない。
優しい姉上は、なにも言わないでくれたけど。
十五歳になった僕は、父上という設定のNPCに言われた通り星の神殿へ入った。
……家督? 姉上が婿養子でも迎えて継ぐんじゃない?
星の神殿に入ったころにはもう、僕はゲーム知識の利用方法を決めていた。
すべての女王モンスターを倒して封印のかけらを奪う。
だけど封印自体は解かない。
この世界で僕だけがすべての魔法を使えるようにするんだ。
封印のかけらを奪えるのはゲームの主人公だけの特性。
すなわち転生者だけの特権だ。
主人公は同時に全属性の魔法を習得できるという特性も持っていた。
僕が最初に持っていた狼の獣化魔法以外の属性の魔法も習得できることは、見習いとしての修行中にちゃんと確認している。……魔法は、持っている人間を殺しても習得できた。
強大な女王モンスターを倒すのは先の話だけど、僕は新米神官としてモンスター退治に勤しみ、司祭に昇格した。
もらった神獣がハエだったのは最悪だね。
元のゲームでも神獣はランダム決定だった。
本当にクソゲー。
とはいえ太陽の神殿の鳥や月の神殿の猫は見た目が良くて強力な反面弱点がある。
鳥神獣は昼、猫神獣は夜しか召喚できないんだ。
星の神殿の虫神獣はいつでも召喚できるもんね……ハエだけど。
まあ群れで召喚できるし、いろいろ役立つ部分もあるから今のところは許してやるか。
最終的には僕以外の魔法使いを全部殺して、世界の支配者になってもいいよなー。
なんて、のん気に思いながら暮らしていたとき、僕は彼の存在を知った。
──クロ村の狼獣化族、ルー。
ゲーム知識をどんなに掘り返しても存在しないNPCで、風属性の魔法をすべて持っている。月の女神に仕える司祭でもあり、神獣も授かっているという。
彼も『転生者』なのかもしれない。
実を言うと、これまでもゲーム知識の中にいないNPCは結構いた。
複数の属性の魔法を習得していることが多かったから、結構すぐわかるんだよね。
もちろん隙を見て殺してきた。
だって封印のかけらを横取りされたら僕の計画が台無しになる。
僕と同じように主人公特性を持つ転生者は、みんな全属性の魔法を集められるし封印のかけらを手にできるはずなんだから。
主人公以外は女王モンスターを倒しても封印のかけらを奪えない。
おまけに封印のかけらを媒体にして、女王モンスターは復活しちゃう。
逆を言えば、主人公が倒せば女王モンスターは復活しないんだ。
女王モンスターの居場所は固定だけど、人間はどこへ行くかわからない。
効率が悪いのは嫌いなんだよね。
そういえば、殺したヤツらはみんな前世の記憶を持っているようには見えなかった。
……僕だけが神に、世界に選ばれているのかもしれないね、あははっ。
だったらハエ以外の神獣を寄こせって思うけど。
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